NO.8秋季号 2001年9月1日発行

農POと作物づくり-安全・高品質な野菜づくり-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

岐阜県の高山市は絢燭豪華な屋台と朝市で有名な観光地。その高山市を中心とした飛騨地方で、安心・安全で品質の良い野菜づくりが、地域ぐるみで、進められています。
梅雨の晴れ間の6月21日、高山市の雨よけホウレンソウと丹生川村の雨よけトマトの栽培現場を見学し、生産農家からお話を伺ってまいりました。産地の状況を紹介します。

1.冷涼な気候を生かした飛騨の雨よけ栽培飛騨は岐阜県の北部に位置する高冷地です。冷涼な気侯を生かして、ホウレンソウは春・夏・秋まき、トマトは春まき・夏秋どりの雨よけ栽培が行われています。

雨よけ栽培は、雨による生育阻害などを回避するために考案された栽培法で、パイプハウス用の鉄パイプにプラスチックフィルムで屋根を張っただけの簡単な施設で作物を栽培します。施設の妻面はフィルムを張らずに常時開放しサイドはフィルムを張る場合と張らない場合があります。この施設でホウレンソウを栽培すると、雨にさらされないため立枯れ病やべと病が少なくなって収量・品質が著しく向上します。トマトも降雨による土壌養分の流亡や裂果が少なくなって作柄が安定します。

この様に、雨よけ栽培は、露地栽培に比較して、もともと化学肥料や化学合成農薬の投入を減らせる環境にやさしい栽培技術ですが、その雨よけ栽培で、雨よけ以外の機能を持った被覆資材を使って、より安全で品質のよい野菜づくりが進んでいます。

2.雨よけホウレンソウの大規模経営有機物と紫外線カット・フィルムで農薬・化学肥料の使用量を削減
JAひだ高山蔬菜出荷組合長の小林知明さんは、標高650~1,000mのほ場で、雨よけホウレンソウ3haを栽培しています。3月から10月にかけて1つの雨よけ施設に4~5回播種して、5月~12月に葉色の濃いホウレンソウを出荷しています。

10a当たりの収量は4.8トンぐらいだそうですが、ほ場で収穫したホウレンソウをベルトコンベヤー・秤・自動包装機を備えた作業場に搬入して、能率よく調整・袋詰めをしています。

小林さんは、時期別に5つの品種を使い分けたり、生育に合わせてきめ細かな土壌水分管理を行うなどホウレンソウ栽培について高度な技術をお持ちですが、最近は「土づくりで、健康な根の発達を促す」、「病害虫抑制効果のある資材を使って、化学合成農薬の使用料を削減する」ことに気を配っているとのことです。

土づくりのため、息子さんが飼育している飛騨牛の牛舎から出る厩肥を発酵させて良質な堆肥を作っています。また、雨よけフィルムは、紫外線を透さない農POフィルム「グローマスター」を使って病害虫の発生を少なくしています。

安心・安全なホウレンソウづくりのための、地域の目標は、「土づくりによる化学肥料使用量の30%削減」と「化学合成農薬の使用回数を3回以内とする」ことだそうです。すでに、良質な堆肥の投入と紫外線カット・フィルムの使用は常識になっているそうですが、今後は防虫ネットの使用を検討するそうです。

3.紫外線カット農PO「グローマスター」

紫外線カット-フィルムを展張したホウレンソウの雨よけ施設紫外線カット-フィルムを展張した
ホウレンソウの雨よけ施設
波長380nm以下の近紫外線を透さない紫外線カット・フィルムは、アブラムシ・ダニなどによる虫害や、糸状菌による病害の発生を抑制することが国公立試験研究機関の研究で明らかになっています。 小林さんは、雨よけホウレンソウの病害虫防除のために、三善加工(株)製の紫外線カット農PO「 グローマスター」を使っています。 紫外線を透過するフィルムを使っていないので、直接比較することはできないが、グローマスターで病害虫は少なくなっているそうです。

雨よけ施設内のホウレンソウ雨よけ施設内のホウレンソウ グローマスターについて、小林さんに、病害虫防除以外のこともお伺いしたところ、メリットとして、 (1)軽く、張り替えが楽である
(2)傷がついても裂け目が広がらないので農ビより長期間使用できる
(3)廃プラスチックの処理費は重量当たりで設定されているので、施設単位面積当たりの処理費が農ビより安くなる
とのことでした。 ただ、問題点として(1)フィルムの上に積もった雪の滑りがやや悪く、(2)過去に、台風の時に一時的にはずしておいたフィルムが融着したことがある、と言っておられました。

4.おわりに近年、生鮮・冷凍野菜を中心にした輸入野菜の増加から、国内野菜産地のあり方が問われています。
野菜の国内生産を維持・発展させていくためには

  1. 生産・販売コストの低減
  2. 生産物の価格安定
  3. 輸入物の影響を受けにくい品目の生産
  4. 消費の簡便化に対応した加工向け出荷の強化

などが必要だとされています。

今回紹介した飛騨の雨よけ栽培は、今後の国内野菜生産のあり方を示す一つの例として、大変示唆に富んでいると思います。企業感覚に優れた農業者が、地域の気侯・風土を生かして、消費者二一ズに合った安全で美味しい野菜を効率よく生産しています。

その中で生産資材を上手に使っていますが、園芸資材は種類が多く、機能も多岐にわたります。作物の収量増加だけでなく、収穫物の味・成分・安全性の向上に役立つ資材も色々あります。適切な資材を選択・使用して農業経営の向上に役立てていただければ幸いです。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートとの出会い北海道北見市(JA北見市)
服部 専泰 さん

私がクリンテートに出会ったのは、昭和60年頃で北海道のホクレンの農機具展示会の会場でした。
その頃はまだ北見地方にはクリンテートが導入されていなく、展示会場での話をJAにして初めてクリンテートを展張しました。私はそれ以前はサクビとか農ビでしたが、農ビの強度の弱さには大変苦労しました。

暖地の方には想像もつかないと思いますが、農ビのフィルムがマイナス20°Cほどになると弾力がなくたるため、ハウスクリーナで雪下ろしをしますとちょっとの衝撃でも農ビが裂けるのです。
さて、クリンテート導入経緯はこの辺にして私の経営内容を紹介いたします。
ハイ、ポーズで一休みの服部さんご夫婦ハイ、ポーズで一休みの服部さんご夫婦私は、玉葱5.5ヘクタール、花卉ハウス330㎡ 10棟、メロンハウス330㎡ 2棟で、全ハウスがクリンテートです。
そのうち長期展張型クリンテートマーキュリーが1棟で、残り11棟はクリンテートDXです。バンドレスハウスは4棟です。

私は、マーキュリーについては、平成8年度に試験導入しましたがバンドレスハウスにしたのでいまだに強度とか透視性など6年経過しても何も問題がありません。
クリンテートDXのバンドレスハウスでも平均5年は使用していますので、メーカーさんから長期展張のため回転率が悪いのが問題と言われそうですね。

私は、バンドレスハウスの良いところとして、フィルムに皺が出来ないためボタ落ちがない、日中雪が滑りやすいためバンドハウスに比べて、日差しが早くハウス内に入るなどメリットがあります。

思い出としては、クリンテートを良く知るため私たち部会で平成元年に営業の高松様の案内で千葉工場を見学させていただきました。その時の左端のレーンが稼働していなく、いずれはここに10m巾の製造ラインになりますとの説明のとおり、その後まもなく10m巾が製造されました。
農PO業界のリーダーシップの位置づけが永遠のものとなることをお祈りいたします。

がんばる!クリンテート家族
特産『鳥取西瓜』をクリンテートDXで鳥取県大栄町(JA烏取中央大栄町支所)
中原 一明 さん

定植後のアールスメロンと中原さん定植後のアールスメロンと中原さん私は、大栄町は鳥取県の日本海側のほぼ中央に位置し、平地から高台にかけて雄大な畑が広がっている農業の町です。関西では大栄町の『鳥取西瓜』として有名です。
私は、スイカは、パイプハウスでは2月末から3月始めに定植し、6月中旬に収穫します。露地トンネルでは4月末から定植し、7月中旬に収穫しています。スイカが一段落した後、アールスメロンを7月中旬に定植し、10月末に収穫します。
私は、今年は、春先に雪が降りましたが風害等もほとんどなく、その後の天侯が安定したため、甘くて美味しい『鳥取西瓜』がたくさん穫れました。みなさんも召し上がっていただけたと思います。

私とクリンテートの出会いは、10年以上前にJAや(株)松本鉄工所>園芸部の営業の方々から奨められて、使ってみたのが最初です。農ビに比べて軽く、展張作業が大幅に楽になり、しかも風に強く、破けにくいので徐々に切り替えていき、現在はクリンテートDXを中心に使用しています。汚れも付きにくいため、以前よりも張替回数が減り、助かっています。また、生育もクリンテートDXは高保温タイプのため、農ビとほとんど変わりません。
露地トンネルでは、ベトつかずさらっとしているので換気作業がとても楽です。
パイプハウスには、バンドをしており、一部バンド擦れが出来ますが気になりません。

今後も生産者が、より一層安心して使える、より良い品質のクリンテートを開発し、提供くださる様、よろしくお願いします。

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