NO.16秋季号 2003年9月1日発行

農POと花づくり-農POは何故花によいかⅠ-全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

大型ハウスから小型八ウスヘバブル崩壊後、それまで生産量も生産額も順調に伸びて、施設園芸の優等生ともてはやされていた花生産にも「かげり」が出てきました。それでも1996年頃までは、バラやカーネーションの価格低迷はあっても、トルコギキョウやユリの新品種や栽培法の革新もあって、切花全体の総生産額の落ち込みは大したことはなかったのです。また誰が仕掛けたのか「ガーデニング・ブーム」などという怪しげなものが全国に蔓延し、花壇苗やハーブ苗の需要が急速に仲びました。

一方、この頃から施設に対する補助金が徐々に期待出来なくなり、金融機関の貸し渋りや、土地価格の下落により、土地の担保価値が急速に落ち込みました。減反を強制されて花を作りたい農家の夢も、自己資金でまかなえる小型ハウスに頼る傾向が出てきました。ベタ付きが少なく、展張性に優れた農POは、農家が自分で張るのにもってこいの作業性がありました。

パイプハウスのカーネーション栽培パイプハウスのカーネーション栽培 また、消費者の花に対する認識と好みの多様化が進み、切花でもこれまでのキク、カーネーション、バラ中心から、前述のトルコギキョウ、ユリ以外に、ヒマワリ、キンギョソウ、デルフィニウム、スターチスなど、大型ハウスよりもむしろ小型ハウスに適した種類の需要が伸びました。 それはそうでしょう。次々にボチボチ咲くバラやカーネーションと違い、ヒマワリ、キンギョソウ、ストックや、多くのマイナーな花は、品種が同じであれば一斉に咲きます。大型ハウスで大量に栽培しても、適期に切り終えることは不可能です。小型ハウスをいくつか並べて、ハウス毎に種類や品種を分けて栽培するメリットが大きいのです。

花は野菜と違う野莱、特にキュウリなどは、空気湿度が高いことを好むようです。すべての野菜がそうではありませんが、原産地が花とは違うからでしょう。

観葉植物や一部のランを除くと、花は空気湿度が高いことを嫌います。湿度が高いと蒸散が抑えられ、光合成量が下がり、徒長気味になります。切花は長い方が高価に売れますが、ひょろひょろと徒長したものは導管の発達が悪く、水揚げが悪くなります。体内の糖含量が少なく、花もちも良くありません。

農POは流滴性が良いために、結露水が流れ去る時間が短く室内で気化しにくいため、空気湿度が上らず、花に適したフィルムと言えるでしょう。特に流滴剤を塗布したクリンテートエクストラ(EX)は花栽培に向いていると思います。

花栽培にとって最大の敵のひとつにボトリティス菌による花弁のしみがあります。筆者の経験では菌濃度が高まった場合には農薬による防除は不可能です。
「農POを使っているから大丈夫」などということは考えずに、換気には十分気をつけてください。

がんばる!クリンテート家族
エクストラでガーベラづくり福岡県広川田丁(JAふくおか八女)
田中 九州男 さん

私は、ガーベラを栽培して10年になります。4月~5月に定植し、一年を通して出荷しています。栽培面積は約1,100坪で4連棟鉄骨ハウス1棟、3連棟鉄骨ハウス1棟、2連棟パイプハウス1棟です。
ガーベラハウス内の田中さんガーベラハウス内の田中さんクリンテートは栽培当初から使用しており、当初はクリンテートデラックス(DX)を使用していました。現在、4連棟鉄骨ハウスにクリンテートエクストラ(EX)、3連棟鉄骨ハウスにクリンテートマーキュリー(MC)、2連棟パイプハウスにクリンテートDXを展張しています。
4連棟鉄骨ハウスのMC張替の際に、クリンテートEXは、MCよりも強度が増し、展張期問も長くなった新商品であるとの説明を受け、5年以上展張可能な0.15厚のクリンテートEXを展張することにしました。

ガーベラは雨に濡れるのを一番嫌います。濡れてしまうと病気にかかり、枯れてしまいます。一年中張りっぱなしのガーベラ栽培には、台風などの強風で破れる心配のないクリンテートEXは安心して栽培することができます。
今年6月の台風でも破れることなく無事に出荷することが出来ました。また光線が散乱して入ってくるのがガーベラには合っているようで、収量も良く安定しています。
来年は鉄骨3連棟のクリンテートMCを張り替える予定ですが、ここにも是非クリンテートEXを展張したいと考えています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで良質な花づくり干葉県白浜町(JA安房)
加賀 信雄 さん

POフィルムとの出会いは、かれこれ二十年になります。それまでは農ビを使っていました。ここ白浜は房総半島の最南端に位置しており毎年のように台風や風によりフィルムが破れる被害が発生していました。そんな時、静岡にハウスの視察に行きました。そこで被覆されていたのがPOフィルムでした。その特徴を聞き、使うことを決めました。そしてJAに問い合わせをして紹介されたのがクリンテートです。
ここJA安房長尾支店管内で最初にPOフィルムのクリンテートを採用したのは私でした。現在、栽培しているのはストック・カトレア・オンシジュ一ムと菊です。
自宅前で加賀さん自宅前で加賀さん施設はガラス温室・鉄骨ハウス・パイプハウス・トンネル栽培等栽培面積は約千坪です。ガラス温室を除き全てPOフィルムを展張しています。現在はパイプハウスには、厚さ0.13ミリのクリンテートUFOとクリンテートDXを展張し、3年使用しています。鉄骨ハウスには塗布型長期張りのクリンテートマーキュリー(MC)を展張しています。
農ビからクリンテートに切り替えた最大の理由は2つです。
それは、静岡に視察に行って聞いた『破れても広がらない事』、もう一つは『軽くて展張作業が容易な事』です。

当初は農ビとクリンテートのストック栽培への影響を比較しました。生育はクリンテートのほうが遅くなりましたが、農ビは徒長してしまい、結果としてはクリンテートを使ってしっかりとした良いストックが出来ました。
またクリンテートMCは厚み0.15ミリでもう4~5年使用しています。昨年の台風でもクリンテートのハウスは被害も無く大変助かりました。
新しく発売されたクリンテートエクストラ(EX)には、もちろん期待しています。これからも生産者である私どもの意見に耳を傾けていただき、高品質の製品の開発を期待しています。

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