NO.20秋季号 2004年9月1日発行

農POと作物づくり-北海道におけるアスパラガス立茎栽培で農PO近紫外線カットフィルムを活用-元北海道立花・野菜技術センター
特別研究員 土肥 紘

アスパラガスは、その学名に"薬用になる"という意味を持つように、機能成分に富み昨今の消費者二一ズに応える野菜のひとつです。
大正11年、日本で最初に北海道の岩内地方で栽培されて、良質の缶詰用ホワイトアスパラガスの生産地として世界にその名を馳せ、昭和40年代には5千haにも及ぶ日本一の産地でした。

その後、ホワイトからグリーンに変わった需要対応の遅れや生産性の低下などがあり、作付け・生産量が低迷していましたが、生産性の低下に対処する土壌管理法、病害対策や収穫期間の適正基準などの改善指針が示され、また早期成園化(播種してから収穫間始までの年限を短縮)技術、さらに長期穫り立茎栽培の導入などを契機に、再び全国一の産地を目指して増産の気運が高まっています。

長期穫り立茎栽培は、北海道でも昭和40年代に「地獄穫り(暑い夏に繁った茎の下に潜り込んでの大変な収穫に)」などと称して試みられたのですが、当時の品種や管理法では労多くして収益不安定にて普及しませんでした。

平成年代に入り、佐賀県をはじめとする吸収各県の試験機関の精力的な取り組みにより確立されましたこの栽培法を、いち早く学び、平成7年に産地の再生・振興策として導入したのが「美唄市グリーンアスパラガス生産営農組合」でした。

生産者と関係機関がひとつになって、暖地にて確立した技術を寒地の北海道に適合させるために検討を重ねて、平成10年に「栽培マニュアル」を作成し、この栽培を『こもれび栽培』、そこから採れたアスパラガスを『夏得(なっとく)物語り』とシャレたネーミングをしました。 

その取り組みに平成11年には「ホクレン夢大賞」が授賞されました。
この先駆者の極めてオープンな技術情報の公開や遅れ馳せながらの道立花・野菜技術センターにおける研究取り組みなどもあり、現在道内各産地で導入が検討され、それを契機にアスパラガス全体の作付けも拡大する動きになっています。

図-1 北海道におけるアスパラガスの栽培図-1 北海道におけるアスパラガスの栽培 近い将来、新鮮な道産物が、図-1のように4月から10月まで切れ目無く全国の市場に供給されるようになりましょう。 さて、このアスパラガス長期穫り立茎栽培に農PO近紫外線カットフィルムが有用性を発揮するものと期待されます。 その理由として、(1)安定した生産と収量増加のために露地栽培よりハウス栽培を指向することになりますが、被覆の期間が夏を中心とした雨除け的利用となりますので、保温性よりも風などへの強度や作業性の良さが優先すること、(2)栽培期間中毎日の収穫になりますので、可能な限り農薬散布を控える要がありますが、主な対象害虫にアザミウマ類、病害に灰色かび病があり、近紫外線カットの効果が期待されることです。

ホクレンのモニター試験や主な産地における実証試験でも、評価が進んでいますが、図-2に、農業改良普及センターの指導で、積極的に導入を進めている桧山南部地区における高い効果が認められた事例を紹介致します。

図-2 農PO近紫外線カットフィルムの防虫効果図-2 農PO近紫外線カットフィルムの防虫効果 今後さらに、他の病害虫や収穫物の品質に及ぼす有益な効果が確認されて、アスパラガスハウス立茎栽培に必需の被覆フィルムとして活用されるものと思われます。 立茎栽培の状況立茎栽培の状況

がんばる!クリンテート家族
多年張りクリンテートで良質なイチゴを生産栃木県芳賀町(JAはが野)
荒井 真一 さん

芳賀町は、栃木県の南東部に位置する総面積70平方キロメートルの町で、果樹や野菜類をはじめ、施設園芸、畜産などの都市近郊型農業が盛んです。
イチゴでは全国的に有名なブランド「とちおとめ」のほか、幸水、豊水などの梨は、町を代表する特産品として県内有数の生産地となっています。

JAはが野のいちご部会は現在約780名の部会員で構成され、県内は勿論、全国でもJAのイチゴの販売高としては第1位を誇るイチゴ地帯です。私の家では、父の代からイチゴづくりを始め、芳賀地区では古く40年になります。
ハウス内の荒井さんハウス内の荒井さんハウス面積は1.2ヘクタールを所有し、家族とパートさんの計10名で作業をしています。単棟、連棟ともに従来農ビを長年使って栽培しておりましたが、JAとジェイエイ栃木グリーンの勧めで、12年前に農ビから農POフィルムに替えました。
初めてクリンテートを展張してみると、軽いことが気に入りましたので、それから2・3年の間にハウス全てをバンドレスに改造し、クリンテートに替えました。また7年前からは連棟にクリンテートマーキュリーを使っておりますが、多年張りのため、展張作業の軽減と、廃ビ処理の面からも魅力を感じております。

今年は所有しているハウスの約半分の0.5ヘクタール分が張替えにあたり、先日、JA、栃木グリーン、三善からご担当の方が来られ、新製品の クリンテートエクストラの説明を受け、注文し先日家に届きました。9月に入れば、展張を行いますが、軽くなった上、強度をアップした今度の0.13mm厚のクリンテートエクストラに大いに期待しております。
荒井真一さんは、JAはが野いちご部会の副部会長で、同部会の芳賀地区部会長をされ、地域のリーダーとして活躍されています。今後もクリンテート展張のハウスで良質のイチゴ生産を継続していただきたいと願っています。(栃木県営業担当 鈴木記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで良質なニラ周年栽培福岡県北野町(JAみい)
米倉 敬介 さん

JAみいの北野地区は、筑後平野のど真ん中に位置し、筑紫二郎で有名な筑後川の恩恵を受け大変肥沃な土地に恵まれ、福岡県内でも有数の野菜の産地であり、施設園芸の盛んな地区でもあります。このような好条件の中で、クリンテートを使用してニラを栽培しておられる米倉さんに、お話をお聞きしました。
ニラの栽培を始めて今年で14年目になるそうで、以前は農ビを使用されておられましたが4年前にJAの勧めですべてクリンテートに切り替えられました。現在は、単棟パイプハウスを10棟建設されており、その内5棟に厚み0.15mmの塗布型クリンテートマーキュリーを展張され、残りの5棟に厚み0.1mmのクリンテートデラックスを展張されています。
ハウス内でハイポーズの米倉さんハウス内でハイポーズの米倉さんこの使い分けについてお尋ねしたところ、一年中収穫できるように夏作用と冬作用に分けて年に二回定植しています。
夏作用はクリンテートマーキュリーのハウスで、3月下旬に.定植し、7月から収穫します。クリンテートマーキュリーは、長期展張用フイルムで強風に強い為、台風シーズンの8~9月もフィルムを剥ぐことなく、安心して展張できるそうです。
冬作用は、クリンテートデラックスのハウスで、8月末までに定植し、11月から収穫します。こちらは、クリンテートデラックスをシーズン毎に、毎年張替えをされています。

なぜ夏作用は、長期展張タイプを使用し、冬作用は、毎年張り替えを行うのかについては、光量の問題とのことでした。冬場は、どうしても光量が少なくなり、ニラの生育が遅れるので、新品のフィルムを使用して、少しでも多くの光をハウス内に取り入れて、冬場の収量の安定をめざしているそうです。
最後に、農作物の価格低迷が続く今日、少しでも生産資材費用の低減につながる長期展張フィルムのクリンテートマーキュリー、クリンテートエクストラを開発した三善加工に、より良い長期展張フィルムの開発を期待しているとのことでした。
(福岡県営業担当 大石記)

クリンちゃんの豆知識
今回は砂漠化について勉強してみよう。
砂漠化農業や放牧が行われていた地域が不毛化する現象を「砂漠化」といいます。いま問題になっている砂漠化は発展途上国の多い乾燥地帯で起きていますが、気候変化のような自然現象でなく人間の誤った土地利用の結果と考えられています。
例えば、過放牧、過耕作、樹木の乱伐、長期にわたるかんがい農法などが砂漠化を引き起こしているのです。
過耕作というのは、休耕期をとって地力の回復を待たずに続けて耕作するために土地が劣化することで、増えた人口を養うために無理を続けた結果、作物の栽培ができなくなり、放棄された農耕地で砂漠化が進行してしまいました。

かんがい農法というのは、乾燥地帯で川や湖から水を引いて作物を育てる方法です。川や湖の水にはナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムなどの塩分を含んでいるため、かんがい農法を長期間続けると、土壌が塩性化してしまい、やはり作物の栽培ができなくなります。日本のような雨の多い湿潤気候の土地では、雨水で塩分が流されるため特に問題にはなっていません。土壌のpHで比べると、日本では5~6ですが、塩性化した土壌では8~10と、きわめて高くなります。
このような砂漠化の進行を防止するために、土地の利用限界を科学的に正確に把握して、それに見合った適正な利用の仕方を考えることが大切です。生態系の限界を超えた利用を「略奪的な利用」といいます。砂漠化はまさに人類が行った略奪的な土地利用の結果なのです。
参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」

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