NO.22春季号 2005年3月1日発行

農POと稲作の苗づくり全農営農・技術センター
嘱託 浪岡 實

稚苗の理想型ササニシキ2.5葉期移植期の苗稚苗の理想型 ササニシキ2.5葉期移植期の苗 最近、水稲の苗代を巡回していると、芽・苗焼けや乾燥害、出芽ムラや苗の不揃い、苗立枯れ等の罹病苗が目に付くようになりました。春の異常高温傾向や減農薬栽培志向の影響が一因とも考えられますが、それ以上にちょっとした油断や手抜き等育苗慣れが原因ではないかと気に懸かるところです。 昔から苗七部作と言われ、苗作りの重要さを教えられてきました。今一度、育苗の基本技術を確認することも必要かと思います。 さて、クリンテートを使った水稲の育苗ハウスが年々増加傾向にあると伺い、それは現地で農POによる苗作りの実績が高い評価を受けている証であろうと思われた。もう直ぐ苗代準備の時期です。そこで、稚苗育苗のポイントを2、3述べてみたいと思います。

いかに出芽を一斉に揃えるかが、健苗作りの鍵であるそのためには、千差万別な種籾の一粒、一粒が同じ条件で出芽のスタートラインに立てるように準備することです。

まず、比重選で充実した種子だけを選び、種子消毒により種籾に付着している病原菌を徹底的に殺菌します。その健全籾を、10℃前後の冷水に10日以上漬け、十分に時問をかけてどの籾も同じ吸水率に揃えます。次に、その浸漬籾を30~32℃で16~24時問温度をかけ、一斉に芽長0.5~1mmのハト胸程度に揃えて催芽が終了します。その後、所定の播種作業を終えていよいよ出芽の段階になります。

出芽の方式は、育苗機や出芽施設での加温出芽と直接苗代で行う無加温出芽があります。

加温出芽の場合は、温度を30~32℃に設定し2日間加温すると、一斉に芽長約1cmの適正な出芽が得られます。30℃以下では、温度の低いほど出芽揃いが悪く生育ムラが生じ、32℃以上では、出芽不揃いや病気の発生も多くなるので温度設定には注意しましょう。

無加温出芽は平置きベタ張りが一般的です。この方式では外気温の影響を受け易く、夜間低温のため、30~32℃の適温が得難く出芽日数は5日前後と長く要します。そのため、ベタ張りに用いる被覆資材は、保温に優れ適度な水分を保つものを選ぶと共に、二重被覆など出来るだけ適温に近づける工夫も必要になると思われます。

緑化期に苗型の基礎固めをし、硬化期で健苗の仕上げをする緑化期はわずか3~4日ですが、出芽苗を暗い育苗機から急に出し強い光に当てると苗にストレスがかかり、生理障害を起すことがあるので、寒冷紗等を掛け弱光下で育苗します。

この期間の温度管理は苗の体質・体型を左右すると言われるほど重要です。高過ぎると、徒長し易くなり、低温過ぎると生育停滞や腐敗を起こしやすいので、日中20~25℃、夜間10℃以上、出来るだけ20℃に近づけることを目安にします。そうすることにより、第一葉鞘高3.5~4cmが確保され、健苗の草型の基礎が出来上がります(図参照)。また、水管理は出芽時に持ち上がった土落としを兼ねて軽く潅水する程度でよく、過湿は禁物です。

次に、硬化期の温度管理は、苗を硬く丈夫に育てることがポイントです。日中20℃以下、夜5℃以上を目標にします。移植の5~7日前からは、降霜のない限り昼夜とも全面開放し自然温に馴らすことも大切です。水管理は過乾燥や過湿を避けることが基本で、潅水量は蒸散量に相当する分でよく、1日1回程度朝方にたっぷり行うようにします。

病気の発生をいかに抑えるかは、予防防除が決め手

内張り(低温対策)のあるハウスで、苗の生育状況巡回内張り(低温対策)のあるハウスで、苗の生育状況巡回 病気に罹った種籾が発病原因となるごま葉枯病、もみ枯細菌病等は、塩水選による保菌籾の除去、種子消毒の徹底と緑化期の高温多湿を避け発病を防ぐことが基本です。 土壌伝染性の苗立枯病は、リゾープス、ピシウム、フザリーム菌等によるもので、極く普通に存在し、その時の環境によって発症します。 対策としては、床土をpH5前後に調整する、播種前に所定の薬剤で土壌消毒する、出芽後から緑化期までの問は高温・低温を避ける、床土が過湿にならないよう灌水に注意する等予防防除が中心になります。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで"大玉トマト"を栽培愛知県豊橋市(JA豊橋)
梅村誠 さん
梅村さんご夫妻梅村さんご夫妻はじめまして。梅村誠といいます。私はH12年に就農し、今年で6年目になります。農業を天職(転職)と思い、日々家族の為、自分の為に頑張っています。
施設規模は、
・フェンロー型エフクリーンハウス 1000㎡
・丸型鉄骨ハウス 1800㎡
・パイプハウス  800㎡
の3施設で、現在はお袋さんと、私たち夫婦3名で栽培しています。

私が就農する以前の我が家は、丸型鉄骨ハウス2棟とパイプハウスの1棟で、メロンやレタスなどを栽培する程度のものでした。
私は就農を決断する過程の中で、自分自身が納得出来る農業を目指したいという気持ちから、家族会議もさることながら、友人や知人、JAや普及所など様々な人達から情報や教えをいただいてきました。
そして、いつしか農業をやるなら"トマトを作りたい"と思う様になり、就農するH12年、フェンロー型ハウスを新設。大きな投資でしたが、もう後戻りは出来ない、頑張るしかないという"決断の象徴"として今も私にとって大きな財産となっています。

さて、私にとってのクリンテートとの出会いというかその名を耳にしたのは、確か就農した年の春だったと思います。JA職員が予約推進といって我が家に訪れた時に知りました。私も就農したばかりで、被覆資材についての予備知識も薄く、あの時、JA職員の「強くて丈夫で長持ちで、品質面でも安心の"クリンテートDX"がお勧めですよ」という言葉に抗う事無く、言われるまま注文した様に記憶しております。

あれから6年、今では外張りも内張りも全てクリンテートを愛用しております。
私個人的には、三善加工さんは豊橋に居を構える地元企業ですし、地元育成なんて大それたことを言うつもりはありませんが、やはり近所付き合いも大切かな~なんて思うんですよネ。お互いに頑張って成長していけたらと考えています。
これからもよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、昨年秋に丸型鉄骨ハウスとパイプハウスをクリンテートDXに張り替えさせていただきました。ちなみに、これもJA職員のおすすめでネ!
え?EXの評価について聞きたいって。今のところ透明性、流滴性、張りやすさ他、全ての面で満足してますよ。ほんとに。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラで良質なニラ周年栽培高知県南国市(JA南国市)
徳久靖洋 さん

ハウス内で、ハイポーズの徳久さんハウス内で、ハイポーズの徳久さん南国市は、古くは奈良時代から、「土佐日記」で知られるように政治・文化の中心として、栄えました。
現在でも米作や施設園芸の中心として、また田園都市であるとともに学園都市と知られ発展しています。
今回、「土佐のまほろば」の地、JA南国でクリンテートエクストラを使用してニラを10年以上栽培しておられる徳久靖洋さんにお話を聞きました。
現在、徳久さんは「岩村支所JA青年部」に所属されており、以前は会長も務められた人望厚い方です。また、ハウスの展張作業も青年部(共同)で行うとの事です。栽培面積は約1500坪です。

クリンテートエクストラとの出会いはレンタルハウス事業でJAより紹介を受け使用しておられます。以前は農ビを使用されておりましたが、コストや張替えの手間の削減を考えてクリンテートを採用されました。
クリンテートエクストラの第一印象は、「透明性があり、強度もまずまず良い」ということでした。
ニラは周年栽培で夏場は雨よけ、冬場は内張り(無加温)にて栽培されています。
栽培では「温度管理」「流滴性」「光線透過」等が重要なポイントになるが、クリンテートエクストラには満足しているとのことでした。
今後、まだクリンテートエクストラを展張していないハウスにも導入していきたいとのお話を聞かせていただくとともに、三善加工に対しては、今後、より一層の商品開発力に期待するとのお言葉をいただきました。

クリンちゃんの豆知識

食糧今回は食糧について考えてみよう。
現在、世界の人口は約63億人と言われています。全世界で生産される食糧を均等に分けあった場合、養える人□は約80億人と計算できます(でも実際には飢えに苦しむ人が大勢います)。人□が増え続ける一方で、配給できる食糧には限界が見えてきています。
農地面積や穀物生産量が1995年以降、横ばいあるいは減少しているからです。2020年代には深刻な食糧危機に直面することになりかねません。
そのとき日本はどうなるでしょう?
日本の耕地面積は1964年をピークに減少の一途をたどり続けていて、20%くらいが失われました。もともと平野部が少ない日本では住居や工場建設のために農地が転用されたり、人手不足により耕作放棄されているためです。
1997年の穀物自給率はわずか26%しかなく、輸入食糧に支えられています。しかし、たとえどんなに努カしてみても国土の現状からして、日本が国内産の食糧で養える人口は現在の半分以下と言われています。今後も輸入食糧を確保するために、国際的な信頼関係が重要になってくるでしよう。
かつての農業の進歩は、農地を増やし、化学農薬や肥料を利用して収穫量を上げることを優先するあまり、多くの自然を破壊してきました。これからは環境と農業の時代です。全人類の食糧危機を回避するためにも、環境と農業を両立させ、調和させる新しい方法を見つけることが私たちの使命なのです。(参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」)

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