NO.25冬季号 2005年12月1日発行

農POとカーネーション栽培全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

ハウス栽培中のカーネーションハウス栽培中のカーネーション 先日、かつて日本一のカーネーション生産地であった秦野市(神奈川県)の生産者を数戸訪ねました。他の花に転換した人も多かったのですが、それぞれ頑張っていて、カーネーション、プラス他の花(ガーベラ、トルコギキョウ、ストックなど)という経営が多くなっていました。そのとき最も印象的だったのは、やや大袈裟ですが、地球温暖化問題です。 今年は昨年よりは暑さが厳しくなかったはずですが、それでも10月の初旬にもかかわらず、カーネーションの草姿は20年前の9月中旬の様相でした。ミカンキイロアザミウマの外来昆虫の害は深刻です。中にはオオタバコガの防除のため、黄色蛍光灯を使っている人もいます。「最近はアザミウマに効く薬は高くて、高くて。」という声も聞きました。一方では「昔に比べると重油の使用量はうんと減っている。12月中旬まではほとんど油は焚かないよ。」という人もいました。

チョット待ってください。アザミウマの防除には「クリンテートグローマスター」は見事に有効ですよ。データは無いかもしれませんが、他の虫にも効くかもしれません。ハウスを閉め切ったときに出やすいボトリティスにも有効でしょう。ただしクセの悪いスリップスもいて、「グローマスター」を張ったからといって、完全防除ができるとは考えないでください。ハウスの開口部からはもちろん侵入しますし、ハウス外のスリップスの密度が高ければ、侵入する数は多くなります。

カーネーションを毎日見張って、農薬を使うときは使う、たぶんこれまで10日に1回防除していたなら、1ヶ月に1回で済むかと思います。まず「グローマスター」を張って様子を見てください。

花色に及ぼす影響も考えてください。確かに赤い花は黒ずみが無くなり、美しくなります。各地の品評会で、カーネーションに限らずバラ、ガーベラなどで紫外線カットフィルムの下で育てた赤い花がトップ賞を得ています。なにせ明るい色が出るのです。ただし、ごく少ないとは思いますが紫色や暗い色をセールスポイントにしている品種はどうでしょう。たぶん本来の色が出なくて失望するかもしれません。セールスの方とよく相談されると良いでしょう。

先ほど、チョット待ってくださいと言ったのにはもうひとつ意味があります。地球の温暖化でいくら重油の使用量が少なくなったと言っても、カーネーションの産地は秦野よりも、もっともっと寒い所が多いのです。A重油の価格は40円から60円以上に上がっています。昭和52~53年の石油ショックの時より急激な上がり方はしていませんが、実は前回よりも心配な要素が多いのです。合わせて24億以上の人口がある、中国、インドの急速な経済発展や、中東の石油生産大国イラクの崩壊など、構造的、持続的石油不足が現実にあり、また解決しそうにありません。前回のショックは2年で治まる急性症状でしたが、今回は慢性化しそうです。

 施設で暖房を前提とし花を栽培する人は、重油の使用量の多少を問わず、いかにして使用量を減らすかを考え、実行しなければ、経営的に成り立たない状況にまで来ています。特にカーネーションはコロンビアなどからの輸入圧にさらされています。

 まずは暖房装置の徹底的なクリーンアップ、すなわち缶体の清掃、ノズルの点検、バーナー周辺の汚れの除去などです。不完全燃焼防止による効果と合わせて、少なくとも数%は期待できるでしょう。カーテンの内張りをしている人の割合は野菜に比べ花は少ないのですが、どんな材料を使うにしろ、必ず実行して欲しいと思います。農ポリや農ビを使っても30%以上の熱量節減が期待できます。しかし、農POはそれ以上です。夜の暖房効率だけでなく、クリンテートは昼間の光を室内にしっかり取り入れることによって地温を上げ、その地中からの熱放射が夜間の省エネにつながります。省エネ時代の省エネフィルムとしての価値も、大切にしたいものです。

がんばる!クリンテート家族
毎年張替えが基本!良質な"軟弱野菜を栽培"兵庫県稲美町(JA兵庫南)
大西 初巳(おおにし はつし)さん

大西さんご一家大西さんご一家JA兵庫南管内は、以前から稲作を中心とした農業地域であり、また最近では京阪神のベッドタウンとしても発展しています。
今回、このJA管内の稲美町で農業を営む大西初巳さんを訪ねました。
稲美町は明石市と加古川市の間に位置する農業の盛んな町です。大西さんは、奥さんが農薬などのアレルギーを持つことから減農薬栽培に非常に興味を持たれ、10年ほど前に公務員を退職したことを機に農業で再出発をされました。また、4年前には息子さんが帰郷されて就農、一家で減農薬栽培に取り組んでおられます。

近郊の農家でつくる『東播蔬菜園芸組合ハウス軟弱部会』の代表も務めたことのある大西さんは現在、ホウレン草、春菊、ミズナ、小松菜、山東菜、チンゲン菜などを16棟のパイプハウスで周年減農薬栽培しています。当初は農ビを使用されていたそうですが、フィルムの汚れ度合いや強度的な問題、また年々ハウス棟数が増えて張替えの負担が大きくなったこと、JAの担当者や地元の販売店『エドビ』さんから奨められた事もあり今ではそのほとんどがクリンテートに替わっています。
クリンテートは軽量なので展張作業の省力化が図れ、またベトつかないので日々のハウス管理が楽になったそうです。
それでも作物の品質を考慮しフィルムは毎年張替えが基本との事。 当初の『クリンテートU-FO』厚み0.075から現在では高保温タイプ『クリンテートDX』の厚み0.075で毎年張替えをされています。
また、新しい取組みとして昨年、一部のハウスに中長期タイプの厚み0.1の『クリンテートEX』を導入、多年張りを評価中との事でした。
風の強い地域ということもあり、すべてのハウスにバンドが掛けられています。しかし、昨年の台風では残念な事に2棟のハウスが骨にまで被災、そのことで逆にクリンテートの強度を再認識されたそうです。
今、そのハウスは更に頑強なパイプハウスに生まれ変わり、またクリンテートが展張されていた事をとても嬉しく思い、また営業担当者として心強く感じました。(兵庫県営業担当 鈴木記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで"高品質のイチゴ"作り山梨県甲斐市(JA梨北双葉支店)
箭本 孝徳(やもと たかのり)さん

ハウス前で説明中の箭本さんハウス前で説明中の箭本さん箭本さんは11年前に勤めをお辞めになり農業を始められました。きっかけはお父様が双葉町の町長になられ所有されている2haの田畑を活かす為にとの事でした。
箭本さんが始められたときは、ブドウ・リンゴが中心でサクランボは10a程だったそうです。
現在は、施設面積でサクランボが70a、イチゴが30a、そして柿を20aの面積を栽培管理なさっています。今回イチゴのハウスを訪問させていただき話をお聞きしました。

イチゴの栽培は3aの面積から始められました。はじめはなかなか良質のイチゴが出来ず、栽培管理や肥料・防除について様々な試行錯誤の後、現在の栽培方法、栽培管理を確立されました。
現在では箭本さんのイチゴはとても美味しく、市場や消費者の方から「箭本さんのイチゴを」と指名される高品質です。
箭本さんの栽培するイチゴやサクランボはその味覚で差別化され、市場でも、直売所でもとても高く評価されています。
この美味しいイチゴを栽培するハウスは、外張りは厚み0.1のクリンテートDX、内張の天井部分は厚み0.05そして内張りのサイドは厚み0.075を使用されています。
最初の頃は、農ビや厚いフィルムを使ったりなさったそうですが今ではクリンテートDXを全てのハウスに使用されています。
クリンテートDXについて箭本さんに感想をお聞きしたところ、「風が大変強い場所にあり、強風が吹いても破れることもなく大変強く、そして保温性や透明性もあり美味しいイチゴの栽培に適している」との評価をいただきました。
現在箭本さんが栽培しているイチゴはとちおとめが80%と紅ほっぺ20%です。
定植は9月8日、最初の収穫は11月23日でした。収穫は5月の中旬までだそうです。実際は6月まで収穫可能だそうですが6月からはサクランボの収穫が始まるためにイチゴは終わりにするそうです。
箭本さんはインターネットでの販売や、地元の園児たちをイチゴ狩りに招いたりと様々な努力をして付加価値の高い商品への努力をなさっています。
今回はサクランボのハウスには訪問できませんでしたがサクランボもイチゴと同様に味と品質で差別化され、イチゴと同様に高い評価になっています。
今回お話をお聞きしながら、とちおとめと紅ほっぺをその場でもいで食べさせていただきました。食べごろにはちょっと早いとの事でしたが、私には今までで一番のイチゴでした。そして紅ほっぺは私が持っていたイチゴのイメージを変える食感と美味しさでした。一番美味しくなる頃に訪問できればと思っています。
箭本さんを紹介していただいた明友機工の小牧部長さんによると本当に勉強家ですと感心されていました。
インターネットで「いっぴんやまなし」と検索すると箭本さんのイチゴやサクランボが紹介されています。一度ご覧になって下さい。
(山梨県営業担当 西田記)

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