NO.27夏季号 2006年6月1日発行

春夏にんじんの被覆資材について徳島県JA板野郡東部営農センター
営農指導部技術顧問 須藤 真平

1.春夏にんじん産地の概要板野郡農業協同組合は、徳島県の東北部にあり、吉野川中下流北岸に位置しています。
当地域は、吉野川の豊かな水資源と沖積十壌中心とする立地条件で、さらに瀬戸内の温暖な気候を生かして、にんじん(521ha/351戸)、レタス(279ha/267戸)、れんこん(58ha/56戸)などを主体とする徳島県下有数の農業生産地帯として発展してきました。

にんじん栽培は、昭和43年ころから本格的に始まり、その後急速に普及定着し、平成18年度には藍住町、板野町、七板町を中心に徳島県内のほぼ6割に当たる521haでトンネル春夏にんじんが栽培されている。

最近では、食の安全安心に対する消費者意識の高まりに対応した付加価値の高いにんじん供給体制づくりも確立しつつあります。また、平成2年には、日本農業賞金賞を受賞し、先導的産地として名声を博している。

2.栽培管理の特長JA板野郡における春夏にんじんは10月~12月播きの3月~5月収穫が大部分を占めている。
種子の発芽と初期生育の条件を整えることを第一に考え、耕転回数をより多くし(8回)良質堆肥を投入播種、除草剤の散布、被覆までを機械化一貫体系で1日単位の作業で終わらせ、土壌水分の保持に努める播種方法と、PO系有孔フィルムを使用し、初期牛育の保温、保湿につとめ、土寄迄の生育をより順調にすすめ成果を収めている。

被覆資材は、フィルム幅3.6mと6.0m(5.4m)の資材を使った2種類のトンネルです。最近ではトンネル内の作業性や収量性から6m(5.4m)タイプのものが急速に普及し、全体の80%を占めなかでもクリンテートDXクリンテート有孔フィルムは揃いと肥大性がよく、生産者仲間で高い評価を受けている。

3.フィルムと菌核病の関係フィルムの違いによる菌核病の発生を過去4か年間の試験成績では、有孔フィルム区が無孔フィルム区に比べて発生は明らかに少なく、「有孔と無孔との差」がみられた。無孔フィルムはフィルム内の湿度を上げている可能性が指摘され、菌核病発生の誘因となっている。

※薗核病は、フィルムを無孔から有孔に変えるなど、耕種的に発生を回避する必要がある。
※現在無孔フィルムから有孔フィルムに移行しつつある。

4.栽培条件と被覆資材との関係長期間被覆資材の試験成績から、PO系クリンテート有孔資材は常にどの試験でも揃いと肥大性が顕著で、根茎のバランスがとれるなど、利点が多く普及しつつあります。クリンテート有孔は、殊に初期生育がよく、どの作型でも安定した実力を発揮し、生育に好結果を反映するなど、今後ますます普及定着が期待されている。

※6種類のフィルムを使用したが、クリンテートB型有孔は、揃いと肥大性はよかった。

5.市場でのにんじんの評価春夏にんじんの市場評価基準は、揃い、形状、色沢が大きな要因となる。具体的な規則によって市場価格が格付される。規格は、1個の重量、形状が基本である。にんじんは階級別価格差が目立つ品目であるが、平均的に有利販売されるのはML級であり、スーパーはML級の3~4本の袋詰販売が圧倒的に多く、2L級はバラ売りとなる。そのため、にんじんは揃いをよくするため、土作り、被覆資材の種類と換気が求められる。春夏にんじん生産には、土作りを栽培の基本に、揃いと肥大性をよくするフィルム資材の選定、換気方法が市場評価をより高めていく販売対応が大切になります。

がんばる!クリンテート家族
JAみい ラディッシュ部会(4戸・4名)福岡県久留米市北野町今山856
部会長:楢原 恵介 さん

祝 JA全農主催第32回全国施設園芸共進会
[農林水産大臣賞・全農会長賞]受賞
おめでとうございます

今回、ご紹介させていただく、第32回全国施設園芸共進会において農林水産大臣賞を受賞された『JAみい ラディッシュ部会』は福岡県のほぼ中央部の筑後北部に位置した福岡県久留米市北野町にあり、筑後川中流域の沖積土の深い作土と年間平均温度16℃、年間降雨量2,000mmという温暖な気候を活かした大規模野菜生産地で180品目を超える野菜を生産し、国内50市場に出荷しているJAみい管内にあります。
近くには九州自動車道の久留米インターと大分道の小郡インターがあり、福岡市内へは車で1時間程度と好位置に恵まれている。
ラディッシュ部会は1987年に発足し今年で19年目を迎え、現在の部会員数は4戸と少人数ではあるが全国での出荷シェアはなんと2割を占める全国第2位の産地であります。
ラディッシュ栽培がスタートしたのは「子育てをしている女性でも栽培が出来・軽くて可愛いので」という初代部会長(楢原美智子様)の発想から生まれたそうです。
最初は、クリスマスシーズン出荷を中心に大型トンネルを利用した半年間の栽培であったが、間もない頃、JAより航空機内の食材として出荷する話が持ち上がりこれを機に周年出荷に向けた取り組みが始まったそうだ。

用排水の整備やJA・普及所・市場関係者との勉強会等の努力が報われ、今ある周年栽培技術が確立しました。
しかし、1991年には度重なる台風の襲来により記録的な被害を受けた、これを機に耐候性に優れた施設の整備が急務と認識し、1993年にJAや行政の支援を受け県単の補助事業で鉄骨ハウスを導入、農POフイルム「クリンテート」との出会いはこの時期からであり、現在も初代部会長をはじめ大半のハウスにクリンテートDXを愛用されています。
その後も補助事業を活用しての規模拡大に積極的に取り組み、現在では台風にも耐え得る施設の面積が2.4haに達し現在に至っています。部会員数は当初から現在に至るまで変動は無く、それぞれ後継者に恵まれ世帯交代しており年齢は25歳~43歳と若返り、今後の規模拡大にも意欲的な皆さんです。
4戸で1億6千万円(16年度実績)を売り上げるラディッシュはJAみい管内の栽培品目の中でも1戸あたりの平均販売金額は4千万円台とトップであります。
今回、農林水産大臣賞・全農会長賞受賞の大きな要因は前述のように1戸あたりの販売金額が高い事と後継者が育っている事が認められたものと思われます。
将来の展望として、部会員数は現状を維持し販売金額2億円達成を目標にこれまで実現出来なかった国際線航空機内食材としての出荷に改めて取り組むことと、需要を伸ばしていくために、食事に彩を添える新たな食べ方の紹介などPRにも努めていくことにしているとのことでした。
今回の記載内容については、JAみい・指導販売課の樋口係長にご協力を頂きましたが部会員の方々にお会いした感想として、さすがに農林水産大臣賞を受賞されるだけあって団結力が強く希望にあふれた活気ある部会だと痛感いたしました。
今後も益々、消費者に愛され親しまれる、北野町のさくらんぼ大根『ラディッシュ』栽培が発展されますよう、お祈りいたしますと共に、農POフイルムのトップブランドである「クリンテート」も更なる改良に努め、お役に立てるフイルム提供に努力したいと思います。

クリンちゃんの豆知識

「ファイブ・ア・デイ」「ベジフルセプン」といった言葉を知っていますか?
最近はスーパーの青果売り場でよく見かけますね。
5ADAY(ファイブ・ア・デイ)とは、1991年米国で始まった、がん予防をめさした国民健康増進運動です。これは、アメリカでがんが死亡原因のトップになったため、発がん原因の35%を占める食習憤を改善することが急務となったことが発端になります。その結果、3年問で野菜の消費量が15%、果物の消費量が17%向上し、生活習慣病による死亡率が低下傾向を示しています。
一方、私たち日本人は、いまや米国人より野菜の摂取量が少ないというのが現実で、生活習慣病も増加しています。
そこで、日本でも平成14年に青果物健康推進委員会を設立し、毎日野菜を5スコア(5皿分、350g)、果物を2スコア(2皿分、200g)の7スコア以上の摂取を目標とする「ベジフルセブン」の取組みが始まりました。果物なら温州ミカン1個で1スコア分、リンゴ1個なら2スコア分です。
毎日の食事に野菜を1品、食後のデザートに果物を1品、追加するところから始めてみましょう。新鮮で美味しく、安全な、国産野菜・果物が見直されてきています。

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