NO.30春季号 2007年3月1日発行

今後のメロン生産と施設化の動向千葉県農業総合研究センター暖地園芸研究所
大泉 利勝

1.燃料費負担増での施設園芸の現状原油の高騰が施設園芸分野に厳しい打撃を与えています。特に、高夜温管理を行う温室メロンやハウスミカンなどは生産減を余儀なくされています。厳寒期における温室メロンの生産は、おおよその概算でA-重油が80円/L前後となると、農家手取りで1果実当たり3,000円以上の価格にならないと経営的に無理があると言われています。農産物価格の低迷の中で、この価格は厳しい現状です。

1970年代中期のオイルショック時の原油高騰は、それに伴ってメロン価格も上昇してなんとか乗り切りましたが、経済の低迷と炭酸ガス抑制政策が主流となっている現状では、この難関所を通過するのは難しい問題です。

2.メロン栽培の作型について一般にメロンの作型は、促成栽培から抑制・加温栽培まで多種多様にあり、年明け後、西南暖地から出荷が始まり、東海・関東、東北へと北上します。農産物価格が右肩上がりであったバブル経済期は、極端な作型である超促成栽培などによりメロン価格の急激な上昇がみられ、競って早出し栽培へと進みました。

しかし、現在の状況ではいくら優良な高品質メロンを生産しても燃料費に食われてしまい、赤字生産となってしまいます。そこで今後の作型の選定としては、あまり無理な作型を行わず、最小限の加温を基本として、各地域に適した作型の栽培へと推移するでしょう。

つまり、適地適期作であります。また、毎年のように異常気象や天候不順が報道される昨今、栽培様式は安定した生産方法へ進む傾向があります。例えば、露地メロンのトンネル地這い栽培からハウスの地這い栽培へ、そして、大型ハウスの立体栽培へと推移しています。

3.メロン栽培の施設化の方向

(1)大型ハウスで進む立体栽培

大型農POハウスのメロン立体栽培大型農POハウスのメロン立体栽培 アンデス、アムスなどの露地メロンは生産コストの安い簡易なトンネル栽培が主流でありますが、梅雨時期の著しい気象変動から生産の不安定を引き起こしています。特に、土壌水分の急激な変動に弱いメロンは、気象変動時の大雨により収穫が皆無となりうる事態もあります。 これらの被害回避のため、大型ハウスでの地這い栽培や栽植株数が3倍以上に多くなる立体栽培への移行が進んでいます。また、温室メロン(アールスメロン)を主とした重装備型のガラス温室栽培は、施設投入費が高額となり、燃料費増加のため、今後、施設面積は減少傾向となります。

(2)増加する軟質フィルムハウスでの栽培このような現状下での代替として、被覆資材による施設化ではプラスチックハウスの中の特に軟質フィルム(農ビ、農ポリ及び農POフィルム)ハウスの増反が進むと思われます。軟質フィルムハウスの外張り資材としては、塩化ビニル(農ビ)とポリオレフィン(農PO)があります。

前者はノービエース、クリンエースなどが、後者としてはクリンテート、スーパーソーラーなどがあり、後者はフィルムが汚れにくく、伸縮しにくい資材で、パイプハウス展張時ハウスバンドを用いる必要がないなどの利点があります。また、外張り資材を半分程度の厚さに薄くしたハウス内張り(カーテン)資材としても農ビと農POが挙げられますが、保温性、作業性、透水性及び除湿効果など作物の特徴や用途にあった資材を選ぶ必要があります。

特に、メロンはネット発生期間中に湿度を必要とする作物であるため、また、細やかな換気を必要とする作物でもあるため、内張り資材の選定には、保湿性や作業性も含めた選定が必要です。

いずれにしろ今後、軟質フィルムハウスの増加は進むものと思われます。冬場の保温性、保湿性及び光線の透過性や夏場の高温防止などを含めた被覆資材の開発と新しい機能をそなえた新素材の開発に期待されるところです。

(3)今後の被覆資材の検討メロンは燃料費の増加と地温の関係から、冬季の生産が厳しくなり、その代わりに冬季は別の作物が導入されようになると思います。例えばイチゴ、トマト、キュウリなどで、今後、複数の作物に適合する被覆資材などの検討も進むと思われます。

今後のメロンの品種改良について

メロン新品種「TLタカミ」メロン新品種「TLタカミ」 メロンの品種改良は各種苗商社のたゆまぬ研究開発により著しく進みましたが、原油供給が安定していたため加温を基本として、低温肥大性にはあまり力が注がれずに、高夜温栽培による果実肥大とそれに伴う収穫までの日数の短縮及び高食味化を委ねてきました。 しかし、今後は低夜温で栽培可能とするため、低温肥大性に早生性を加えた育種や省力栽培可能な巻きひげのないメロン品種「TLタカミ」のような、農家の労力が軽減できる省力栽培品種などの品種開発も必要であると思います。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで高良質のキュウリ・メロン栽培熊本県鹿本町(JA鹿本)
大石 真次さん

鹿本地域は、熊本県の北部に位置し、植木町は日本一の施設園芸生産団地を形成しています。JA鹿本では、促成物の春スイカが2月20日頃から出荷が始まり、農家には多忙な出荷シーズンを迎えます。
大石真次さんご夫妻大石真次さんご夫妻南九州営業所の近隣でキュウリ・メロンを栽培されている大石真次さんを訪問しお話を伺いました。
現在のハウス栽培面積は、キュウリ1万㎡を中心に、メロンも5千㎡栽培され、家族4名と中国からの研修生2名で高品質のキュウリ・メロンづくりをされています。
クリンテートは、風に対して破れにくく、軽くて扱いやすいとして長年愛用していただいています。また、長期展張用クリンテートエクストラは、張替え回数の削減になっており、台風時には天井に巻き上げられる改良されています。
しかし、近年のA重油高騰に加えて、生産物価格の低迷も続いており、経費の削減が大きな課題となっているとのことでした。

クリンテートへの要望として、外張り・内張りフィルムとも、より薄物で高保温で高品質のフィルムの開発に期待しているとのことでした。
最後に、大石さんは、昨年7月に行われたJA鹿本園芸部会と同青年部植木基幹支部野菜部会とのジャンボスイカ合同品評会に出品された100kgのスイカが見事青年部準優勝されたそうで本当におめでとうございました。(鹿本地区営業担当 竹丸記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXで良質のタカミ・ユウカメロンづくり茨城県鹿嶋市(JAしおさい)
島村 良衛さん

JAしおさい鹿嶋営農経済センター管内でタカミメロンを栽培されている島村さんを訪問してお話をお伺いしました。
JAしおさいは、茨城県南東部の太平洋沿いに位置し、ピーマンで有名なJAです。また、鹿嶋市はJリーグサッカーの鹿嶋アントラーズスタジアムがありテレビ中継などされ全国的に有名になりました。また、鹿嶋市はJリーグサッカーの鹿嶋アントラーズスタジアムがありテレビ中継などされ全国的に有名になりました。
メロン定植準備で忙しい島村さんメロン定植準備で忙しい島村さん島村良衛(しまむらりょうえい)さんは、30軒のメロン部会の仲間とともにタカミメロンを60アール栽培されています。また、栽培が非常に難しいとされるユウカメロンも20アール栽培されています。また、メロン収穫後はピーマンを栽培され、年中お忙しく農業生産に取り組まれています。
ユウカメロンは、「アントラーズメロン」の愛称で化粧箱入りの大玉3L・4Lで出荷されていますが、5~6軒しか栽培されていないそうです。

タカミメロンの特徴は、肉厚で甘みが濃厚ですがさっぱりとした味で、2月に定植してアンデスメロンなど春メロン最盛期の終わりの8月に出荷できる端境期の商品として需要を期待しているとのことで、タカミメロンファンを増やしていきたいとのことでした。
クリンテートDXは、特に風の強いこの地域でも破れる心配がなくフィルムの品質も良いので、安心して使用しているとのことでした。
JA全農いばらきとしては、クリンテートの一層の品質改良を要請しながら、生産者に喜ばれるフィルムの提供をしていくことにしています。(JA全農いばらき園芸資材センター 営業担当 檜山さんが取材されました。)

クリンちゃんの豆知識

消費者が野菜を選ぶ重要なポイントは「鮮度」です。どんな高級な野菜でも、しなびてしまっていては味も栄養も台無しです。そこで、鮮度を保つコツについて勉強してみましょう。
まず、とても大事で忘れてはいけないのは、野菜は「収穫されたあとも生きている」ということです。生きている証拠に、長く保存していると、横に寝かせておいたアスパラガスが起き上がったり、ニンジンの葉っぱが伸びてきたりします。
このような「生長」のために、野菜はずっと呼吸と蒸散を続けています。呼吸は、人と同じように酸素を吸って二酸化炭素を吐く生命活動です。蒸散は、呼吸と同時に水分を蒸発させる現象です。呼吸はエネルギーを消費しますが、収穫後の野菜は光合成でエネルギーを補給することができず、体力を消耗し、やがて老化=しおれてしまいます。一方、呼吸や蒸散を止めてしまう、すなわち死なせてしまうと、カビが生えたり、腐敗しやすくなります。
そこで、「鮮度」を保つには、野菜を生かしたまま、呼吸と蒸散をいかに低く抑えるか、がキーポイントとなります。まず代表的な方法は冷やすことです。呼吸は温度が下がるにつれて減少するからです。暑い季節には、収穫後の野菜を出荷前に急速に冷却する「予冷」が一般的です。蒸散を防ぐため、袋に包んだり、加湿することも必要です。
その他には、「CA=コントロールド・アトモスフェア貯蔵」という方法があります。これは、雰囲気の酸素濃度を低めに、二酸化炭素濃度を高めに保つことで呼吸を抑える技術です。リンゴの長期貯蔵で実用化されています。
適温やCA条件は野菜によって異なります。眠らせて長生きさせれば美味しさも長持ちしますよ。

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