NO.31夏季号 2007年7月1日発行

スーパーホルト・プロジェクトについて千葉大学園芸学研究科教授
篠原 温

スーパーホルトプロジェクト協議会は、平成18年8月に設立され、弊社も会員として、参加しています。そこで、今号では、スーパーホルトプロジェクトの運営委員として栽培システムをご担当の篠原教授にスーパーホルトプロジェクトのめざすものをご紹介いただきました。

日本施設園芸協会は、野菜茶業研究所と協調し、自立した大型生産施設による経営を想定した「スーパーホルト・プロジェクト」を立ち上げ、産官学オールジャパンの提携によって、日本型施設栽培の典型を実証しようとしている。最近野菜の自給率は80%を切り、野菜園芸産業は戦後最大の曲がり角にさしかかっている。今や、ある程度大きな栽培規模を持ち、国際競争力のある価格で、より安全な生鮮野菜を作ることは、日本の園芸産業再生のための最大の課題と言えよう。

スーパーホルトプロジェクトの概念図スーパーホルトプロジェクトの概念図 大規模施設には様々なメリットがある。建設コストの単価を引き下げることができ、コンピュータなどを駆使して生育に好適な環境条件に維持することができ、結果的には生産性も大幅に改善される。先進のオランダの温室(装置、 選果機などを含む)の設置コストをみると、1㎡あたりの建設単価は1万円以下であり、わが国の実情の1/2~1/3レベルである。なぜわが国では低コストの施設が作れなかったのであろうか? これまでは大規模施設建設といえば公的補助が不可欠という思いこみがあり、企業もコストに対する配慮が欠けており、企業同士の協議で共通な部分(骨材などの規格や想定される栽培方法なども)を共有するというような工夫をしてこなかったことなどが大きな原因ではないだろうか? このような情勢の中、農水省は農政改革基本構想の中で、新たな工法を用いた低コストハウスや大規模ハウスでの生産性向上につながる技術などの開発研究普及をすることを打ち出している。スーパーホルト・プロジェクトでも、施設園芸の生産力を2倍に、また生産コストを5割減にするという途方もない目標を掲げ、産官学の協調で実現を図ることを目標としている。

このプロジェクトには、ハードとソフト別に部会を置き、まずノウハウの共通部分を明らかにし、次のステップでは業種を越えたコンソーシアムを設置し、様々な低コスト化技術開発を実施し、最終的にはそれらのノウハウを総合することによって、目標である国際競争力のある施設園芸を実現させるものである。これらがある程度進展すれば、栽培の現場では補助金に頼らずに低利の融資だけで大型施設の建設は可能となり、栽培産業が完全な企業的経営として確立できるのではないかと期待される。

約50tどりを達成した「(株)カンジンファーム」の低段密栽培の様子約50tどりを達成した
「(株)カンジンファーム」の低段密栽培の様子
今のところ想定する経営は、夫婦(1.8人)で経営する1haのトマト栽培であり、年間の収量は50t/10a、農業所得は1,800万円(1億円の粗収入-8,200万円の経営費)とする。ハウス関係では、長寿命の新開発の被覆フィルムの開発、空気膜被覆を利用した省エネの達成、細霧冷房の有効な利用方法の開発、黄化葉巻病対策のための、被覆ネットやその展張方法なども開発などが必要である。 スーパーホルト・プロジェクトは元気のない園芸産業に活を入れ、「力を合わせて、攻めて勝とう!」というエールを送るものだと思える。国際競争力をつけた高品質の農産物が生産できれば、アジア諸国の中産階級の消費者は日本の農産物を購入するようになるのである。

目を海外に向けなくても、日本国民は、安くて安全性の高い「国産」の農産物を望んでいることは間違いのないところである。このスーパーホルト・プロジェクトが成果をあげて、施設栽培の生産者(特に、非農家出身者も含めた若い世代)に夢を与え、心を奮い立たせる事ができ、しかも消費者の要望へも答えることができたらどんなに素晴らしいだろうか。

がんばる!クリンテート家族
こだわりのトマト栽培にクリンテートEXは欠かせない!北海道美瑛町(JAびえい)
美馬牛ファームさん

美瑛町は北海道のほぼ中央にあり十勝岳連峰と夕張山系との間に位置し旭川市、上富良野町など2市6町に隣接しており「丘のまち美瑛」の愛称でも全国的に知られています。
町の面積は677.16もあり何と東京23 区とほぼ同じ面積です。気候は寒暖の差が激しい内陸性の気候で、春夏秋冬の四季の移り変わりによる美しい自然を楽しむ事ができます。

美瑛町では小麦、馬鈴薯、てんさい、豆類を作付けする上川中央部の大畑作地帯で稲作、野菜の複合経営を推進し平成13、14年と連続して高品質米の出荷で道内1位となりました。
また、特産のトマトはアドバイザー制度を取り入れるなど収量、品質の向上に努めておられます。平成16年には農薬、化学肥料を削減した北海道クリーン農業推進協議会の認証基準である「YES!Clean」を取得し作付面積、収穫量共に飛躍的に伸びています。
さらに美瑛のブランド米でもある「あさひ娘」が昨年「北海道ガイドラインランク区分」で最高位の7ランクを取得し道内外に出荷されています。
その他にも美瑛町は収穫量道内1位のグリーンアスパラをはじめじゃがいも、かぼちゃなど良質な農産物の宝庫でもあり季節ごとに美味しい農産物を提供されています。

さらにこの5月には~美しい美瑛から美味しい美瑛へ~をキャッチフレーズに複合施設JAびえいアグリパーク「美瑛選果」がオープンしました。
EXトマトハウス(大雪山系をバックに)EXトマトハウス(大雪山系をバックに)そんな食の宝庫美瑛で今回お邪魔させて頂いたのはクリンテートEXを7年前から使用され、おもにトマト栽培をされている法人の美馬牛ファームさんです。美馬牛ファームさんの栽培作物はビート、じゃがいも、グリーンアスパラ、豆、そして3,500坪をほこるハウス栽培のトマトです。美馬牛ファームさんはそれまで農ビを使用されていましたが、冬場にはマイナス20~30度となる極寒の地において、農ビの強度の無さと埃が付きやすく透光性が低下することに悩まされていたそうです。
そこでJAびえい温材担当の三木さんに相談されたところ三木さんの熱心な薦めでクリンテートEXを使用されたのが始まりです。

「農ビに比べて作業性、強度、流滴性、透光性、また夜間の保温性についても農ビより優れており日中の温度が取れすぎて換気作業が大変だよ」とうれしいご指摘・・?を受けました。
風の強い丘の上でのバンドレスでも問題なく安心して使えるとのお言葉をいただきました。
「今後もクリンテートEXを引き続き使用したい」とサンテーラマンにとってはありがたい限りでした。今はクリンテートEX-UVの導入も検討中ですが価格がもう少し安かったらな~とのことでした。最後にこれからも安心して使える良質なフィルムを供給して欲しいとのお言葉をいただき取材を終了いたしました。
美馬牛ファームのみなさん三木さんこの度は、お忙しい中お時間を割いていただき誠にありがとうございました。(北海道営業所 茂木記)

クリンちゃんの豆知識

コンパニオンプランツ、バンカープランツと呼ばれている植物をご存知ですか?どちらも減農薬に役立つ方法として実用化が進められています。
コンパニオンプランツは、栽培作物の生育を助けたり、病害虫を防除する働きをする植物のことです。例えば、トマトの横にバジル(ハーブの一種)を植えておくと、トマトの生育がよくなり、コナジラミを寄せ付けない効果があることが知られています。(これは本当です!)バジルといえばイタリア料理によく使われるハーブですから、トマトと一緒に料理にも使えて一石二鳥ですね。
この他にもセージ、タイム、ミント、ローズマリーなどのハーブ類で効果が認められています。ただし、それぞれ栽培作物との相性があるようですから、事前にきちんと調べてから選んでくださいね。
花ではマリーゴールドが有名で、虫除けや土壌病害に効くと言われています。色鮮やかな花が景色を彩り、目も楽しませてくれます。
バンカープランツは、害虫の天敵が繁殖しやすいように栽培作物の周辺に植えられる植物のことです。例えばナスの畑にソラマメを植えておくと、ソラマメだけにつくアブラムシが住み着き、そのアブラムシをエサにする天敵が登場します。繁殖して増えた天敵はナスについた他のアブラムシも一緒に退治してるという仕組みです。ソルゴー、ヨモギ、オオムギ、クローバー、カラスノエンドウなどがバンカープランツとして利用されています。
テントウムシ天敵は販売されているものを利用する方法もありますが、テントウムシなど土着の天敵をうまく利用する方が生態系への影響が少なくていいですね。
いずれの方法も、正しい知識と技術はもちろん、地域で協力して環境のバランスを保つ工夫が大切といえるでしょう。

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