NO.37冬季号 2008年12月1日発行

トマト低段栽魅培の力野菜茶業研究所 鈴木克己

1.低段栽培のメリットトマト低段密植栽培は古くて新しい技術です。1970年頃から研究が行われているので、またかと思われる方も多いのではと思われます。メリットとしてあげられることは、

  1. 栽培期間が短く繰り返し栽培を行うため、栽培技術の習得が早い
  2. データが得やすく、次作に応用可能
  3. 万一失敗しても一度リセットして次作で挽回可能であり、長期栽培と比べてリスクが分散する
  4. 季節に適した品種を栽培できる
  5. ハイワイヤ誘引などで必要な高所作業がない
  6. 栽培ベッドの調整により楽な姿勢で作業できる
  7. 高糖度トマトの生産が容易
  8. 周年栽培が可能である
  9. 現行の施設でも導入可能

等々があげられます。

比較的大規模で低段栽培に取り組んでいる生産者の多くは高糖度トマトの生産が容易なことに注目しています。周年栽培に取り組み多収を目指している生産者はまだまだ少数ですが、トマトの安定供給のためにも今後拡大することが望まれます。

2.高糖度トマト

色々なステージのトマトが計画的に栽培されている低段密植栽培による高糖度トマトの栽培風景色々なステージのトマトが計画的に栽培されている
低段密植栽培による高糖度トマトの栽培風景
糖度トマトをつくるには強いストレスをかけて栽培糖度トマトをつくるには強いストレスをかけて栽培する必要がありますが、栄養生長を続けるトマトに強いストレスをかけると生長点に悪影響を与え、生育が遅延し尻腐れ果が発生してしまいます。 低段栽培の場合、摘心するため栄養生長を気にせず、果実肥大に特化してストレスをかけることができます。研究成果も加わ り色々なストレスを利用して高糖度化する技術が開発されています。 養液栽培では高濃度の養液を使い、ストレスをかけることで高糖度トマトが生産できます。低段栽培では果実の肥大に合わせて養液濃度を上げていくことで尻腐れ果発生を回避し、計画的に高糖度トマトの生産が可能となります。

通常のトマトでも栽培が難しい夏期高温下や低温寡日照期には問題が残されていますが、育苗を集中的に管理でき、果実肥大に生育ステージが限定される低段栽培の方が対策技術を導入しやすいと考えられます。

3.デメリットと解決策一方低段密植栽培のデメリット(括弧のなかは解決策と進行中の研究状況)ですが、

  1. 計画性(天候などで栽培期間などがずれると計画が崩れ全体の作業に大きく影響する。複合環境制御、データ収集、パソコンを使用したデータ解析とシミュレーション)
  2. 計画的な苗の確保(閉鎖型苗生産システムが販売されてことで解決されつつある)
  3. 種苗代(クローン苗の検討)
  4. 育苗スペース(大きな面積と施設が必要、密植育苗用の専門システムの検討)
  5. 本圃での栽培システム(普及しているものもある。現在も色々検討中)
  6. 作業性向上(密植のため管理作業などがやりにくい。ロボットの応用)

などですが、解消するため研究が現在精力的に進行中です。

4.おわりに9月末に三重大学において平成20年度の園芸学会が開催されました。様々な野菜の発表の中に、トマト低段密植栽培に関連する研究発表が約10課題もありました。JA全農営農・技術センターからも第3報の研究発表があり、着実に技術開発が進んでいる様子が伺えました。研究だけのブームで終わることなく、日本型の技術として完成するために、本誌31号でも紹介のあったスーパーホルト・プロジェクトなど産官学一体となった取り組みが必要だと考えています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXの流滴性と保温性の良さを実感!北海道北見市訓子府町(JAきたみらい訓子府支所)
雅楽川 英行

訓子府町は北海道の東北部オホーツク海地方の内陸にあり、北見市の隣に位置します。町の西部には大雪山系の山並み、南東方向には阿寒の山々が見え、四季折々の風景が織り成す模様はとても綺麗です。
気候は盆地特有の寒暖の差が大きい内陸型で、日照時間は全国有数の長さの為、農作物には最適な気象条件です。訓子府町の基幹産業である農業は玉ねぎ、訓子府メロン、水稲、馬鈴薯、小麦、てん菜、酪農を主要作物としています。
中でも玉ねぎの収穫、出荷量は全国トップレベルのシェアを誇っております。今回、お邪魔させていただいたのはその玉ねぎ栽培を専門に行なっている雅楽川(ウタガワ)英行さんです。雅楽川さんの栽培面積は11ha(特別栽培3ha)育苗ハウス600坪と、玉ねぎだけで大変大きい面積を所有していらっしゃいます。
玉ねぎの収穫作業真っ只中の雅楽川さん玉ねぎの収穫作業真っ只中の雅楽川さん雅楽川さんがクリンテートDXを使用されたのは昨年12月、玉ねぎの越冬育苗ハウスでした。
雅楽川さんはそれまで使用していた農POよりもハウス内温度が高く、育苗作業が2月の極寒時期から始まるため、保温性に優れた農POがあればと求めていらっしゃいました。今回初めてクリンテートDXを使用して、その保温性に納得の様子でした。
また、「ポット培土オニオンエース」を使用されている為、今までは水滴のボタ落ちに困っていましたが今回使用したクリンテートDXは流滴性も良く、ボタ落ちも解消され、この培土に適しているので次回更新時には、クリンテートDXを使用するとのお言葉をいただきました。

さらには仲間にもクリンテートDXを薦めようと思っているとのありがたいお言葉も合わせていただけました。今は、資材の高騰でコストが上昇している為、使用年数を延ばしても、強度・透光性・流滴性の効果が低下しづらい資材の開発、提供を期待するとのコメントをいただきました。最後に雅楽川さん、これからもクリンテートを宜しくお願い致します。この度は玉ねぎの収穫作業で大変お忙しい中、お時間を割いていただき誠にありがとうございました。今後とも益々のご活躍を祈念しております。(北海道営業所 茂木記)

がんばる!クリンテート家族
「山形県JAそでうらをたずねて」
-キュウリ「フリーダム」の契約栽培で農家の安定収入確保-

JAそでうらは、山形県北西部に位置し、南は鶴岡市と三川町、北は最上川を挟んで酒田市街地に接し、背景の眺望には鳥海山がそびえます。JA営農指導員の土井ひろみさんに、キュウリの契約栽培による野菜部会の取り組み、契約栽培メリット、苦労話などを聞かせていただきました。
平成15年秋、ある青果卸(株)から、イボなしキュウリ「フリーダム」の契約栽培の話があり、早速、野菜部会のメンバーに働きかけ、平成16年2月から7名の賛同者で栽培を開始しました。現在では40代から70代の28名まで栽培農家が増えてきました。
契約栽培キュウリ「フリーダム」契約栽培キュウリ「フリーダム」そでうら地区は、日本海の海風と東風が強い地帯であり、砂丘の砂が舞い上がるため、フリーダムの薄い皮を傷つけないように全てハウス栽培で進めています。
契約栽培のメリットとしては、市場出荷の14規格に比べて、2規格と少なく、選果作業の負担が少ないことや価格があらかじめ決められていることに加え、段階的な値決めで余剰分も出荷できるなど農家にとって安定収入が得られるという安心感があります。

一方、契約栽培といっても他県産地とのリレー形式であるため、他産地の出荷が終わらないうちに出荷となる厳しい契約であり、春・夏・秋の3段階の栽培スケジュールを組んでおり、出荷のピークは6月と9月です。8月は、200ケース以上の出荷量を求められており、取引先への要望に応えるために、JAと契約農家とは、細心の注意を払った作付け計画、栽培・品質管理、農薬の適正使用などの取組みを実施しています。
キュウリ栽培管理中の生産者キュウリ栽培管理中の生産者「求められる時期」に「必要な量」を用意して、取引先との信頼関係をより強固にし、今後の取引量の拡大・継続を目指しています。
JAでは、日常的に栽培履歴の提出や出荷物についての事前分析などを実施しており、農家との信頼関係は深いものがありますが、土井さんは、県農業技術普及課の方々とも連携し、農薬の適正使用などの安全安心な農産物の栽培指導のための農家巡回指導や栽培技術の講習会など精力的な活動をされています。
JAの一層飛躍を祈念しつつ、土井さんの今後のご活躍を期待しています。(東京営業所山形営業担当 関戸記)

クリンちゃんの豆知識

お隣の国、韓国の食文化についてご紹介します。韓国料理といえば焼肉を思い浮かべるかもしれませんが、ほんとうは野菜をたくさん食べている国です。
栽培野菜だけでなく山に自生する山菜、野生の青菜等、野菜の種類が様々で、センチェ(生菜)、サム(野菜巻き)、ナムル(和え物)、キムチにして季節ごとに食卓を彩っています。 焼肉でも、サンチュなどの生葉に肉を巻いて食べるように、実は肉の何倍も野菜を食べています。
昔から「薬食同原」の食観念のもとで生姜、桂皮、ヨモギ、五味子、枸杞、ツルニンジン、キキョウ、ハトムギ、カリンの実、ザクロ、柚子、高麗人参など、薬として使われる材料が料理に多く利用されているのも特徴です。
調味料と香辛料も「薬念」といって葱、ニンニク、生姜、唐辛子、胡麻油、胡麻塩等が薬のような効能があるものと考えられてきました。
韓国の季節料理は人間と自然との知恵深い調和をなすもので、栄養的にも科学的なものが多いといわれています。例えば、陰暦の正月15日にクルミを割って食べると一年中腫れ物ができないというのは、必須脂肪酸が不足する時期に皮膚のただれや湿疹を防ぐのに効果的であるという科学的裏付けがあります。また立春には新春に芽吹く香菜を調理して食べることにより、春を迎える気持ちだけでなく、生野菜が不足していた冬を過ごした後、ビタミンCを補充するという合理的食習慣であるといえます。
ところが韓国でも食の欧米化が進み、伝統野菜の作付面積や国内消費は減少傾向にあります。一方で国の施策によって野菜の輸出は増加しており、パプリカ、トマト、きゅうり、いちご等の施設野菜が大規模に栽培され、これらの輸出先は日本が突出しています。
「薬食同原」と並び、「身土不二」は、俗に住んでいる所の一里四方の物を食べて暮らせば健康でいられるという昔からの食の思想です。大事な思想もしっかり取り入れたいですね。

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