NO.43秋季号 2010年9月15日発行

地産地消の拠点として生長し続ける大型農産物直売所元JA全農 営農・技術センター
技術主管 林 英明

日本の農業は、農業従事者の高齢化や農産物価格の低迷など大変厳しい状況にあります。都市化の著しい南関東でも、農業後継者の不足や農業経営規模の縮小・零細化などから農地の利用・管理が過疎化し、相対的な農業生産能力の低下が進行しています。そうした中で農産物の直売所が地域の農業を守り、振興する上で大きな成果をあげています。ここでは農業協同組合が運営する規模の大きい直売所を紹介します。

直売所のあるのは東京から自動車で1時間半、人口17万人の首都圏近郊都市です。山と丘陵に囲まれた盆地で園芸または酪農を中心とした農業経営が行われています。

農産物直売所の設立の背景とねらい農産物直売所の設立の背景とねらい農協が運営する農産物直営所は地産地消を推進する拠点です。ご存知のように地産地消は「地元生産地元消費」の略称で、その地域で作られた農産物を農産物直売所その地域で消費することです。

近年、輸入野菜の農薬汚染問題や遺伝子組み換え食品の安全性に関する疑念などから、食に対する不安が広がっています。そうした中で、生産者の顔が見える関係で生産された、新鮮で安心・安全な農産物を手ごろな値段で手に入れたいと思っている消費者が多くなっています。

直売所はそのような消費ニーズに応え、流通経費を少なくして生産者の手取りを多くするために設立されました。

直売所の運営直売所は、「地元の消費者を対象にした消費者目線の品揃え」と「高齢者や女性、小規模兼業農家など多様な生産者が参加できる直売所」ということを柱にすえて運営されています。具体的には次のようなことが行われています。

  1. 販売は委託販売方式で、売れ残りは、毎日、生産者がその日の内に引き取る。
  2. 利用者の利便性の向上をはかるため、野菜、果実、花き、畜産物、手作り加工品、家庭菜園むけ種子・苗など多品目を品揃え。
  3. 売り場に荷がなくならないようにするため、生産者は外部から携帯電話で売り場にある現在数量を確認し、必要に応じて追加出荷。
  4. 農協の組織力を生かした運営
    農協婦人部による農産物の調理法の紹介。家畜糞堆肥の斡旋。直売向け栽培マニュアルの配布。環境保全型農業の奨励。コンピュータシステムを利用した情報伝達。
  5. 消費者ニーズ(新鮮・安心・安全志向)への対応
    野菜の朝採りや追加出荷の奨励。生産者が引き取らない売れ残り荷の農協による処分。病害虫防除日誌の記帳の義務付け。外部検査機関による残留農薬のチェック。罰則規定をもうけて厳格な品質管理。

平成14年に売り場面積450平方mで始まった直売所は、毎年、売上を20パーセント程度増やし続け、平成21年には売り場面積617平方mm、年間売上は10億円を超えました。

地産地消この直売所のある市では行政・農協・農業委員会が一体となって農業の担い手の育成を行っています。「市民農業塾」の講義と実習で、野菜の栽培技術や地元農産物の加工技術を身に付けた人を育てています。これまでに、市民農業塾を修了して新規に農業を始めた27名の人が農協の直売所に出荷しています。

地産地消は地域の農産物と農業に対する理解・関心を高め、住民の連帯感を涵養して、地域を活性化します。地域が一体となって取り組むのがポイントのようです。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXでブランドスイカの栽培熊本県熊本市植木町(JA鹿本)
堀 幸明さん

西瓜日本一の生産量を誇り、西南の役の激戦地・田原坂でも知られる植木町は、今年の3月23日に熊本市と合併し、二年後の政令指定都市を目指す市の北の玄関口として新しいスタートをきりました。
同時に植木町の西瓜生産者組織の皆さんは『夢大地かもと』の地域ブランドを確立して、更なる発展と進化を目指し熊本市の一員として、地域の振興に繋げたいと頑張っておられます。

今回は、そんな植木町の田原地区で30年余り西瓜栽培に取り組んでおられる堀さん一家をご紹介します。ご家族は幸明さんの奥様とお母様、8年前に就農され昨年秋に結婚された長男さんご夫妻の5人です。
収穫したスイカを「手に堀さん一家収穫したスイカを「手に堀さん一家施設は連棟ハウス1ha、単棟ハウス10aで主に西瓜と胡瓜を栽培されています。作型は春西瓜(収穫期4月~6月)、秋西瓜(収穫期10月~11月)、夏胡瓜(収穫期7月~8月)、秋胡瓜(収穫期10月~12月)の4タイプです。
当初は全棟に農ビを使用されていましたが、クリンテートDXは破れが広がりにくいとの評判を聞き、まずサイド用のフィルムから替えたところ、とても気に入っていただきました。10年ほど前からは、天井にも使用して頂くようになり、今では殆んどのハウスにクリンテートDXをお使いいただいております。堀さんは「軽くて、風に強く破れ難いので安心して使っているよ」と太鼓判を押して頂いています。

今後も、生産者の皆様に安心して使っていただける品質の良いフィルムと、細かなサービスの提供に心がけたいと思います。
この度は、春西瓜収穫の大変お忙しい時期にも拘らず、取材にご協力頂き誠にありがとうございました。
(栃木県営業担当 鈴木記)

がんばる!クリンテート家族
ミニトマトづくり25年 長期展張EXでコスト削減愛知県豊橋市(JA豊橋)
高嶋 賢一さん

愛知県豊橋市は、東三河の人口の過半数を占める中核市であり、キャベツやはくさいの生産が盛んな農業地帯です。農産物の大消費地である関東・関西の中間に位置している為、物流条件に恵まれた地帯でもあります。
今回は、その豊橋市でミニトマトを生産している高嶋賢一さんを紹介します。
ミニトマトの品種はイエローミミでフルーツのように甘く、黄色のかわいいトマトです。

ハウスの前で笑顔の高嶋さんハウスの前で笑顔の高嶋さん高嶋さんがクリンテートを使いはじめたのは、20年前ごろからです。JA職員から「強くて・丈夫で長持ち・品質も安心」とクリンテートを勧められたのがきっかけです。
以前は、ビニールを使用していましたが、クリンテートに切り替えてから作物の出来栄え(品質)も良くなったそうです。
現在は、長期展張用のEXEX-UVを使っていただいている為、張り替えサイクルが延び、また、強度、流滴性、透光性、保温力もあることから、加温の経費を抑えることができ、生産コスト削減につながっています。

現在、高嶋さんは8棟のハウスを所有し、ご両親と3人で収穫に忙しい毎日を送っておられます。
昨年の台風で豊橋市は、ハウスが潰れるなど大きな被害を受けましたが、高嶋さんのハウスは幸い被害も軽く、作物にあまり影響もなく出荷を続けることが出来ました。

今後もクリンテートを末永くご利用していただき、ご意見を聞かせていただきたいと思います。
(愛知県営業担当 諸冨記)

クリンちゃんの豆知識
ひまわり今年の夏は記録的な猛暑でしたが、植物にとっても過ごしづらい夏だったに違いありません。野菜栽培では、保温のためのハウス利用が一般的となり、野菜は寒ささえ対策すれば夏は大丈夫、と思っていませんか?
特に夏が旬の野菜は、暑いほうがよく育つと思われがちです。でも実は、トマト20~25°C、ナス23~28°C、キュウリ23~28°Cが生育適温とされています。しかもこれら3つの野菜について、生育に障害が出る恐れのある最高限界温度は、どれも35°Cとなっています。今年の夏は、夏野菜にとっても厳しい環境だったと言えます。一方、価格が高騰した青物野菜の例えばホウレンソウやレタスの最高限界温度は25°Cで、もともと夏の栽培が難しいものでした。
主な高温障害としては、花粉の機能低下があり、着果に障害が出ることから、収量や品質の低下を招きます。また高温環境では害虫や病気が発生しやすく、被害が大きくなる恐れもあります。異常気象で一時的に収量が減っているとは言え、そんな適温の制約を超えて、どの野菜も一年中流通しているのは、栽培技術の向上や品種改良の進歩と、農家さんのきめ細かな管理のおかげですね。
冷夏で減収が取りざたされることが多い米は、「日照りに不作なし」などと言われていますが、実は、暑すぎると高温登熟障害という問題があります。特に夜間の気温が高い場合に影響が出やすい傾向にあり、今年の米の品質が気になるところです。
早いところでは、もうお米の収穫が始まっていますね。秋の味覚を楽しみに、残暑を乗り切りましょう!

NO.42春季号 2010年4月1日発行

次世代型生産システム「トマト一段密植養液栽培システム」の紹介 JA全農 営農・技術センター
農産物商品開発室

JA全農 営農・技術センター農産物商品開発室では、生産物の収量増加や品質向上をはかり、安定出荷を可能とするトマト栽培技術として、トマト一段密植養液栽培システムの研究開発を行っています。大きな技術ポイントは栽培管理の簡易・単純化であり、効率的労務管理の面から、大規模化を想定した企業的経営に適しています。また、施設内複合環境制御システムと組合せた太陽光利用型植物工場として広く注目されています。ここでは、トマト一段密植養液栽培システムの技術概要と今後の展開について紹介します。

一段密植栽培とは一段密植栽培とは一段密植栽培では10aあたりの栽植密度を10,000株(慣行の3~5倍)、1株の花房を1段のみとし、年間4回以上の作付けを行います。また、収穫花房が1段のみとなり、草丈が低くなるため、栽培ベッドを高設化します。

一段密植栽培のポイント

  1. 花房1段で摘心する
  2. 10aあたり10,000株の苗を定植する
  3. 年間4回の作付けを行う
  4. ベッドの高設化が可能となる

技術の優位性(1)栽培管理の単純化定植~収穫までの一連の作業が単純化され、栽培管理に特別な技能を必要としません。このため、マニュアルによる効率的な栽培管理を行うことができます。また、閉鎖型苗生産システム「苗テラス」を活用することで、育苗管理が大幅に軽減され、施設を1年間有効活用できます。

(2)作業の軽労化一段密植栽培とは栽培ベッドの高設化によって腰を曲げたりするような重作業が無くなり、目の高さで栽培管理を行うことができます。また、草丈が低くなるため、茎を曲げたりするような難しい誘引・整枝が不要になります。

(3)計画生産年間4回の高回転作付けと10aあたり10,000株の超密植により、慣行栽培よりも高い収量(年間30t/10a以上)をあげることができます。また、1作あたりの栽培期間が80~90日となることから販売と連動した計画的な生産を可能とします。

(4)病害虫発生の軽減1作あたりの栽培期間が80~90日で終了するため、病害虫の発生が大幅に軽減します。また、0.2mmの防虫ネットの使用や下屋(一次室)の設置などによって病害虫の侵入を減らし、栽培期間中の極めて高いレベルの減農薬栽培も可能となります。

(5)局所環境制御技術による差別化収穫花房を一段に限定するため、栄養生長と生殖生長のように生育ステージが明確に分けることができるため、CO2施用や根域温度の制御を効率的に行うことが可能となります。

(6)簡易型養液栽培技術の活用これまでトマト栽培ではあまり活用されなかったNFT(Nutrient Film Technique)を用いることができます。NFTは養液栽培技術の中でも、最も簡易的で低コストな技術として知られています。現在はオリジナル栽培槽を開発し、NFT方式を改良した養液栽培技術を用いております。

(7)通常のハウス使用による初期投資の抑制一段密植栽培はオランダ式の長期多段栽培と異なり、高軒高温室を必要としないため、通常ハウスで栽培を行うことができます。これによって、初期投資は大幅に軽減され、経営リスクを下げることができます。

今後の展開現在、試験研究としては栽培適性および商品性のある品種の開発ならびに選定を行っております。具体的には、(独)農研機構 東北農業研究センターと共同で低段密植・養液栽培向け心止まり性トマトの開発を進めるとともに、既存品種の中から、良食味等の市場性の高い好適品種の選定を進めています。

今後、これらの品種を用いた新規市場を開拓し、生産と販売が直結する仕組みづくりを行い、来年度以降に本格的な普及展開をはかりたいと考えております。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで高品質な巨峰を栽培福岡県広川町(JAふくおか八女)
野中 龍博様

今回ご紹介させて頂く野中龍博様が巨峰を栽培されている広川町は、福岡県南部八女郡の北部に位置し、東西約14km、南北5.4kmの地域を占め、面積は約38k㎡の町です。
東は上陽町、南は長峰山脈をもって八女市、西は筑後市、北は久留米市に接する耳納山系に囲まれた通称広川谷と呼ばれる広川盆地を形成している地域です。比較的温暖な気候で、発心山に源を発し、筑後川に注ぐ広川が東から流れ、その流域に細長い盆地性の平野をつくっています。
JAふくおか八女管内のぶどうの作付面積は約280ha有り、その内、広川地区センター管内で47haのぶどうが作付けされています。また、部会員数は最も多い時で300人を超えた事もありましたが、現在では102人の方がぶどうの生産に尽力されています。
ハウス内でハイポーズの野中さんとJA坂田さんハウス内でハイポーズの野中さんとJA坂田さん野中様は、今年で約35年間広川ダム近郊において巨峰を約1.4ha栽培されています。栽培当初は農ビを使用しておられましたが、クリンテート発売当初にJA渉外担当者の方とサンテーラ(旧 三善加工)営業担当者の同行推進の際に聞いた「農ビより軽い」「ベタツキが少ない」「裂けても広がりにくい」などの商品説明がクリンテート購入のきっかけとなり、農ビから切り替えられたとの事でそれ以来、二十数年の間、弊社商品のクリンテートを継続してご愛用頂いています。
その間には、同業他社の商品提案も多数あったそうですが、長年ご愛顧いただいた経験により「クリンテートは作物の生育性が良く、安心して使用できるので切り替えは考えなかった」というご意見を頂きました。

また、現在栽培中のぶどうハウスでは、外張りに保温性の高いクリンテートDX、内張りには霧抑制のクリンテートU-FOを12月から翌年8月まで展張されていますが、保温性、霧抑制に加え耐久性に関しても、大変満足しているとの事でした。
クリンテートを製造・販売してきた弊社としてまして、今後も安心して使用いただける高品質な商品とサービスを提供させていただき、生産者農家様の負託に応えていきたいと強く感じました。
最後になりますが、ご多忙中にもかかわらず取材に御協力頂きました野中様と取材に同行して頂いたJAふくおか八女・広川地区センター営農経済渉外の坂田様には大変お世話になりました。今後も野中様のぶどう栽培の益々のご発展を心より御祈念申し上げます。
(福岡県営業担当 桑原)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDX、透水カーテンの併用による良質な梨を栽培栃木県芳賀郡(JAはが野)
田口 敏郎さん

栃木県芳賀郡芳賀町は、栃木県の南東部に位置する総面積70平方キロメートルの町で、果樹や野菜類をはじめ、施設園芸、畜産などの都市近郊型農業が盛んです。イチゴのブランド「とちおとめ」は全国的にも知られていますが、その他にも幸水、豊水、にっこりなどの梨は町を代表する特産品として県内有数の生産地となっています。
JAはが野梨部会は、部会員140名、作付面積は約160haで、年間を通した長期に渡る販売戦略やGAP(生産履歴管理)の活用など、昨年のJA集荷場扱い量は10kg/箱で33万ケースを出荷しています。
今回は、社団法人とちぎマーケティング協会の果樹部会長と、JAはがの梨部会で部会長を兼務されている、梨作り37年の田口さんをお訪ねし、お話を伺いました。
ハウス前にて田口さん(右)とJAはが野アグリセンター芳賀の赤羽さんハウス前にて田口さん(右)と
JAはが野アグリセンター芳賀の赤羽さん
田口さんと奥様、息子の敬久さん夫婦の4人で2.5haを露地、1haをハウスで栽培しており、田口家の栽培暦は昭和33年頃から始め約50年になります。12年前からハウス栽培に取り組み、農協さんとグリーンとちぎさんからクリンテートを勧められ6年前からDX(デラックス)を使用しています。
優れている点は、まず第一に作業性が非常に良いということ。第二に長期に渡り展張しても汚れにくいこと。でこのことが労務費や資材経費節減に繋がっているとのことでした。
また、当初二重カーテン用フィルムには孔の開いたものが無く、自分で孔を開けていた為手間がかかっていましたが、現在では透水加工がされたクリンテート透水を使用し、カーテン上部の水溜りが出来ず、余分な湿気を少なくし病気の発生を防ぐことができ便利になったとお褒めの言葉をいただきました。

今後も益々良いフィルムを研究、開発し、私たち生産者に安くて良い資材を提供して貰いたいと要望をいただきました。
最後に、栽培の傍ら、お忙しい中取材に応じていただきました田口様のこれからの益々のご活躍をお祈り申し上げます。
(栃木県営業担当 鈴木)

NO.41春季号 2009年12月1日発行

秋田県オリジナル野菜品種の開発と普及状況(その2)秋田県農林水産技術センター農業試験場
野菜・花き部 主任研究員 椿 信一

はじめに前回(No.38 春季号)は、秋田県で育成した野菜品種の概要及びその中からアールス系メロンについて紹介しました。今号ではひき続き大玉スイカについて紹介します。

大玉スイカ「あきた夏丸」

今年も立派な大玉で収穫できました今年も立派な大玉で収穫できました 秋田県は夏季比較的冷涼であるため、山形県や長野県とともに盛夏期におけるスイカ主要産地の一つとなっています。しかし、立地面での有利性を活かしているものの、品種については大手種苗メーカー育成種を採用しており、本県ならではの独自性を発揮できずにいました。 近年、スイカの消費量は減少傾向にあり、他県との産地間競争は年々激化しています。そのような状況の中で、地域で生まれ、その地域に最適な品種を用いて独自性をアピールしていくことは、重要な戦略の一つと考えられることから育種を進めました。 「あきた夏丸」は、基となった市販F1品種の後代を、本県の気象条件下で長年選抜を繰り返すことによって育成したF1品種です(平成19年3月に品種登録)。本品種は長い間民間育成品種に独占されていた大玉系スイカの中で、約半世紀ぶりに公的機関の手で育成された大玉スイカです。

新品種として発表後の本県での栽培面積は年々増加し、初年の平成16年に約3haだった栽培面積が、平成21年には「JAおものがわ」を中心として約90haになり、本県を代表する品種に育ってきています。

店頭に並んだ「あきた夏丸」店頭に並んだ「あきた夏丸」 「あきた夏丸」の主な特長は次の通りです。
1.着果は安定しており、生育旺盛で収量が多く、裂果や変形果の発生も少なく、作りやすい
2.果皮色は濃緑、縞模様が太く鮮明で玉揃いが優れているため、店頭で見栄えがする
3.糖度が高く、果肉は鮮明な濃赤色、空洞やうるみが発生せず、カット販売にも適している
4.果肉は、近年の好みを反映して硬めで歯ごたえがあり、シャリ感が強く食味が優れている
「あきた夏丸」の販売にあたっては、品種名を全面に掲げることを目標としています。当初、スイカの品種売りは、その違いがわかりにくく不可能と考えられていましたが、県内では食味の良い「あきた夏丸」の知名度が高まるにつれ、他品種より高単価で取引されるようになりました。 ただ、まだ知名度が低い県外出荷分については、依然として一般的な大玉スイカとしての販売にとどまっています。今後、県外でも品種名のPRを継続することはもちろんですが、外観だけで一目で秋田県産とわかる「あきた夏丸」の姉妹品種育成にも取り組んでいます。

終わりに秋田県は夏野菜の栽培では夏期冷涼という優位性を備えているにもかかわらず、これまでは、市場やメーカー主導の産地リレーの中で、一産地として利用されてきたにすぎません。しかし、本県産夏野菜の飛躍には、生産者の側から主体的に、全国の消費者向けて売り込む必要があると思われます。そのために、「あきた夏丸」をはじめとした県オリジナル品種が活用されることを期待します。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラで「もういっこ」宮城県栗原市(JA栗っこ)
三浦 孝夫さん

仙台市から国道4号線を約70kmほど北へ走ると、迫ってくる険しい奥羽連峰の中に、1,627mの高さを誇り日本200名山に選ばれる美しい栗駒山が見えてきます。
2005年に近隣の10町村が合併して、宮城県内でもっとも広い約800平方キロmという面積を持つ栗東市は、米、野菜、果樹、花などの農産物の他にラムサール条約の登録地である伊豆沼、内沼に毎年秋から冬にかけて何万羽という真雁や白鳥が飛来することで有名です。
今回はこの栗東市で、イチゴを栽培して23年以上になる三浦孝夫御夫妻をご紹介します。
1985年頃、それまでのサラリーマン生活から一転して農業への転進を決意した三浦さんは、パイプハウス3棟(530平方m)からイチゴ栽培を始めました。
当時は、宮城県の北部でのイチゴの栽培は大変めずらしく、試行錯誤を繰り返しながらの大変なご苦労がありましたが、持ち前の研究心と情熱で次々と困難を乗り越え、ハウス面積も徐々に大きくして経営の安定を図ってきました。
そして、平成10年には1,400平方mの連棟型パイプハウスに高架栽培方式を採用して生産性を大きく向上させることに成功すると、さらに平成18年にも同じ仕様で1,400平方mの連棟型パイプハウスを増設するまでに至りました。
現在はこの2棟の大型連棟ハウスで、「とちおとめ」と宮城県産の新品種「もういっこ」を栽培して、JAへの出荷と店頭での直売を中心に販売をしており、シーズン後半にはイチゴ狩りのお客さんにハウスを開放しております。
三浦さんとクリンテートの関わりは、平成18年に代行店の(株)エドビ仙台工場の遠藤工場長(当時)の紹介により、クリンテートデラックスの流滴性能の試験展張のお願いに訪問したことからでした。
その後、新しく始められたさくらんぼの雨よけにクリンテートデラックスを採用していただき、また、イチゴのパイプハウスの張替えに展張したクリンテートエクストラは、その丈夫さと流滴性能に高い評価を得て、その後の張替えから順次に採用していただいております。
イチゴのほか、米、さくらんぼなどの栽培も手がけて、大変に忙しい毎日を送っておられる三浦さんご夫妻ですが、イチゴのオフシーズンには、キャンピングカーを走らせて全国を回ることが大きな楽しみであり気分転換になると言われます。
今年もイチゴの定植と、米の刈り入れも終わってやや一息と言う10月の1日に、クリンテート便りの取材をお願いして、明るい奥様に淹れて頂いた本格的なコーヒーをおいしく飲みながらの楽しい時間でした。
三浦さん、本日はありがとうございました。
今後ともクリンテートをよろしくお願いいたします。
(宮城県営業担当 鈴木正記)

クリンちゃんの豆知識

季節の変化と植物の関わりについてしっていますか?
季節の変化とは、日照時間や気温が変わることです。
日照時間の影響を受けやすいものを長日植物または短日植物といい、影響を受けにくいものを中日植物といいます。
長日植物とは、昼の時間が長くなってくる春の季節に花芽形成を行う植物で、短日植物とは、昼の時間が短くなってくる夏(夏至のあと)に花芽形成をする植物です。実はどちらも重要なのは夜(暗闇)の連続する長さであることがわかっています。
桜長日植物は春から夏にかけて一斉に花を咲かせる草花や野菜に多く、短日植物としては秋に咲く菊が代表的です。イチゴは短日植物であり、花芽形成のためにはさらに低温を必要とします。自然状態では秋頃に花芽形成するため、クリスマスケーキに間に合いません。そこで、まだ暑い時期に人工的な暗闇と低温環境を造って栽培し、早く花を咲かせて年内に収穫できるように操作しています。
一方、気温の影響としては、積算温度があります。イネのような赤道付近を原産地とする植物は日照時間には鈍感で、その代わり温度の影響を強く受けます。平均気温の高い地域で年に2回稲作ができるのは、積算温度が短期間で満たされて生育が早いからです。
身近なところでは、桜の開花も積算温度で決まります。桜前線が日本の南から次第に北上していくのは積算温度の条件を満たす時期がずれるためです。地球温暖化の影響もあって、桜の咲き始めは年々早まる傾向です。
日照時間や気温と植物の関わりを思いながら、四季折々の自然や野菜を楽しみ、味わってみてください。

がんばる!クリンテート家族
ホクレン包材(株)妹背牛第2工場を訪ねて北海道のクリンテート供給基地
妹背牛町工場ホクレン包材さんは、本社を札幌に構え、肥料・米麦・精米などの各種農業用包装資材を製造・加工・販売されている会社です。
北海道の妹背牛町(もせうしちょう)に3つの工場があります。妹背牛町は札幌から約95km、旭川から約45kmの美しい田園地帯に位置します。
ここ妹背牛工場から日本の総面積の約2割超を占めるといわれている北海道の隅々までクリンテートの大半は出荷されていきます。
ホクレン包材さんでは原反の保管から加工まで、道内の加工・物流に関わる仕事を一手に担っていただいています。例年は10月頃から注文が入り始め、農繁期直前の翌年2~3月にピークを迎え4月頃まで約7ヶ月間フル操業です。
妹背牛町工場2受注規格が農家のみなさんのハウス個々に合わせたオーダーメイドとなるため、どうしても人海戦術になりますし、いくら農ビよりも約3割軽いといっても100mを超える長い注文も多いため重量が100kgを超えるものもあります。また、最盛期には朝の注文分を当日の夕方に出荷するなど、大変ご苦労いただいています。
北海道でのクリンテートの普及の歴史を語るうえで、ホクレン包材さんのご努力、ご協力を抜きにはできません。
クリンテートの発売から20余年、当初は弊社の道内駐在もいないなかで、ホクレン包材さんの営業の皆様にお願いして全道各地で試験展張や普及に努めていただきました。現在も農家推進や日々の巡回に同行していただくなど拡販にご協力していただいています。
ホクレン包材様、今後ともよきパートナーとしてお付き合いくださいますようよろしくお願いいたします。(北海道営業所 後藤記)

NO.40秋季号 2009年9月1日発行

高品質多収栽培のポイントと紫外線除去フィルムの活用元 ・ 埼玉県農林総合研究センター
園芸支所長 稲山 光男

キュウリはその作物特性として、低温にはすこぶる弱く、一度降霜に遭うと枯死してしまい、高温多湿環境を好む作物である。そして、(1)蔓性で葉が大きいこと(2)同株異花で着花(果)に規則性がないこと(3)トマトやナスに比べ生育が早いこと(4)果実は発育肥大途中の未熟果を収穫の適期としていることなどの特性がある。

従って、キュウリは生育状況を的確に把握して、適切な対応管理を施すことが重要で、管理が遅れたり誤った判断の基で管理を行なうと、収量や品質に大きく影響することになる。キュウリの高品質多収生産の基本的な栽培管理技術は確立されているものの、そのマニアル化は難しく、栽培経験に基づく応用管理技術に頼る部分が大きい。このようなことから、キュウリ栽培は家族労力を基本とした、労働集約型的な経営の中で発展成立してきたものといえる。

キュウリを安定的に高品質多収を得るには、生育段階に対応した管理がポイントで、キュウリの生育を日常的に観察する中で、その生育状態を的確に捉えて適切な管理を施しながら、目標に向けた栽培展開を図ることになる。

ここでは、誌面の制約から最も重要な定植・活着時の基本的なポイントを例に参考に供することにする。最近は、栽培の省力化を図るために、昔から「苗半作」と云われながら、苗を自家育苗しないで苗生産業者に委託して、苗を購入して栽培する経営が普及している。

そこで重要なことは、納入苗の評価から栽培が始まることになる。その評価とは、納入苗の苗質そのものの良し悪しの評価もさることながら、納入された苗がどのような性質なものか、この苗を利用して高品質多収生産するためには、今後どのように管理処理していくべきかについて、即評価・判断することが重要である。

当面の評価・判断の視点は、手元の苗を如何にしてスムーズに活着させるかが最優先で、どのような管理をなすべきかを判断することが重要である。つまり、活着の状況如何によって、次の生育段階における管理の手法が違ってくるからである。

次に定植直後の段階では、(1)葉の展開の様相は?(展葉の葉色、日中の萎れ具合)、(2)巻きひげの出現とその状態は?などについて観察して、どのような管理をすべかを判断する。そして、次の生育段階では、(1)節間伸長の状況は?(2)葉色、葉の形状は?(3)巻きひげの状態(長さ、太さ、色、伸長方向など)(4)芯の大きさ等々・・・・・。というように生育段階ごとに、圃場全体的な生育の状況、株の生育状態と草姿。そして、株個体のどの部位に観察ポイントを求めて、どのように生育を評価・判断してどのような管理を施すかということである。

キュウリの高品質多収生産の基本は、強い草勢を作ることと、その草勢を栽培期間中維持し続けることにある。そのためには、現生育段階では何を為すべきか、どのような管理をしたらよいかに尽きる。

紫外線除去フィルムの普及消費者の健康志向の高まりから「食の安全性」が問われ、農薬の使用が問題視される時代である。防除は安定生産、安定供給の面から不可欠であり、適正な農薬の使用は認められるところである。一方生産の面からは、生産者自身の健康管理や生産コストの低減から、農薬の使用は必要最少限にしたい。このような点から生産農家では、あらゆる方法を取り入れることで低農薬栽培に取り組んでいる。

その一つに、特に最近は、紫外線除去フイルムの利用が注目されてきている。このことは、生産者の高齢化や生産農家の労働力不足、長期展張型の農POの出現、それに、最近大きな問題になっている媒介害虫によるウイルス病対策が挙げられる。

キュウリでは、オンシツコナジラミが媒介する「黄化病」をはじめ、最近大きな問題になっているタバココナジラミが媒介する「退緑黄化病」(仮称)。ミナミキイロアザミウマが媒介する「キュウリ黄化えそ病」がある。これらの病害を防除するには、媒介害虫の防除にあり、これらの害虫は農薬による防除だけでは、困難をきわまるために総合的な防除が必要で、産地ではあらゆる方法が講じられている。

そこで施設栽培では、栽培施設内への害虫の侵入を回避する防除効果が高いことから、忌避効果の高い紫外線除去フイルムの展張と施設開口部の防虫ネットの組合せが評価され普及している。また、キュウリは多湿環境を好む作物で湿度条件には敏感に反応し、低湿度環境下では葉の老化が早く葉の老化は光合成の低下につながる。その結果、草勢が低下して品質・収量の低減になる。

紫外線除去フイルム展張下でも、湿度管理は重要であるが、紫外線透過フイルム展張下での栽培に比べ、紫外線除去フイルム下では、葉の老化が緩慢で葉がやや淡緑色を呈し、軟弱的な生育を示すことから比較的老化し難い面がある。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラでさぬきのめざめアスパラガス栽培香川県観音寺市(JA香川県高室支店)
藤原基宏さん

ハウスの前でハイ!ポーズの藤原さんハウスの前でハイ!ポーズの藤原さん観音寺市は香川県の西端に位置する市で西は瀬戸内海に面し、南は讃岐山脈を隔てて徳島県と接しています。気候は南の讃岐山脈や四国山地、北は中国山地の影響もあり、台風などの自然災害が比較的少ない所です。農業ではレタス・玉葱・セロリ・ネギなどの栽培が盛んです。
今回、お邪魔させていただいたのは高室支店管内で「さぬきのめざめ」「ウェルカム」の二品種のアスパラガス栽培をしていらっしゃる藤原基宏さんです。
藤原さんはアスパラガスの栽培を始めて20年になり、現在、963㎡のハウスで「ウェルカム」をグローマスターで750㎡のハウスで「さぬきのめざめ」をクリンテートEXで栽培されてます。

アスパラガスはウェルカム等の海外品種が主流でしたが、香川県では新品種ブランド『さぬきのめざめ』を1996年から育成を始め、2005年に品種登録をされたブランドです。
さぬきのめざめの特徴としては、(1)収量が多い(2)比較的低温に強く萌芽が早い為、早どり栽培が可能(3)穂先が固く締まっていて開きにくい為秀品率が高いことや夏期の高温時でも開きが非常に遅いこと、など数々の特性があります。また、やわらかくて味も良いとのことです。
以前は農ビの利用をされていた藤原さんですが、風の影響を受け易い土地柄でもある事から破れにくい丈夫なPOフィルムに切替えていただきました。現在ではさぬきのめざめにクリンテートエクストラの0.13mmを3年程前から、ウェルカムにはグローマスター0.1mmを昨年から使用していただき、特にエクストラに関しては強度もあり、透明性も良いとおっしゃっていただきました。
最後になりましたが、お忙しい所で取材に御協力頂きました藤原さんありがとうございました。今後もクリンテートを御使用いただいてる藤原さんのアスパラ栽培の益々の御発展を期待しております。(香川県営業担当 天竺記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテート梨地で良質のほうれん草を栽培熊本県阿蘇郡小国町(JA阿蘇)
宇都宮 昭三さん

ほうれん草ハウス内での宇都宮さんご一家ほうれん草ハウス内での宇都宮さんご一家小国町の中心地区の標高は約350m。熊本と大分の県境の地域で、久住連峰の恵みを受け、真夏でもさわやかなところです。
今回はこの小国町でほうれん草を中心に栽培されている農家を紹介させていただきます。
宇都宮昭三さん照美さんご夫妻と跡取りの正昭さんは、小国町の中心よりまだ、100mほど標高の高い地域でほうれん草2.5反、アスパラガス1.5反の雨よけハウス栽培を行われています。小国地域はほうれん草の栽培が盛んで、ご主人の昭三さんは3年前まで、ほうれん草部会の部会長をされていました。私が始めて昭三さんとお会いしたのは4年前の夏のころです。

当時、温暖化の影響からか、小国地域も夏の温度が高くなり、ほうれん草栽培が難しくなってきていて、夏はほうれん草から春菊に作物転換される農家が増えてきていました。夏場のハウス温度を少しでも下げることが出来ればとのことで、クリンテート梨地をテストすることになりました。8月下旬にフィルムを展張しましたが、ハウス内の最高温度が2度程度下がり、良好な結果が出ました。
翌年の梅雨時期、雨上がりの強い日照でもほうれん草が弱らずしっかりとしているとのことで、収量に大きな差がでて、ハウス内の温度が下がり、作業的にも楽になったとの評価もいただきました。お蔭様で、ほうれん草には梨地が定着してきました。今年度は、梨地からグレードアップした新発売のクリンテートシルキィをおすすめし、お使いいただいております。これからも、クリンテートをよろしくお願いします。なおアスパラガスのハウスでは紫外線カットタイプのクリンテートGMもお使いいただいております。
余談ですが、阿蘇地区では牛をハウスで飼育する農家が増えています。宇都宮さんの牛も、クリンテートのハウスで飼育され育っています。(熊本県営業担当 中山記)

NO.38春季号 2009年3月1日発行

秋田県オリジナル野菜品種の開発と普及状況秋田県農林水産技術センター農業試験場
野菜・花き部 主任研究員 椿 信一

はじめに

表1 農業試験場育成の野菜品種表1 農業試験場育成の野菜品種 秋田県はこれまで稲作中心の農業生産構造が続いていましたが、米価低迷著しい昨今、収益性の高い野菜等を取り入れた複合経営を確立していくことが重要となってきました。 そこで、野菜の生産拡大と産地育成にはオリジナル品種育成が有効と考え、農業試験場をはじめ、地域振興局や全農が一体となって品種の開発と普及を押し進めています。 これまでに農業試験場で育成した野菜の品種は(表1)のとおりです。なお、県外出荷を意識して、水稲の全国的な銘柄「あきたこまち」にあやかり、品種名に「あきた」または「こまち」が使われているのが特徴です。本稿では、この中からアールス系メロンについて紹介します。

「秋田甘えんぼ」シリーズ比較的夏期冷涼な本県の気象を活かして7月から10月いっぱいに収穫するアールス系メロンは県外出荷に有利な作目です。しかし、市販品種を利用しても、食味で高級メロンであるマスクメロンに及ばないため、単価も安く栽培面積が伸びていません。そこでマスクメロン並の食味で、他産地と差別化できる本県独自品種の育成を図りました。

  • 秋田甘えんぼ
  • 秋田甘えんぼレッド

夏系の「秋田甘えんぼ」(緑肉)、「秋田甘えんぼレッド」(赤肉)は8月中旬~10月下旬の出荷用で、春系の「秋田甘えんぼ春系」(緑肉)、「秋田甘えんぼレッド春系」(赤肉)は7月上旬~8月上旬出荷用です。いずれの品種も、草勢が強く栽培容易、果実の大きさが適度で球形に近く、ネットは密に発生します。糖度が高く、果肉はとろけるようなメルティング質でマスクメロンに極めて近い食味が特徴的です。つる割病(レース0、レース2)に抵抗性で連作できます。

おわりに現在、「秋田甘えんぼ」をはじめとして、これら育成品種の種子供給は県内に限られています。今後も引き続き県内限定で本県の地位を確立していくのか、あるいは、県外にも生産を促すことで知名度を上げていくのかを検討しなければならない時期にきています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートでバジル等のハーブ類とホウレンソウの周年契約栽培東京都西東京市(JA東京あぐり)
新倉 庄次郎さん

JA全農東京で園芸資材を長年担当され、クリンテートの取り扱いでお世話になっています山口有里さんに「がんばるクリンテート家族」として、新倉庄次郎さんの営農や園芸資材の取扱等について、投稿いただきました。
新倉さん(左)ち山口さん(右)新倉さん(左)ち山口さん(右)新倉さんは、東京都の西北部に位置する西東京市の西武線田無駅の近くで、5,000㎡を超える規模で施設園芸を営まれています。施設化は早く、1979年に定量・定品質の安定出荷をめざし、導入されました。
現在の施設構成は、簡易トンネルハウス(ベトコンハウス)で2,170㎡、パイプハウスで830㎡、大型鉄骨ハウスで2,080㎡となっています。
当初の施設導入にあたり、投資額の少ない安価な簡易トンネルハウスの考案に関わられ、ベトコンハウスと呼ばれるようになりました。

作目の増大に伴い生育適温に合わせた施設形式を選択されており、一部には保温力の高い大型鉄骨ハウスの加温栽培も行なわれています。
ベトコンハウスでは、導入当初、経済的負担軽減のためアーチスパン延長・母屋数の削減・妻面資材省略等の低コスト化を模索したものの数々の強風被害を経験するなかで、強度にも優りまた好適な栽培環境を最大限発揮できる施設形式を取り入れられ、今日に至っています。
軟弱葉物野菜(コマツナ、ホウレンソウなど)の栽培は、換気が命といわれるほど施設内換気が重要視されています。いかに換気能力を増強するかに気を使われて、多連棟化を避けられています。したがって、新倉さんはベトコンハウスについて、妻面換気向上のため作業性を犠牲にして奥行き20mに統一されています。
新倉さんは、農ビ全盛時代の当初から一貫して農POのクリンテートを展張しており、十数年前に一度だけ光線選択性農ビを数棟に使われたことがありましたが、クリンテートの耐候性に慣れていて物足りないとクリンテートに切り替えられた経過もありました。
近年はフィルム更新作業の軽減化のため大型施設を中心に中長期展張フィルムのクリンテートエクストラ(EX)および紫外線カットのエクストラユーブイ(EXUV)を展張されています。また、ベトコンハウスには、クリンテートユーフォー(UFO)や紫外線カットフィルムのクリンテートグローマスター(GM)などを使い分けられています。
東京都は温暖な地域であり、施設園芸はもともと雨除け施設的な用途で導入されており、十数年前からオール農PO化しています。
強度に優れるとして強風地区(50m/s超)の伊豆諸島での評価も高く、都内(内地)では農ビに比しても防塵性に優位であり、クリンテートの普及が加速し、またバンドレスハウス化の施設建設におおいに貢献したところです。
今後、サンテーラ(株)のクリンテートには、他社品農POの台頭が顕著であり、さらなる防塵性の改良を期待したいものです。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで良質なミズ菜を安定出荷茨城県 鉾田市(JA茨城 旭村)
大久保 努さん

鉾田市は、メロン、ミズ菜、甘藷、ゴボウなど算出額日本一の地域であり、その他にも苺、トマト、人参、大根、山芋、パセリ、ほうれん草は算出額が県内一といった農業のとても盛んな地域です。その鉾田市で、現在、葉物のハウス栽培をされている大久保さんを訪ね、お話を伺いました。
私の家は親父の代より、春メロンと抑制栽培でアールスメロンの組み合わせで30年近く作りつづけてきましたが、連作障害(ツル割れや根腐れなど)の発生が目立つようになった為、5年前よりミズ菜の周年栽培に切り替えました。
当初は葉物だからと安易に考え、ハウスのビニールは使用したものがそのまま使え、厳寒期にはメロン栽培で使ったトンネル資材を再利用出来るとの思いでスタートしました。
しかし、梅雨時期を迎えると多湿が原因で病気が発生し減産になったり、夏はハウス内の温度が上がり過ぎる為、遮光ネットの投資など思った様にはいかず苦労いたしました。
2年目に入りアーチパイプの老朽化の為、3間ハウスを11棟建て替えた際に、風で破れにくく、保温力の高いフィルムを希望したところサンテーラさんよりクリンテートDXを勧められ、外張りは0.1mm、内張りは0.075mmを導入いたしました。
3年目にはバンドレスハウスを勧められ7棟を建て替えましたが、DXが気に入りましたので、全てDXを展張しています。
出口部会長ハウス内のいちご「さがほのか」ハウス内で収穫に励む大久保さん以前からのお付き合いがあり、他社のPO(2社)も使用しておりましたがDXを使用したハウスで作った方が生育が良く、収穫時期が早いことに気付き、改めてDXは優れたフィルムであることを実感いたしました。周年栽培をするにあたり、収穫期の遅れはかなりの痛手となり、安定出荷が出来ないと同時に減収に繋がります。園芸農家は価格だけではなく、良い品質の生産資材を見定める目が必要であることを再認識しました。
この地域は無加温ハウスの為、冬時期の安定出荷について相談したところ、内張りにも0.1mmを勧められ現在は外、内張り共にDXを展張し、周年栽培に取り組んでいます。

現在、大久保さんは、3間のパイプハウスを中心に60棟ほどを所有し、奥様、パートさん、そして中国からの研修生3名で毎日、収穫、出荷に追われる日々を送っておられます。
これからもクリンテートで良質なミズ菜づくりを頑張っていただきたいと思います。(全農いばらき 園芸資材センター 皆藤様 記)

クリンちゃんの豆知識

石油に代わるエネルギー源としてバイオマスエネルギーが注目されており、すでに実用化が始まっています。今回はバイオマスについて勉強します。
バイオマスとは、生物資源(バイオ)の量(マス)をあらわし、エネルギー源として再利用できる動植物から生まれた有機性の資源のことです。また、石油や石炭などの化石資源と対比して、「生きた燃料」ともいわれています。
バイオマスの種類はいろいろありますが、大きく分けると廃棄物系バイオマスと栽培作物系バイオマスに分かれます。
廃棄物系としては家畜の糞尿や森林の間伐材、家庭から出る生ゴミや廃油があります。栽培作物系としては糖質やデンプンの多いサトウキビやトウモロコシがあります。
これらのバイオマスを原料として得られるのがバイオマスエネルギーです。例えば家畜の糞尿からはメタンガス、サトウキビからはエタノールができます。バイオマスエネルギーは地球規模で見て炭酸ガスのバランスを壊さない(カーボンニュートラル)、永続性のあるエネルギーとして地球温暖化対策にも役立つと期待されています。
しかし、その一方で原料となる作物を増産するために森林を破壊して急激な開墾が進められたり、食べ物として食べられるものを燃料に替えることで、食料との競合が問題となっている面もあります。
その問題を避けるため、食材とならない原料から作るセルロース系バイオマスエネルギーについて実用化の検討が進められているところです。

NO.37冬季号 2008年12月1日発行

トマト低段栽魅培の力野菜茶業研究所 鈴木克己

1.低段栽培のメリットトマト低段密植栽培は古くて新しい技術です。1970年頃から研究が行われているので、またかと思われる方も多いのではと思われます。メリットとしてあげられることは、

  1. 栽培期間が短く繰り返し栽培を行うため、栽培技術の習得が早い
  2. データが得やすく、次作に応用可能
  3. 万一失敗しても一度リセットして次作で挽回可能であり、長期栽培と比べてリスクが分散する
  4. 季節に適した品種を栽培できる
  5. ハイワイヤ誘引などで必要な高所作業がない
  6. 栽培ベッドの調整により楽な姿勢で作業できる
  7. 高糖度トマトの生産が容易
  8. 周年栽培が可能である
  9. 現行の施設でも導入可能

等々があげられます。

比較的大規模で低段栽培に取り組んでいる生産者の多くは高糖度トマトの生産が容易なことに注目しています。周年栽培に取り組み多収を目指している生産者はまだまだ少数ですが、トマトの安定供給のためにも今後拡大することが望まれます。

2.高糖度トマト

色々なステージのトマトが計画的に栽培されている低段密植栽培による高糖度トマトの栽培風景色々なステージのトマトが計画的に栽培されている
低段密植栽培による高糖度トマトの栽培風景
糖度トマトをつくるには強いストレスをかけて栽培糖度トマトをつくるには強いストレスをかけて栽培する必要がありますが、栄養生長を続けるトマトに強いストレスをかけると生長点に悪影響を与え、生育が遅延し尻腐れ果が発生してしまいます。 低段栽培の場合、摘心するため栄養生長を気にせず、果実肥大に特化してストレスをかけることができます。研究成果も加わ り色々なストレスを利用して高糖度化する技術が開発されています。 養液栽培では高濃度の養液を使い、ストレスをかけることで高糖度トマトが生産できます。低段栽培では果実の肥大に合わせて養液濃度を上げていくことで尻腐れ果発生を回避し、計画的に高糖度トマトの生産が可能となります。

通常のトマトでも栽培が難しい夏期高温下や低温寡日照期には問題が残されていますが、育苗を集中的に管理でき、果実肥大に生育ステージが限定される低段栽培の方が対策技術を導入しやすいと考えられます。

3.デメリットと解決策一方低段密植栽培のデメリット(括弧のなかは解決策と進行中の研究状況)ですが、

  1. 計画性(天候などで栽培期間などがずれると計画が崩れ全体の作業に大きく影響する。複合環境制御、データ収集、パソコンを使用したデータ解析とシミュレーション)
  2. 計画的な苗の確保(閉鎖型苗生産システムが販売されてことで解決されつつある)
  3. 種苗代(クローン苗の検討)
  4. 育苗スペース(大きな面積と施設が必要、密植育苗用の専門システムの検討)
  5. 本圃での栽培システム(普及しているものもある。現在も色々検討中)
  6. 作業性向上(密植のため管理作業などがやりにくい。ロボットの応用)

などですが、解消するため研究が現在精力的に進行中です。

4.おわりに9月末に三重大学において平成20年度の園芸学会が開催されました。様々な野菜の発表の中に、トマト低段密植栽培に関連する研究発表が約10課題もありました。JA全農営農・技術センターからも第3報の研究発表があり、着実に技術開発が進んでいる様子が伺えました。研究だけのブームで終わることなく、日本型の技術として完成するために、本誌31号でも紹介のあったスーパーホルト・プロジェクトなど産官学一体となった取り組みが必要だと考えています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXの流滴性と保温性の良さを実感!北海道北見市訓子府町(JAきたみらい訓子府支所)
雅楽川 英行

訓子府町は北海道の東北部オホーツク海地方の内陸にあり、北見市の隣に位置します。町の西部には大雪山系の山並み、南東方向には阿寒の山々が見え、四季折々の風景が織り成す模様はとても綺麗です。
気候は盆地特有の寒暖の差が大きい内陸型で、日照時間は全国有数の長さの為、農作物には最適な気象条件です。訓子府町の基幹産業である農業は玉ねぎ、訓子府メロン、水稲、馬鈴薯、小麦、てん菜、酪農を主要作物としています。
中でも玉ねぎの収穫、出荷量は全国トップレベルのシェアを誇っております。今回、お邪魔させていただいたのはその玉ねぎ栽培を専門に行なっている雅楽川(ウタガワ)英行さんです。雅楽川さんの栽培面積は11ha(特別栽培3ha)育苗ハウス600坪と、玉ねぎだけで大変大きい面積を所有していらっしゃいます。
玉ねぎの収穫作業真っ只中の雅楽川さん玉ねぎの収穫作業真っ只中の雅楽川さん雅楽川さんがクリンテートDXを使用されたのは昨年12月、玉ねぎの越冬育苗ハウスでした。
雅楽川さんはそれまで使用していた農POよりもハウス内温度が高く、育苗作業が2月の極寒時期から始まるため、保温性に優れた農POがあればと求めていらっしゃいました。今回初めてクリンテートDXを使用して、その保温性に納得の様子でした。
また、「ポット培土オニオンエース」を使用されている為、今までは水滴のボタ落ちに困っていましたが今回使用したクリンテートDXは流滴性も良く、ボタ落ちも解消され、この培土に適しているので次回更新時には、クリンテートDXを使用するとのお言葉をいただきました。

さらには仲間にもクリンテートDXを薦めようと思っているとのありがたいお言葉も合わせていただけました。今は、資材の高騰でコストが上昇している為、使用年数を延ばしても、強度・透光性・流滴性の効果が低下しづらい資材の開発、提供を期待するとのコメントをいただきました。最後に雅楽川さん、これからもクリンテートを宜しくお願い致します。この度は玉ねぎの収穫作業で大変お忙しい中、お時間を割いていただき誠にありがとうございました。今後とも益々のご活躍を祈念しております。(北海道営業所 茂木記)

がんばる!クリンテート家族
「山形県JAそでうらをたずねて」
-キュウリ「フリーダム」の契約栽培で農家の安定収入確保-

JAそでうらは、山形県北西部に位置し、南は鶴岡市と三川町、北は最上川を挟んで酒田市街地に接し、背景の眺望には鳥海山がそびえます。JA営農指導員の土井ひろみさんに、キュウリの契約栽培による野菜部会の取り組み、契約栽培メリット、苦労話などを聞かせていただきました。
平成15年秋、ある青果卸(株)から、イボなしキュウリ「フリーダム」の契約栽培の話があり、早速、野菜部会のメンバーに働きかけ、平成16年2月から7名の賛同者で栽培を開始しました。現在では40代から70代の28名まで栽培農家が増えてきました。
契約栽培キュウリ「フリーダム」契約栽培キュウリ「フリーダム」そでうら地区は、日本海の海風と東風が強い地帯であり、砂丘の砂が舞い上がるため、フリーダムの薄い皮を傷つけないように全てハウス栽培で進めています。
契約栽培のメリットとしては、市場出荷の14規格に比べて、2規格と少なく、選果作業の負担が少ないことや価格があらかじめ決められていることに加え、段階的な値決めで余剰分も出荷できるなど農家にとって安定収入が得られるという安心感があります。

一方、契約栽培といっても他県産地とのリレー形式であるため、他産地の出荷が終わらないうちに出荷となる厳しい契約であり、春・夏・秋の3段階の栽培スケジュールを組んでおり、出荷のピークは6月と9月です。8月は、200ケース以上の出荷量を求められており、取引先への要望に応えるために、JAと契約農家とは、細心の注意を払った作付け計画、栽培・品質管理、農薬の適正使用などの取組みを実施しています。
キュウリ栽培管理中の生産者キュウリ栽培管理中の生産者「求められる時期」に「必要な量」を用意して、取引先との信頼関係をより強固にし、今後の取引量の拡大・継続を目指しています。
JAでは、日常的に栽培履歴の提出や出荷物についての事前分析などを実施しており、農家との信頼関係は深いものがありますが、土井さんは、県農業技術普及課の方々とも連携し、農薬の適正使用などの安全安心な農産物の栽培指導のための農家巡回指導や栽培技術の講習会など精力的な活動をされています。
JAの一層飛躍を祈念しつつ、土井さんの今後のご活躍を期待しています。(東京営業所山形営業担当 関戸記)

クリンちゃんの豆知識

お隣の国、韓国の食文化についてご紹介します。韓国料理といえば焼肉を思い浮かべるかもしれませんが、ほんとうは野菜をたくさん食べている国です。
栽培野菜だけでなく山に自生する山菜、野生の青菜等、野菜の種類が様々で、センチェ(生菜)、サム(野菜巻き)、ナムル(和え物)、キムチにして季節ごとに食卓を彩っています。 焼肉でも、サンチュなどの生葉に肉を巻いて食べるように、実は肉の何倍も野菜を食べています。
昔から「薬食同原」の食観念のもとで生姜、桂皮、ヨモギ、五味子、枸杞、ツルニンジン、キキョウ、ハトムギ、カリンの実、ザクロ、柚子、高麗人参など、薬として使われる材料が料理に多く利用されているのも特徴です。
調味料と香辛料も「薬念」といって葱、ニンニク、生姜、唐辛子、胡麻油、胡麻塩等が薬のような効能があるものと考えられてきました。
韓国の季節料理は人間と自然との知恵深い調和をなすもので、栄養的にも科学的なものが多いといわれています。例えば、陰暦の正月15日にクルミを割って食べると一年中腫れ物ができないというのは、必須脂肪酸が不足する時期に皮膚のただれや湿疹を防ぐのに効果的であるという科学的裏付けがあります。また立春には新春に芽吹く香菜を調理して食べることにより、春を迎える気持ちだけでなく、生野菜が不足していた冬を過ごした後、ビタミンCを補充するという合理的食習慣であるといえます。
ところが韓国でも食の欧米化が進み、伝統野菜の作付面積や国内消費は減少傾向にあります。一方で国の施策によって野菜の輸出は増加しており、パプリカ、トマト、きゅうり、いちご等の施設野菜が大規模に栽培され、これらの輸出先は日本が突出しています。
「薬食同原」と並び、「身土不二」は、俗に住んでいる所の一里四方の物を食べて暮らせば健康でいられるという昔からの食の思想です。大事な思想もしっかり取り入れたいですね。

NO.35夏季号 2008年7月1日発行

全農安心システムの利用と消費者の信頼確保 II
-生産者と消費者をつなぐ情報の連携とは-
JA全農農畜産物検査認証事務局

前号では、1.全農安心システムとは、2.全農安心システムの認証状況、3.全農安心システムにおける検査とは、について掲載しました。ここでは、前号に続き掲載しますが、今号で初めて読まれる方のために前号の要点を少し記述します。

1.全農安全システムとはJA全農グループでは、産地と消費者を信頼で結ぶ仕組みづくりとして、平成12年度より「全農安心システム」の導入を進めています。

図1 全農安心システムの仕組み(青果物)図1 全農安心システムの仕組み(青果物) 全農安心システムは、「誰が、どこで、どのように作ったのか」がわかるように、商品と情報を消費者にお届けする仕組みです。また、「検査・認証」制度を導入することで、これらの情報の正確性を客観的に評価し、情報の発信と履歴の遡及ができる体制を実現することで、消費者の安心に繋げることをねらいとしています。 実際には、JA全農グループが提供する農畜産物について、産地と取引先との結びつきの中で生産基準の合意をはかり、その内容に沿って工程管理や情報管理を行います。さらに、その工程管理や情報管理の体制について、第三者が検査と審査を行い、その報告にもとづいて、JA全農が認証します。(図1 青果物の仕組み)

2.全農安心システムの認証状況平成20年3月末時点で認証を取得している生産グループおよび施設の件数は、産地が191件で、関連加工場が79件で、合計270件となっています。

3.全農安心システムにおける検査とは全農安心システムにおける検査は、

  1. 取引先と合意した生産基準があり、生産者に徹底され、実施できる体制があるか
  2. 生産工程や集出荷の記録が記帳されているか
  3. 各工程の責任者が明確で、危機管理や内部監査の体制があるか
  4. 全農安心システム商品と他の商品がきちんと分別管理されているか
  5. これら一連の情報が保管され、追跡することができるか

を確認するために実施します。

具体的には、産地(JA)からの申請に基づいてJA全農(農畜産物検査認証事務局)が外部検査員を派遣し、検査と確認を行ないます。この検査内容を、JA全農が委託している審査機関で審査され、審査機関からの認証推薦の判定が得られて初めてJA全農が認証書を発行します。

4.「生産履歴記帳運動」と連携した取組み全農安心システムで対象となる生産グループは、通常、JA内で組織されている生産部会が主体になります。情報の信頼性を高めるために、各生産者が作業内容を栽培日誌に記載し、JAがその内容を集荷前に点検し、取引先と合意した基準に合致しているか確認することが大切です。

こうした体制をつくることで、仮に基準に逸脱する収穫物があったとしても、集出荷の段階で対象から除外することが可能になります。

また、平成18年5月29日からポジティブリスト制が施行され、農薬のドリフト(飛散)対策が課題となっています。全農安心システムでは、「記帳を中心とした活動記録を残すことにより、適正に農薬使用をしたことを証明」することが、工程管理による信頼性の確保として効果的であると考えます。そのため、従来の生産履歴記帳運動に加えて、近隣作物の見取図、種類等を記載した圃場台帳の整備、各生産者が実施したドリフト対策をチェックする「適正防除に関する生産者自己点検シート」の記帳も合わせて進めています。

各地で生産履歴記帳運動が展開されていることは周知のとおりですが、これらの記帳は産地の信頼性を高めることは勿論、その産地において、次作の営農活動に積極的に活用されるべきものであると考えます。

5.生産ロットと情報管理の考え方全農安心システムの場合、複数人の生産グループ(部会)が対象になります。

情報管理の面では、個人選別はともかく、共選場において共同作業で選別される場合は、一部品目を除いて個人管理は現実的に不可能であるため、各生産者の収穫物が、同一の生産基準(栽培暦)やグループ内で認知された生産資材をもとに栽培されたものであれば、これらを一つのロットとして扱うことを基本としています。従って、全農安心システム対象者の収穫物のみが選別段階で混在することを前提に、収穫物の個別管理は求めません。

つまりJAが受入れの前段で、栽培日誌の内容を確認し、取引先と合意した基準に合致しない(または、対象とならない)収穫物を区分できることが必要です。

産地では、JAが中心となって栽培日誌、防除日誌および集出荷記録などの情報を管理しています。これらの情報は日々、生産者単位で詳細に蓄積され、取引先の求めに応じて迅速に開示すべきもので、また、クレーム等の問題が発生した際には、その原因究明のための資料ともなります。この様に、全農安心システムでは、「いつでも問合せに応じられる情報管理体制」が重要な要件であり、それがトレーサビリティの根本でもあると考えます。

6.情報開示の考え方情報をすべて日常的に消費者に提供することだけが情報開示だとは考えません。

ホームページによる情報開示では、産地の詳細なデータを掲示するのではなく、その農畜産物に関する「一般情報」の提供に主眼を置いています。具体的には、「産地概要」、「生産者リスト」、「栽培基準(栽培暦)」、「栽培記録(栽培日誌の一例)」、「農産物の作り方」等です。

中でも消費者にその産地を知ってもらい、また栽培環境を理解してもらうことが大切で、その意味で「農産物の作り方」の紹介は重要と考えます。

しかしこのことは、農産物の情報開示の難しさと密接に関連します。可能な限り環境負荷の少ない農業を目指すものの、現行の栽培技術においては、各産地の気象風土に応じて品質や収量確保の面で一定量の農薬散布は不可欠であり、こうした実態をいかに明確に分かりやすく説明することが何よりも必要と思われます。

7.最後にこの取組みは決して最初から有利販売を目的としたものではなく、全農安心システムを通じて販売先を明確に結びつけ、消費者に「商品」とともに「安心」をお届けすることにより、継続的に売場を確保し、安定取引に繋げることを狙いとしています。

したがって、参画する生産者の方々にこの点の理解が得られるかどうかが、取組みの成否を握ると言っても過言ではありません。また、この取組みは、単なる産地情報の発信に留まらず、消費者との相互交流を目指し、相互の信頼関係の構築をはかっていくものです。

全農安心システムは、取組み8年目を迎え、認証品目も多岐に渡ってきましたが、まだまだ数量的には少なく、消費者の十分な認知を得るまでには至っていません。今後もさらに品目・取引先拡大を目指し、売場での販売促進や情報提供を強化しながら、消費者のさらなる信頼確保をはかっていきます。この取組みが、産地の振興の一役となることを期待します。

がんばる!クリンテート家族
『クリンテートエクストラ』でコストダウン環境にも配慮した、ミニトマト作り静岡県 菊川市(JA遠州夢咲)
山田 義行 さん

JA遠州夢咲のある旧小笠郡5町は、静岡県でも有数の茶処で、またレタスを中心とした野菜の栽培やイチゴ、メロン、トマトなどの施設園芸も盛んな地域です。
トマトハウスでの山田さんトマトハウスでの山田さん今回はそのJA遠州夢咲管内でミニトマト栽培を営まれている山田義行さんを紹介します。
山田さんはまだ農ビが主流であった20数年も前に農POフィルムの"軽くて強い"という特性に興味を持たれ、それをきっかけにクリンテートを導入されたそうです。
ノーバンドで使用できるので当時から農POの擦れに弱いという弱点にはあまり 気にせず、まずは農ビより軽い事が気に入ったそうです。その為、なんと、風の無い早朝にひとりで張り替えしてしまう事もあるそうです。
また張替えサイクルも延びてコストダウンが図れたとの事。昨今の燃料費高騰に頭を抱える中、高保温で長期展張タイプのクリンテートエクストラを使うことで、更なるコストダウンに努め、廃プラの排出量を削減する事で環境にも配慮していきたい、との事でした。

現在、山田さんは大型の屋根型ハウス4棟を中心にクリンテートエクストラの厚み0.13mmを展張され、奥さんと数名のパートさんを入れて収穫に忙しい毎日を送っておられます。勿論、農POの特性である散乱光とクリンテートの紫外線透過性の高さから、ミニトマトの色付きも味も最高とのこと。
作業場には収穫したばかりの真っ赤なミニトマトで溢れていました。
出荷先は主に首都圏との事ですが、口コミで山田さんのハウスを訪れる方もいらっしゃるそうです。私もその内のひとりです。
(静岡県営業担当 鈴木記) 

クリンちゃんの豆知識

今回は「道の駅」と直売所のお話です。
国土交通省により登録された「道の駅」とは、道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の人々のための「情報発信機能」、「地域の連携機能」を併せ持つと定義されています。国や県が基本的な施設である駐車場やトイレを整備し、市町村、またはそれに代わり得る公的な団体(ほとんどは第三セクター)が地域側施設を設置する形が取られています。
1993年から登録がスタートして毎年増え続け、2007年8月時点でその数は868件にもなっています。その急成長の理由は、単なる休憩所を超えた魅力が評判を呼び、利用者の拡大やリピーターを生み出すことで地域の活性化に有効であることが認められたからでしょう。
「道の駅」といえば農産物の直売所が欠かせません。利用者にとっての楽しみのひとつは、その土地ならではの「食」を見つけることです。評判を聞いて遠くからわざわざ買いに来る人や、農産物の旬に合わせて季節ごとにやってくるリピーターもたくさんいます。
直売所では、地域の農家さんが採れたての新鮮な野菜を自分で商品棚に並べている姿をよく見かけます。並べられた野菜の中には、スーパーでは見ることのない規格ハズレの大きさや形のものもあります。でもそれが自然の、野菜本来の姿なのだと改めて気付かされます。
市場流通と比べて価格もお手ごろで、買う人にも、売る人にも、うれしいしくみができています。ただし、直売所のしくみが成り立つのは、小規模地域だけの限界があります。その地域サイズと「道の駅」のエリアがぴったり一致しているわけです。
そうして直売所と「道の駅」は、「地産地消」「スローフード」「安全・安心」にこだわる利用者の人気を集めて、これからも重要な役目を担って発展していくことでしょう。

NO.39冬季号 2008年6月1日発行

夏秋イチゴ東北農業研究センター 夏秋どりイチゴ研究チーム
森下昌三

「農研機構」の紹介パンフレットの東北農業研究センターの所で「夏秋どりイチゴの生産技術~短日処理のみで9~11月どり」が研究紹介されていました。今後、イチゴの端境期の夏秋期のイチゴ生産技術が注目されますので、越年苗を利用した夏どり(7、8月)栽培や温度・日長条件に係わらず、花芽分化して夏秋どりができる四季成り性品種「なつあかり」「デコルージュ」を開発された東北農業研究センターの森下先生に原稿をお願いしました。

我が国のイチゴは冬春イチゴと夏秋イチゴに大きく分けることができます。冬春イチゴはハウスイチゴとも呼ばれ、11月から翌春の5月頃まで保温あるいは加温された施設内で生産されるイチゴを指します。我が国で生産されるイチゴの大部分がこの冬春イチゴです。

一方、夏秋イチゴは冬春イチゴの出荷が終わる6月頃から出荷を始め、冬春イチゴの出荷が始まる11月頃に出荷を終える、いわゆる冬春イチゴの出荷の端境期を埋めるものとして1990年代に登場したイチゴ栽培です。イチゴは高温に弱く、我が国では夏秋期の生産が難しいため1900年代後半まではほぼ全量を海外から輸入していました。その量は年間およそ5,000t。おもにアメリカから輸入して、洋菓子メーカー等に供給されていました。

平成18年度夏秋どりイチゴの作付面積(栃木県調べ)平成18年度夏秋どりイチゴの作付面積(栃木県調べ) 夏秋イチゴの価格は冬春イチゴの2~3倍と高いことから生産者の関心は高く、たびたび国内でも栽培が試みられましたが、収量が安定せず定着しませんでした。 1990年代に「ペチカ」等の優良品種の育成と販売流通システムの確立によって寒地・寒冷地を中心に徐々に普及しました。夏秋イチゴの作付面積はおよそ80ha(2008年)あり、そのおよそ半分を北海道、残りの半分を東北、長野、徳島等が占めています。 生産量は農林統計調査がないために正確な数値は不明ですが、作付面積から1,500t程度と推計されます。完全自給には一層の面積拡大が必要であることから農家や自治体の関心は高く、試験研究機関には作柄の安定に向けた技術開発が求められています。

高設での栽培高設での栽培 イチゴの生育適温は15~20℃ですが、これを超えると果実が小玉化したり、軟らかくなります。また酸含量が高くなって食味が低下します。 夏秋イチゴ栽培は暑さとの戦いでもあり、産地が北海道、東北や高冷地に集中しているのはこのためです。夏秋イチゴの生産安定とさらなる面積拡大には遮熱対策が不可欠であり、効果的で安価な遮熱資材の開発が期待されています。

がんばる!クリンテート家族
『クリンテートエクストラ』で施設菊を栽培静岡県 湖西市(JAとぴあ浜松)
松井 良裕 さん

静岡県の西の端、湖西市は古くは東海道の宿場町として発展し、現在は自動車関連を中心とした県内有数の工業の町であり、また花卉、野菜、果樹栽培も盛んな園芸地域です。
今回はこの湖西市(JAとぴあ浜松)で施設菊栽培をされている松井良裕さんを紹介します。
立派に栽培した菊に笑顔の松井さん立派に栽培した菊に笑顔の松井さん施設菊は一般的に〝電照菊〟と言った方が分かりやすいかも知れません。
電照菊とは、菊は日照時間が短くなると花芽を形成し、やがて蕾となり開花する事から、花芽を形成する前に人工的に光を当てて開花時期を遅らせる抑制栽培方法です。松井さんは、JAとぴあ浜松施設菊協議会に所属、周年栽培で年約2.5作栽培し、奥さんと息子さん、それから数名のパートさんと共に忙しい毎日を送っておられます。

10年程前にそれまでの農ビに代わり他社の農POを使用されておりましたが、5年前から一部のハウスにクリンテートを展張し、昨年、張替え時期が来た事とJAの奨めもあり所有される4ヶ所の屋根型連棟ハウス約50aすべてを厚み0.13㎜の『クリンテート エクストラ』に張替えられました。
実際に張替えをされた息子さんは、それまでの厚み0.15㎜より軽い為、比較的楽に作業ができたそうです。勿論、薄くなってもフィルム強度や保温性は充分確保されていますので安心してご使用いただいております。
松井さんの施設菊は冠婚葬祭の業務用として、JAとぴあ浜松花卉営農センターを通じて、主に京浜方面を中心に、大阪や遠くは北海道、東北方面へも出荷されているそうです。
松井さん、これからもクリンテートをよろしくお願いいたします。また、益々のご活躍を祈念しております。(静岡県営業担当 鈴木記)
 

がんばる!クリンテート家族
クリンテートデラックスでのあまおう栽培福岡県久留米市城島町(JA福岡大城)
原 秀清 さん

JA福岡大城は九州随一の大河筑後川流域で筑後平野の南側に位置し、今では全国的なブランドとなった「あまおう」の一大生産地です。
そこで、約40年いちご栽培一筋に努力して来られたのが、今回ご紹介するいちご部会長の原 秀清さんです。原さんがいちご栽培をスタートさせた約40年前は、今の様な園芸用パイプハウスは無く、また、有っても高価だった為、鉄パイプと竹を交互に使いコストダウンを図りながらのスタートだったそうです。また、今のような加温機は無かった上、夜間の保温を重視する作物の為、ハウス内に竹でトンネルをする2重被覆が主流だったそうです。
現在は、約50mの3連棟ハウスを2箇所と単棟ハウス2箇所の計約2,400㎡で「あまおう」栽培に尽力中です。
今までは、ハウスフィルムには農ビのみを使用されて来られましたが、JA福岡大城城島生活資材館の野口店長のすすめで、今期初めて、「クリンテートデラックス」を試験的に導入いただきました。

導入の動機は、農ビと違い、展張後に傷等が入った場合、「クリンテートは、裂け難い」という事と、フィルムの保温性は農ビと同等で「軽い」というのが導入の動機だったそうです。
あまおう収穫中の原さんあまおう収穫中の原さん実際に使用されての感想は、まず、いちごの出来具合に関しては、農ビと同等で色つき等も問題ない事と、今年の春一番の突風時に、農ビは裂けないかが心配だったが、「クリンテート」は外気による伸縮が少ない分、多少バタついたが、裂ける心配が無かったと言われておりました。
さらに、農ビと比較して軽量な為、展張・今期栽培終了後のフィルム除去作業時の労力軽減になると期待されております。今後は、コスト・作業性の面で有利なクリンテートが広がるのではとの嬉しい声も聞かれました。原様には、今後の「あまおう」栽培による福岡施設園芸の一翼を担って行かれると共に、原様の農業経営が益々ご発展して行かれるようご祈念申し上げます。(福岡県営業担当 谷川記)

クリンちゃんの豆知識

チベット高原チベット高原植物の根は、通常は人の目に触れないため忘れられがちですが、養分や水を吸収したり、植物体を支える以外にも、とても重要な役割をもっています。
地球温暖化の対策として炭酸ガス濃度を減らすための取り組みがいろいろありますが、そのひとつとして積極的に植物を植えることも行われています。植物は体を作るための原材料として炭酸ガスを吸収するからです。
このとき、植物として着目されているのは森林を形成する樹木です。地上部分が大きくなるため、生長する際にたくさんの炭酸ガスを吸収させることができるからです。

しかし、実は小さな草で形成される草原も、森林に匹敵する炭酸ガスを蓄積しているという報告があります。樹木の地上部と地下部(根)の比率は、5:1ですが、草の場合は逆に1:5と考えられています。草の根や地下茎は樹木よりも発達しており、吸収した炭酸ガスの多くがこの地下部に蓄えられます。
表 森林・草原などの面積と炭素蓄積量表 森林・草原などの面積と炭素蓄積量
Land Use, Land-use Change, and Forestry,
a special report of the Intergovernmental Panel on Climate Change(2000), P4.より

大きな樹木が育てられない寒冷地・乾燥地の草原を保全し、砂漠化したところを再び草原に戻すことは、炭酸ガス濃度の上昇を抑えるためにも重要と考えられます。
引用:独立行政法人 国立環境研究所ニュース21巻6号「陸域の炭素収支における草原の役割」

NO.34春季号 2008年4月1日発行

全農安心システムの利用と消費者の信頼確保 I
-生産者と消費者をつなぐ情報の連携とは-
JA全農農畜産物検査認証事務局

連日、マスコミでは「食の安全」に関する報道がされていますが、全農では、8年も前からお客様と生産者を結ぶ信頼の仕組みづくりとして、「全農安心システム」に力点を置き、取り組まれています。
そこで、全農安心システムの内容と取り組み状況などを2回に分けて紹介させていただきます。

1.全農安心システムとはJA全農グループでは、産地と消費者を信頼で結ぶ仕組みづくりとして、平成12年度より「全農安心システム」の導入を進めています。

全農安心システムは、「誰が、どこで、どのように作ったのか」がわかるように、商品と情報を消費者にお届けする仕組みです。生産者と消費者を商品と情報で繋ぐために、生産・流通・保管・加工・販売などに関わる情報が連結する仕組みづくりを行ないます。

また、「検査・認証」制度を導入することで、これらの情報の正確性を客観的に評価し、情報の発信と履歴の遡及ができる体制を実現することで、消費者の安心に繋げることをねらいとしています。

実際には、JA全農グループが提供する農畜産物について、産地と取引先との結びつきの中で生産基準の合意をはかり、その内容に沿って工程管理や情報管理を行ないます。さらに、その工程管理や情報管理の体制について、第三者が検査と審査を行い、その報告にもとづいて、JA全農が認証します。(図1青果物の仕組み)

図1 全農安心システムの仕組み(青果物)図1 全農安心システムの仕組み(青果物) 全農安心システムは、JA全農グループが販売責任を負える直販ルートを通じて結びついた取引先へ、商品と情報を提供する取組みであるため、産地認証だけでなく、青果物については、JA全農グループ関連の5つの直販施設も同じ仕組みで認証を取得しています。(JA全農青果センター株式会社東京センター・大和センター・大阪センター・全農越谷青果株式会社・株式会社全農中日本センター) これら直販施設においては、全農安心システム認証産地の品物を一般品と明確に区分して受入れ、小分け・加工する際も、その取扱いと履歴管理を適切に行うことができ、産地から流通・加工段階まで、一貫した履歴遡及の体制を実現しています。

最終工程まで認証を受けた商品には、「全農安心システム認証マーク」を貼付して販売することができます。このマークは、消費者に対して(1)定められた生産方法に基づき生産され、(2)生産・流通・加工履歴が遡及できること、を示しており、いわゆる品質保証やブランド性を謳っているものではありません。通常、商品(または店頭POPやチラシ類)には、このマークとともにQRコードやホームページアドレス等が記載され、消費者が産地や加工場の概要を知ることができます。

全農安心システムでは、取引先の合意を前提に慣行(一般)栽培を含めた作物全般が対象となります。なぜなら、この取組みは農薬や化学肥料の使用や回数の是非を問うものではなく、持続可能で環境負荷の少ない農業を目指しながら、法令順守のもとで生産資材を正しく使用し、その記録を正確に残して開示することが、消費者の信頼に繋がると考えるからです。

2.全農安心システムの認証状況平成12年度の取組み当初は、牛肉1産地、米4産地のみでスタートしましたが、その後、産地偽装の多発や無登録農薬問題等の発生で消費者の信頼が失墜する中、産地における情報開示の体制作りが急務となり、生産履歴記帳運動の展開とともに全農安心システムの導入産地も急増しました。平成19年12月末時点で認証を取得している生産グループおよび施設の件数は、産地が191件、関連加工場(小分け施設含む)が79件で、合計270件となっています。

3.全農安心システムにおける検査とは

図4 生産から販売までの流れ図4 生産から販売までの流れ 全農安心システムにおける検査は、
(1)取引先と合意した生産基準があり、生産者に徹底され、実施できる体制があるか(生産体制の確認)
(2)生産工程や集出荷の記録が記帳されているか(記帳体制)
(3)各工程の責任者が明確で、危機管理や内部監査の体制があるか(チェック体制の確認)
(4)全農安心システム商品と他の商品がきちんと分別管理されているか(分別管理体制の確認)
(5)これら一連の情報が保管され、追跡することができるか(情報管理体制の確認)
を確認するために実施します。

具体的には、産地(JA)からの申請に基づいてJA全農(農畜産物検査認証事務局)が外部検査員を派遣します。検査員はJAを訪問し、主に営農指導・販売部門の担当者からのヒャリングや資料確認を行ないます。原則、各生産者の圃場を訪問することはありませんが、集出荷場、共選場などの共同施設については、現地訪問して区分管理の状況を確認します。

この検査内容は報告書としてJA全農が委託する審査機関((有)リーファース;平成20年3月現在)に提出され、全農安心システムの認証要件に照らして審査されます。

産地と結びつく小分け・加工施設も同じ仕組みで検査と審査がなされ、審査機関からの認証推薦の判定が得られて初めてJA全農が認証書を発行します。なお、この検査は年1回実施され、毎年、産地や加工場の体制確認が継続されます。

がんばる!クリンテート家族
地球的視野に立ち一粒の種を蒔く熊本県南阿蘇村 有限会社 木之内農園
代表取締役 木之内 均さん

熊本の阿蘇より世界を見据え、日本農業の未来に真剣に取り組む会社、木之内農園と、創設者で代表取締役の木之内均さんを紹介します。
世界一の規模を誇る大カルデラ・阿蘇。今も噴煙を上げ続ける中岳をはじめ、高岳、烏帽子岳、根子岳、杵島岳の五岳が連なりその裾野からカルデラの外縁部をなす外輪山の間には千枚田と呼ばれる田園地帯が広がっています。そんな阿蘇の一角に木之内農園はあります。
ハウス栽培の苺、ミニトマトが3.5ha、牧場1ha、路地野菜9ha、水稲4.3haの面積で作物栽培を行い、生産にとどまらず加工、流通、観光(苺狩り、卵広い牧場)、教育、福祉、環境など幅広い視野にたっての農業農園作りを行っている会社です。教育においては、NPO法人阿蘇エコファーマーズセンターを設立、多くの農業独立経営者を育てられ、農業の未来を担う人材育成が行われています。
【社訓】
「地球的視野に立ち一粒の種を蒔く 仕事にほれ仕事を楽しもう 危機はチャンス
人並みなら人並み、人並み外れなら外れん 右手に夢を左手に算盤を持て」

【木之内農園基本方針】
「土つくり、作物つくり、人つくる」

農業の基本は土つくり、健康な土は生命力溢れる作物を育て、安全な作物は健やかな人を育てます。農業を通して人つくりに貢献します。
代表取締役・木之内均さんの人柄もあり、農業に憧れる若い人や、若い農家が集まり活気のある農業が行われています。
木之内さん自身も非農家出身で、川崎生まれの東京そだち、農業のきっかけは、小学校5年生のとき、ペットのための野菜作りから始まったそうです。大学は、熊本の九州東海大学に進まれ、海外留学(ハワイ、南米)をされ、日本で農業を行う決心をされたそうです。
南米留学(冒険)の話を伺ったことがあるのですが、冒険と呼ぶにふさわしいエピソードが多数あり、びっくりしてしまいました。その中の1つを紹介します。
ブラジルを放浪し、マナウスでのことですが、お金が無くなった木之内さんは、日系の農場に頼み込んで、野菜を集め、リヤカーに乗せ、売り歩いたそうです。南米の人は計算に弱く、暗算が出来ない。しかし、計算機を持たない木之内さんは、商品の合計や、つり銭の計算を暗算で行い、間違えないものだから、とても珍しがられ、見世物宜しく、わざと半端な金を出す人もいたそうです。
そんなある日、ヨーロッパの富豪から、アマゾンを遡り、ピラルーク(最大4mを超える淡水最大の魚、体重は200kgを超えるといわれる。)を捕ってきてほしい、報酬は1匹1,000ドルだ。といわれ、その場で引き受けたそうです。人夫を雇い、3~5日かけてアマゾン川を上流に上り、幸い雇った漁師の腕もよく、4匹のピラルークを仕留めたそうです。
そのとき1人の人夫の家によると、赤ちゃんが、栄養失調でどうしようもない状態だったので、ミルクを買ってやろうとすると、いらないと断られたそうです。なぜ?とたずねると、「あなたは、この子が育つまでのミルクを全部買ってくれるのか。ここでは母親の乳が出なければ、魚の煮汁しかない。これで育たないときは命に縁が無かったということだ」そのとき、ここで生きるとはこういうことなのかと思い、日本人でよかったと感じたそうです。
木之内社長と農園で働いている皆さん木之内社長と農園で働いている皆さん木之内農園さんとクリンテートの付き合いは長く、他社POを使われたこともありますが、やっぱりクリンテートが一番と、会員農家さんのハウスにも使用を勧めて貰っています。
木之内社長と木之内農園さんについては、もっと、もっと書きたいことが多いのですが、また次の機会に書きたいと思います。
木之内社長、これからも、クリンテートとサンテーラ宜しくお願いします。また冒険の話を聞かせてください。(営業担当 中山 記)

NO.33冬季号 2007年12月1日発行

岩手県における花き栽培状況、今後の展望について岩手県農業研究センター 園芸畑作部 花き研究室
主任専門研究員 川村 浩美

岩手県では夏季冷涼な気象を生かし、夏秋期を中心に出荷するりんどうと小ぎく等の露地栽培が主体となっています。以下に岩手県における花き栽培の現状と今後について紹介します。

岩手県の花き生産の現状平成元年以降の花き栽培面積並びに生産額の推移を図1に示しました。これによると平成に入り、栽培面積、生産額ともに大きな伸びを示していますが、平成10年度をピークにその後は漸減傾向しており、これは販売価格の低迷と施設栽培花きの栽培面積の減少が大きな原因と考えられます。平成18年度は生産額が上向きとなりましたが、気象条件等が幸いし、例年以上に需要期となったことによるものと推測されます。平成19年度も18年度と同様な傾向で順調な販売経過となっております。

図1 岩手県 花き栽培面積・生産額の推移
資料:岩手県農産園芸課調べ
図1 岩手県 花き栽培面積・生産額の推移

次に、品目別の生産割合を図2に示しました。前述のように、露地栽培のりんどう、小ぎくを主体に、この2
品目で全体の7割近くを占めます。

りんどうについては栽培面積、生産額ともに全国1位の実績で、長期の安定した出荷体制の構築に努めています。また、近年生産額を伸ばしている品目が露地小ぎくです。小ぎくの産地として市場からの期待も高まっており、10億円産地をめざし生産拡大をすすめています。一方で施設栽培品目としてはオリエンタルユリを中心としたゆり類、トルコギキョウ、ストック等、かつては生産を伸ばした時期がありましたが現在は減少傾向にあります。

図2 H18 花き品目別生産割合
資料:岩手県農産園芸課調べ
図2 H18 花き品目別生産割合

今後の展望本県では今後もりんどうを中心とした花き栽培を継続していく計画ですが、中心となるりんどうでは安定した物日出荷、施設等を利用した作期拡大、品種開発等による新規需要の創出等課題が残されています。

本県では、安定して物日出荷するために、開花期の異なる複数の品種を組み合わせて栽培していますが、当県は広大な県土を有し、気象条件が大きく異なることから、各地域に対応した品種構成が必要になります。そのため、品種開発の役割は大きいと考えられますが、露地栽培では気象の影響を受けやすく年次変動が生じやすいため、品種開発を進める一方でりんどうの生理、生態に基づいた開花調節技術の開発が望まれていました。

そこで、当研究室では平成19年度からりんどうの生理、生態の解明に着手し始めたところです。当研究センター以外の品種開発については、八幡平市(旧安代町含む)をはじめとする各産地で地域のオリジナル品種開発が独自に進められています。各地域のオリジナリティが発揮され、産地の活性化につながることが期待されています。

がんばる!クリンテート家族
強靭なクリンテートEXに絶賛大分県玖珠郡九重町
株式会社 大分ボール種苗センター

今回、ご紹介させていただきますのはクリンテートを5年前から育苗ハウスのほとんどに導入して頂いている株式会社大分ボール種苗センターさんです。
ドーム型ハウス(久住連山をバックに)ドーム型ハウス(久住連山をバックに)株式会社大分ボール種苗センターさんは、大分県西部の久住国定公園(通称、飯田高原)の中央部に位置し九州の軽井沢と言われるほど大自然に囲まれ夏場は登山や涼をもとめる観光客で賑わっている所です。それに昨年完成した日本一の長さを誇る吊橋「夢大吊橋」も同町内にあり秋の紅葉・春の新緑・夏の涼と地元の人はもちろんリピーター客でも連日賑わっています。
この地、飯田高原は標高が高く本州の長野県とほぼ同じだといわれています。そのため寒暖の差が激しく冬場は九州でも珍しい積雪地帯です、夏場の気温も30℃を超えることが少ないので、九州に居ることを忘れるくらい過ごしやすいところです。

その気候を利用して株式会社大分ボール種苗センターさんは、切花・鉢花・花壇苗・観葉植物の花きプラグ苗の生産を行われています。
栽培面積は、ドーム型ハウス約3,000㎡ 屋根型ハウス約6,500㎡を所有されています。なかでも屋根型ハウス3,500㎡は今年初めに全農大分県本部の設計管理の元、サンテーラ株式会社が施工を行い完成した最新設備を整えたハウスです。
冬場の施工となったため、積雪などの天候に悩まされ被覆の仮張りなどを行い大変苦労して出来上がったハウスですが、今となっては思い出深いハウスになり今後の施工にも自信を持たせてくれました。
ドーム型ハウスにはクリンテートMCとEXが展張してありますが、なかでも展張後5年を経過したMCは今年度から来年度にかけて張替えの計画を立ててあります。株式会社大分ボール種苗センターさんもクリンテートの耐候性には絶賛していただいており,ここ数年台風が幾度となく直撃し積雪も数十cmを超える過酷な条件にでも耐えたことに評価いただいています。
屋根型に取り付けられたサンテーラ鬼瓦屋根型に取り付けられたサンテーラ鬼瓦また、クリンテートの特性と難点を理解され、弱点である摩擦破れ対策としてアーチパイプにビニペットを取付けてフイルムを固定されたり谷換気部のパイプ摩擦を防ぐためにアルミ押さえの取付けなど欠点を克服してクリンテートの特長を最大限に生かされている工夫には私たち自身も学ぶことが多く大事に取り扱っていただいている事を嬉しく思っています。
ハウス内で作業をされるパートさんに話を聞くと光線透過が良く特に冬場の雪が夏場の汚れを洗い落とすので、良く光が入り暖かいそうです。逆に雨天時は雨音が激しく会話もままならないほどうるさいそうですけど・・・

そんなクリンテートですが 株式会社大分ボール種苗センターさんには好評です!
今後の課題を株式会社大分ボール種苗センターの二田農場長に尋ねると、原油の高騰を真っ先に挙げられました。そこで、私どもはクリンテートZの展張を提案してみました。
今年初めに完成した屋根型ハウス今年初めに完成した屋根型ハウス第一に、十数年前の屋根型ハウスの構造にも問題なく張替えの施工ができ、他社の硬質より保温力もありコストもかなり安く済むので十分なメリットが考えられます。
第二に、ドーム型ハウスにクリンテートZを展張するのには部材の取替えに若干経費がかかるが、10年の張替え手間を考慮するとこちらも十分メリットがあります。
このようにクリンテートを愛用されているお客様に私たちは、売る立場から使っていただく立場に立ってのいろいろな提案をさせていただき、今後ともご満足していただけるクリンテートをお届けできればと思っております。(大分県営業担当 中嶋記)

クリンちゃんの豆知識

日本では今、一人平均一日に1.1kgほどのごみを出しています。1年間にすると日本全体では5,120万トン、東京ドーム138杯分にもなります。
ごみのほとんどは焼却場で燃やされるか、埋立地に埋められますが、狭い日本では埋立地を増やすのが難しくなってきました。焼却場ではダイオキシンなどの有害物の発生が心配されていたり、炭酸ガスを発生させるため、地球温暖化につながるという問題もあります。そこで、ごみ問題を解決するための3つのRをご紹介しましょう。
まずは「Reduce(リデュース)」、ごみを減らすことです。買いすぎない、過剰な包装を避ける、大事に使って長持ちさせるよう心がけましょう。
次に「Reuse(リユース)」。容器や部品などを回収し、きれいにして再利用する仕組みを活用しましょう。
そして新しい製品に生まれ変わるのが「リサイクル」。ペットボトルから繊維を作る技術は実用化されていますよね。エネルギーとしてごみを利用する「サーマルリサイクル」もあります。
ごみを捨てる前に、3つのRを思い出しましょう!農POのクリンテートは、汚れにくく、丈夫で長持ち、農家さんのごみを減らすことにも役立っています。
資料:厚生省「日本の廃棄物処理(平成9年版)」
引用・参考:EICネットhttp://www.eic.or.jp/library/gomi/top.html

NO.32秋季号 2007年9月1日発行

野菜施設栽培に求められるもの -小規模施設栽培と養液栽培-千葉大学園芸学研究科教授 篠原 温

2006年11月篠原教授から「施設園芸の現状と将来」というご講演いただきましたが、この中から、小規模施設栽培と養液栽培についての部分を抜粋で掲載させていただきます。

野菜施設栽培の課題最近園芸産品の輸入が急速に増加し、野菜園芸という産業は戦後最大の曲がり角にさしかかっています。家族労働を前提とし、経営規模もあまり大きくなく、さらに農業者の平均年齢が65才を超えた日本の農業をいかに維持発展させていくかは、我々関係者にとっても最大の課題となっています。

冷凍加工を含めた野菜の輸入は、国内との価格差によってこれからも増加していくと思われますが、国際競争力のある価格で、これまで以上により安全な生鮮野菜を作ることが必要であり、また一方では付加価値の高い商品を作り出し、販売方法を工夫することによって、価格は高いが消費者はそれらをささえるというようなしくみも可能性があると思っています。

施設園芸の現状

比較的小規模でも行われるホウレンソウの周年栽培比較的小規模でも行われるホウレンソウの周年栽培 日本の野菜生産のとるべき方向は、二つに大きく分けられ、一つは、規模の拡大、あるいは、設備投資・機械化などによる生産の効率化・省力化によって、生産コストを抑え国際競争力をつけていく方向であり、もう一つは、経営規模は小さくても、輸入あるいは一般的な生産物と明確に差別化できる高品質野菜の生産を行うことであると位置づけ、しっかりとした品質管理を行った上で、売るところまで考えざるを得なくなったことでしょう。 このご時世に成功している生産者を見ると、ほとんど例外なく生産物を商品と位置づけ、自信を持って自ら売り先まで考えて出荷をしていることが多い。JAもしかりです。JA自らがマーケティング戦略とそれにふさわしい営農指導を始めているところは、活気があります。

小規模施設栽培現在も小規模な生産者が日本の野菜生産を担っていることに変わりはありませんが、高齢化や後継者不足はますます深刻です。このまま時が流れれば中小の農家はその多くが淘汰されてしまうでしょう。

一方、「地産地消」「有機無農薬」「直売所」「旬の野菜」「地方品種」「安心安全」などというキーワードが頻繁に目や耳に飛び込んでくるようになっています。私は小規模施設栽培こそ、これら地域に密着した流通や、ネットを利用した新しい販売に基づく営農形態として発展が期待できると思っています。

「連帯」とか「結束」などという言葉は、今では核家族化などによって忘れ去られてしまった感がある言葉ですが、今再び重要な意味を持ってきており、もともと日本人にあったはずの人々の連帯が問われているのではないでしょうか。

JAのマーケティング戦略にもとづきGAPによる水耕ネギ、ホウレンソウ、サラダナ、サンチュなどがスーパーに販売されるJAのマーケティング戦略にもとづき
GAPによる水耕ネギ、ホウレンソウ、サラダナ、
サンチュなどがスーパーに販売される
先に元気JAがあると言いましたが、営農部を「マーケティング営農事業部」という名にした島根県のあるJAでは、地域で自信のある野菜・特徴のある野菜の栽培を指導し、売り先はJA会員と一緒に考えるというシステムを作って成功しているのです。 このJAでは、特に水耕ネギやチンゲンサイの栽培と集出荷施設にJA独自で決めたGAP(適正農業規範)を設定し、徹底した安全な野菜作りを指導した結果、視察したイオンをはじめとする流通関係者がこぞって「この野菜ならいくらでも引き取るから、どんどん増産してくれ」とコメントしていたそうです。 立派な商品を作ることによって経営は向上するという良い事例ではないでしょうか。

養液栽培施設栽培面積施設栽培面積は減少に転じているにもかかわらず、養液栽培の施設面積は、年々順調に増加し、2003年統計で約1,500haとなっています。(左図)

養液栽培施設は大型生産施設を中心に増加していますが、一方ではイチゴにおける高設栽培システムの普及など、小規模であっても養液栽培のメリットを生かした省力・自動化生産が土耕栽培に代わって増加しているといえます。

養液栽培は、本来的には大規模栽培に向いた形態でありますが、小規模には小規模なりに施設園芸の近い将来に貢献できる技術の一つであると考えます。特に都市近郊での栽培にはマッチしています。しかも環境負荷を最小限に押さえることも可能な技術であり、より安全な生産物を消費者に届けられるという有利な点も持ち合わせているのです。したがって、養液栽培の健全な発展は、規模にかかわらずわが国の施設園芸にとって不可欠であると思われます。

「養液栽培は化学肥料のみによって栽培されるから、生産される野菜は毒である」などという非常識な言葉はさすがに聞かれなくなりましたが、「有機栽培野菜はより安全で栄養価も高く、おいしい」という意見はマスコミも含めて頻繁に聞かれる言葉です。

わが国においても、持続型農業、減農薬減化学肥料栽培が推奨されています。有機栽培に対しては、そのプラスイメージを強調したいがためか、その環境負荷の問題はさほど重視されていません。逆に水や化学肥料をふんだんに使っている(本当は典型的な節水・節肥料栽培なのだが)というマイナスイメージの強い養液栽培は、異端者扱いされているきらいが見られます。

アレルギー体質の人は有機栽培の野菜しか食べてはいけないなど、全く根拠のない話でありまして、無農薬の野菜であれば、養液栽培も有機栽培も何ら差は見られないのです。

土づくり・物質循環と環境負荷の問題は別次元の問題として明確に認識してもらいたいものと思います。
環境負荷軽減技術は、有機栽培・無機栽培共通の責務であり、その達成に向けて相携えて進むべきものです。その芽を摘むような感情的な動きに対しては、科学的な根拠をもとに議論すべきであると強く主張したいものです。

おわりに施設園芸の将来に求められるものについて私見を述べさせていただきましたが、現在様々な取組が開始されています。

今後は、考えられるキーワードを考えつく限り挙げ、はっきりとした具体的な数値目標を立てたうえで、それを具現できる方策を考え、その実現に向かって実行していく姿勢が大切となると思います。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで高品質完熟マンゴーづくり宮崎県西都市(JA西都)
西俣 弘次さん

西都市は宮崎県のほぼ中央に位置し、温暖な気候にも恵まれピーマンや胡瓜といった施設園芸の盛んな地域です。
特に生産量日本一を誇る宮崎産ピーマンの主要産地となっていることは、全国的に有名です。
そこで、今回はJA西都管内の西都市で営農され、マンゴー部会の青年部長を務めておられる若い生産者のリーダー的存在の西俣弘次さんにお話をお伺いしました。
そのJA西都管内の生産物の中で最近一際脚光を浴びているのが宮崎県下統一ブランド"太陽のたまご"完熟マンゴーです。ただし、太陽のたまごと認証されるには厳しい審査があり、糖度15度以上、果重350g以上、50%以上鮮紅色、無傷果、尻青果でない等が基準となり、JA西都管内の全出荷量の2割程度しか認証されていないとお聞きして、完熟マンゴーづくりは、本当に厳しい基準で生産者が全員で守り育てているのだとびっくりしました。
JA西都マンゴー部会は現在34名の部会員がおられ全ての方が生産技術向上に常に取り組まれており、平成15年には日本農業賞優秀賞を受賞されるなど輝かしい成果を挙げられているマンゴー部会です。
西俣さんのマンゴーづくりの歴史をお聞きしました。JA西都で最初にマンゴー栽培に取り組まれたのが昭和61年だったそうで、63年から市場出荷をされていたそうです。西俣さんは、その7年後の平成5年からマンゴーを栽培に取り組まれ、市場への初出荷が同7年との事でした。
マンゴー収穫後のハウスで、西俣さんご夫婦マンゴー収穫後のハウスで、西俣さんご夫婦最初は10アールから始められ、現在では50アールで栽培されており、被覆資材について当初はクリンテートUFOでしたが、現在は保温力の高いDXを中心に展張していただいており、外張りは0.1、内張りは0.75の厚みを使用されています。
マンゴー栽培では、ほぼ一年中ハウス被覆しているため風に対して破れにくく、破れの伝播しにくいなおかつ保温力、透明性にも優れているクリンテートはマンゴー栽培に向いているとの評価をいただき、誠にうれしい限りでした。

最後に、宮崎県産のマンゴーは周知のように宮崎県知事の底知れないPR効果により、より一層知名度が上がり売価も高価格で推移したわけですが、完熟マンゴーの基本であるネット栽培の確立、台風災害からの復興などいろんな話を聞く中でPR効果はもちろんそうですが、生産者のたゆまない努力が根底にありその上に良い品物が作られ、それが完熟マンゴーとしてのブランド確立となり、大きな成果が上がっているのだと感じました。
西俣さんには、すばらしい完熟マンゴーづくりをしていただくことと併せて、地域のリーダーとして大いにご活躍していただき、ますますご発展されるよう祈念しています。(宮崎県営業担当 河野記)

NO.36冬季号 2007年9月1日発行

全農における被覆資材の試験・研究について全農生産資材部資材課
園芸資材技術担当 広本 直樹

全農では、全農品質管理要領に基づき、対象の園芸資材について検査・試験を実施しています。特にクリンテートやクミアイ農ポリ等のJAマーク品については、より厳しい全農規格を上回っているかを厳しくチェックしています。また、クリンテートやコーンマルチIIは改良頻度の高い製品でもあるため、改良された内容の調査・確認を実施しています。今回は、それらの強度や機能性の検査・試験項目およびそれらの機器の一部を紹介をします。

1.引張・引裂試験引張・引裂試験フィルムの引張切断強さ(N)、伸び率(%)、直角引裂荷重(N)各項目を測定する装置。農ビや農ポリはJIS規格で試験方法や基準値が定められており、クリンテートやクミアイ農ポリについてはより厳しい全農規格に合格しているかどうかを調査します。

引張切断および直角引裂については、試験片を23±2℃で調整し、一定速度で引っ張り(農ビ・農POは200mm/分、農ポリは500mm/分)切断荷重を測定します。
伸び率については、初期の標線間距離を40mmとし、これに対する伸び率を測定します。

2.厚さ測定試験厚さ測定試験帯状に切り出したフィルムサンプルの厚さを測定し、その数値やバラつきが規格に合格しているかどうかを調査します。0.1mm以下のフィルム厚さ測定に適合した仕様となっています。

3.エレメンドルフ引裂試験エレメンドルフ引裂試験裂け目からの引裂伝播強度や方向性を測定する試験で、試験片に切れ込みを入れ、その両端を引っ張って測定する。JISにより、農ビ・農POのみ測定し、農ポリは測定しません。

4.低温伸び測定試験農ビは極低温下で硬化する特性を持っており、JISにより当該条件下で伸び率を測定する事が定められています。試験槽を-5℃に設定し、1点ずつ槽内に入れ、温度を安定させてから引張試験を実施して引張切断強さと伸びを測定します。

  • 低温伸び測定試験
  • 可変恒温装置操作部
    可変恒温装置操作部

5.光学的特性測定試験(1)紫外・可視光線透過率
フィルムの光学的特性を調査するため、光線全体の透過率と散乱光線の透過率、透明度を示す指標であるヘイズ値を測定する試験。光線透過率の他にも、作物の生理に直接影響する紫外線や光合成に有効な波長の透過特性、その他の波長別特性についても測定します。

(2)赤外線透過率
同様に、フィルムの保温性を試験するために赤外線の透過率(吸収率)を試験する装置。12,000nm前後の波長における吸収率等を試験して、フィルムの保温特性を推定します。

6.流滴性促進試験流滴性促進試験被覆資材を人工的に曝露促進条件におき、流滴性を調査する試験。試験槽の水温を40℃に保ち、その上に4/10の傾斜をつけた円筒(塩ビパイプ)を置き、サンプルを円筒開口部に装着します。その後、定期的に水滴付着状況を観察し、記録していきます。試験期間1ヶ月が屋外曝露4~5ヶ月相当とし、水滴の付着範囲が全体の約20%以内であれば使用できるレベルとしています。

7.人工曝露試験機フィルムの耐候性を試験する場合、実際に展張試験を行うと膨大な時間を要します。そのため、人工曝露試験機を用いて劣化を促進させて伸び率の試験を実施し、その低下率を測定します。63℃50%RHの試験槽内にキセノンバーナーで擬似太陽光を発生させた条件下で曝露を行い、残存強度を測定する。曝露時間は400時間で屋外1年相当である。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラで高品質のスプレー菊栽培宮児島県曽於市(JAそお鹿児島)
小浜 健一さん

JAそお鹿児島は大隅半島にあり、農業の盛んな地帯に位置し、近年特に花に力をいれて取り組まれているJAです。
小浜健一さんは、39歳で2連棟と3連棟を10棟所有し、周年栽培でスプレー菊を栽培されています。平成12年に4棟を事業で建てられ13年に2棟、20年に4棟と着実にハウスを増やされました。
農業をされる前はサラリーマンをされており農業はまったくの素人だったそうですが、脱サラしてJAの指導を受け現在弟さんと、パート2人とご夫婦とで農業経営されて います。
今年は梅雨明け後、収穫作業を行っていますが、真夏日で暑い中たいへんご苦労されています。
平成12年度事業では他社品を使用し、平成13年度事業では我が社のクリンテートデラックス(DX)を、平成20年度事業では塗布型長期展張フィルムの0.1厚のクリンテートエクストラ(EX)を使用されました。
スプレー菊栽培ハウスでの小浜健一さんスプレー菊栽培ハウスでの小浜健一さん現在は10棟全部をクリンテートエクストラの0.1厚フィルムを展張されています。クリンテートエクストラを採用された理由は、天井は3年使用するので流滴性や強度の点で優れているからとの評価でした。
新しい事にも積極的に取り組まれていますのでこれからもクリンテートの改良点など意見を聞かせていただきたいと思っています。
施設園芸農家の経営環境は、きびしくなっておりますが、小浜さんのスプレー菊栽培による農業経営がますますのご発展されますよう祈念しています。(南九州営業所 古川記)

がんばる!クリンテート家族
-サンテーラ株式会社として、アグロイノベーション2008農業・園芸生産技術展に出展-
アグロイノベーション20087月16日から18日の3日間、千葉県幕張メッセで開催された 「アグロイノベーション2008農業・園芸生産技術展」に出展いたしました。
前回の2年前は全農ブースの一角で出展しましたが、今回は当社の原料供給元である住友化学(株)が初めて出展したので、住友グループの一員としながらも、当社独自でのブースデザイン、商品展示のレイアウトなど社内検討し出展しました。また、来場者プレゼントとして、6色のバラのタオルチーフやクリンちゃんのマグネットを用意して配布したところ、大変好評をいただきました。
今回から主催が(社)日本能率協会に替わり、新しい試みとして生産物収穫後の技術、物流システム、情報関連機器やソフトウェアなど、現在問題となっている食の多様化や安全性の確保、また環境への配慮やエネルギーへの転用など、生産から流通段階までの供給体制を含めた農業に対する社会的ニーズに応える内容の展示会でした。
会場を歩き、特に印象に残ったのは「食の安全」というキーワードから某ブースの「顔が見える野菜、果物」でした。誰がどこでつくったものかをオープンに情報公開し、生産者が発信する安全性、栽培状況、更には味へのこだわりなど、消費者が望む安心感、美味しさや栄養などの付加価値が消費者のニーズに対応したシステムであると感じました。
最後に、3日間の会場入場者は40,000人を超え、当社ブースでもいつもの開催に比べてお立ち寄りいただいた方が多く盛況に終わりました。今後も、安心してお使いいただける資材を生産者の皆様にご提案、ご提供できる企業として成長してまいります。

クリンちゃんの豆知識

2008年の2月に北極圏のノルウェー領スバルバル諸島に「スバルバル・グローバル種子保管庫」という大規模な種子バンクが開設されました。
種子バンクはこれまでにも、農作物の種子を集め絶滅の危機に備えて保管する目的で世界各地に1,400箇所も作られています。
スバルバルの種子バンクは、永久凍土の地中、標高130メートルにトンネルを掘って作られ、零下4度以下に保たれています。2月26日の記念式典では、04年にノーベル平和賞を受賞した環境保護活動家、ワンガリ・マータイ氏らが、第一弾となる26万8000種類のサンプルを庫内に収めました。世界中の農場や畑から集めた、米や小麦、ナス、レタス、ジャガイモなどの種子は、総重量約10トンにもなったそうです。
種子の収集、管理費用を提供する国際組織「世界作物多様性トラスト(GCDT)」は、最終的に計450万種類、20億個の種子サンプルをここに集める計画で、たとえ地球温暖化などで環境が変化しても、種子1万年先まで保存されるはず、としています。
画像しかし、種子は冷凍保存されても20年程度で発芽力を失うものも多く、定期的な栽培によって更新することが不可欠で、保管以上に重要なこの仕事は、引き続き世界各地の種子バンクの責任において行なわれます。
1951年3月、植物学者の大賀一郎博士が千葉の泥炭層の中から約2000年前(弥生時代)と推定されるハスの種子を3粒発見しました。そのうち1粒だけ発芽に成功し、翌年花を咲かせました。このニュースは国内外に報道され、同年11月17日付米国ライフ誌に「世界最古の花・生命の復活」として掲載され、博士の姓を採って「大賀ハス」と命名されました。今では各地で「大賀ハス」の花を見ることができます。
植物が持つ生命力には、人類の想像を超えたたくましさが秘められているんですね。

NO.31夏季号 2007年7月1日発行

スーパーホルト・プロジェクトについて千葉大学園芸学研究科教授
篠原 温

スーパーホルトプロジェクト協議会は、平成18年8月に設立され、弊社も会員として、参加しています。そこで、今号では、スーパーホルトプロジェクトの運営委員として栽培システムをご担当の篠原教授にスーパーホルトプロジェクトのめざすものをご紹介いただきました。

日本施設園芸協会は、野菜茶業研究所と協調し、自立した大型生産施設による経営を想定した「スーパーホルト・プロジェクト」を立ち上げ、産官学オールジャパンの提携によって、日本型施設栽培の典型を実証しようとしている。最近野菜の自給率は80%を切り、野菜園芸産業は戦後最大の曲がり角にさしかかっている。今や、ある程度大きな栽培規模を持ち、国際競争力のある価格で、より安全な生鮮野菜を作ることは、日本の園芸産業再生のための最大の課題と言えよう。

スーパーホルトプロジェクトの概念図スーパーホルトプロジェクトの概念図 大規模施設には様々なメリットがある。建設コストの単価を引き下げることができ、コンピュータなどを駆使して生育に好適な環境条件に維持することができ、結果的には生産性も大幅に改善される。先進のオランダの温室(装置、 選果機などを含む)の設置コストをみると、1㎡あたりの建設単価は1万円以下であり、わが国の実情の1/2~1/3レベルである。なぜわが国では低コストの施設が作れなかったのであろうか? これまでは大規模施設建設といえば公的補助が不可欠という思いこみがあり、企業もコストに対する配慮が欠けており、企業同士の協議で共通な部分(骨材などの規格や想定される栽培方法なども)を共有するというような工夫をしてこなかったことなどが大きな原因ではないだろうか? このような情勢の中、農水省は農政改革基本構想の中で、新たな工法を用いた低コストハウスや大規模ハウスでの生産性向上につながる技術などの開発研究普及をすることを打ち出している。スーパーホルト・プロジェクトでも、施設園芸の生産力を2倍に、また生産コストを5割減にするという途方もない目標を掲げ、産官学の協調で実現を図ることを目標としている。

このプロジェクトには、ハードとソフト別に部会を置き、まずノウハウの共通部分を明らかにし、次のステップでは業種を越えたコンソーシアムを設置し、様々な低コスト化技術開発を実施し、最終的にはそれらのノウハウを総合することによって、目標である国際競争力のある施設園芸を実現させるものである。これらがある程度進展すれば、栽培の現場では補助金に頼らずに低利の融資だけで大型施設の建設は可能となり、栽培産業が完全な企業的経営として確立できるのではないかと期待される。

約50tどりを達成した「(株)カンジンファーム」の低段密栽培の様子約50tどりを達成した
「(株)カンジンファーム」の低段密栽培の様子
今のところ想定する経営は、夫婦(1.8人)で経営する1haのトマト栽培であり、年間の収量は50t/10a、農業所得は1,800万円(1億円の粗収入-8,200万円の経営費)とする。ハウス関係では、長寿命の新開発の被覆フィルムの開発、空気膜被覆を利用した省エネの達成、細霧冷房の有効な利用方法の開発、黄化葉巻病対策のための、被覆ネットやその展張方法なども開発などが必要である。 スーパーホルト・プロジェクトは元気のない園芸産業に活を入れ、「力を合わせて、攻めて勝とう!」というエールを送るものだと思える。国際競争力をつけた高品質の農産物が生産できれば、アジア諸国の中産階級の消費者は日本の農産物を購入するようになるのである。

目を海外に向けなくても、日本国民は、安くて安全性の高い「国産」の農産物を望んでいることは間違いのないところである。このスーパーホルト・プロジェクトが成果をあげて、施設栽培の生産者(特に、非農家出身者も含めた若い世代)に夢を与え、心を奮い立たせる事ができ、しかも消費者の要望へも答えることができたらどんなに素晴らしいだろうか。

がんばる!クリンテート家族
こだわりのトマト栽培にクリンテートEXは欠かせない!北海道美瑛町(JAびえい)
美馬牛ファームさん

美瑛町は北海道のほぼ中央にあり十勝岳連峰と夕張山系との間に位置し旭川市、上富良野町など2市6町に隣接しており「丘のまち美瑛」の愛称でも全国的に知られています。
町の面積は677.16もあり何と東京23 区とほぼ同じ面積です。気候は寒暖の差が激しい内陸性の気候で、春夏秋冬の四季の移り変わりによる美しい自然を楽しむ事ができます。

美瑛町では小麦、馬鈴薯、てんさい、豆類を作付けする上川中央部の大畑作地帯で稲作、野菜の複合経営を推進し平成13、14年と連続して高品質米の出荷で道内1位となりました。
また、特産のトマトはアドバイザー制度を取り入れるなど収量、品質の向上に努めておられます。平成16年には農薬、化学肥料を削減した北海道クリーン農業推進協議会の認証基準である「YES!Clean」を取得し作付面積、収穫量共に飛躍的に伸びています。
さらに美瑛のブランド米でもある「あさひ娘」が昨年「北海道ガイドラインランク区分」で最高位の7ランクを取得し道内外に出荷されています。
その他にも美瑛町は収穫量道内1位のグリーンアスパラをはじめじゃがいも、かぼちゃなど良質な農産物の宝庫でもあり季節ごとに美味しい農産物を提供されています。

さらにこの5月には~美しい美瑛から美味しい美瑛へ~をキャッチフレーズに複合施設JAびえいアグリパーク「美瑛選果」がオープンしました。
EXトマトハウス(大雪山系をバックに)EXトマトハウス(大雪山系をバックに)そんな食の宝庫美瑛で今回お邪魔させて頂いたのはクリンテートEXを7年前から使用され、おもにトマト栽培をされている法人の美馬牛ファームさんです。美馬牛ファームさんの栽培作物はビート、じゃがいも、グリーンアスパラ、豆、そして3,500坪をほこるハウス栽培のトマトです。美馬牛ファームさんはそれまで農ビを使用されていましたが、冬場にはマイナス20~30度となる極寒の地において、農ビの強度の無さと埃が付きやすく透光性が低下することに悩まされていたそうです。
そこでJAびえい温材担当の三木さんに相談されたところ三木さんの熱心な薦めでクリンテートEXを使用されたのが始まりです。

「農ビに比べて作業性、強度、流滴性、透光性、また夜間の保温性についても農ビより優れており日中の温度が取れすぎて換気作業が大変だよ」とうれしいご指摘・・?を受けました。
風の強い丘の上でのバンドレスでも問題なく安心して使えるとのお言葉をいただきました。
「今後もクリンテートEXを引き続き使用したい」とサンテーラマンにとってはありがたい限りでした。今はクリンテートEX-UVの導入も検討中ですが価格がもう少し安かったらな~とのことでした。最後にこれからも安心して使える良質なフィルムを供給して欲しいとのお言葉をいただき取材を終了いたしました。
美馬牛ファームのみなさん三木さんこの度は、お忙しい中お時間を割いていただき誠にありがとうございました。(北海道営業所 茂木記)

クリンちゃんの豆知識

コンパニオンプランツ、バンカープランツと呼ばれている植物をご存知ですか?どちらも減農薬に役立つ方法として実用化が進められています。
コンパニオンプランツは、栽培作物の生育を助けたり、病害虫を防除する働きをする植物のことです。例えば、トマトの横にバジル(ハーブの一種)を植えておくと、トマトの生育がよくなり、コナジラミを寄せ付けない効果があることが知られています。(これは本当です!)バジルといえばイタリア料理によく使われるハーブですから、トマトと一緒に料理にも使えて一石二鳥ですね。
この他にもセージ、タイム、ミント、ローズマリーなどのハーブ類で効果が認められています。ただし、それぞれ栽培作物との相性があるようですから、事前にきちんと調べてから選んでくださいね。
花ではマリーゴールドが有名で、虫除けや土壌病害に効くと言われています。色鮮やかな花が景色を彩り、目も楽しませてくれます。
バンカープランツは、害虫の天敵が繁殖しやすいように栽培作物の周辺に植えられる植物のことです。例えばナスの畑にソラマメを植えておくと、ソラマメだけにつくアブラムシが住み着き、そのアブラムシをエサにする天敵が登場します。繁殖して増えた天敵はナスについた他のアブラムシも一緒に退治してるという仕組みです。ソルゴー、ヨモギ、オオムギ、クローバー、カラスノエンドウなどがバンカープランツとして利用されています。
テントウムシ天敵は販売されているものを利用する方法もありますが、テントウムシなど土着の天敵をうまく利用する方が生態系への影響が少なくていいですね。
いずれの方法も、正しい知識と技術はもちろん、地域で協力して環境のバランスを保つ工夫が大切といえるでしょう。

NO.30春季号 2007年3月1日発行

今後のメロン生産と施設化の動向千葉県農業総合研究センター暖地園芸研究所
大泉 利勝

1.燃料費負担増での施設園芸の現状原油の高騰が施設園芸分野に厳しい打撃を与えています。特に、高夜温管理を行う温室メロンやハウスミカンなどは生産減を余儀なくされています。厳寒期における温室メロンの生産は、おおよその概算でA-重油が80円/L前後となると、農家手取りで1果実当たり3,000円以上の価格にならないと経営的に無理があると言われています。農産物価格の低迷の中で、この価格は厳しい現状です。

1970年代中期のオイルショック時の原油高騰は、それに伴ってメロン価格も上昇してなんとか乗り切りましたが、経済の低迷と炭酸ガス抑制政策が主流となっている現状では、この難関所を通過するのは難しい問題です。

2.メロン栽培の作型について一般にメロンの作型は、促成栽培から抑制・加温栽培まで多種多様にあり、年明け後、西南暖地から出荷が始まり、東海・関東、東北へと北上します。農産物価格が右肩上がりであったバブル経済期は、極端な作型である超促成栽培などによりメロン価格の急激な上昇がみられ、競って早出し栽培へと進みました。

しかし、現在の状況ではいくら優良な高品質メロンを生産しても燃料費に食われてしまい、赤字生産となってしまいます。そこで今後の作型の選定としては、あまり無理な作型を行わず、最小限の加温を基本として、各地域に適した作型の栽培へと推移するでしょう。

つまり、適地適期作であります。また、毎年のように異常気象や天候不順が報道される昨今、栽培様式は安定した生産方法へ進む傾向があります。例えば、露地メロンのトンネル地這い栽培からハウスの地這い栽培へ、そして、大型ハウスの立体栽培へと推移しています。

3.メロン栽培の施設化の方向

(1)大型ハウスで進む立体栽培

大型農POハウスのメロン立体栽培大型農POハウスのメロン立体栽培 アンデス、アムスなどの露地メロンは生産コストの安い簡易なトンネル栽培が主流でありますが、梅雨時期の著しい気象変動から生産の不安定を引き起こしています。特に、土壌水分の急激な変動に弱いメロンは、気象変動時の大雨により収穫が皆無となりうる事態もあります。 これらの被害回避のため、大型ハウスでの地這い栽培や栽植株数が3倍以上に多くなる立体栽培への移行が進んでいます。また、温室メロン(アールスメロン)を主とした重装備型のガラス温室栽培は、施設投入費が高額となり、燃料費増加のため、今後、施設面積は減少傾向となります。

(2)増加する軟質フィルムハウスでの栽培このような現状下での代替として、被覆資材による施設化ではプラスチックハウスの中の特に軟質フィルム(農ビ、農ポリ及び農POフィルム)ハウスの増反が進むと思われます。軟質フィルムハウスの外張り資材としては、塩化ビニル(農ビ)とポリオレフィン(農PO)があります。

前者はノービエース、クリンエースなどが、後者としてはクリンテート、スーパーソーラーなどがあり、後者はフィルムが汚れにくく、伸縮しにくい資材で、パイプハウス展張時ハウスバンドを用いる必要がないなどの利点があります。また、外張り資材を半分程度の厚さに薄くしたハウス内張り(カーテン)資材としても農ビと農POが挙げられますが、保温性、作業性、透水性及び除湿効果など作物の特徴や用途にあった資材を選ぶ必要があります。

特に、メロンはネット発生期間中に湿度を必要とする作物であるため、また、細やかな換気を必要とする作物でもあるため、内張り資材の選定には、保湿性や作業性も含めた選定が必要です。

いずれにしろ今後、軟質フィルムハウスの増加は進むものと思われます。冬場の保温性、保湿性及び光線の透過性や夏場の高温防止などを含めた被覆資材の開発と新しい機能をそなえた新素材の開発に期待されるところです。

(3)今後の被覆資材の検討メロンは燃料費の増加と地温の関係から、冬季の生産が厳しくなり、その代わりに冬季は別の作物が導入されようになると思います。例えばイチゴ、トマト、キュウリなどで、今後、複数の作物に適合する被覆資材などの検討も進むと思われます。

今後のメロンの品種改良について

メロン新品種「TLタカミ」メロン新品種「TLタカミ」 メロンの品種改良は各種苗商社のたゆまぬ研究開発により著しく進みましたが、原油供給が安定していたため加温を基本として、低温肥大性にはあまり力が注がれずに、高夜温栽培による果実肥大とそれに伴う収穫までの日数の短縮及び高食味化を委ねてきました。 しかし、今後は低夜温で栽培可能とするため、低温肥大性に早生性を加えた育種や省力栽培可能な巻きひげのないメロン品種「TLタカミ」のような、農家の労力が軽減できる省力栽培品種などの品種開発も必要であると思います。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで高良質のキュウリ・メロン栽培熊本県鹿本町(JA鹿本)
大石 真次さん

鹿本地域は、熊本県の北部に位置し、植木町は日本一の施設園芸生産団地を形成しています。JA鹿本では、促成物の春スイカが2月20日頃から出荷が始まり、農家には多忙な出荷シーズンを迎えます。
大石真次さんご夫妻大石真次さんご夫妻南九州営業所の近隣でキュウリ・メロンを栽培されている大石真次さんを訪問しお話を伺いました。
現在のハウス栽培面積は、キュウリ1万㎡を中心に、メロンも5千㎡栽培され、家族4名と中国からの研修生2名で高品質のキュウリ・メロンづくりをされています。
クリンテートは、風に対して破れにくく、軽くて扱いやすいとして長年愛用していただいています。また、長期展張用クリンテートエクストラは、張替え回数の削減になっており、台風時には天井に巻き上げられる改良されています。
しかし、近年のA重油高騰に加えて、生産物価格の低迷も続いており、経費の削減が大きな課題となっているとのことでした。

クリンテートへの要望として、外張り・内張りフィルムとも、より薄物で高保温で高品質のフィルムの開発に期待しているとのことでした。
最後に、大石さんは、昨年7月に行われたJA鹿本園芸部会と同青年部植木基幹支部野菜部会とのジャンボスイカ合同品評会に出品された100kgのスイカが見事青年部準優勝されたそうで本当におめでとうございました。(鹿本地区営業担当 竹丸記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXで良質のタカミ・ユウカメロンづくり茨城県鹿嶋市(JAしおさい)
島村 良衛さん

JAしおさい鹿嶋営農経済センター管内でタカミメロンを栽培されている島村さんを訪問してお話をお伺いしました。
JAしおさいは、茨城県南東部の太平洋沿いに位置し、ピーマンで有名なJAです。また、鹿嶋市はJリーグサッカーの鹿嶋アントラーズスタジアムがありテレビ中継などされ全国的に有名になりました。また、鹿嶋市はJリーグサッカーの鹿嶋アントラーズスタジアムがありテレビ中継などされ全国的に有名になりました。
メロン定植準備で忙しい島村さんメロン定植準備で忙しい島村さん島村良衛(しまむらりょうえい)さんは、30軒のメロン部会の仲間とともにタカミメロンを60アール栽培されています。また、栽培が非常に難しいとされるユウカメロンも20アール栽培されています。また、メロン収穫後はピーマンを栽培され、年中お忙しく農業生産に取り組まれています。
ユウカメロンは、「アントラーズメロン」の愛称で化粧箱入りの大玉3L・4Lで出荷されていますが、5~6軒しか栽培されていないそうです。

タカミメロンの特徴は、肉厚で甘みが濃厚ですがさっぱりとした味で、2月に定植してアンデスメロンなど春メロン最盛期の終わりの8月に出荷できる端境期の商品として需要を期待しているとのことで、タカミメロンファンを増やしていきたいとのことでした。
クリンテートDXは、特に風の強いこの地域でも破れる心配がなくフィルムの品質も良いので、安心して使用しているとのことでした。
JA全農いばらきとしては、クリンテートの一層の品質改良を要請しながら、生産者に喜ばれるフィルムの提供をしていくことにしています。(JA全農いばらき園芸資材センター 営業担当 檜山さんが取材されました。)

クリンちゃんの豆知識

消費者が野菜を選ぶ重要なポイントは「鮮度」です。どんな高級な野菜でも、しなびてしまっていては味も栄養も台無しです。そこで、鮮度を保つコツについて勉強してみましょう。
まず、とても大事で忘れてはいけないのは、野菜は「収穫されたあとも生きている」ということです。生きている証拠に、長く保存していると、横に寝かせておいたアスパラガスが起き上がったり、ニンジンの葉っぱが伸びてきたりします。
このような「生長」のために、野菜はずっと呼吸と蒸散を続けています。呼吸は、人と同じように酸素を吸って二酸化炭素を吐く生命活動です。蒸散は、呼吸と同時に水分を蒸発させる現象です。呼吸はエネルギーを消費しますが、収穫後の野菜は光合成でエネルギーを補給することができず、体力を消耗し、やがて老化=しおれてしまいます。一方、呼吸や蒸散を止めてしまう、すなわち死なせてしまうと、カビが生えたり、腐敗しやすくなります。
そこで、「鮮度」を保つには、野菜を生かしたまま、呼吸と蒸散をいかに低く抑えるか、がキーポイントとなります。まず代表的な方法は冷やすことです。呼吸は温度が下がるにつれて減少するからです。暑い季節には、収穫後の野菜を出荷前に急速に冷却する「予冷」が一般的です。蒸散を防ぐため、袋に包んだり、加湿することも必要です。
その他には、「CA=コントロールド・アトモスフェア貯蔵」という方法があります。これは、雰囲気の酸素濃度を低めに、二酸化炭素濃度を高めに保つことで呼吸を抑える技術です。リンゴの長期貯蔵で実用化されています。
適温やCA条件は野菜によって異なります。眠らせて長生きさせれば美味しさも長持ちしますよ。

NO.29冬季号 2006年12月1日発行

宮城県における施設園芸の動向元・埼玉県農林総合研究センター
園芸支所長 稲山 光男

はじめに宮城県は東北太平洋岸に面し、北東北や日本海側東北より冬期の日射量にも恵まれることや、仙台都市圏という大消費地を抱えていることなどから東北地方の中では以前から施設園芸が盛んである。施設園芸は単位面積当たりの収量の向上、収穫物の品質の向上、周年生産による収益の向上が見込めることから本県の施設設置実面積は多少の起伏は有りながらも増加してきた。

平成17年の設置実面積は野菜、花き、果樹を合わせると889haで、栽培延面積は1,314haである。設置実面積のうち、野菜は767haで全体の86%を占め、花きが116ha、果樹が6haとなっている。

品目別のハウス栽培延面積では、施設利用率が高いホウレンソウが271haで最も多く、次いでキュウリが186ha、宮城県の最重要基幹野菜であるイチゴが176ha、トマトが115haと続いている。

鉄骨ハウスが214ha、パイプハウスが675haで、比較的簡易なハウスが76%と多いことが特徴である。また、近年養液栽培が増加し、設置面積65ha(平成17年)で、野菜51ha、花き14haである。

宮城県における農POフィルムの導入ハウスの被覆資材別設置面積は、塩ビフィルムが504ha、農POフィルムが254ha、硬質フィルムが86ha、硬質板ガ13haとなっている。以前は塩ビフィルムが圧倒的に多かったが、平成9年に農POフィルムが一気に増加し、最近では農POフィルムの展張が増加傾向にある。農POフィルムとしてはクリンテートが多く導入されている。

農POフィルムは、保温性については農ビにほぼ近い性能で、種類により長期展張が可能である。長期展張用としてはこれまでの3~5年ものから、最近では10年耐用の農POフィルムが開発、上市されており、写真に示したとおり宮城県農業・園芸総合研究所のハウスにも農POフィルムを転調して栽培試験を行っている。資材が軽くて伸びが少ないことからバンドレスが可能となるので展張作業が楽である。バンドレスにより施設内への光透過量が改善される。冬期の降雪時に雪が滑落しやすい等の特性を持っている。また、焼却処理時にダイオキシンが発生しないので環境にやさしい資材といえる。

クリンテートZを展張したハウスクリンテートZを展張したハウス 本県で農POフィルムが増加している要因として、張り替えの手間や廃棄処理の問題への対応がある。農POフィルムは野菜栽培ハウスで普及が進んでいる。イチゴでは、大型連棟ハウスを中心に長期展張や、風に強い、汚れにくいことなどから使われている。キュウリやトマト栽培では、硬質板と比べて低コストで導入できるため大型ハウスを中心に展張されている。ホウレンソウやコネギ等の葉菜類ハウス栽培でも、パイプハウスを新設する際に農POフィルムの導入が増えている。5~6年耐用を考慮して省力化を図ることと、風に強いことが主な利点となり導入されている。

今後の課題宮城県に限らないが、生産者の高齢化、重油の高騰や輸入野菜の増加など施設園芸を取り巻く環境は厳しいものがあるが、施設園芸は冬期間でも野菜や花きを生産、出荷できることを通じて、周年的に一般家庭の食生活へ新鮮な野菜として、栄養補給源として供給が可能で、豊かな食生活や健康維持に貢献し、また、花を飾ることにより室内空間に安らぎと潤いを与えて、心を和ませ各種のストレスを和らげてくれる重要な役割を果たしている。

これまでに開発された施設や資材の低コスト化技術、施設管理の自動化技術、省力化・軽労化技術、省エネルギー技術、消費者及び業務用、加工用実需者の要望に応える品目・出荷時期・栽培技術等をさらに改良・改善することにより、施設園芸の利点を活用したより効率的な生産の仕組みを構築していくことが施設園芸の一層の発展に寄与する試験研究機関に課せられた重要課題の一つと思われる。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートEXでいちごの安心栽培宮城県大崎市(JA古川)
佐々木健悦さん

大崎市は仙台市から北へ約40kmの旧古川市を中心に、周辺の松山町、三本木町、鹿島台町、岩出山町、鳴子町、田尻町の6町が、平成18年3月31日に合併して誕生しました。この地域は昔から大崎地方と呼ばれ、「ササニシキ」、「ひとめぼれ」、「ささろまん」という全国的に有名な優良米の産地として知られています。
その中心地旧古川市において、18年前からいちごの生産に取り組む、佐々木健悦さんは長年のクリンテート愛好者です。
佐々木健悦さん当初は農ビを使用していましたが、種苗などでつながりがあった「渡辺採種場」の担当者からクリンテートを紹介されてからは、その軽くて使いやすいこと、丈夫で破れにくい性能にすっかり惚れ込まれたということでした。
それ以降、パイプハウス15棟(1,500平方m)、大型鉄骨ハウス(800平方m)にクリンテートデラックス、クリンテートマーキュリー、クリンテートエクストラ(EX)を次々に展張して「とちおとめ」の安定生産を続けてきました。普段は、佐々木さん夫妻と、お父さんの3人でハウスの管理をし、繁忙期には2名のパートさんを入れるという作業形態で、ハウスの空く時期にはほうれん草も栽培するという忙しい毎日を送っておられます。
昨年は、大型鉄骨ハウス(800平方m)にクリンテートEXの0.13mmへの張替えをしていただき、今年新設のパイプハウス2棟(330平方m)にはクリンテートEXの0.15mmを展張していただきました。
宮城県内でも、寒暖の差が激しい大崎市は、真冬はマイナス10度近くなることも多く、真夏は30度を超す日が何日もあります。また、栗駒山からの吹きおろしが強風となって吹くこともしばしばですが、クリンテートEXはその強度、流滴性、採光性、保温性能にまったく問題がなく、安心して作業ができると佐々木さんは言われます。
JA古川管内でのいちごの生産者は9人程度ですが、その部会でも、「まだ重いフィルムを使っているのか。大変だろう」と、POフィルムを推奨しているという佐々木さんのお話をお聞きし、今後も安心してクリンテートを使用していただけるように、性能面やサービスの向上に努力しなければという思いを強くして取材を終了いたしました。(宮城県営業担当 鈴木正記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテーで良質なみかん・せとか・デコポンのハウス栽培愛媛県八幡浜市(JAにしうわ)
摂津 基恭さん

愛媛県八幡浜市は果実栽培が盛んで、中でもみかんは明治の中頃から栽培が始まり、全国でも有名な産地となっています。宇和海に面しリアス式海岸の為、山々が海に迫り平地が少ない地域です。その為、みかん園は石を積み上げ段々畑が標高300m近くまで連なっている地域もあります。
じつはこの海に面した石積みの段々畑が甘さと酸味のバランスのとれたみかんを育みます。太陽の直射日光、そして海と石積みからの照り返しによる三つの太陽光により、葉の裏側まで光が行き届き光合成を高める事で美味しいみかんが作られています。
JAにしうわ管内で みかん・せとか・デコポン をハウス栽培で生産されている摂津 基恭(せっつ もとやす)さんに、お話を伺いました。
摂津 基恭(せっつ もとやす)さん栽培面積は約二反七畝で外・内張り共にクリンテートDXを使用していただいています。
以前は農ビを使用されていたのですが、クリンテートとの出会いは約5年程前でJAの担当者や地元の販売店の『第一讃陽ビニール(株)』さんから「軽くて丈夫、マイカ線の要らないフィルム」という事ですすめられ、使用を始められました。
実際に使ってみての印象をお伺いすると、フィルム自体も強く農ビよりも安価という点と冬場に加温する為、保温性も農ビと変わらない程の保温効果が得られた為、非常に満足しているとおっしゃっていただきました。
ハウスみかん栽培では重油の高騰等により辞めて行く生産者が増えている厳しい情勢の中で次回の張替えでは害虫忌避効果の期待が持てるグローマスターも使用してみたいと検討しているという摂津さんの前向きな姿勢に営業担当として心強く感じました。
これからも生産者にとって安価で良質のフィルムの提供をお願いしますと御指摘を受け、品質向上を現場からも発言していくことが必要と思いました。
お話をお伺いした時にはちょうど露地みかんも収穫のピークを迎えていて、一面に丸いオレンジ色の段々畑の中で美味しいみかんを頂きながら、取材いたしました。改めて『愛媛産には愛がある』の言葉通りに生産者の方の愛情を感じました。(愛媛県営業担当 天竺記)

クリンちゃんの豆知識

「種」のお話をしましょう。
いま畑で蒔かれている種の多くは、種苗会社が開発したF1品種です。F1品種は発芽や生育の揃いが良くて病害虫にも強く、収量が安定しているので生産者の皆さんにとって作りやすい品種といえます。
ところが、F1品種の開発が進められた結果、植物自身が獲得してきた特性が失われつつあります。繊細に育てられたためか、環境の変化に弱い面があります。また、これまで収量や調理しやすさ、食べやすさを追求してきたために、種固有の風味や栄養価値が犠牲になり、野菜本来の魅力が損なわれてしまっているものもあります。
一方、地域や家で大事に守られてきた「固定種」「在来種」と呼ばれる品種があります。ヨーロッパではこのような品種は「エアルーム」と呼ばれています。F1品種が一代限りなのに対して、エアルームは何世代も受け継がれてきました。収量が不安定なため、大きな産地にならず、いわばマイナー野菜という存在でした。
ブリティッシュシード参考・引用:「ブリティッシュシード」F1品種だけでは将来が不安・・・。そんな中、エアルームが注目されています。これまで数百年に渡り伝承されてきた有用と思われる品種を保存しつつ、これから起こりうる地球温暖化などの厳しい環境変化に備えられるよう再評価し、未来の子孫に伝えていくことが重要と考えられているのです。
地元だけの珍しい野菜が皆さんの周りにもきっとあるはずです。見直して、大事に守っていきましょう。
エアルームの定義:『どんな園芸植物であれ、それがある家族の中で、家族伝来の宝石や家具のように歴史を持っている品種。』

NO.28秋季号 2006年9月1日発行

関東における施設栽培野菜の動向元・埼玉県農林総合研究センター
園芸支所長 稲山 光男

はじめに関東における施設野菜栽培の発展は、西日本地域の施設野菜栽培とはその発展の背景に違いをみることができる。つまり、西日本地域では温暖な気候という「自然の地の利」を生かして施設野菜産地の成立をみてきたのに対し、関東の施設野菜産地は、第消費地に隣接した近郊という「地理的な立地条件」の上にたって発展してきたとみることができる。

しかし、関東地域の平坦地は地理的条件だけではなく、冬期の気温は厳しい低温である反面で、冬期は晴天日が続き日射量も多いことも大きな支えになっている。

このことは関東の施設野菜栽培では、早くからハウス内のカーテン開閉装置開発や夜温管理技術の研究が行われて復旧につながったことで、一戸当たりの経営面積が決して大規模とはいい難いかわりに、単位面積当たりの収量や収益から産地の成立をみることができた。

施設の導入と果菜類の栽培の動き

農POを展張した軒高のトマト長段採り栽培ハウス農POを展張した軒高のトマト長段採り栽培ハウス 関東地域だけの問題ではないが、施設野菜園芸が普及して半世紀になる。その中で生産農業に接していると、この間に2代目、3代目への世代交代が見られる。その一方で高齢化している生産農家も少なくないのが現状でもある。これまでの栽培施設の導入が、事業や制度融資などの行政施策のもとに行われてきた経過がみられなくなっている。 このような中で、統計的にみると関東での施設設置面積は、少ないながらも増設の傾向がみられる。一方果菜類の作付動向をみると、関東の各県では栃木県が、県をあげて野菜の振興策を講じていることから、トマトでの低コスト耐候性ハウスの導入による長期多段採り栽培で、イチゴでは新品種の育成や高設栽培の普及などから増加がみられるのと、茨城県でイチゴでの増加傾向がみられる他は減少傾向にあり、特にキュウリとナスは各県とも減少している。

このようなことからみると、施設の増設傾向は軟弱野菜等での周年栽培や防虫対策などからのパイプハウスなどの導入が幾分進んでいるのかもしれない。

果菜類の品種の動向ナスは民間育種でイチゴは公的機関での品種の改良が行なわれているが、どちらも品種が頻繁に更新される野菜ではなく、ナスは"式部"を主流に長いこと品種の変化をみない。イチゴは、最近各県から新しい品種が発表されている。 しかし、主流としては"女峰"から"とちおとめ"に替わった以外は大きな変化はみられない。

一方、トマトは1985年頃に"瑞秀"から"桃太郎"が主流を占めるようになり、その中で「完熟」や「高糖度」などの付加価値をつけた栽培も行なわれるようになって現在に至っている。最近の動きをみると、桃太郎シリーズの中ではあるが、"はるか"への移行がみられるほか"麗容"や"マイロック""サンロード"その他幾つかの品種を耳にするようになってきている。このことは、特に関東においては流通が、かつての市場出荷のみから直売や契約的な販売など様々な販売方法が導入されてきたことによって、必ずしも画一された品種でなくても生産者の思惑で販売が可能な場面が出てきたことによるものと思われる。

また、キュウリもブルームレス台木の普及と果形、果色、光沢など外観的に整った"シャープ1"の時代が長く続いてきたが、最近はトマトと同様に販売方法が変化してきた中で、さらに美味しさが強調されるようになって品種に変化がみられるようになりつつある。

これからの課題関東における施設野菜の栽培は、これまで近郊産地という位置から消費の動向に敏感に対応してきた。しかし、産地を取り巻く環境の変化から、省エネルギー対策や省力化、低コスト化への努力は当然のことながら、これまでの市場出荷中心の形態から、市場出荷主流の出荷の中においても、また、業務・加工用も含めた契約的な出荷、さらに直売等々など販売方法の多様化がみられるようになりつつある。そこで、これからは流通の変化にどのように対応していくかが大きな課題となるであろう。

つまり、これまでとは違った実需者が求める品質にどのような栽培対応をすることかで有利な施設野菜栽培の経営展開を図っていくか重要になろう。

がんばる!クリンテート家族
多年張りクリンテートエクストラで減農薬トマトを生産栃木県栃木市(JAしもつけ) 松本 勲さん
松本 勲さん栃木市は栃木県の南部に位置し、市の北部から西部にかけては県立自然公園大平山に連なる山々と、南東部には関東平野にむけて平坦地が広がり美しい自然と緑に恵まれた豊かな田園都市です。
JAしもつけ栃木トマト部会は現在29名の部会員で構成されています。トマト生産部会では唯一のLink・T(リンク・ティーとは栃木県の定める減農薬・減化学肥料の特別栽培農産物)の認証を受け、消費者の皆様に安心・安全なトマトを届けることを目標に掲げ日々努力されております。
同部会で地区役員をされている松本 勲さんはトマトをつくり始めて12年目になり、現在はマイロックという木なりで完熟させ、日持ちがする品種を栽培されています。東京太田市場をはじめ、新潟などへ出荷しています。
ハウス面積は69アールを所有し、家族3名、パートさんの計7名で作業をしています。フェンロー型連棟ハウスには、耐久性の高い軟質フィルムが展張されています。取材に伺った際、屋根型ハウスには6年間ご使用いただいた当社製品のマーキュリーがエクストラに張替えられている最中でした。この度の張替えにはJAグリーンとちぎの推進担当の清水さんの熱心な勧めで、引き続き、塗布型長期展張用クリンテートエクストラを使いたいと決めました。
6年間マーキュリーを使った感想は、強度があり、長い時間を経過した現在でも殆ど破れが無く安心して長期に渡り展張できると評価しています。また、ハウス内に散乱光がよく入り、トマトの陰の部分にも色がしっかりと付き生育性も良好でしたが、流滴性については良いとは言えず今回のエクストラには期待をしております。
硬質フィルムはハウス内の湿度が少なく玉が小さくなりがちですが、軟質農POフィルムは保温力もあり、使用後の処理問題も廃プラで処理ができ、今後はエクストラの様な軟質の長期展張農POが普及してくるでしょう、とご意見をいただきました。
JAしもつけトマト部会は4年前に農林大臣賞、また翌年に第41回 農林水産祭 天皇杯など名誉ある賞を度々受賞されている素晴らしい部会です。目標20tへの収量拡大と味の良いトマトづくりを目指し、松本様の今後の更なるご活躍をお祈りいたします。(栃木県営業担当 鈴木記)

がんばる!クリンテート家族
グローマスターで収量アップ松本さんちのピーマン栽培北海道富良野市(JAふらの)
松本 裕之さん

松本 裕之さん今回お伺いしたのは、北海道のど真ん中「北海道のへそ」とも呼ばれている富良野市です。富良野市は大雪十勝連峰と夕張山系に囲まれた盆地で、恵まれた自然環境の田園地帯です。気候は内陸性気候が特徴で、1日の気温差、年間を通じての気温差も大きく、冬はマイナス30度、夏はプラスの30度にもなることがあります。7月~8月の平均気温は20度以上で農業に適した気候環境です。
松本さんの栽培作物は、玉葱・スウィートコーン・南瓜、そしてハウスで栽培するピーマンです。
クリンテートとの出会いは、今から8年前に遡ります。その頃松本さんは、ピーマン栽培を始めようとハウス増設を考えていました。JA職員に相談したところ、紹介されたのがクリンテートDXでした。破れにくく丈夫で長持ち、風による不安も減り、安心して使用いただいています。
また3年前には、「害虫忌避・病害抑制効果の期待できるフィルム」ということで、JA職員から紫外線カットフィルム「クリンテートグローマスター(GM)」を紹介されました。
実際に使用すると、「スリップスが減少し、防除回数も以前と比べて少なくなった。害虫に対する不安が無くなった」「灰色カビ病が拡がりにくくなった」など、その効果を実感されています。この他にも「生育が旺盛で伸びが早く、結果的に収穫量も増加した」とクリンテートグローマスター効果に大変満足いただいています。
こうして作られたピーマンは、JAふらののブランド「大地の魔法使い」として各地に出荷されています。10月いっぱいまで続くピーマンの収穫作業。今回取材にお伺いした時も、夫婦お二人でピーマンを収穫している真っ最中でした。貴重な時間を割いていただき、誠にありがとうございました。今後もますますのご活躍を願っております。(北海道営業所 川越記)

クリンちゃんの豆知識

「クラインガルテン」という言葉をご存知ですか?
クラインガルテンはドイツにある市民農園のことです。150年以上の歴史があり、利用者は50万人をこえます。クラインガルテンを通じて、人々は自然と交歓し、家族や利用者仲間とコミュニティをつくります。ドイツではクラインガルテンを都市計画、及び社会政策の重要な項目として法律で位置づけ、高い公益性を与えています。最近、日本でも市民農園促進法ができ、市民農園の制度化が始まりましたが、ドイツはそのずっと先を行っているのです。旧東ドイツでは都市で消費される青果物の3~4割を占めるほどでした。
クラインガルテンクラインガルテンは一区画が平均100坪もあり、畑や芝生や花壇がつくられた区画にはラウベ(小屋)が建ち、生け垣や樹木できれいに囲まれ、100区画ほどでひとつの大きなクラインガルテンの団地をつくります。団地内にあるクラブハウスと広場は、人々の交流の場です。そんな緑のコミュニティであるクラインガルテンが街中に計画的に建設され、利用者組合で自主管理されています。
農薬や肥料の使用が制限されたり、雨水利用や堆肥等の循環を取り入れるなど環境にも配慮しています。効率一点で殺伐となりがちな都市生活に緑と土の香りのクラインガルテンを持ち込むことで、潤いと安らぎ、人々の温もりのある暮らしに転換します。身近な暮らしの中に豊かさを生み出すことがクラインガルテンの哲学です。
日本でもまちづくりや農地再生、余暇開発などにクラインガルテンが話題になっています。しゃれた農園付き別荘を売り出したところもあります。クラインガルテンは、私たちに家族、仕事、余暇、地域、環境、など広範にわたり、新たな「豊かさの価値基準」を創造する手がかりを提供してくれることでしょう。(引用:豊かさを見直す「クラインガルテン」(株)社会調査研究所)

NO.27夏季号 2006年6月1日発行

春夏にんじんの被覆資材について徳島県JA板野郡東部営農センター
営農指導部技術顧問 須藤 真平

1.春夏にんじん産地の概要板野郡農業協同組合は、徳島県の東北部にあり、吉野川中下流北岸に位置しています。
当地域は、吉野川の豊かな水資源と沖積十壌中心とする立地条件で、さらに瀬戸内の温暖な気候を生かして、にんじん(521ha/351戸)、レタス(279ha/267戸)、れんこん(58ha/56戸)などを主体とする徳島県下有数の農業生産地帯として発展してきました。

にんじん栽培は、昭和43年ころから本格的に始まり、その後急速に普及定着し、平成18年度には藍住町、板野町、七板町を中心に徳島県内のほぼ6割に当たる521haでトンネル春夏にんじんが栽培されている。

最近では、食の安全安心に対する消費者意識の高まりに対応した付加価値の高いにんじん供給体制づくりも確立しつつあります。また、平成2年には、日本農業賞金賞を受賞し、先導的産地として名声を博している。

2.栽培管理の特長JA板野郡における春夏にんじんは10月~12月播きの3月~5月収穫が大部分を占めている。
種子の発芽と初期生育の条件を整えることを第一に考え、耕転回数をより多くし(8回)良質堆肥を投入播種、除草剤の散布、被覆までを機械化一貫体系で1日単位の作業で終わらせ、土壌水分の保持に努める播種方法と、PO系有孔フィルムを使用し、初期牛育の保温、保湿につとめ、土寄迄の生育をより順調にすすめ成果を収めている。

被覆資材は、フィルム幅3.6mと6.0m(5.4m)の資材を使った2種類のトンネルです。最近ではトンネル内の作業性や収量性から6m(5.4m)タイプのものが急速に普及し、全体の80%を占めなかでもクリンテートDXクリンテート有孔フィルムは揃いと肥大性がよく、生産者仲間で高い評価を受けている。

3.フィルムと菌核病の関係フィルムの違いによる菌核病の発生を過去4か年間の試験成績では、有孔フィルム区が無孔フィルム区に比べて発生は明らかに少なく、「有孔と無孔との差」がみられた。無孔フィルムはフィルム内の湿度を上げている可能性が指摘され、菌核病発生の誘因となっている。

※薗核病は、フィルムを無孔から有孔に変えるなど、耕種的に発生を回避する必要がある。
※現在無孔フィルムから有孔フィルムに移行しつつある。

4.栽培条件と被覆資材との関係長期間被覆資材の試験成績から、PO系クリンテート有孔資材は常にどの試験でも揃いと肥大性が顕著で、根茎のバランスがとれるなど、利点が多く普及しつつあります。クリンテート有孔は、殊に初期生育がよく、どの作型でも安定した実力を発揮し、生育に好結果を反映するなど、今後ますます普及定着が期待されている。

※6種類のフィルムを使用したが、クリンテートB型有孔は、揃いと肥大性はよかった。

5.市場でのにんじんの評価春夏にんじんの市場評価基準は、揃い、形状、色沢が大きな要因となる。具体的な規則によって市場価格が格付される。規格は、1個の重量、形状が基本である。にんじんは階級別価格差が目立つ品目であるが、平均的に有利販売されるのはML級であり、スーパーはML級の3~4本の袋詰販売が圧倒的に多く、2L級はバラ売りとなる。そのため、にんじんは揃いをよくするため、土作り、被覆資材の種類と換気が求められる。春夏にんじん生産には、土作りを栽培の基本に、揃いと肥大性をよくするフィルム資材の選定、換気方法が市場評価をより高めていく販売対応が大切になります。

がんばる!クリンテート家族
JAみい ラディッシュ部会(4戸・4名)福岡県久留米市北野町今山856
部会長:楢原 恵介 さん

祝 JA全農主催第32回全国施設園芸共進会
[農林水産大臣賞・全農会長賞]受賞
おめでとうございます

今回、ご紹介させていただく、第32回全国施設園芸共進会において農林水産大臣賞を受賞された『JAみい ラディッシュ部会』は福岡県のほぼ中央部の筑後北部に位置した福岡県久留米市北野町にあり、筑後川中流域の沖積土の深い作土と年間平均温度16℃、年間降雨量2,000mmという温暖な気候を活かした大規模野菜生産地で180品目を超える野菜を生産し、国内50市場に出荷しているJAみい管内にあります。
近くには九州自動車道の久留米インターと大分道の小郡インターがあり、福岡市内へは車で1時間程度と好位置に恵まれている。
ラディッシュ部会は1987年に発足し今年で19年目を迎え、現在の部会員数は4戸と少人数ではあるが全国での出荷シェアはなんと2割を占める全国第2位の産地であります。
ラディッシュ栽培がスタートしたのは「子育てをしている女性でも栽培が出来・軽くて可愛いので」という初代部会長(楢原美智子様)の発想から生まれたそうです。
最初は、クリスマスシーズン出荷を中心に大型トンネルを利用した半年間の栽培であったが、間もない頃、JAより航空機内の食材として出荷する話が持ち上がりこれを機に周年出荷に向けた取り組みが始まったそうだ。

用排水の整備やJA・普及所・市場関係者との勉強会等の努力が報われ、今ある周年栽培技術が確立しました。
しかし、1991年には度重なる台風の襲来により記録的な被害を受けた、これを機に耐候性に優れた施設の整備が急務と認識し、1993年にJAや行政の支援を受け県単の補助事業で鉄骨ハウスを導入、農POフイルム「クリンテート」との出会いはこの時期からであり、現在も初代部会長をはじめ大半のハウスにクリンテートDXを愛用されています。
その後も補助事業を活用しての規模拡大に積極的に取り組み、現在では台風にも耐え得る施設の面積が2.4haに達し現在に至っています。部会員数は当初から現在に至るまで変動は無く、それぞれ後継者に恵まれ世帯交代しており年齢は25歳~43歳と若返り、今後の規模拡大にも意欲的な皆さんです。
4戸で1億6千万円(16年度実績)を売り上げるラディッシュはJAみい管内の栽培品目の中でも1戸あたりの平均販売金額は4千万円台とトップであります。
今回、農林水産大臣賞・全農会長賞受賞の大きな要因は前述のように1戸あたりの販売金額が高い事と後継者が育っている事が認められたものと思われます。
将来の展望として、部会員数は現状を維持し販売金額2億円達成を目標にこれまで実現出来なかった国際線航空機内食材としての出荷に改めて取り組むことと、需要を伸ばしていくために、食事に彩を添える新たな食べ方の紹介などPRにも努めていくことにしているとのことでした。
今回の記載内容については、JAみい・指導販売課の樋口係長にご協力を頂きましたが部会員の方々にお会いした感想として、さすがに農林水産大臣賞を受賞されるだけあって団結力が強く希望にあふれた活気ある部会だと痛感いたしました。
今後も益々、消費者に愛され親しまれる、北野町のさくらんぼ大根『ラディッシュ』栽培が発展されますよう、お祈りいたしますと共に、農POフイルムのトップブランドである「クリンテート」も更なる改良に努め、お役に立てるフイルム提供に努力したいと思います。

クリンちゃんの豆知識

「ファイブ・ア・デイ」「ベジフルセプン」といった言葉を知っていますか?
最近はスーパーの青果売り場でよく見かけますね。
5ADAY(ファイブ・ア・デイ)とは、1991年米国で始まった、がん予防をめさした国民健康増進運動です。これは、アメリカでがんが死亡原因のトップになったため、発がん原因の35%を占める食習憤を改善することが急務となったことが発端になります。その結果、3年問で野菜の消費量が15%、果物の消費量が17%向上し、生活習慣病による死亡率が低下傾向を示しています。
一方、私たち日本人は、いまや米国人より野菜の摂取量が少ないというのが現実で、生活習慣病も増加しています。
そこで、日本でも平成14年に青果物健康推進委員会を設立し、毎日野菜を5スコア(5皿分、350g)、果物を2スコア(2皿分、200g)の7スコア以上の摂取を目標とする「ベジフルセブン」の取組みが始まりました。果物なら温州ミカン1個で1スコア分、リンゴ1個なら2スコア分です。
毎日の食事に野菜を1品、食後のデザートに果物を1品、追加するところから始めてみましょう。新鮮で美味しく、安全な、国産野菜・果物が見直されてきています。

NO.26春季号 2006年3月1日発行

クリンテートを使って全農スプレイ菊栽培を全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

例年になく寒い冬になりました。40年近く付き合いのあるキクの生産者が言いました。「ナミさん(私のこと)、こんなひどい年はひさしぶりだよ。去年までに比べると油代が2倍かかっている。花の価格はまあまあだったが、油代の負担の方がでけいやなぁ。」

寒さと石油高騰のダブルパンチが、花の生産者に暗い影を落としています。雪国の農家からは、ハウスが雪の重みで潰れたという便りも来ています。来年の冬も今年のように寒いかどうかは神ならぬ身の知る由もありませんが、石油価格が安くなるという保証は全くありません。生産者の皆様のチエと努力で、輸入に負けない、消費者の好みを先取りした品種を選び、品質の良い花を作ることが大切ではないでしょうか。

全農のスプレイギク

全農の品種展示全農の品種展示 日本の切花の多くの種類の生産が横ばい、または少し右肩下がりの傾向の中で、スプレイギクだけは20年以上毎年生産量が増えています。こんな花は他にありません。花の美しさはもちろんですが、使い勝手が良いためでしょう。花持ちはそこそこ良く、花色、花型は多様ですし、アレンジメント、慶事や弔事、家庭のテーブル花から仏花など、どんな用途にも使えます。 こんな点に目をつけて、全農営農・技術センターでは15年ほど前からスプレイギクの品種作りに取り掛かりました。担当者の努力によって、この数年ようやく生産者に認知されるような品種を発表できるようになりました。生産地で評判が上がると、10年以上前に出した、忘れられたような品種が日の目を見たりもします。

キクの品種というのは難しいもので、いくら花が良かったり、ある季節にはよく咲いても、他の季節には咲かないものもあります。 今のところ、全農の品種はお盆や秋の彼岸向けの夏秋ギクに人気があるようです。営農技術センターだけで選ぶのではなく全国の産地の生産者と一緒になって良し悪しを決めていくという、生産者とうまく協力できたことが、認知されるようになった原動力かもしれません。是非クリンテートを使った全農のスプレイギク栽培をおすすめいたします。

スプレイギク栽培と光、温度

プレリュードプレリュード スプレイギクの生産にとって、どのくらいの光の強さが最も適しているかということを一言で述べることはできません。夏に咲かせる夏秋ギクと、秋から春にかけて出荷される秋ギクは、光に対する反応が違います。また品種によっても違います。私のカンでは、最も光合成が盛んになるのは夏秋ギクでは45,000ルクス、秋ギクは35,000ルクスくらいだと思います。 太平洋沿岸地帯で、真夏の晴天日の照度は10万ルクス以上です。朝夕はもっと低いし、くもりの日はその半分以下でしょう。冬は晴れていても20,000ルクス程度です。このことから、10月から4月末までは、スプレイギク栽培にはハウス内にできる限り光を取り込むのが大切だということがわかります。

フィルムが光をよく通すとともに、汚れが付きにくく、しかもハウス内の水蒸気がフィルムに触れてできる水滴が流れ落ちやすいことが、スプレイギクを喜ばすことになります。石油高のことを考えると、保温効果も良い「クリンテートDX」は以上の条件をクリアする特性を備えていると考えられます。

ガラス温室などより骨材が少なく、影ができない利点もあります。かつて私がカーネーションなどでおすすめした紫外線カットフィルム、グローマスターはどうでしょうか。花色が白や黄色の品種を栽培する場合は良いのですが、桃色や紫紅色の人気品種には疑問があります。グローマスターをさまざまな花色の品種にテストをする必要があるという提案をしておきます。

スプレイギクの生産者が頭を痛めていることのひとつに、高温対策があります。秋ギクは30℃以上の高温ではまともに咲きません。また夏秋ギクも品種によっては開花が遅れたり、品種固有の色が出なかったりします。秋から春にかけてのクリンテートDXの利点が、かえってマイナスになり兼ねません。

光がよく入り、夏は高温になりやすいからです。そのためにサイドを高くし、開放部分を大きくすることが大切です。

夏を涼しく過ごす、さまざまな構造上の工夫が行われてきましたが、地球温暖化の進行する中で、冬に暖かく夏に涼しいハウス構造の開発がさし迫っていると思います。頭をやわらかくすることも大切です。冬の保温を兼ねた遮光カーテンの設置は明らかに有効ですし、夏用のハウスと秋から春用のハウスを別建てとしたり、ハウスとハウスの間を広くしたり...。なにせスプレイギクの将来性は、まだまだあるのですから。

がんばる!クリンテート家族
イチゴ作り"28年"愛知県宝飯郡一宮町 (JAひまわり 東部事業所管内)
鈴木 敏之 さん・秀子 さん

鈴木さんご夫妻鈴木さんご夫妻今回ご紹介させていただきますのは、一宮町でイチゴを栽培されている鈴木さんご夫婦を訪ね、お話を伺いました。
鈴木さんも以前はトマト・メロンの栽培農家として頑張ってこられたそうですが、オイルショックを境に農協からの強い勧めもあって、昭和52年からイチゴ栽培農家へと転身されたそうです。
現在の作付面積は
6m×3R×48m 1棟
7m×2R×47m 1棟
5.4m×2R×42m 3棟
合計2883㎡を所有されており、基本的にはご夫婦2人で頑張っておられます。

さて、ご本人曰くクリンテートとの出会いは平成になって間もない頃だそうで、当時ビニールしか知らなかった鈴木さんは、愛知経済連 I課長の強い勧めによって、恐る恐るクリンテートを使用したそうですが、ビニールにはない強さ、丈夫さに強く魅力を感じられたそうです。
以来、クリンテートとの付き合いも約15年 となり、とりあえず今年もクリンテートDXをご注文いただきました。
また鈴木さんは、今年より6mハウスと7mハウスの2棟にJA愛知経済連の"ゆりかご高設栽培システム"を導入され、66歳になってなお充実した日々を送られております。
この分では当分クリンテートも安泰と少々安心している担当の森口です。
それでは鈴木さん、これからもお体には十分気をつけられて、ご夫婦仲良く頑張ってくださいね。応援しております。 

がんばる!クリンテート家族
三石町の農業の現状と農業実験センターの役割三石町農政課 課長 酒井 哲也 さん
三石町農業実験センター センター長補佐 城地 哲也 さん

~紫外線カットフィルムで良質なグリーンアスパラガス栽培を目指す~
三石町の農業の現状育苗ハウスのようす育苗ハウスのようす三石町は、北海道の南東部、日高管内の中央に位置し、南は雄大な太平洋に面し、北は秀峰日高山脈を望む、緑豊かな自然環境に恵まれています。気候は、沿岸地域の海洋性の気候と内陸地域の大陸性気候によって、年間を通じて比較的温暖であります。
農業の主な作目は、耕種が稲作、花卉及び野菜、畜種は軽種馬、肉用牛、酪農であります。特に花卉については、平成6年度から作付けの増加したデルフィニウムが大産地に成長し、現在では札幌、関東、関西を中心に「みついし花だより」として日高東部広域出荷され、その認知度を高めています。

また、平成15年度から本格的な作付けの始まったグリーンアスパラガスも作付け農家戸数が増えてきており、デルフィニウムに続く三石町農業の柱として将来が期待されています。
これらを栽培するビニールハウスなどの農業施設も増加の一途を辿っています。三石町では、その作業性の良さから、歴史的に農POの導入が早かったこともあり、急速に農PO化が進んでいます。今後の施設整備にあたっても、北海道の補助制度の活用や、三石町とJAでの支援策などにより、産地の形成に向けて取り組んでいくこととしています。
農業実験センターの役割三石町農業実験センター三石町農業実験センター当センターは、花卉・野菜の研究を目的として平成元年に開設いたしました。開設当時の実験センターは、5棟のハウスで花卉・イチゴ・キュウリ・ミニトマトなどを試験栽培していました。当時は施設規模が小さかったことから実証結果を出すまでに至らず、平成4~6年度に施設拡充を図ることとなり、現在の施設規模となりました。
センターの事業として最もウェイトが高いのは、農家指導と試験・実証、育苗管理であります。その試験・実証した生産物は、JAを通じて市場出荷しており、このことが市場動向を把握するうえで大きく、翌年の農家作型指導に大変役立っています。

花卉の育苗は、生産者が種子・用土・トレイを持ち込み、センターの播種機や土詰機を用いて行い、以後はセンター職員が管理し、定植時期にそれぞれ生産者が取りに来ます。この育苗ハウスができる前は個々のハウスで育苗していましたが、苗の品質向上や育苗ハウスが生産ハウスに変わったため、切花の品質及び出荷量は飛躍的に伸びました。
また、センターの目的は、「農家所得の確保」にあるため、市場性を重視(切花は流行もので品種の入れ替わりが早い)した試験として、品種特性の把握、品質、収量性、作型研究に絞り、かつ有望品種の実証・作型試験を行っています。 アスパラガスについても品種別に耐冷性、収量、病害について試験を実施しています。昨年については、紫外線カットフィルムの使用によるアントシアニン色素発色抑制効果(地際の赤みを抑える効果)について試験を行い、その効果について確認をいたしました。当事例については、農家所得の向上に繋がるものと期待されています。
今後も、「農家所得の確保」を基本に据え、町及びJAが相互に役割を果たし、農業改良普及センターと連携して取り進めてまいりたいと考えています。
文中にあるとおり、昨年、当センターにおいてクリンテートグローマスターの実用試験を行っていただきました。快くお引き受けいただいたこと、心より感謝いたしております。今後とも、新技術・新資材などのご意見をいただきたく、宜しくお願いいたします。(北海道営業所 川越)

クリンちゃんの豆知識

「IPM」という言葉を知っていますか?Integrated Pest Managementの略で、日本語に訳すと「総合的(病)害虫管理」ですが、「IPM 」として既に定着しつつあります。クリーン農業をめざす方は早くからこの考え方を取り入れて実践しています。
病害虫解説文によると、「病害虫の発生状況をよく把握し、経済的に 被害が出るまでの許容範囲(要防除水準)を作物、地域ごとに明らかにして生産圃場での発生予察を各種の防除技術を組み合わせ、要防除水準以下に病害虫の密度をコントロールする防除方法」となっています。つまり、環境のため、過剰な農薬散布をやめて、さまざまな方法を組合わせることによって病害虫を防除しよう、ということです。
防除方法としては、物理的管理・耕種的管理・生物的管理・化学的管理(農薬)があります。物理的管理には紫外線カットフィルムや防虫ネットを使う方法があります。三善加工にも紫外線カットフィルム「クリンテートGM(グローマスター)」がありますね。耕種的管理は土壌や気象環境をコントロールする方法です。生物的管理というのは天敵や微生物を使う方法です。これらの方法を組合わせることで農薬の使用を必要最小限にできるのです。
化学系農薬をまったく使わない無農薬栽培というのは、生産者の方への負担が大きくて、続けるのが大変という声も聞きます。このIPMの考え方を消費者にも理解してもらうことによって、細やかな技術を生かした日本の農業が生きてくると思います。

NO.25冬季号 2005年12月1日発行

農POとカーネーション栽培全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

ハウス栽培中のカーネーションハウス栽培中のカーネーション 先日、かつて日本一のカーネーション生産地であった秦野市(神奈川県)の生産者を数戸訪ねました。他の花に転換した人も多かったのですが、それぞれ頑張っていて、カーネーション、プラス他の花(ガーベラ、トルコギキョウ、ストックなど)という経営が多くなっていました。そのとき最も印象的だったのは、やや大袈裟ですが、地球温暖化問題です。 今年は昨年よりは暑さが厳しくなかったはずですが、それでも10月の初旬にもかかわらず、カーネーションの草姿は20年前の9月中旬の様相でした。ミカンキイロアザミウマの外来昆虫の害は深刻です。中にはオオタバコガの防除のため、黄色蛍光灯を使っている人もいます。「最近はアザミウマに効く薬は高くて、高くて。」という声も聞きました。一方では「昔に比べると重油の使用量はうんと減っている。12月中旬まではほとんど油は焚かないよ。」という人もいました。

チョット待ってください。アザミウマの防除には「クリンテートグローマスター」は見事に有効ですよ。データは無いかもしれませんが、他の虫にも効くかもしれません。ハウスを閉め切ったときに出やすいボトリティスにも有効でしょう。ただしクセの悪いスリップスもいて、「グローマスター」を張ったからといって、完全防除ができるとは考えないでください。ハウスの開口部からはもちろん侵入しますし、ハウス外のスリップスの密度が高ければ、侵入する数は多くなります。

カーネーションを毎日見張って、農薬を使うときは使う、たぶんこれまで10日に1回防除していたなら、1ヶ月に1回で済むかと思います。まず「グローマスター」を張って様子を見てください。

花色に及ぼす影響も考えてください。確かに赤い花は黒ずみが無くなり、美しくなります。各地の品評会で、カーネーションに限らずバラ、ガーベラなどで紫外線カットフィルムの下で育てた赤い花がトップ賞を得ています。なにせ明るい色が出るのです。ただし、ごく少ないとは思いますが紫色や暗い色をセールスポイントにしている品種はどうでしょう。たぶん本来の色が出なくて失望するかもしれません。セールスの方とよく相談されると良いでしょう。

先ほど、チョット待ってくださいと言ったのにはもうひとつ意味があります。地球の温暖化でいくら重油の使用量が少なくなったと言っても、カーネーションの産地は秦野よりも、もっともっと寒い所が多いのです。A重油の価格は40円から60円以上に上がっています。昭和52~53年の石油ショックの時より急激な上がり方はしていませんが、実は前回よりも心配な要素が多いのです。合わせて24億以上の人口がある、中国、インドの急速な経済発展や、中東の石油生産大国イラクの崩壊など、構造的、持続的石油不足が現実にあり、また解決しそうにありません。前回のショックは2年で治まる急性症状でしたが、今回は慢性化しそうです。

 施設で暖房を前提とし花を栽培する人は、重油の使用量の多少を問わず、いかにして使用量を減らすかを考え、実行しなければ、経営的に成り立たない状況にまで来ています。特にカーネーションはコロンビアなどからの輸入圧にさらされています。

 まずは暖房装置の徹底的なクリーンアップ、すなわち缶体の清掃、ノズルの点検、バーナー周辺の汚れの除去などです。不完全燃焼防止による効果と合わせて、少なくとも数%は期待できるでしょう。カーテンの内張りをしている人の割合は野菜に比べ花は少ないのですが、どんな材料を使うにしろ、必ず実行して欲しいと思います。農ポリや農ビを使っても30%以上の熱量節減が期待できます。しかし、農POはそれ以上です。夜の暖房効率だけでなく、クリンテートは昼間の光を室内にしっかり取り入れることによって地温を上げ、その地中からの熱放射が夜間の省エネにつながります。省エネ時代の省エネフィルムとしての価値も、大切にしたいものです。

がんばる!クリンテート家族
毎年張替えが基本!良質な"軟弱野菜を栽培"兵庫県稲美町(JA兵庫南)
大西 初巳(おおにし はつし)さん

大西さんご一家大西さんご一家JA兵庫南管内は、以前から稲作を中心とした農業地域であり、また最近では京阪神のベッドタウンとしても発展しています。
今回、このJA管内の稲美町で農業を営む大西初巳さんを訪ねました。
稲美町は明石市と加古川市の間に位置する農業の盛んな町です。大西さんは、奥さんが農薬などのアレルギーを持つことから減農薬栽培に非常に興味を持たれ、10年ほど前に公務員を退職したことを機に農業で再出発をされました。また、4年前には息子さんが帰郷されて就農、一家で減農薬栽培に取り組んでおられます。

近郊の農家でつくる『東播蔬菜園芸組合ハウス軟弱部会』の代表も務めたことのある大西さんは現在、ホウレン草、春菊、ミズナ、小松菜、山東菜、チンゲン菜などを16棟のパイプハウスで周年減農薬栽培しています。当初は農ビを使用されていたそうですが、フィルムの汚れ度合いや強度的な問題、また年々ハウス棟数が増えて張替えの負担が大きくなったこと、JAの担当者や地元の販売店『エドビ』さんから奨められた事もあり今ではそのほとんどがクリンテートに替わっています。
クリンテートは軽量なので展張作業の省力化が図れ、またベトつかないので日々のハウス管理が楽になったそうです。
それでも作物の品質を考慮しフィルムは毎年張替えが基本との事。 当初の『クリンテートU-FO』厚み0.075から現在では高保温タイプ『クリンテートDX』の厚み0.075で毎年張替えをされています。
また、新しい取組みとして昨年、一部のハウスに中長期タイプの厚み0.1の『クリンテートEX』を導入、多年張りを評価中との事でした。
風の強い地域ということもあり、すべてのハウスにバンドが掛けられています。しかし、昨年の台風では残念な事に2棟のハウスが骨にまで被災、そのことで逆にクリンテートの強度を再認識されたそうです。
今、そのハウスは更に頑強なパイプハウスに生まれ変わり、またクリンテートが展張されていた事をとても嬉しく思い、また営業担当者として心強く感じました。(兵庫県営業担当 鈴木記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで"高品質のイチゴ"作り山梨県甲斐市(JA梨北双葉支店)
箭本 孝徳(やもと たかのり)さん

ハウス前で説明中の箭本さんハウス前で説明中の箭本さん箭本さんは11年前に勤めをお辞めになり農業を始められました。きっかけはお父様が双葉町の町長になられ所有されている2haの田畑を活かす為にとの事でした。
箭本さんが始められたときは、ブドウ・リンゴが中心でサクランボは10a程だったそうです。
現在は、施設面積でサクランボが70a、イチゴが30a、そして柿を20aの面積を栽培管理なさっています。今回イチゴのハウスを訪問させていただき話をお聞きしました。

イチゴの栽培は3aの面積から始められました。はじめはなかなか良質のイチゴが出来ず、栽培管理や肥料・防除について様々な試行錯誤の後、現在の栽培方法、栽培管理を確立されました。
現在では箭本さんのイチゴはとても美味しく、市場や消費者の方から「箭本さんのイチゴを」と指名される高品質です。
箭本さんの栽培するイチゴやサクランボはその味覚で差別化され、市場でも、直売所でもとても高く評価されています。
この美味しいイチゴを栽培するハウスは、外張りは厚み0.1のクリンテートDX、内張の天井部分は厚み0.05そして内張りのサイドは厚み0.075を使用されています。
最初の頃は、農ビや厚いフィルムを使ったりなさったそうですが今ではクリンテートDXを全てのハウスに使用されています。
クリンテートDXについて箭本さんに感想をお聞きしたところ、「風が大変強い場所にあり、強風が吹いても破れることもなく大変強く、そして保温性や透明性もあり美味しいイチゴの栽培に適している」との評価をいただきました。
現在箭本さんが栽培しているイチゴはとちおとめが80%と紅ほっぺ20%です。
定植は9月8日、最初の収穫は11月23日でした。収穫は5月の中旬までだそうです。実際は6月まで収穫可能だそうですが6月からはサクランボの収穫が始まるためにイチゴは終わりにするそうです。
箭本さんはインターネットでの販売や、地元の園児たちをイチゴ狩りに招いたりと様々な努力をして付加価値の高い商品への努力をなさっています。
今回はサクランボのハウスには訪問できませんでしたがサクランボもイチゴと同様に味と品質で差別化され、イチゴと同様に高い評価になっています。
今回お話をお聞きしながら、とちおとめと紅ほっぺをその場でもいで食べさせていただきました。食べごろにはちょっと早いとの事でしたが、私には今までで一番のイチゴでした。そして紅ほっぺは私が持っていたイチゴのイメージを変える食感と美味しさでした。一番美味しくなる頃に訪問できればと思っています。
箭本さんを紹介していただいた明友機工の小牧部長さんによると本当に勉強家ですと感心されていました。
インターネットで「いっぴんやまなし」と検索すると箭本さんのイチゴやサクランボが紹介されています。一度ご覧になって下さい。
(山梨県営業担当 西田記)

NO.24秋季号 2005年9月1日発行

アスパラガス栽培における紫外線除去フィルムの資材特性長崎県総合農林試験場 作物園芸部 野菜科
研究員 井上 勝広

6月号では、アスパラガス半促成栽培における紫外線除去フィルム(以下「UVC」)の害虫抑制効果と収量への影響について試験結果を報告しました。今号では、UVCの資材特性について説明します。

2.紫外線除去フィルムの影響(6月号のつづき)オゾン層に吸収6)太陽光線のうち波長が400~700nmは可視光線であり、それより波長が短い100~400nmを紫外線といい、そのうち190~400nmを近紫外線といいます。近紫外線の190~280nm(UV-C)はオゾン層により吸収され、地表には到達せず、280~400nm(UV-AとUV-B)が地表面に到達します。

ところでUVCには,製品により紫外線除去率に差があり、ポリオレフィンフィルム(以下「農PO」)は280nm付近を若干透過させるのに対し、ビニル(以下「農ビ」)は完全に除去します。

しかし、190~280nm(UV-C)はオゾン層に吸収され、地表には到達しないので、実用上は問題ありません(図1)。

除去率の低下7)UVCは通常の展張期間である2年間被覆しても、紫外線除去率は低下せず、防除効果にも変化は認められません。

しかし、3年目では波長280~300nm、370~390nm付近に若干の除去率の低下が認められました(図2)。

以上の結果から、アスパラガス半促成長期どり栽培における紫外線除去フィルムの利用は、アザミウマ類に対し侵入抑制効果を示し、立茎開始後の急増期も遅くなります。また通常の展張期間である2年間はその効果が低下しません。さらに紫外線除去フィルムの利用はハウス内の紫外線量を大幅に減少させますが、気温や照度に変化はなく、若茎の収量、規格、緑色度、糖度も低下しません。

3.活用面・留意点・普及状況1)適用範囲はアスパラガスの半促成長期どり栽培地域です。
2)UVCはアザミウマ類のハウス外からの飛来・侵入を防ぐことで効果を発揮します。ハウス内での増殖は抑制しないと考えられるので、慣行フィルムと同様に防除適期を逸しないよう注意しましょう。
3)巻き上げの際,農ビの場合はベタつきやすいので、割布を入れる必要があります。
4)長崎県のアスパラガス栽培(140ha、1000戸、24億円)におけるUVCの普及率は、2002年には0%でしたが、長崎県野菜技術者の推進により、2003年には面積で4.6%、戸数で7.1%、2004年には面積で10.1%、戸数で13.2%と増加しました。今後も張り替え時にはUVCを選択する生産者が増えるでしょう。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで秀品率アップ スプレー菊づくり20年群馬県吾妻町(JAあがつま)
荒木 順一 さん

吾妻町は、群馬県の北西部、吾妻郡のほぼ中央に位置し、面積約220平方キロメートルの周囲には1000メートル級の峰々と、吾妻渓谷を有する吾妻川などをはじめ、多くの渓流にも見られるように、吾妻町は水と緑に恵まれた自然の豊かな町です。
吾妻町でスプレー菊の生産者である荒木さんを訪ね、お話しを伺いました。
20年前からスプレー菊を作り始め、作付面積は約4000平方m、ハウスは鉄骨ハウスが5連棟、2連棟を2棟、パイプハウスを6棟所有しています。最初の10年は農ビを使用していましたが、雹(ひょう)の被害でビニールが破れPOフィルムに張り替えたところ、傷で穴が開いても広がらずそれ以来PO系フィルムを使用し、現在パイプハウスにはクリンテートDXを使用しています。
荒木 順一 さん鉄骨ハウスにも防塵ビニールの0.13を使っていたところ、透明性が悪く秀品率が下がり、4年前にクリンテートMCに張替えました。
当初、紫外線の透過率を心配しましたが問題は無く、透明性は良かったとのことで収量アップに繋がりました。今では全てのハウスにスプリング止めを採用しマイカー線を使わなくなったことで、展張時の手間が随分省け作業が軽減されたと喜んでおられました。
お使いいただいているクリンテートMCも展張4年を経過し、この9月の張替えには業界初の新プラストマーを配合させ、透明性と強度をアップさせたクリンテート エクストラ(EX)をおすすめさせていただきましたところ、早速ご注文をいただきました。
荒木さんをはじめ部会の皆さんが心をこめて生産したスプレー菊は東京、神奈川を中心に関東一円に出荷されています。
荒木さんは、花き部会太田地区スプレー菊の部会長をされ、明るく気さくなリーダーとして積極的に活動されています。平成14年 第50回群馬県花品評会では個人の部で農林水産大臣賞を受賞されたスプレー菊づくりの名人です。(群馬県営業担当 鈴木)

クリンちゃんの豆知識

今回は企業と環境についてです。環境報告書
最近、環境に対する企業の関心が高まっています。いまや企業にとって環境は避けて通れない課題です。大手企業の8割が、自社の環境への取組みを外部に報告する「環境報告書」を発行しています。
これまで産業界は、もっぱら製品を生産することだけに専念し、その後の処理に対しては無関心でした。人間は、本来自然界にはないさまざまな化学物質、たとえばプラスチックや化学肥料、農薬、化学薬品などを人工的に作り出し、利用してきました。ところがこれら合成化学物質は、捨てられたとき、本来の自然機構では処理できないため、深刻な環境汚染を引き起こすことが明らかになり、利用するだけでなく、廃棄物の処理も重要ととらえられるようになってきたのです。
ある製品が、生産から廃棄されるまでにどれほど環境に負荷をかけるかを数値化するライフサイクルアセスメント(LCA)という考え方が広まっています。いかに環境への負荷が少ない製品を作り出すかが、企業の新たな課題です。たとえどんなに便利で高機能な製品でも、使用中や廃棄時に多くのエネルギーを消費して二酸化炭素をたくさん排出するようでは、これからの環境を考える世の中には受け入れられない、ということです。
農業においても、生産から廃棄まで、安全で環境負荷の少ない資材を選ぶことが大切ですね。(参考文献:小島 覚著「よくわかる環境の話」)

NO.23夏季号 2005年6月1日発行

アスパラガス栽培における紫外線除去フィルムの効果長崎県総合農林試験場 作物園芸部 野菜科
研究員 井上 勝広

1.はじめに

アザミウマによる茎部の吸汁根アザミウマによる茎部の吸汁根アスパラガス半促成長期どり栽培の重要害虫のひとつにアザミウマ類(ネギアザミウマが主)があります。また最近では牛ふん堆肥の多投入に伴うキノコバエ類幼虫の被害もみられます。 現在は化学農薬による防除が中心ですが、登録農薬は少なく、輪番使用に苦慮しているのが現状です。また近年は環境保全型農業や減農薬栽培技術の要望も高くなっています。そこでアザミウマ類とキノコバエ類による被害防止対策として、紫外線除去フィルム(以下「UVC」)を用い、その効果と併せ、市販製品の性能と持続効果を検討しました。さらにUVCを利用した場合、収量、品質、ハウス内空間への影響はこれまで明らかにされていないため、あわせて検討しました。

紫外線除去フィルムの影響

アザミウマによる穂先の吸汁害アザミウマによる穂先の吸汁害1)アスパラガス半促成長期どり栽培において、UVCを被覆することにより、春芽収穫期から立茎初期にかけてハウス内におけるアザミウマ類とキノコバエ類の捕殺数は減少し、侵入抑制効果があります(表1)。


害虫に対するUVCの抑制効果表1 害虫に対するUVCの抑制効果
注)抑制効果は憤行に対する割合。ともにPO。UVCは2002年5月1日に展張。
1年目の調査期間は2003年3月14日~4月22日。
2年目の調査期間は2004年4月1日~4月21日。
高さ20cmの青色粘着シートを設置し、捕殺。

アザミウマにより擬葉が白け、ポロポロに落ちるアザミウマにより擬葉が白け、ポロポロに落ちる 2)2004年5~6月に立茎以降のネギアザミウマ成虫密度の推移を成茎払い落とし法により調査したところ、UVC被覆下では、慣行フィルム被覆下に比べて立茎開始後のネギアザミウマの急増期が2週問程度遅れます。 3)UVCを被覆すると、ハウス内の紫外線量は晴れでも曇りでもハウス外と比べて11%と大幅に減少します。 4)UVCを被覆してもハウス内温度や照度に変化はなく、若茎の収量、規格、緑色度、糖度にも変化はありません(表2)。

UVCと慣行フィルムの収量と規格表2 UVCと慣行フィルムの収量と規格
注)品種「ウェルカム」、黒ボク土、1997年10月14日定植、6年生株

キノコバエ成虫キノコバエ成虫 5)UVCが土壌に及ぼす影響を調査した結果、黒ボク土、安山岩質細粒黄色土、玄武岩質細粒赤色土のすべての土壌において、UVC被覆1年目、2年目ともに作土の硝酸化成菌が増加し、硝酸濃度と電気伝導度の上昇が認められました。(続きは、9月1日号に掲載します)

がんばる!クリンテート家族
部会員の創意工夫で高品質・美味しいミディトマトづくりを実現熊本県大浜町(JA大浜)
JAミディトマト部会

祝 全農主催第31回全国施設園芸共進会
全農会長賞
おめでとうございます

クリンテートハウス内での伊方さんクリンテートハウス内での伊方さんJA大浜は熊本県の北西部に位置し、地形的には有明海に面し阿蘇外輪山を水源とする菊池川が南北に貫流し、年平均気温は16℃前後の比較的温暖な地域にあり、平坦な水田地帯では水稲を基幹作物としていますが、トマト、メロン、イチゴ等の施設園芸が盛んな地区です。
JA大浜ミディトマト部会は平成14年に部会が設立され、22戸6haで栽培されています。ミディトマトは大きさがゴルフボール位でフルーツ感覚で食べられるおいしいトマトです。

昨年、第31回全国施設園芸共進会で優秀な成績を修められ、全戸が熊本県知事認定のエコファーマーの認定者であり、ハウスでの防虫ネット、防虫テープの利用、薬剤散布回数を減らすなど、減農薬栽培に取り組まれています。栽培管理の記録を徹底され「安心・安全に加えトマトの味と品質の向上に努める」を合言葉に取り組まれています。
クリンテートを展張されている部会員の伊方静男さんにお話を伺いました。
現在、奥さんと従業員3名でミディトマト、メロンのハウス栽培(80a)と米(1.5ha)を経営されています。
ミディトマト栽培のきっかけは、市場評価が高かった為、3年前から取り組まれたとの事でした。平成14年には補助事業でハウスを建てられ周囲の薦めもあり、クリンテートMCを導入、昨年の台風にもクリンテート展張ハウスはビクともせず、大変高評価を頂いています。今年の張替には、MCより強いクリンテートEX0.15を展張いただくことになっていますが、要望として、もう少し価格が安ければなぁとの事でした。
最後に取材後、お土産にミディトマトをいただきありがとうございました。食感がトマトと言うより果物みたいで大変美味しかったです。
是非、皆さんもお店で見かけたら、ご賞味ください。(熊本県営業担当 松崎記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートデラックスで 良品質メロンと大玉トマト生産茨城県旭村(JA茨城旭村)
内山 賢治さん

内山さんご夫妻内山さんご夫妻私は、旭村で春はメロン、夏から秋にかけて大玉トマトを栽培しています。家族は、妻、父と母、子供が3人です。
パイプハウスの規模は、100アール(間口5.4m70a、間口3.3m30a)で、春メロンを100アール栽培し、夏秋トマトを40アール栽培しています。
被覆資材は、最初は、ビニールを使用していましたが、春一番や台風などの強風で被害がひどく、それならばとPOフィルムに変えました。

クリンテートに変えたのは7年前で、バンドレスタイプの3間ハウス(間口5.4m)にする時に、いろいろな方の意見を参考にクリンテートデラックスを導入しました。
実際にさわった感触も硬すぎず、柔らかすぎず、程よい硬さがあり満足しています。
こちらでは、ハウスに被覆する時期が12月から1月と、特に寒い時期にあたり、さらに早朝風のない時間帯に作業することが多く、この時期の手触り感というのが、作業性に大きく作用すると思います。
メロン栽培は無加温栽培で高品質生産をめざしています。
また、フィルムは、使用方法を変えて、4年は使っています。屋根部分は毎年張り替え、ハウス内の中央通路の左右のベッドの二重被覆で2年使用し、最後にマルチとして4年目を使います。
マルチには、グリーンマルチを使用していましたが、3年使ってそれなりに汚れているものを使用してみたところ、太陽光が弱い時期で、地温上昇に不安を感じながらでしたが、地温は難なく上昇してくれました。0.1mm厚のクリンテートは、マルチより保温の力があるのは当然のことかなと思いました。
ビニールより軽量で丈夫、さらに長期にわたり柔らかさを持続しますので、自分の経営には欠かすことが出来ない存在となっています。
三善加工さんには、今後ともクリンテートの品質改良に一層の努力をお願いします。

がんばる!クリンテート家族
親子でがんばるイチゴづくり クリンテートDXで良質なイチゴを栽培栃木県小山市(JAおやま いちご部会 絹支部監事)
遠井 慎一 さん

イチゴ育苗ハウス内での遠井さん(左)とジェイエイ栃木グリーン淺川課長イチゴ育苗ハウス内
遠井さん(左)とJA栃木グリーン淺川課長
皆さんこんにちは、遠井と申します。JAおやま絹支部管内(部会員数127名)でイチゴをつくり9年目になります。イチゴの代表的ブランドである「とちおとめ」を栽培し、家内と息子、それに強力な助っ人のパートさん7名の計10名で、収穫期もシーズン終盤に入り、あとひと頑張りといったところです。
ハウス面積は110aで、32棟を所有しその内の約3/4が間口5.8mの単棟ハウスです。イチゴをつくり始めた頃は農ビを使用していましたが、農協さんやジェイエイ栃木グリーンさんの勧めもあり栽培3年目から農POのクリンテートDXを使い始め、現在は外張り、内張りの全てのフィルムにDXを使用し、外張りは毎年張り替え、二重カーテンは2年おきに張替えています。

農ビより優れている点は、まず第一に作業性が非常に良いということです。とにかくハウスの棟数が多いものですからクリンテートに替えて軽くなり、ビニペットのスプリング止めによりハウスバンドを使わなくなったため展張が楽になりました。現在ではパートさんの力も借りながら、全てのハウスを3日程で張ることが可能になりました。
二つ目は、展張場所が幹線道路に面している為、農ビでは砂埃などで春先になるとフィルムが汚れていたのに比べ、DXは埃が付きにくく作物が太陽の光線をたっぷり受けることでシーズンの終わりまで良質のイチゴを収穫できることにも魅力を感じております。
今後も益々良いフィルムを研究、開発し、私たち生産者に提供していただくよう期待しております。
取材に伺った際、昨年4月に大学を卒業し家業のイチゴづくりを始めて1年になる息子さん(尚徳さん、24歳)がお父さんの指導のもと勉強中でした。「この4月でようやく1年が経ち、イチゴづくりの流れが分かりました。来シーズンは更に深く勉強し、早く一人前に成長したいと思います。」と力強いお言葉をいただきました。(栃木県営業担当 鈴木)

NO.22春季号 2005年3月1日発行

農POと稲作の苗づくり全農営農・技術センター
嘱託 浪岡 實

稚苗の理想型ササニシキ2.5葉期移植期の苗稚苗の理想型 ササニシキ2.5葉期移植期の苗 最近、水稲の苗代を巡回していると、芽・苗焼けや乾燥害、出芽ムラや苗の不揃い、苗立枯れ等の罹病苗が目に付くようになりました。春の異常高温傾向や減農薬栽培志向の影響が一因とも考えられますが、それ以上にちょっとした油断や手抜き等育苗慣れが原因ではないかと気に懸かるところです。 昔から苗七部作と言われ、苗作りの重要さを教えられてきました。今一度、育苗の基本技術を確認することも必要かと思います。 さて、クリンテートを使った水稲の育苗ハウスが年々増加傾向にあると伺い、それは現地で農POによる苗作りの実績が高い評価を受けている証であろうと思われた。もう直ぐ苗代準備の時期です。そこで、稚苗育苗のポイントを2、3述べてみたいと思います。

いかに出芽を一斉に揃えるかが、健苗作りの鍵であるそのためには、千差万別な種籾の一粒、一粒が同じ条件で出芽のスタートラインに立てるように準備することです。

まず、比重選で充実した種子だけを選び、種子消毒により種籾に付着している病原菌を徹底的に殺菌します。その健全籾を、10℃前後の冷水に10日以上漬け、十分に時問をかけてどの籾も同じ吸水率に揃えます。次に、その浸漬籾を30~32℃で16~24時問温度をかけ、一斉に芽長0.5~1mmのハト胸程度に揃えて催芽が終了します。その後、所定の播種作業を終えていよいよ出芽の段階になります。

出芽の方式は、育苗機や出芽施設での加温出芽と直接苗代で行う無加温出芽があります。

加温出芽の場合は、温度を30~32℃に設定し2日間加温すると、一斉に芽長約1cmの適正な出芽が得られます。30℃以下では、温度の低いほど出芽揃いが悪く生育ムラが生じ、32℃以上では、出芽不揃いや病気の発生も多くなるので温度設定には注意しましょう。

無加温出芽は平置きベタ張りが一般的です。この方式では外気温の影響を受け易く、夜間低温のため、30~32℃の適温が得難く出芽日数は5日前後と長く要します。そのため、ベタ張りに用いる被覆資材は、保温に優れ適度な水分を保つものを選ぶと共に、二重被覆など出来るだけ適温に近づける工夫も必要になると思われます。

緑化期に苗型の基礎固めをし、硬化期で健苗の仕上げをする緑化期はわずか3~4日ですが、出芽苗を暗い育苗機から急に出し強い光に当てると苗にストレスがかかり、生理障害を起すことがあるので、寒冷紗等を掛け弱光下で育苗します。

この期間の温度管理は苗の体質・体型を左右すると言われるほど重要です。高過ぎると、徒長し易くなり、低温過ぎると生育停滞や腐敗を起こしやすいので、日中20~25℃、夜間10℃以上、出来るだけ20℃に近づけることを目安にします。そうすることにより、第一葉鞘高3.5~4cmが確保され、健苗の草型の基礎が出来上がります(図参照)。また、水管理は出芽時に持ち上がった土落としを兼ねて軽く潅水する程度でよく、過湿は禁物です。

次に、硬化期の温度管理は、苗を硬く丈夫に育てることがポイントです。日中20℃以下、夜5℃以上を目標にします。移植の5~7日前からは、降霜のない限り昼夜とも全面開放し自然温に馴らすことも大切です。水管理は過乾燥や過湿を避けることが基本で、潅水量は蒸散量に相当する分でよく、1日1回程度朝方にたっぷり行うようにします。

病気の発生をいかに抑えるかは、予防防除が決め手

内張り(低温対策)のあるハウスで、苗の生育状況巡回内張り(低温対策)のあるハウスで、苗の生育状況巡回 病気に罹った種籾が発病原因となるごま葉枯病、もみ枯細菌病等は、塩水選による保菌籾の除去、種子消毒の徹底と緑化期の高温多湿を避け発病を防ぐことが基本です。 土壌伝染性の苗立枯病は、リゾープス、ピシウム、フザリーム菌等によるもので、極く普通に存在し、その時の環境によって発症します。 対策としては、床土をpH5前後に調整する、播種前に所定の薬剤で土壌消毒する、出芽後から緑化期までの問は高温・低温を避ける、床土が過湿にならないよう灌水に注意する等予防防除が中心になります。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで"大玉トマト"を栽培愛知県豊橋市(JA豊橋)
梅村誠 さん
梅村さんご夫妻梅村さんご夫妻はじめまして。梅村誠といいます。私はH12年に就農し、今年で6年目になります。農業を天職(転職)と思い、日々家族の為、自分の為に頑張っています。
施設規模は、
・フェンロー型エフクリーンハウス 1000㎡
・丸型鉄骨ハウス 1800㎡
・パイプハウス  800㎡
の3施設で、現在はお袋さんと、私たち夫婦3名で栽培しています。

私が就農する以前の我が家は、丸型鉄骨ハウス2棟とパイプハウスの1棟で、メロンやレタスなどを栽培する程度のものでした。
私は就農を決断する過程の中で、自分自身が納得出来る農業を目指したいという気持ちから、家族会議もさることながら、友人や知人、JAや普及所など様々な人達から情報や教えをいただいてきました。
そして、いつしか農業をやるなら"トマトを作りたい"と思う様になり、就農するH12年、フェンロー型ハウスを新設。大きな投資でしたが、もう後戻りは出来ない、頑張るしかないという"決断の象徴"として今も私にとって大きな財産となっています。

さて、私にとってのクリンテートとの出会いというかその名を耳にしたのは、確か就農した年の春だったと思います。JA職員が予約推進といって我が家に訪れた時に知りました。私も就農したばかりで、被覆資材についての予備知識も薄く、あの時、JA職員の「強くて丈夫で長持ちで、品質面でも安心の"クリンテートDX"がお勧めですよ」という言葉に抗う事無く、言われるまま注文した様に記憶しております。

あれから6年、今では外張りも内張りも全てクリンテートを愛用しております。
私個人的には、三善加工さんは豊橋に居を構える地元企業ですし、地元育成なんて大それたことを言うつもりはありませんが、やはり近所付き合いも大切かな~なんて思うんですよネ。お互いに頑張って成長していけたらと考えています。
これからもよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、昨年秋に丸型鉄骨ハウスとパイプハウスをクリンテートDXに張り替えさせていただきました。ちなみに、これもJA職員のおすすめでネ!
え?EXの評価について聞きたいって。今のところ透明性、流滴性、張りやすさ他、全ての面で満足してますよ。ほんとに。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラで良質なニラ周年栽培高知県南国市(JA南国市)
徳久靖洋 さん

ハウス内で、ハイポーズの徳久さんハウス内で、ハイポーズの徳久さん南国市は、古くは奈良時代から、「土佐日記」で知られるように政治・文化の中心として、栄えました。
現在でも米作や施設園芸の中心として、また田園都市であるとともに学園都市と知られ発展しています。
今回、「土佐のまほろば」の地、JA南国でクリンテートエクストラを使用してニラを10年以上栽培しておられる徳久靖洋さんにお話を聞きました。
現在、徳久さんは「岩村支所JA青年部」に所属されており、以前は会長も務められた人望厚い方です。また、ハウスの展張作業も青年部(共同)で行うとの事です。栽培面積は約1500坪です。

クリンテートエクストラとの出会いはレンタルハウス事業でJAより紹介を受け使用しておられます。以前は農ビを使用されておりましたが、コストや張替えの手間の削減を考えてクリンテートを採用されました。
クリンテートエクストラの第一印象は、「透明性があり、強度もまずまず良い」ということでした。
ニラは周年栽培で夏場は雨よけ、冬場は内張り(無加温)にて栽培されています。
栽培では「温度管理」「流滴性」「光線透過」等が重要なポイントになるが、クリンテートエクストラには満足しているとのことでした。
今後、まだクリンテートエクストラを展張していないハウスにも導入していきたいとのお話を聞かせていただくとともに、三善加工に対しては、今後、より一層の商品開発力に期待するとのお言葉をいただきました。

クリンちゃんの豆知識

食糧今回は食糧について考えてみよう。
現在、世界の人口は約63億人と言われています。全世界で生産される食糧を均等に分けあった場合、養える人□は約80億人と計算できます(でも実際には飢えに苦しむ人が大勢います)。人□が増え続ける一方で、配給できる食糧には限界が見えてきています。
農地面積や穀物生産量が1995年以降、横ばいあるいは減少しているからです。2020年代には深刻な食糧危機に直面することになりかねません。
そのとき日本はどうなるでしょう?
日本の耕地面積は1964年をピークに減少の一途をたどり続けていて、20%くらいが失われました。もともと平野部が少ない日本では住居や工場建設のために農地が転用されたり、人手不足により耕作放棄されているためです。
1997年の穀物自給率はわずか26%しかなく、輸入食糧に支えられています。しかし、たとえどんなに努カしてみても国土の現状からして、日本が国内産の食糧で養える人口は現在の半分以下と言われています。今後も輸入食糧を確保するために、国際的な信頼関係が重要になってくるでしよう。
かつての農業の進歩は、農地を増やし、化学農薬や肥料を利用して収穫量を上げることを優先するあまり、多くの自然を破壊してきました。これからは環境と農業の時代です。全人類の食糧危機を回避するためにも、環境と農業を両立させ、調和させる新しい方法を見つけることが私たちの使命なのです。(参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」)

NO.21冬季号 2004年12月1日発行

農POと作物づくり ハウスミカンでの近紫外線カットフィルム利用長崎県果樹試験場 病害虫科
研究員 宮崎俊英

被害果写真1 被害果 長崎県におけるハウスミカン栽培面積は82.5haで、全国でも5番目の生産量があります。このハウスミカンの病害虫問題で大きいのが、アザミウマ類の被害です。長崎県では平成10年7月にミカンキイロアザミウマが確認され、翌年の調査で県内のハウスミカンの約4分の1で被害が確認されています。 現在も被害が続いている難防除害虫です。被害は果実が隣の果実や葉に接した部分に多く見られ、果皮に白色かすり状の傷を生じさせます。加害が激しいものは果頂部から果側部まで全面に発生し、商品価値を落とします(写真1)。

調査ハウス内写真2 調査ハウス内 ハウスミカンを加害するアザミウマ類には本種の他にヒラズハナアザミウマ、ハナアザミウマ、ネギアザミウマなどが知られています。これらのアザミウマ類は薬剤抵抗性が発達していることが多く、また加害時期も果実の着色はじめから収穫までと長期間で薬剤のみで被害を防ぐことは困難です。 そこで、近紫外線カットフィルムによる物理的防除を活用し被害軽減を図る目的で現地実証試験を実施しています(写真2)。 調査はハウスの内部に設置した黄色、青色の粘着トラップを用い比較しました。

今までの試験では近紫外線カットフィルム区での捕獲数は調査期間を通じて対照のポリフィルム区の約1/2でした。(表1)

(表1) 粘着板へのアザミウマ類誘殺数の推移(表1) 粘着板へのアザミウマ類誘殺数の推移

ハウス外部でのアザミウマ類の発生状況は試験区側に比べ対照区側の約2倍発生していることを考慮すればさらに差がでているのかもしれません。近紫外線を少なくすることでアザミウマ類の行動が抑制される効果があるとされていますが、この試験でもその効果が確認されました。なお、この試験で主に捕獲されたアザミウマはミカンキイロアザミウマとネギアザミウマでした。

果実品質の調査では、近紫外線カットフィルム区とポリフィルム区で着色、糖、酸に違いはありませんでした。

富士ゼロックス社製のUVcaremate(測定波長領域280~410nm)によりハウス内部と外部の紫外線強度を測定したところ、紫外線量は天候が晴れ若しくは曇りだと外部に比べポリフィルム区で40%、近紫外線カットフィルム区で10%に減少していました。また、6月下旬に下温処理のためハウス屋根面に寒冷紗を被覆していますが、寒冷紗を追加した時の紫外線量は外部に比べポリフィルム区で14%、近紫外線カットフィルム区で4%まで減少していました(図1)。

(図1) 紫外線量の推移(図1) 紫外線量の推移

ハウスミカンでのアザミウマ類防除対策として過去の試験例から、(1)1mm目の防虫ネットの使用、(2)光反射マルチの使用が知られていますが、これらに追加して近紫外線カットフィルムを導入することにより更に被害軽減が図れ、減農薬栽培につながる可能性が期待されます。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで"小松菜"栽培農業生産法人
株式会社ナガホリ(JA上尾市)
代表取締役 永堀吉彦さん

小松菜の選別出荷場前での永堀社長さん小松菜の選別出荷場前での永堀社長さん株式会社ナガホリは、埼玉県上尾市を中心に小松菜の栽培と言うより"生産"を行っています。その栽培規模は上尾市・さいたま市・桶川市・川越市にまたがり小松菜の生産面積は現在97haにのぼります。来年にはその面積は150haに拡大の予定だそうです。
その運営・管理を行っているのが永堀社長です。社長のお話によると株式会社ナガホリでは荒地を開墾し農地によみがえらせているとのことです。荒れ放題になっている土地を借りて自ら雑草や放置されたまま木々を伐採し、見事に小松菜の生産ができる生きた土地に蘇らせそして安定した小松菜の供給を実現なさっています。

冗談交じりに社長は今では開墾し土地を蘇らせる事が本業で得意な仕事だとおっしゃていました。
小松菜の生産にクリンテート有孔2号がトンネル用に使用されています。また昨年11月には11棟のハウスに クリンテートEXを展張されています(0.13)。5年使用予定で現在のところ順調に推移しています。今後の新設ハウスにも採用をお願いしています。
クリンテートについての感想をお伺いしたところ、特に支障もなく今後も使っていく予定と言っていただいています。
さて、今後も増えて150haもの作付面積の管理はというと、社長と社員の方々やアルバイトの方々が同じ意識を持ち見事に栽培から出荷まで行われています。よって、市場からの信頼も高く、その品質と安定した生産量により安易な価格競争に巻き込まれることもなく、安定経営が実行されています。 
今回クリンテートだよりの取材で、短い時間でしたが社長さんの話を聞いて、これからの農業経営の方向性が見えたような思いがしました。都市近郊でも土地を蘇らせてることによって、新たな生産農地を開発し、農業経営を実現している永堀社長は今後も新しい農業経営パイオニアとして活躍なさるであろうと確信しました。
埼玉県は、系統代行店の池上ビニール工業有限会社が取扱されており、池上社長と永堀社長とのお付き合いも長く、よりよい協力関係でクリンテートを薦めていただいており大変感謝しています。今後とも品質改善等のアドバイスをいただきたくよろしくお願いいたします。
(埼玉県担当 西田)

がんばる!クリンテート家族
JA南国・高知ビニール共同加工場を訪ねてクリンテートを加工中クリンテートを加工中今回、高知県でクリンテート・農ビを加工し、歴史の古い「JA南国・高知ビニール共同加工場」をご紹介させていただきます。
南国市は高知県の中央部にあり、土佐の稲作発祥の地といわれ、現在は施設栽培で"ししとう""大葉""にら"等の栽培が盛んな地区であります。
最寄りの駅はJR後免駅(ごめん)から車で約5分、高知龍馬空港(平成15年名称変更)からだと車で約2分の所に位置しています。
この加工場は、JA南国市・JA高知市の共同出資で昭和61年に旧農協出荷場を改造し農協共同加工場として開設されました。

また、クリンテートも昭和61年の加工場スタートと同時に取り扱われ、二代目にあたる、元吉美恵場長を筆頭に職員3名、JA高知市からの出向者1名、パートさん6名を含め全10名で加工を行い、今では管内の加工はもちろん、管外のJA分も加工し、施設園芸農家にとってなくてはならない加工場です。
工場設備としては、解反専用機1台・高周波1台・熱溶着機1台・ハトメ打機2台・ウェルダー1台を駆使しながら良い製品作りを心掛けています。
クリンテートを加工中加工場のみなさん、はいチーズ加工場の皆様は、さすが土佐っ子、心は太平洋のように広く気さくな方ばかりで、いつも笑顔が絶えない元気ある職場です。
加工場皆様の活力が、更なるクリンテート拡販へ繋がると痛感いたしました。
また、全農こうち県本部の各地区担当者と各JA担当者との連携で当社のクリンテートの拡販も心強い後ろ盾となっています。
(高知県営業担当 桑原記)

クリンちゃんの豆知識
内分泌(エンドクリン)かく乱化学物質
かく乱化学物質私たち人間は、これまで自然界には存在しなかったたくさんの種類の化学物質を合成して作り出し、利用してきました。これらの物質の中には、その構造が生物体内のホルモンと似ているものがあります。それが生物体内に取り込まれてホルモンと間違われ、本来のホルモンの働きを狂わせることがわかってきました。通称「環境ホルモン」、正しくは「内分泌かく乱化学物質」と呼ばれます。
この問題が犬きな社会的関心を集めるようになったきっかけは、1996年にテオ・コルポーン榑士らの『奪われし未来』、1997年にデボラ・カドバリー女史の『メス化する自然』という書物が出版されたことでした。

かく乱物質の中には女性ホルモンに似たものが多いため、オスがメス化する異常が起きています。人闇への影饗も懸念されていて、男性の精子が減少したり、男子の出生率が低下するなどの報告があります。さらに深刻な影響は先天性奇形の多発です。かく乱物質の影響は、子どもや胎児に対してより強く作用し、生涯にわたって残ります。
かく乱物質として、DDTやBHCを含む有機塩素系農薬、プラスチック類の燃焼時に発生するダイオキシン類、工業用洗剤として使われるノニルフェノール、塩ビの可塑剤として使われるフタル酸エステル類などがあります。
現代生活の便利さとほんとうの安全について学ぴ、見直すことが必要ですね。
『沈黙の春』レイチェル・カーソン著(1962年)
その年の春はやけに静かだった。
花も咲かず、鳥も囀らず、木々も芽吹かず。
騒がしいはずの校内ですら生徒達も大人しくて。
やがてくる恐るべき未来を皆が予知していたのかのように。
それでも日々は過ぎていく。
そんな未来をあずかり知らぬ者達の手によって。
(参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」)

NO.20秋季号 2004年9月1日発行

農POと作物づくり-北海道におけるアスパラガス立茎栽培で農PO近紫外線カットフィルムを活用-元北海道立花・野菜技術センター
特別研究員 土肥 紘

アスパラガスは、その学名に"薬用になる"という意味を持つように、機能成分に富み昨今の消費者二一ズに応える野菜のひとつです。
大正11年、日本で最初に北海道の岩内地方で栽培されて、良質の缶詰用ホワイトアスパラガスの生産地として世界にその名を馳せ、昭和40年代には5千haにも及ぶ日本一の産地でした。

その後、ホワイトからグリーンに変わった需要対応の遅れや生産性の低下などがあり、作付け・生産量が低迷していましたが、生産性の低下に対処する土壌管理法、病害対策や収穫期間の適正基準などの改善指針が示され、また早期成園化(播種してから収穫間始までの年限を短縮)技術、さらに長期穫り立茎栽培の導入などを契機に、再び全国一の産地を目指して増産の気運が高まっています。

長期穫り立茎栽培は、北海道でも昭和40年代に「地獄穫り(暑い夏に繁った茎の下に潜り込んでの大変な収穫に)」などと称して試みられたのですが、当時の品種や管理法では労多くして収益不安定にて普及しませんでした。

平成年代に入り、佐賀県をはじめとする吸収各県の試験機関の精力的な取り組みにより確立されましたこの栽培法を、いち早く学び、平成7年に産地の再生・振興策として導入したのが「美唄市グリーンアスパラガス生産営農組合」でした。

生産者と関係機関がひとつになって、暖地にて確立した技術を寒地の北海道に適合させるために検討を重ねて、平成10年に「栽培マニュアル」を作成し、この栽培を『こもれび栽培』、そこから採れたアスパラガスを『夏得(なっとく)物語り』とシャレたネーミングをしました。 

その取り組みに平成11年には「ホクレン夢大賞」が授賞されました。
この先駆者の極めてオープンな技術情報の公開や遅れ馳せながらの道立花・野菜技術センターにおける研究取り組みなどもあり、現在道内各産地で導入が検討され、それを契機にアスパラガス全体の作付けも拡大する動きになっています。

図-1 北海道におけるアスパラガスの栽培図-1 北海道におけるアスパラガスの栽培 近い将来、新鮮な道産物が、図-1のように4月から10月まで切れ目無く全国の市場に供給されるようになりましょう。 さて、このアスパラガス長期穫り立茎栽培に農PO近紫外線カットフィルムが有用性を発揮するものと期待されます。 その理由として、(1)安定した生産と収量増加のために露地栽培よりハウス栽培を指向することになりますが、被覆の期間が夏を中心とした雨除け的利用となりますので、保温性よりも風などへの強度や作業性の良さが優先すること、(2)栽培期間中毎日の収穫になりますので、可能な限り農薬散布を控える要がありますが、主な対象害虫にアザミウマ類、病害に灰色かび病があり、近紫外線カットの効果が期待されることです。

ホクレンのモニター試験や主な産地における実証試験でも、評価が進んでいますが、図-2に、農業改良普及センターの指導で、積極的に導入を進めている桧山南部地区における高い効果が認められた事例を紹介致します。

図-2 農PO近紫外線カットフィルムの防虫効果図-2 農PO近紫外線カットフィルムの防虫効果 今後さらに、他の病害虫や収穫物の品質に及ぼす有益な効果が確認されて、アスパラガスハウス立茎栽培に必需の被覆フィルムとして活用されるものと思われます。 立茎栽培の状況立茎栽培の状況

がんばる!クリンテート家族
多年張りクリンテートで良質なイチゴを生産栃木県芳賀町(JAはが野)
荒井 真一 さん

芳賀町は、栃木県の南東部に位置する総面積70平方キロメートルの町で、果樹や野菜類をはじめ、施設園芸、畜産などの都市近郊型農業が盛んです。
イチゴでは全国的に有名なブランド「とちおとめ」のほか、幸水、豊水などの梨は、町を代表する特産品として県内有数の生産地となっています。

JAはが野のいちご部会は現在約780名の部会員で構成され、県内は勿論、全国でもJAのイチゴの販売高としては第1位を誇るイチゴ地帯です。私の家では、父の代からイチゴづくりを始め、芳賀地区では古く40年になります。
ハウス内の荒井さんハウス内の荒井さんハウス面積は1.2ヘクタールを所有し、家族とパートさんの計10名で作業をしています。単棟、連棟ともに従来農ビを長年使って栽培しておりましたが、JAとジェイエイ栃木グリーンの勧めで、12年前に農ビから農POフィルムに替えました。
初めてクリンテートを展張してみると、軽いことが気に入りましたので、それから2・3年の間にハウス全てをバンドレスに改造し、クリンテートに替えました。また7年前からは連棟にクリンテートマーキュリーを使っておりますが、多年張りのため、展張作業の軽減と、廃ビ処理の面からも魅力を感じております。

今年は所有しているハウスの約半分の0.5ヘクタール分が張替えにあたり、先日、JA、栃木グリーン、三善からご担当の方が来られ、新製品の クリンテートエクストラの説明を受け、注文し先日家に届きました。9月に入れば、展張を行いますが、軽くなった上、強度をアップした今度の0.13mm厚のクリンテートエクストラに大いに期待しております。
荒井真一さんは、JAはが野いちご部会の副部会長で、同部会の芳賀地区部会長をされ、地域のリーダーとして活躍されています。今後もクリンテート展張のハウスで良質のイチゴ生産を継続していただきたいと願っています。(栃木県営業担当 鈴木記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで良質なニラ周年栽培福岡県北野町(JAみい)
米倉 敬介 さん

JAみいの北野地区は、筑後平野のど真ん中に位置し、筑紫二郎で有名な筑後川の恩恵を受け大変肥沃な土地に恵まれ、福岡県内でも有数の野菜の産地であり、施設園芸の盛んな地区でもあります。このような好条件の中で、クリンテートを使用してニラを栽培しておられる米倉さんに、お話をお聞きしました。
ニラの栽培を始めて今年で14年目になるそうで、以前は農ビを使用されておられましたが4年前にJAの勧めですべてクリンテートに切り替えられました。現在は、単棟パイプハウスを10棟建設されており、その内5棟に厚み0.15mmの塗布型クリンテートマーキュリーを展張され、残りの5棟に厚み0.1mmのクリンテートデラックスを展張されています。
ハウス内でハイポーズの米倉さんハウス内でハイポーズの米倉さんこの使い分けについてお尋ねしたところ、一年中収穫できるように夏作用と冬作用に分けて年に二回定植しています。
夏作用はクリンテートマーキュリーのハウスで、3月下旬に.定植し、7月から収穫します。クリンテートマーキュリーは、長期展張用フイルムで強風に強い為、台風シーズンの8~9月もフィルムを剥ぐことなく、安心して展張できるそうです。
冬作用は、クリンテートデラックスのハウスで、8月末までに定植し、11月から収穫します。こちらは、クリンテートデラックスをシーズン毎に、毎年張替えをされています。

なぜ夏作用は、長期展張タイプを使用し、冬作用は、毎年張り替えを行うのかについては、光量の問題とのことでした。冬場は、どうしても光量が少なくなり、ニラの生育が遅れるので、新品のフィルムを使用して、少しでも多くの光をハウス内に取り入れて、冬場の収量の安定をめざしているそうです。
最後に、農作物の価格低迷が続く今日、少しでも生産資材費用の低減につながる長期展張フィルムのクリンテートマーキュリー、クリンテートエクストラを開発した三善加工に、より良い長期展張フィルムの開発を期待しているとのことでした。
(福岡県営業担当 大石記)

クリンちゃんの豆知識
今回は砂漠化について勉強してみよう。
砂漠化農業や放牧が行われていた地域が不毛化する現象を「砂漠化」といいます。いま問題になっている砂漠化は発展途上国の多い乾燥地帯で起きていますが、気候変化のような自然現象でなく人間の誤った土地利用の結果と考えられています。
例えば、過放牧、過耕作、樹木の乱伐、長期にわたるかんがい農法などが砂漠化を引き起こしているのです。
過耕作というのは、休耕期をとって地力の回復を待たずに続けて耕作するために土地が劣化することで、増えた人口を養うために無理を続けた結果、作物の栽培ができなくなり、放棄された農耕地で砂漠化が進行してしまいました。

かんがい農法というのは、乾燥地帯で川や湖から水を引いて作物を育てる方法です。川や湖の水にはナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムなどの塩分を含んでいるため、かんがい農法を長期間続けると、土壌が塩性化してしまい、やはり作物の栽培ができなくなります。日本のような雨の多い湿潤気候の土地では、雨水で塩分が流されるため特に問題にはなっていません。土壌のpHで比べると、日本では5~6ですが、塩性化した土壌では8~10と、きわめて高くなります。
このような砂漠化の進行を防止するために、土地の利用限界を科学的に正確に把握して、それに見合った適正な利用の仕方を考えることが大切です。生態系の限界を超えた利用を「略奪的な利用」といいます。砂漠化はまさに人類が行った略奪的な土地利用の結果なのです。
参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」

NO.19夏季号 2004年6月1日発行

農POと作物づくり-北海道におけるクリーン農業で農PO近紫外線カットフィルムが普及-元北海道立花・野菜技術センター
特別研究員 土肥紘

曇天日における温室内の気温、CO2濃度、相対湿度の変化(2月23日) 「環境に配慮した安全・安心なクリーン農業生産は北海道の目指す姿!」として、1991年に『北海道クリーン農業推進協議会』を立ち上げて、さらに『北のクリーン農産物物表示制度・シンボルマーク[Yes!clean]』を定めて、「土づくりに努め、収量・品質を保持しつつ、必要最小限の化学資材を適期に用いた合理的な栽培法」の実践普及・拡大を、全道ひとつになって進めています。

多くの産地事例の中で、先駆的、先導的に取組みを進めて成果を挙げている『旭川青果物生産出荷協議会』について紹介致しましょう。

この『協議会』は、旭川管内のJA、生産者組織、出荷団体、旭川市、地区農業改良普及センターおよび北海道上川支庁が一体となって、共通の課題に向かって、まさに協議および実践を重ねながら事業を進めている組織です。

クリーン農業(野菜)を進める上の課題

旭川野菜のめざす方向旭川野菜のめざす方向 旭川地域は、道央上川盆地の中央に位置し、「農耕期間を通して風が少なく、夏季の気温の日夜較差が大きい」という野莱生産に適した気象環境にありますが、一方で害虫の発生が多く減農薬でクリーンな栽培を進める上で、最大の課題は「害虫の防除対策」になりました。 特に管内の重点品目である軟弱葉菜は、マイナーな品目も多く、使用できる登録農薬も少ないために、耕種的あるいは物理的な防除法で、しかも「誰もが導入できて組織的に取り組める技術」を確立することにありました。

物理的防除による減農薬栽培の確立2000年に、旭川(現上川中部)地区農業改良普及センターが中心となり、旭川市農業センターおよび生産者組織と共に「防虫ネットの効果と実用性」について試験検討をしてその実用性を認め、またその翌年には既に道立農業試験場でも害虫行動抑制効果を認めていた「近紫外線カットフィルム(クリンテートグローマスター)の実用性」についても検討して普及性の高いことを実証しました。

クリーン農業技術の普及と組織的な取組み

サヤエンドウのスリップスに対する近紫外線カットフィルムの被害防止効果サヤエンドウのスリップスに対する
近紫外線カットフィルムの被害防止効果
2001年に、これらの結果をもとに「小松菜部会(23戸)」の全戸に、「防虫ネット」と「クリンテートグローマスター」を導入して、減農薬栽培に取り組みました。 その結果、害虫多発時期である夏季でも薬剤防除は1~2回と従前の1/3程度で済み、その他の時期では殆どを無防除で栽培することが可能となりました。

抑制トマト栽培のオンシツコナジラミに対する近紫外線カットフィルム等の発生抑止効果抑制トマト栽培のオンシツコナジラミに対する
近紫外線カットフィルム等の発生抑止効果
この取り組みが、同年『北のクリーン農産物表示制度[Yes!clean]』に旭川地域で初めて登録集団として認証されました。 これを契機に、他の多くの品目部会でも、関係機関連携のもとに「クリーン野菜栽培マニュアル」を作成し、各々統一したクリーン農業技術を実践しながら、登録集団を目指しています。 現在40を越える品目部会が認証され、さらに取り組みを拡大しています。旭川市農業センターにおいて先導的に取り組まれている試験成果にも期待されます。 北海道における施設の利用、さらにIPM・ICMに貢献する資材の活用場面は、益々拡大することになりましょう。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラで高品質の花卉栽培北海道北見市(JAきたみらい)
服部 博泰 さん

全農主催第30回全国施設園芸共進会全農会長賞
おめでとうごさいます。

私の住む北見市は、北海道の東側、オホーツク海から内陸に入った北見盆地に位置しています。気候は、夏は暑く冬は寒いのが特徴で、全国一の日照時間を誇っています。
今年の冬は、百年に一度といわれるほどの大雪にみまわれ全国ニュースでも大きく取り上げられました。私のハウスも雪で埋もれ、雪の捨て場もないほどでした。除雪作業やハウスの修理など、今年の冬から春にかけては忙しい毎日でした。自然には、とてもかないませんね。
この環境の中で私は、玉葱5.5ヘクタール、花卉ハウス330㎡10棟、メロンハウス330㎡2棟で経営しており、現在12棟のハウスを所有しています。
北村会長からJA園芸資材協会会長賞を授与される服部博泰氏北村会長からJA園芸資材協会会長賞を
授与される服部博泰氏
私がクリンテートを知ったのは、約20年前のことです。ホクレンの農機具展示会で初めて話を聞いたのがきっかけでした。私はそれまで、サクビと農ビを使っていましたが、極寒期の農ビの強度の無さに苦労していました。
私のところでは、1月から作業を始めますが、暖地の方には想像もつかないと思いますが、気温がマイナス20°Cくらいになると農ビは硬くなり、ハウスの雪下ろしをしますとちょっとの衝撃でもフィルムが割れてしまうのです。クリンテートを導入してからは、そんな心配をすることもなく安心して作業できるようになりました。

あれから20年。現在は、全ハウスがクリンテートです。今は、クリンテートデラックスから新製品のクリンテートエクストラに順次切り替えており、10棟で使用しています。クリンテートエクストラの良いところは、抜群の強度はもちろん、透明性が格段に優れている点です。これからも、このクリンテートエクストラで高品質の花を栽培していきたいと思います。
農PO業界のトップリーダーとして、私たち生産者のためになる、更なる良い資材を提供し続けていただくことを期待しています。
平成15年11月27日第30回全国施設園芸共進会表彰式が行われ、切花・花壇苗他の栽培優秀生産者として、服部博泰・満子ご夫妻にJA園芸資材協会会長賞が授与されました。

三善加工、九州でやめ加工センター誕生三善加工では、今年3月に九州工場内にあった加工場を移転し、「やめ加工センター」としてリニューアルしました。「やめ加工センター」では、クリンテートのお客様のご希望に応じて、カットや中継ぎ、テープ入れなどの2次加工を行っており、九州地区でメインの加工場となっています。今回のリニューアルでは、内装をきれいにしただけでなく、大扉や外壁にクリンテ一トのロゴを描くなど、デザイン面でもこだわり、地域や見学者の注目を集めています。

熟練の加工技術に美しさを加えた「やめ加工センター」をこれからもよろしくお願いいたします。

やめ加工センター壁面のPRロゴ
やめ加工センター壁面のPRロゴ
入口プレート
入口プレート
加工作業中
加工作業中
cleantateロゴと安藤部長
cleantateロゴと安藤部長
やめ加工センター全景
やめ加工センター全景

クリンちゃんの豆知識
酸性雨
酸性雨は、pHが5.6以下の降水のことをいいます。
降水が酸性化する原因は、空気中のSOx(硫黄酸化物)ガスやNOx(窒素酸化物)ガスが増えることによります。都市近郊で排出されたガスが、遠く離れた森林部まで被害を及ぼします。

酸性雨酸性雨による被害としては、葉っばが酸に侵されたり、土壌が酸性化することで根を痛めることによる森林の立ち枯れが最も深刻です。また、河川や湖沼の酸性化が進むと、プランクトンや藻類が育たなくなり、pH5.0以下では魚がほとんど住めないとされています。
このほか、酸性雨は、金属、石材(大理石など)、コンクリート、モルタル、紙、繊維などの材料を腐蝕し劣化させます。屋外の建築物、橋梁、船舶、車両などの耐用年数を短くしてしまう恐れがあるのです。施設園芸用八ウスにもその被害が及ぶかもしれません。
日本は幸い、酸性雨の中和機能に優れており、深刻な被害は発生していませんが、同じ地球に住む者の責任として、SOxガスやNOxガスの排出を減らす努カが大切ですね。
(参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」)

NO.18春季号 2004年3月1日発行

農POハウスを使った上手な花作り-冬から春ハウス管理-全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

「冬は寒いから、ハウスを暖かくして花を育てるのだ」ということにあまりこだわってはいけません。図を見てください。これはあるカーネーションのハウスで、寒い曇天の日に、室内気温と室内の炭酸ガス(CO2)濃度を調べた結果です。

曇天日における温室内の気温、CO2濃度、相対湿度の変化(2月23日) 曇天日における温室内の気温、
CO2濃度、相対湿度の変化(2月23日)
夜の方が気温が高くなっているのは、夜間だけ暖房しているからです。 昼間は冬でも暖房しない人も結構いるので、このような例もあるかと思いますが、問題はCO2濃度の低下です。朝8時頃から急激に低下し、午後には外気(300ppm)の1/3まで下がっています。 冬の曇天日で気温が低くても、花が大量のCO2を吸収していることがわかるでしょう。 CO2を植物にしっかり吸わせることが、生育を良くする最大のポイントです。そのためには、朝は暖房をやや遅く切るとともに、気温がやや低くなったとしても換気をして、CO2濃度を外気に近くすることが大切です。

次にエチレンの問題があります。気温が低いからといってハウスを閉め切った状態にしておくと、ハウス中にエチレンが充満して、さまざまな悪さをします。スイートピーは特に敏感で、丸一日ハウスを閉め切ったままにしておくと、2~3日後には確実に落らい(つぼみが落ちてしまうこと)します。デルフィニウムやカスミソウも同様です。カーネーションでは花弁が開き切らない「眠り病」を起こしたり、花もちを極端に悪くしたりします。

換気が不十分だと空気湿度が高まるため、灰色かび病や、うどんこ病の発生も多くなります。特に灰色かび病は、空気湿度が高いと農薬で防ぐことはほとんど不可能です。天窓を開けたまま暖房して湿度を下げるのが、回避する最も有効な手段です。

ヤサイと違って、花弁のシミや小輪の花の落らいは、完全に商品価値を無くします。このように、天気が悪くても外気温が低くても、昼間の換気は花作りには欠かせません。上手に花を作る人は、換気と暖房を上手に組み合わせていることをご理解ください。

以上の点からも、保温性が良く、光が良く入るクリンテートEXは、冬の曇天日にもハウス内に光を良く取り込み気温低下が少ないので、花を冬から春にかけて栽培するのには適しています。またヤサイの場合より花にシミの出ることが少ない、くん煙剤を使うことが多いため、薬剤による劣化が少ないことも、この商品の特長かと思います。

がんばる!クリンテート家族
POフイルムとの出会い富山県朝日町(JAあさひ野)
藤田 慎一 さん

POフィルム発売のころは、未だハウスのフィルムはビニールが全盛であったが、三善加工の小坂武義氏の薦めにより、POフィルム「クリンテート」に出会い、まず試験展張ハウスを設けました。わが地区では初めての使用であったが、なによりも扱いやすく引っ張りに強いのが、一番の印象でありましたが、欠点も目につきました。
汚れやすいこと、スレに弱いこと等問題点も浮き彫りになった。また、バンドレスと言われてもなかなか踏み切れなかったのが当時でありました。
その後メーカーの懸命の技術努力とメタロセンの導入等により格段に品質が向上し、長期展張、広幅対応と農ビの使用後処理の問題等があって全国のハウス被覆は全面的にPOフィルムとなってきました。
圧倒的に多いパイプハウスの夏期の灼熱の高温に耐える特性が施設園芸農家の支持を得たものと思います。
ハウス内の藤田さんハウス内の藤田さん我が家は、7千㎡の施設がありますが、大型ハウスを含め今や全棟がPOフィルムとなっています。
少し栽培のことに触れたいと思いますが、施設野菜は今や日本の野菜生産の中で不動の地位を築いてきましたが、施設は風雨を防ぎ、夏は遮光資材の活用、防虫ネットを張り巡らすことにより安定的に安全な野菜を供給出来るようになりました。
しかしながら栽培理念、作物の生理は不変であり、施設栽培といえどもそれを忘れては成り立ちません。

三河の老農小柳津勝五郎翁の言葉に「人の智は自然の理には及ばねど理を助くるを人の智と知れ」というのがありますが、施設栽培は人の「智」そのものであり、限られた施設の土を大切にし、自然界の植物の生育相を注意深く観察し作物の生育を手助けするつもりで接していけば今後も高品質の健康野菜を消費者の皆さんに供給していけることと信じています。
メーカーさんは、今後より以上の品質アップ、流滴性と透明度の長期維持向上に一層の努力をお願いします。特にUV分野(紫外線カット)の技術発展、カーテン分野のPO活用を心から待ち望んでいます。
藤田慎一さんは、全国野菜園芸技術研究会常任理事として活躍されています。藤田園芸の野菜というパンフレットの中で、「土はいのちを生み出す母であり、健康な土が健康な作物を育て健康な人問をつくるとし、健康に育った野莱は薬莱であり、安全安心を責任もってお届けします。」とあり、すばらしい考え方で農業を営まれています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXで花づくり島根県頓原町(JA雲南)
景山 林造 さん

JA雲南の頓原地区は、出雲大社・宍道湖で有名な島根県の東部地区に位置し、中国山地連峰大万木山と三瓶山に囲まれた盆地であり、平均標高410mの高原地帯です。その環境の中でいち早く施設園芸に取り組まれている「つがか農園」の代表取締役景山林造さんを訪問し、クリンテートについてのご意見をお伺いしました。
景山さんは、20年前から標高の高い気侯を利用した夏場のほうれん草づくりを始められ、現在ではストックやトルコギキョウやアルストメリアなどを栽培されています。
花づくりのハウス前で研修生が記念撮影花づくりのハウス前で研修生が記念撮影最初のころは、農ビを利用されていましたが、春一番や台風などの風害にいつも悩まされていましたので、10年前から耐風性の良い農POに切り替えられたとのことです。
いろんな農POを使用されたとのことであるが、数年前JA全農しまねの担当者からクリンテートを薦められ、現在ではマーキュリーやクリンテートDXを展張されています。
軽くて、風に強く、大仕事の張替えが少なくなる塗布型は、長期展張ができるので生産者にとってメリットがある。また、新製品クリンテートEXを紹介したところ、厚みの0.13mmで0.15mmの耐久性があるのは、なお良いとのことでした。

クリンテートの品質向上に今後も取り組んでくださいと要望されました。
景山さんは、自らの施設園芸に取り組まれながら、農業従事者の育成にも力をいれられており、今でも県外から5名の研修生を受け入れられており、時には厳しい親父であり、時にはよき理解者であるという先進的な農業経営者です。(島根担当武末記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXでイチゴづくり千葉県館山市(JA安房)
小形 洋一 さん

ここ南房総の館山市ではイチゴの栽培が盛んです。観光農園としてのハウスも多く在ります。私はイチゴ狩りは行っていませんがイチゴの栽培ハウスを約2反6畝(800㎡)程所有しています。 これまで各社の農POフィルムを使用しましたがクリンテートDXが発売されてからは、クリンテートDXを使っています。
ハウス入口での小形さんハウス入口での小形さんイチゴの栽培には農ビが主に使われていました。しかし毎年張り替える為に農ビの展張作業に苦労していました。これに対して農POのバンドレスハウスにするとその作業は大きく軽減され農POが急速に広まりました。
汎用品から防霧タイプの農POへと使用する性能は向上していきましたが、農POフィルムはイオウ薫煙に非常に弱く苦労していました。イチゴの栽培にはイオウ薫煙が欠かせまんせので、クリンテートDXが発売された時の説明でイオウ薫煙にも強いと聞き、使用し始めました。

実際に使ってみると秋に展張し11月~翌年の3月頃までの間イオウ薫煙し、真夏の太陽熱による土壌消毒まで使用しますがそれまでの農POは太陽熱消毒までは持たなかったのですがクリンテートDXは十分に持ちました。また現在太陽熱消毒後に破棄処理する時に感じていますが他社のPOより柔らかく処理作業も大変楽です。
現在のイチゴハウスは毎年張り替えていますが、今後は長期展張の要望も増えてくると思います。イオウ薫煙をしても長期展張に耐える被覆材の開発に期待します。
小形さんは、三笠宮家への献上イチゴの選定に携わっていらっしゃいます。小形さんを訪問した日が、急邊三笠宮家献上のイチゴ選定のために管内のハウス巡回する日となりました。クリンテートを使っての感想や要望については部会の集まりのときにみんなにも聴いて頂く事をお願いしました。小形さんのイチゴは無事献上されました。(千葉担当西田記)

クリンちゃんの豆知識
気候温暖化
気候温暖化は、大気中の二酸化炭素が増えたことが原因です。二酸化炭素には熱を吸収する作用があります。二酸化炭素が増えると、宇宙空間へ逃げていくはずの放射熱が大気中に蓄熱されてしまうため、気温が上がってしまうのです。
なぜ二酸化炭素が増えたのでしょう?

それは、人間が生活の中で石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を大量に燃やすようになったからです。
気候温暖化日本は、21世紀の終わり頃には年平均3°C高くなると予想されています。これは、緯度が6度も南にずれて、例えば北海道が東北の気候に変わるようなものです。
そうすると、これまで栽培してきた品種が作れなくなったり、新しい病気や虫が発生するなど、さまざまな障害の発生が予想されます。
これからの二酸化炭素の増加を抑えるためにも、暖房燃料や廃プラ量を減らす工夫が大切ですね。
(参考文献:小島覚著「よくわかる環境の話」)

NO.17冬季号 2003年12月1日発行

農POと花づくり-農POは何故花によいかII-全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

長期栽培する花が多い野菜では一旦植え付けてから何年も栽培するものはほとんどないでしょう。しかし、花はそうではありません。バラでは3~5年、ガーベラは3年が普通です。カーネーションは普通1年ですが、最近は2年栽培が普及してきました。デルフィニウムやキンギョソウでも、1度植えると3回ぐらい切るので、1年以上という場合が普通です。

クリンテート張りハウスによるパンジーとノースポールの栽培クリンテート張りハウスによる
パンジーとノースポールの栽培
栽培期間中にフィルムを張り替えることは不可能です。したがって、長期間(5~8年)使える硬質フィルムを使うことが常識でした。 ただ、硬質フィルムはかなり器用でないと自分で張り替えることが難しく、業者に頼む費用はバカになりません。筆者は、農POは自分で張れる程度の規模のハウスに適していると思いますが、従来の農ビに比べ、耐久性のあるクリンテートデラックス(DX)クリンテートエクストラ(EX)は、価格や手間賃の点でも2~3年続けて栽培する花にとって、きわめて適したフィルムだと考えます。特に大型ハウスで花を栽培していて、育苗に100㎡欲しいとか、労力的にやや余裕があるので5a~10a施設を増やしたい時などには最適でしょう。

紫外線カットフィルムも花に使える紫外線カットフィルムはアントシアニンによる発光を抑えるから花には使えないという神話がまかり通ってます。しかし、種類や品種を選べばそんな心配は全然ありません。

現在バラの品種の中で最も売れているのは「ローテ・ローゼ」という赤バラで、全体の30%近くを占めています。 かつて、全国で最大の花の品評会、関東東海花の展示会で最高の評価を得たのが、「紫外線カットフィルム」の下で栽培した「ローテ・ローゼ」でした。花色が明るく、この品種にありがちな冬期の花弁の黒ずみが全く見られなかったためです。

もちろん、紫花が中心のリンドウ、デルフィニウムなどの切花、パンジーやアゲラタムなどの苗物には使えないでしょうが、明るい赤、橙、黄、白などの花が咲くものについては問題ないでしょう。むしろ農家が困り果てているスリップスや灰色かび病の抑制を狙った、グローマスターの、花に対する普及を考えては如何でしょうか。ただ花色の選択や、やや徒長しやすいので通気を他のフィルムを使った場合よりも良くするなどの注意は必要でしょうが、何も花を「のけ者」にすることはないでしょう。

花は薬剤散布の回数が多い野菜と違って、花弁だけでなく花に少しでもしみがあったり、スリップスの吸液の跡があっただけで、市場では叩かれます。ダニの被害の見える花は売り物になりません。農薬の散布回数の決められている野菜に比べ、花の散布回数は数倍になっています。花に使うフィルムは、農薬がかかっても劣化しないことが大切です。

がんばる!クリンテート家族
UFOで良質なスプレー菊を生産鹿児島県輝北町(JAそお鹿児島)
網屋 誠二 さん

こんにちは、私は鹿児島県曽於郡輝北町でスプレー菊を栽培している網屋誠二です。私は、現在32才、山口県出身で以前は福岡県で会社員をしていました。いわゆるIターン農業者です。
輝北の農業公社で2年間研修生として勉強して、1年前に独立して現在妻とともに一生懸命頑張っているところです。

スプレー菊ハウスでにっこり網屋さんスプレー菊ハウスでにっこり網屋さん独立する時に、ハウスを造りそのとき三善加工(株)のクリンテートを展張しました。
現在は、5.7m間口の50m2連棟ハウス3棟と、3連棟ハウスが3棟あり33aで、スプレー菊を栽培しています。
収穫は、毎月収入があるように2連棟で母株を作り他のハウスで3回転できるようにしています。

しかし、実際にやると研修生としてやっていた時と違いとても大変で収穫時期の忙しい時は、パートさんをお願いしても夜遅くまでやっています。

会社員の時と違い、労働の分、頑張った分が自分にかえってくるところが、やりがいのあるところです。
最後に、そお鹿児島の花農家は約50名ほど部会貝がおりまして、JAと農家でPOフィルム推進しており クリンテートUFOを利用しています。

がんばる!クリンテート家族
農業女性アドバイザーからの寄稿 クリンテートとの素敵な出会い熊本市(JA熊本市)
甲斐 イツコ さん

農PO「クリンテート」という製品名と製造元の「三善加工株式会社」の名称を知ったのは、この10月初旬、ふとしたご縁によるものでした。私は専業農家の主婦、主として夫と二人、水稲の他に、ハウス施設でナスを促成栽培しています。知人からハウス農家の女性の話を聞きたいという人がいるので、会って欲しいと言われたのがきっかけでした。
私自身、別に断る理由もないし、勉強になる事もあるだろうからと気軽な気持ちで会合に臨みました。その出席者の中に、三善加工(株)の取締役の方を初め営業責任者の皆様が居られ、初対面ながらも大変親しくお話し頂きました。
そこでの会話は、少しどころか、大変勉強になる事柄ばかりで、私にとって、実に大収穫の会合になったのです。

ナスハウス内の甲斐さんナスハウス内の甲斐さん農POという資材については、少しは聞いていて知っているつもりでしたが、実は全くの無知に等しかった事を思い知らされました。
我が家のハウスは、パイプハウスの連棟で営農しています。被覆資材には農ビを使用しています。これについては親の代からずっとそうでしたから、別に何の疑問も持たず過ごして来ました。周囲もほとんどがパイプ連棟ハウスなので同じだからということも要因のひとつかもしれません。
しかし、この度の三善加工(株)さんとの出会いによって、我が家のハウスについて、じっくりと見つめ直す良い機会を得ました。

なぜ今までずっと農ビだったのか。大きな理由は自然災害対策でした。九州は強い台風が多く襲来する地帯です。近年でいうと平成3年の17号、19号。平成11年の18号でしょう。特に19号、18号は、ハウスはおろか母屋がひどい損傷を受けた家々も大変多く、それはそれは計り知れない程の大被害でした。
そんな理由で、毎年10月中旬頃迄は、被覆資材をいつでもはずせる様な心構えも必要なのです。
ならばハウスを強い物に建て替えれば良いのですが、まず資金が半端な額でない程たくさん必要ですし、リース制度を活用しても、所詮返済はついてまわります。又、私の住んでいる地域は、早くからハウス園芸が盛んな所で、台風の後の近頃チラホラ耐久性ハウスが増えてきました。
それでも、若い農業者や後継者のいる農家、資金も充分持ち合わせがあり尚かつ建て替え時期を迎えた農家等と、条件は狭まっていて、結果、まだまだパイプハウスが多いのが現実です。
新しく建てられた耐久性ハウスは、大部分は農POで被覆されていますが、とてつもなく強い台風が来ないとも限らない近頃は、それでもまだ農ビを張る農家もあります。それ程台風は恐ろしいです。
農ビは確かに環境に、問題があることは皆熟知していますが、我が家の様なパイプハウスには、今のところこの資材が一番扱い易いのです。台風の前、はがして谷に固定させ、台風が過ぎてから、元の様に張り直すことが容易にできますから。
従って農POの良さ、すばらしさをたとえ学習しても、「農ビ」を、即「農PO」に切り替える事は難しいのが現状です。
もし農POの長所の中に、農ビの様に楽に台風対策ができる性質(しなやかで、小さくまとまり易い)が加わったならば、きっと、すぐに使用戸数は増えるに違いありません。

被覆資材について、勉強するきっかけを作ってくださった三善加工(株)の皆様有難うございます。これを期に、もっと勉強して知識を身につけていきたいと思っています。
いつの日か我が家のパイプハウスにも農PO「クリンテート」の様な資材を張ってみたいし、その時が来れば良いなと願っています。早くその日が来るように、どうかよろしくお願い致します。
クリンテートだよりに寄稿いただきました甲斐イツコさんは、現在JA熊本市茄子部会女性部会長として活躍されています。また、平成15年9月までは熊本県農業アドバイザーとして熊本県の農業行政、農業振興に力をつくされておりまして、バイタリティーあふれるすばらしい女性経営者のお一人です(嶋崎記)

クリンちゃんの豆知識
ぼく、クリンテートのクリンちゃん
クリンテートのハウスをイメージして生まれたクリンテートのマスコットです。
ちょっとおちゃめで単純な性格。
けれど正義感が強く、まじめで働きもの。
好きな食べものは新鮮な野菜。
それに、きれいな空気と水。

いつまでもおいしい空気と水が食べられるように地球をきれいにする方法を考えてみよう。
いま地球環境問題となっているのは、気候温暖化、砂漠化、オゾン層の破壊、酸性雨、森林破壊、生物多様性の減少、海洋汚染、放射能汚染など。
内分泌かく乱化学物質も最近の問題だね。
いろんな問題もきちんと知ることで解決の方法やぼくたちにできることが見つかると思うんだ。
次回は気候温暖化について勉強してみよう。

●すてきな名前をありがとう
ぼくはクリンテートのマスコットです。
ぼくの名前を募集した結果、応募総数292件のなかからいちばん応募数の多かった「クリンちゃん」に決定しました。
応募してくださったみなさん、どうもありがとうございました。
これからはぼくもクリンテートを応援するよ。
ヨロシク!

NO.16秋季号 2003年9月1日発行

農POと花づくり-農POは何故花によいかⅠ-全農営農・技術センター
嘱託 並河 治

大型ハウスから小型八ウスヘバブル崩壊後、それまで生産量も生産額も順調に伸びて、施設園芸の優等生ともてはやされていた花生産にも「かげり」が出てきました。それでも1996年頃までは、バラやカーネーションの価格低迷はあっても、トルコギキョウやユリの新品種や栽培法の革新もあって、切花全体の総生産額の落ち込みは大したことはなかったのです。また誰が仕掛けたのか「ガーデニング・ブーム」などという怪しげなものが全国に蔓延し、花壇苗やハーブ苗の需要が急速に仲びました。

一方、この頃から施設に対する補助金が徐々に期待出来なくなり、金融機関の貸し渋りや、土地価格の下落により、土地の担保価値が急速に落ち込みました。減反を強制されて花を作りたい農家の夢も、自己資金でまかなえる小型ハウスに頼る傾向が出てきました。ベタ付きが少なく、展張性に優れた農POは、農家が自分で張るのにもってこいの作業性がありました。

パイプハウスのカーネーション栽培パイプハウスのカーネーション栽培 また、消費者の花に対する認識と好みの多様化が進み、切花でもこれまでのキク、カーネーション、バラ中心から、前述のトルコギキョウ、ユリ以外に、ヒマワリ、キンギョソウ、デルフィニウム、スターチスなど、大型ハウスよりもむしろ小型ハウスに適した種類の需要が伸びました。 それはそうでしょう。次々にボチボチ咲くバラやカーネーションと違い、ヒマワリ、キンギョソウ、ストックや、多くのマイナーな花は、品種が同じであれば一斉に咲きます。大型ハウスで大量に栽培しても、適期に切り終えることは不可能です。小型ハウスをいくつか並べて、ハウス毎に種類や品種を分けて栽培するメリットが大きいのです。

花は野菜と違う野莱、特にキュウリなどは、空気湿度が高いことを好むようです。すべての野菜がそうではありませんが、原産地が花とは違うからでしょう。

観葉植物や一部のランを除くと、花は空気湿度が高いことを嫌います。湿度が高いと蒸散が抑えられ、光合成量が下がり、徒長気味になります。切花は長い方が高価に売れますが、ひょろひょろと徒長したものは導管の発達が悪く、水揚げが悪くなります。体内の糖含量が少なく、花もちも良くありません。

農POは流滴性が良いために、結露水が流れ去る時間が短く室内で気化しにくいため、空気湿度が上らず、花に適したフィルムと言えるでしょう。特に流滴剤を塗布したクリンテートエクストラ(EX)は花栽培に向いていると思います。

花栽培にとって最大の敵のひとつにボトリティス菌による花弁のしみがあります。筆者の経験では菌濃度が高まった場合には農薬による防除は不可能です。
「農POを使っているから大丈夫」などということは考えずに、換気には十分気をつけてください。

がんばる!クリンテート家族
エクストラでガーベラづくり福岡県広川田丁(JAふくおか八女)
田中 九州男 さん

私は、ガーベラを栽培して10年になります。4月~5月に定植し、一年を通して出荷しています。栽培面積は約1,100坪で4連棟鉄骨ハウス1棟、3連棟鉄骨ハウス1棟、2連棟パイプハウス1棟です。
ガーベラハウス内の田中さんガーベラハウス内の田中さんクリンテートは栽培当初から使用しており、当初はクリンテートデラックス(DX)を使用していました。現在、4連棟鉄骨ハウスにクリンテートエクストラ(EX)、3連棟鉄骨ハウスにクリンテートマーキュリー(MC)、2連棟パイプハウスにクリンテートDXを展張しています。
4連棟鉄骨ハウスのMC張替の際に、クリンテートEXは、MCよりも強度が増し、展張期問も長くなった新商品であるとの説明を受け、5年以上展張可能な0.15厚のクリンテートEXを展張することにしました。

ガーベラは雨に濡れるのを一番嫌います。濡れてしまうと病気にかかり、枯れてしまいます。一年中張りっぱなしのガーベラ栽培には、台風などの強風で破れる心配のないクリンテートEXは安心して栽培することができます。
今年6月の台風でも破れることなく無事に出荷することが出来ました。また光線が散乱して入ってくるのがガーベラには合っているようで、収量も良く安定しています。
来年は鉄骨3連棟のクリンテートMCを張り替える予定ですが、ここにも是非クリンテートEXを展張したいと考えています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートで良質な花づくり干葉県白浜町(JA安房)
加賀 信雄 さん

POフィルムとの出会いは、かれこれ二十年になります。それまでは農ビを使っていました。ここ白浜は房総半島の最南端に位置しており毎年のように台風や風によりフィルムが破れる被害が発生していました。そんな時、静岡にハウスの視察に行きました。そこで被覆されていたのがPOフィルムでした。その特徴を聞き、使うことを決めました。そしてJAに問い合わせをして紹介されたのがクリンテートです。
ここJA安房長尾支店管内で最初にPOフィルムのクリンテートを採用したのは私でした。現在、栽培しているのはストック・カトレア・オンシジュ一ムと菊です。
自宅前で加賀さん自宅前で加賀さん施設はガラス温室・鉄骨ハウス・パイプハウス・トンネル栽培等栽培面積は約千坪です。ガラス温室を除き全てPOフィルムを展張しています。現在はパイプハウスには、厚さ0.13ミリのクリンテートUFOとクリンテートDXを展張し、3年使用しています。鉄骨ハウスには塗布型長期張りのクリンテートマーキュリー(MC)を展張しています。
農ビからクリンテートに切り替えた最大の理由は2つです。
それは、静岡に視察に行って聞いた『破れても広がらない事』、もう一つは『軽くて展張作業が容易な事』です。

当初は農ビとクリンテートのストック栽培への影響を比較しました。生育はクリンテートのほうが遅くなりましたが、農ビは徒長してしまい、結果としてはクリンテートを使ってしっかりとした良いストックが出来ました。
またクリンテートMCは厚み0.15ミリでもう4~5年使用しています。昨年の台風でもクリンテートのハウスは被害も無く大変助かりました。
新しく発売されたクリンテートエクストラ(EX)には、もちろん期待しています。これからも生産者である私どもの意見に耳を傾けていただき、高品質の製品の開発を期待しています。

NO.15夏季号 2003年6月1日発行

農POと作物づくり-北海道における施設栽培と「農PO」(2)-元北海道立花・野菜技術センター
特別研究員 土肥 紘

北海道の施設栽培と「農PO」への期待北海道の施設栽培は、(別図)に示しましたように夏を中心としたものです。

JA平取町のイチゴハウス栽培JA平取町のイチゴハウス栽培 葉根菜類や花もほぼ同様です。北海道の施設は、端境期の生産というより、「旬」の時期の拡大のために活用されていると心得ております。 府県の施設が大型化・連棟型方向であるのに対して、本道の施設は間口5~6mの地中押し込み型パイプハウスで、積雪対応もあり単棟指向であることも含めて施設に期待する性能に違いがあります。 その期待される性能の殆どが、「農PO」の持つ特性に合致するものになります。まさに、「農PO」は北海道のような寒地・寒冷地向きに開発されたハウスフィルムと云えましょう。

夏中心の施設北国といえども、7~8月は高温対応が必要になります。「農PO」の光透過で拡散光割合が多いことは、葉面などの作物体温の急激な上昇を抑えて高温障害を緩和することが期待されます。また、軽い・粘着しない・伸縮が少ないことから、側窓部の巻き上げ換気が容易で安定し換気効率を高めることができます。今後、簡易な天井部の巻き込み開閉装置の開発・普及が望まれます。一般に「農ビ」に劣ると云われている保温性も、(別図)のような作期であれぱ改良が進んでいる「農PO」専用の部材を用いて隙間を作らない、また重ね合せ部を考慮した展張方法を工夫することで問題ないものにできます。

省カ・省資源の施設諸情勢を背景に、今後とも目常的な管理の省力化・軽作業化と長期展張に耐える被覆資材が求められます。前者には、軽い・粘着しない・伸縮が少ないことが展張時の作業や日常的な換気管理を容易にします。後者には、伸縮が少ない・傷が拡がりにくいことで風に強い・バンドレス展張ができ、さらに低温で硬化しにくい・汚れにくいことで、極寒期を経る北海道でも、また年々増える傾向にある春先の黄砂の汚れ被害も少なくし、通年展張を可能にします。広幅加工ができることも継目部分の汚れを少なくし、防曇剤の塗布加工技術も長期展張に貢献するものになります。

クリーン生産の施設

JA平取町のトマトハウス栽培JA平取町のトマトハウス栽培 グローマスター」に代表される近紫外光選択透過(紫外線カット等)や反射などの機能性フィルムによる被覆やマルチによって、病害虫被害軽減のための ①主因(病害虫の存在)を減じ、
②誘因(病害虫が活動し易い環境)を抑え、
③素因(作物が弱い)を改善することで、総合的な病害虫管理(IPM)あるいは作物管理(ICM)
を進められ、クリーン農業生産に大きく貢献できましょう。さらに充実を図り多様な機能性を持つ資材の開発と効果実証を進められることを願います。

がんばる!クリンテート家族
グローマスターと梨地でトルコキキョウ作り長野県上田市(JA信州うえだ)
長谷川 尚貴 さん

クリンテートとの出会いは、9年前にバンドレスハウスを取り入れて以来です。その後、JA信州うえだの花き部で2度にわたり三善加工千葉工場を視察し、フィルム加工の現場を理解させていただきました。
トルコキキョウを作っていますが、高温障害対策には寒冷紗等を使っていました。しかし光も遮る事になり花の色が綺麗に出ない事が多く、別な方法はないだろうかと思案していました。
そこに三善加工の石川さんより内張りにクリンテートグローマスターを使ってみたらと提案がありました。
トルコキキョウ作りハウスを背景に長谷川尚貴さんと義孝さん親子トルコキキョウ作りハウスを背景に
長谷川尚貴さんと義孝さん親子
紫外線カットフィルムでは紫色の発色が抑制されるので難しいのではと思いつつ試験的に使用してみましたが、結果は大変良好でした。
内張りにグローマスターを使用する事により夏場の遮光資材を使用せずに十分に太陽光を浴び且つ高温になる事もなく徒長せずに品質の良いトルコキキョウが育ちました。また夏の暑い日にハウスに入っても肌に当たる太陽光は柔らかく作業も大変楽になりました。
紫外線カットフィルムを使用すると紫の発色が抑えられるためにトルコキキョウには不向きと思っていましたが、ハウスの内張りに使用することでサイドからの紫外線により発色には影響がありませんでした。

そして今年は 梨地フィルムを使用してトルコキキョウ作りに挑戦します。紫外線カット効果は時間とともに減少していきます。そこで梨地フィルムの遮熱効果を利用してみようと考えております。
マスター使用ハウスと梨地使用ハウスでは、梨地ハウスの方がやや生育が遅い様であるが非常に良い苗となっています。ハウス内の日差しの感じはグローマスターと同じ様でありトルコキキョウの生育が楽しみです。
そしてこの2つの効果(紫外線カットと梨地)を相乗するとよりよい環境を作り出すことが出来るのではないかと思います。
これからも私ども生産者への新たな提案に期待しています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXを利用したイチジクとイチゴ栽培愛知県安城市(JAあいち中央)
中山 章男 さん

JAあいち中央の指導購買部営農資材担当の神谷昌史さんにお話をお伺いして、イチジク部会でご活躍の中山章男さんの栽培事例をご紹介いただきました。
JAあいち中央は、愛知県の中央に位置し、安城市、碧南市、刈谷市、知立市、高浜市の5JAが平成8年に合併してできた大型JAです。このJAで、イチジク、イチゴを生産されている中山章男さんをご紹介します。
高設いちご栽培ハウス内の中山さん高設いちご栽培ハウス内の中山さん安城市を含む西三河地区は、イチジク、イチゴ等の果樹産地です。中山さんは、昭和58年よりイチゴハウス栽培を始められ、昭和62年にイチジクのハウス栽培も始められました。
クリンテートは昭和60年より使用され、現在、外張りはすべてDXを使用していただいております。
クリンテート導入のきっかけは、軽く破れにくく、またバンドレスにすることで、展張作業が楽である、等の理由からでした。

イチジクハウス内の中山さんイチジクハウス内の中山さんクリンテート使用当初は、霧がでた、保温性が低かった等の間題もあったが、現在のDXは、保温性、透明性に優れ、ハウスがすっきりし、大変満足されているとの事です。
イチジク、イチゴとも皆さんご存じのように、色付きが大変重要な作物で、色付には紫外線が必要となります。特に、イチジクは、葉が大きく茂り、葉影になりやすいのですが、クリンテートは、紫外線が散乱光で入ってくるため、色付のよい、高品質な果実となるそうです。
最近この地区ではイチゴハウスに高設栽培が増えてきておりDXの使用農家が多くなっています。イチジクは温度が必要な作物であり、DXの保温性で省エネとなり、紫外線と散乱光で品質アップとなりましたので、DXは大活躍だよと話されています。

これからも、JAあいち中央は、イチジク、イチゴ、そして他の作物にも、クリンテートを推進しようと思っています。

NO.14春季号 2003年3月1日発行

農POと作物づくり-北海道における施設栽培と「農PO」(1)-元北海道立花・野菜技術センター
特別研究員 土肥 紘

「クリンテート」が上市された頃から濃淡まだら模様ながら「農PO」に関わりを持たして頂いた者として、〔北海道の施設栽培と「農PO」〕、〔「農PO」に期待する想い〕の程を述べさせていただきましょう。

北海道の施設栽培と「農PO」の関わり北海道の野菜・花園芸作は、年代毎に(表)に示したような言葉遊びでくくれるような位置付けとして進展して参りました。野菜の作付けは、'94をピークにやや減少していますが、現在6万3千ha、粗生産額1千9百億円、花は'90年代後半の停滞から漸増に転じて現在1千3百haあり、粗生産額は150億円で、農業粗生産額1兆1千億円の中にしっかりと位置付いています。

施設栽培は、'50~60年代にトマトの竹支柱を利用した竹幌式ハウス、両屋根型鉄骨や丸屋根型鉄パイプハウス、その後構造改善事業等で導入された間口10m前後の大型パイプハウスから現在主流の間口5~6mの地中押し込み型のパイプハウスとなり、野菜で'75年の2百haが現在3千2百haに至り、さらに漸増しています。今後も、トンネル作型から、初期投資は要しても高品質・安定生産が省力的に得られて結果的に有利なコスト計算が成り立つハウス作型への移行が進むものと思われます。雨よけ栽培も現在900haと定着しています。花もその栽培には殆どが何らかの施設を利用しており、北海道の園芸作は今後ますます施設への依存度を高めて行くことになりましょう。

さて、北海道と「農PO」の関わりですが、(表)にありますように「クリンテート」上市早々に普及担当の熱血漢(I氏)が単身で展張試験を依頼に来た時に始まりました。当時、ハウス被覆資材には、幾つかの「酢ビ系」の性能も検討しながら「塩ビ」しか考えられない状況で、「特殊ポリオレフィン」フィルムという初めて聞く名の「特殊」の意味さえも理解出来ていなかった試験担当者(実は、筆者)は、保温性をのみ重視して、その特性を充分に評価し得ませんでした。

(表)北海道における園芸作の変遷

ただし、フィルムに鮮やかに印字された「クリンテート・農PO」の名は訪れる視察者には大いにPR効果がありました。しかし、I氏の熱意は終息せずに、その後トンネル用フィルムとして実用化、機能性ハウスフィルム「グローマスター」の花き類の病害虫抑制効果、機能性マルチフィルム「ミラネスク」「ミラネスク ひえひえ」の露地葉根菜および花きの安定生産と害虫回避効果による実用化へと結実しました。特に、「ミラネスク ひえひえ」の効果は画期的なもので、アザミウマやアブラムシのみならずコナガやモンシロチョウの食害軽減も認められて、全国的な環境調和型農業技術会議においても減農薬有用資材として高く評価されました。

その後も、クリーン農業、省力・省資源化の方向の中で、それらに即対応した新資材の実用化試験を通しての関わりが続いています。「農PO」の名を知らしめた先駆"社"として、今後とも新時代の農業技術を施設・資材を通して先導していくお役目を期待しております。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXで質の高いトマトづくりを北海道平取町(JA平取町)
武田 浩則 さん

我が町平取は日高山脈を後方に臨み、そこから流れる沙流川の恵みを受ける農業の盛んな町です。町を見渡すと施設ハウスがあちこちに建ち並び、名産品であるトマトをはじめとする作物が作られています。
私はそのトマトと後作に胡瓜を栽培しており親から引き継いだハウス7棟を含め、現在、全部で21棟のハウスを所有しています。
トマト苗作りハウスでの武田さんトマト苗作りハウスでの武田さん私のところでは冬の寒さが厳しい1月から苗作りが始まりますが、気温がマイナス15度まで下がる日も少なくありませんので、ハウスの室内温度を保つために暖房機を使用し2重、3重とビニールをかけており、ビニールの保温性に対しては特に敏感になっていました。
そこでJAの資材担当者に相談したところ、クリンテートDXの0.1ミリ厚を紹介されたのをきっかけに使い始めて4年になります。
使用してみると今迄は2重のビニールを巻きおろしする際に、暑さでビニール同士が密着してしまい、とても作業性が悪かったのですがクリンテートDXにはそれがなく、作業性がアップしました。

また保温性、透明度ともに良く、それに伴い暖房機の燃料消費も押さえられ、苗の育ちも上々です。その上、耐久性にも優れ私のように被覆資材が経費上大きなウエイトを占める農家では経費削減の一端をも担っています。
これからも質の高いトマト作りのために、納得のいく商品を使いたいと思います。
【JA平取町の取組み】
JA平取町購買部資材課係長
横堤宏之さん

当JAでは、昭和47年からトマト栽培を始め現在約90haの八ウス栽培面積となっています。その栽培体系のなかで半促成と抑制栽培に分け夏秋トマト産地として、4月から11月まで約8,000tの出荷を行っています。
クリンテートDXについては、6年前から2重カーテンの被覆資材として使用し始め今では、半促成栽培の7~8割位の生産者が使用しています。二重のビニールと言えば、クリンテートDXというような感じで完全に浸透していて評価はまずまずだと思われます。
また、昨年から販売されたクリンテートEXについては、生産資材コスト削減、また農業用廃プラスチック間題による排出抑制とクリーン農業推進の一環として、長期展張型農POの普及と啓蒙をこれからもクリンテートをメインとして三善加工さん、ホクレン、代行店と連携を取りながらさらなる改良と拡販を目指していきたいと思います。 

がんばる!クリンテート家族
マーキュリーでカーネーション栽培長野県八千穂村畑(JA佐久浅間)
井出 希士雄 さん

私は、平成元年からカーネーション作りをしている花農家です。
私の家は代々稲作農家でしたが、米の生産調整で減反面積が段々増加したのを契機に、水田転作としての花の栽培を始めました。

最初は露地で菊の栽培を手がけましたが、現在は業務用を主体としたカーネーションに絞ってハウス栽培をやっています。
ハウス前でカーネーションを抱いた井出さんご夫妻ハウス前でカーネーションを抱いた井出さんご夫妻栽培面積は2,000㎡、春・秋2回切りの土耕栽培でもっぱら私と家内の2人で従事していますが、収穫は1本1本切り取っていき人手がかかりますので、最盛期はパートの人に来てもらったり子供に手伝わせたりして対応しています。
施設は、2棟の鉄骨アクリルハウスと5連棟のパイプハウスです。
鉄骨ハウスは、平成元年にカーネーションの栽培を始める時に補助事業で導入しましたが、パイプハウスの方は、規模拡大をするにあたってできるだけ費用をかけないで設置しようと思い、自分達だけでパイプを組み被覆しました。

パイプハウスに張るフィルムを選ぶ際、JAから、長期展張ができ廃プラ対策にも良いフィルムがあるので是非使ってみないかとの薦めがあったのでクリンテートマーキュリーを張ったのですが、実際張ってみますと軽くて作業性が良く、時間が経っても流滴性が最初の頃と同じなので採用してよかったと思っています。 

南佐久でクリンテートを使ったのは私が最初でしたが、最近は使う人が大分増えてたようです。
カーテン用には、余分な湿気が調整でき病気の発生を防止できるため全棟でクリンテート透水カーテンを使用しています。
また、害虫忌避効果のあるグローマスターも1棟で試験的に張って効果をみています。

今年は、おかげさまでJA主催の14年度フラワーフェスティバルで県知事賞をいただきましたが、これも日頃の努力の積み重ねと、県農業改良普及所ならびにJA営農指導部の皆様のおかげと感謝しています。
これからも、農家の目線にあわせた高品質で長く使えるフィルムを開発していただくことを期待しています。

(株)ジェイエイ栃木グリーンを訪ねて新たな企画としてクリンテートを日頃加工して頂いている各県の加工場の紹介を致します。今回「(株)ジェイエイ栃木グリーン」をご紹介致します。

地理的には栃木県県央に位置しJR宇都宮駅より1つ目の岡本駅が最寄りの駅となります。また栃木県と言えば、全国的に有名な「苺(とちおとめ)」の生産量は日本一です。それに餃子の県としても有名です。(ニラの生産も全国1位です。)他にもいろいろ有名な生産物ありますが、その栽培にとって欠かせない生産資材(パイプ・被覆フィルム等)を系統直営工場として供給しています。また同じ敷地内にこちらも栽培に欠かせないBB肥料の製造工場があります。

ジェイエイ栃木グリーンの皆様は「高品質・低価格・環境配慮」をスローガンに、独創的な発想と情熱的な行動をモットーに農業の未来に貢献すべく日々努力されています。

組織機構の話をしますと、資材推進課と資材加工課があり、各JAを訪問し資材の相談、新しい技術の提案等を資材推進課が行い、各JAのご注文(年間180万m)のハウス用被覆フィルムを総勢11名体制で加工しています。

高周波1台、熱シール機2台、半自動機2台、ハトメ機2台を駆使しながら、最良の製品作りを心掛けています。皆様方、ハウスフィルムに精通された人ばかりで、クリンテートの品質にご助言いただくことがあります。これもひとえに系統直営工場としての自覚と痛感いたします。
(文責武末智徳)

クリンテートを加工中です
クリンテートを加工中です
(株)ジェイエイ栃木グリーン加工課の皆さん
(株)ジェイエイ栃木グリーン加工課の皆さん

NO.13冬季号 2002年12月1日発行

クリンテート発売20周年を迎えて三善加工株式会社
代表取締役社長 北村 周治

北村社長北村社長 1982年に クリンテート上市以来、本年20周年を迎えることが出来ました。ご関係者のご支援とご愛用頂きました農家の皆様のお陰で、品質改良を積み重ね、今目のクリンテートに仕上げることが出来ました。この間のご愛顧に厚くお礼申し上げます。クリンテートの登場によって、ハウス市場には大きな変革が起こりつつあります。クリンテートの特性を生かした新しい施設方式の開発と相侯って、施設園芸の拡大発展に大いに寄与してまいりました。 たとえば、寒さに強く破れないことは、北海道などの寒冷地での施設栽培に適しているので、クリンテートの使用域が一挙に広がりました。 農ビに比べて、約30%も軽いクリンテートは、取扱いやすさにおいて、農業従事者の高齢化にも対応できます。

フィルムに孔をあけて傷をつけると、強風にあおられて傷の破れが広がる農ビでは、とうてい孔をあけることはできませんが、クリンテートではカーテンに、小口径の孔を開けても破れることはありません。クリンテート透水カーテンは、ハウス内の温度を低下させる資材として、広く愛用されています。

一定強度で展張すると徐々に伸びつづける性質をクリープ性といいますが、クリンテートの低いクリープ性を生かして、バンドのいらないバンドレスハウスを実用化いたしました。ハウス内は、黒いバンドによる影がないので明るく、また、バンドによるしわがないので、しわからの水滴落下がなく、流滴性に優れたハウスとなります。

「新しい酒には、新しい皮嚢を」といわれます。新しいハウス被覆資材クリンテートには、新しいハウスこそがふさわしいといえます。バンドのないハウスなんて風でやられるとの非難に屈せず、バンドレスハウスがここまでの普及を成し遂げ、新しい農POの時代を築き上げたことは、永く施設栽培の歴史に残るに違いないと自負しております。

冬期の保温を目的としたのが、ハウス栽培でありますが、ハウスを一年間通して使いたいという周年栽培への要求が強まっています。春先の急激な温度上昇による葉焼けや夏の強い日射による生育不良は、ハウスの周年栽培を妨げていましたが、適度な光散乱性能により、強い日射をやわらげるハウス資材として、クリンテートが使用され、周年栽培用としてその実績を挙げています。

クリンテートの数々の特徴は、普及の推進力となって、なお伸びつつありますが、住化プラステックの永年の開発努力が稔って、クリンテート発売20周年を記念した新製品を投入することが出来ました。従来のクリンテートをはるかに超える品質と価格競争力をもつ新製品であり、特別な、超越したという意味を持つ「エクストラ」と名づけました。

エクストラは、プラストマーという業界初の材料を用いています。プラストマーは、プラスチックスとゴム(エラストマー)を掛け合わせて生まれた柔らかくて、強靱で透明性にも優れる超級の新材料です。このプラストマー中に、保温性を示す新規な超微粉体を許容量一杯にちりばめても、なお、透明性を発現させることに成功した特許製品です。透明な合成皮革とも呼べるもので、ハウスバンド耐久性にも優れると期待されます。さらに、硫黄系に対しても、優れた耐久性を示す特殊配合が採用され、耐用年限が長いので、使用1年当りの価格において、圧倒的な競争力を有しています。

現在、農PO市場は、激烈な競争下にありますが、クリンテート20周年を記念した新製品 「エクストラ」の上市を機に、全杜をあげてクリンテートの普及に努めて参りますので、クリンテートのご愛用者の皆様におかれましては、今一度、クリンテートヘのご理解を深めて頂き、絶大なるご支援を賜りますようお願い申し上げます。

がんばる!クリンテート家族
高品質トマト栽培をマーキュリー・グローマスター・梨地フィルムの組み合せで実現山梨県中巨摩郡若早藤田(JA巨摩野)
河西 正廣 さん

3年前になりますが、私は永年勤めた経済連を退職し、今は一農家としてトマトのロックウール栽培をしています。
トマト作りを始めるにあたってこの栽培方法にしようと決めたのは、経済連在職時代にしぱらく県のロックウール研究会の事務局を担当したことで栽培に関するいろいろな知識が蓄積できたことと、地元にも仲間がたくさんいてお互いに切硅琢磨できるということがあったからです。
生育中のトマトと河西さんご夫妻生育中のトマトと河西さんご夫妻栽培面積は1,800㎡で春と秋の2期作、労働力は家内と私の二人ですが、私は、楽しく農業をやる、高品質な農産物を消費者に届ける、ということをモットーにしています。
ロックウール栽培仲間との情報交換はもちろんですが、高畝ベンチを導入して労力の軽減を図ったり、圃場の前にトマトの自動販売機を設置して消費者の生の声を聞いたりと、自分が考えていることが一歩でも前進するよう、いろいろ工夫しながら取組んでいるところです。
ハウスは7連棟ですが、設置当初から外張・カーテンともクリンテートを使っています。外張りには軽くて長期展張ができ、廃プラの排出抑制にもなるということでマーキュリーを張っています。

古川さんは、JA茨城旭村の前イチゴ部会長で活躍されましたが、良品質のイチゴづくりに熱意をもって取り組んでおられます。
カーテンは梨地とグローマスターの2重カーテンですが、梨地は散乱光により光が葉裏まで満遍なく行きわたり作物の成育に良いということと、高温障害を防止できるということに着目し使用しています。
また、 グローマスターは近紫外線をカットすることで害虫忌避効果があり、農薬の使用量を減らせて環境にもやさしいということから使っていますが、いずれもほぼ期待した効果が出ているのでまずは満足しています。
トマトの品質面ではおかげさまで高い評価をいただいていますが、これも栽培面での努力が実を結んだことと被覆資材のおかげかな、などと思ったりもしています。これからも消費者に喜ばれるトマト作りに精を出していきたいと思っています。
また、今度マーキュリーよりも強いエクストラという新しいフィルムが発売されるとのことですが、今以上に長期展張できることで少しでも生産資材費用の低減に繋がることを期待しています。

がんばる!クリンテート家族
0.1mm厚マーキュリーで冬春ナスづくり福岡県黒木町(JAふくおか八女)
井手 博人 さん

黒木町は福岡県の南部に位置し、夏は観光百選となった日向神渓谷をへて、矢部村から大分県へ通じ、南は奥八女の豊かな森林を生かしたリゾート・ゾーン「グリーンピア八女」を背に熊本県と境し、西は電照菊で有名な八女市、北は八女茶の産地である星野村と接した人口15,000人、面積135k㎡のやすらぎの町です。
ナスを背景に井手さんご夫妻ナスを背景に井手さんご夫妻私はナスを作り始めて30年になります。ハウスは全て鉄骨で、冬春ナス740坪、雨除けナス300坪を所有し、現在は家内と二人で収穫に忙しい毎目です。
5年前からクリンテートを展張し、平成13年からはマーキュリーを試験的に使ってみたところ、以前の防塵農ビに比べ風に対する強度が強くとても気に入りました。
今年度8月からは、間口8m8連棟、6m4連棟の全てのハウスにマーキュリーを展張しました。0.1mmのフィルムを張りっぱなしで3年間使いたいというのが私の希望です。

昨年1年間使ってみての感想は、風の強い場所に展張してもとにかく破れにくく、破れて穴が開いてもそこからの広がらない為、シーズンを通して安心して使えるということです。
私自身の体験から、今後は部会にもマーキュリーを勧めていきたいと考えています。三善さんの新商品であるエクストラにも大いに期待を寄せております。
井手さんは、JAふくおか八女黒木支部茄子部会長をされていますが、他にJA全農ふくれんなす副部会長、JAふくおか八女なす副部会長の要職につかれ活躍されています。

紫外線カット、梨地フィルムで軟弱野菜栽培テストを実施神奈川県農業総合研究所生産技術部の衣巻さんのご協力を得て、クリンテートDXと紫外線カットのグローマスターと梨地フィルムを提供させていただき、パイプハウスでの軟弱野菜栽培(コマツナ、ホウレンソウ栽培)における省エネルギー・省資源型施設栽培を確立するための試験研究していただきました。

このたび、試験研究成績発表がありましたので、その一部を掲載させていただきます。

1.試験目的機能性農PO導入による軟弱野菜の生産(収量・品質)向上と環境負荷の軽減であり、冬期の保温性向上と夏期の昇温防止・光環境改善による増収を狙いとしています。

2.試験区の構成温室内熱環境改善フィルムハウスとして、クリンテート紫外線カットフィルムのグローマスターを外張り、梨地フィルムを傾斜張りカーテンとして使用したハウスの有効性をクリンテートDXや農ビハウスとの生育比較を試みたものです。ハウスの大きさは、間口4.5m、奥行き12mの54㎡です。

3.耕種概要ホウレンソウ「アクティブ」コマツナ「楽天」を7/9、8/5、9/4に播種し、作物の生育、収量、品質、ハウス内温度変化(地表面から1mの高さで計測)、地温(地下5cm)を計測、調査したものです。
栽培方法は、8条、条間は15cmで、遮光は遮光率45%のネットで、7/9から9/20まで内部遮光した。

4.結果概要7~9月の夏期のホウレンソウ栽培では、改善ハウスが生育、収量が安定していた。コマツナでは、一定の結果が見られなかつたが、改善ハウス、農ビハウスの生育、収量は安定していた。なお、試験内容を載せていないが、11/9まきの場合はクリンテートDX展張ハウスが良く、改善ハウスと農ビハウスは、ほぼ同等の収量であった。

5.主なデータ7月9日は種ホウレンソウ生育調査結果(8月7日調査)7月9日は種ホウレンソウ生育調査結果(8月7日調査)

8月5日は種ホウレンソウ生育調査結果(9月12日調査)8月5日は種ホウレンソウ生育調査結果(9月12日調査)

9月4日は種ホウレンソウ生育調査結果(10月7日調査)9月4日は種ホウレンソウ生育調査結果(10月7日調査)

NO.12秋季号 2002年9月1日発行

農POと作物づくり-施設栽培の周年利用-埼玉県農林総合研究センター園芸支所
支所長 稲山 光男

キュウリの短期作型組合せによる有利な販売方策野菜の生産は、施設栽培の普及と生産技術の高位平準化によって、単位面積当たりの収量に大きな伸びがみられるようになった。そして、生産の安定比が図られるようにもなった。

その一方で、流通の形態は大きく変わり、市場では大半の荷が量販店によって取引きされ、消費者の購入形態も、かつての八百屋の店頭で「対話」によって購入された形態は姿を消し、量販店で自ら「選択」して購入する形態に大きく変化している。
このような流通の変化に対し、産地はどう対応していくべきか考える時期にきている。

市場におけるキュウリの価格動向表-1に、東京市場における最近の月別入荷量と単価を示した。

表-1 東京市場におけるキュウリの月別入荷量・平均価格表-1 東京市場におけるキュウリの月別入荷量・平均価格

入荷量に大きな年次差はみられないが、11月~2月の平均価格をみると入荷量が必ずしも価格に影響している現象はみられない。また、キュウリの輸入量(青果)は、全量が韓国からで、最近は約5,000~5,500tが輸入されているが、その量は、国内生産量の約0.7%で、東京市場への平成13年の入荷量は157tで、総入荷量の0.17%を占めるにとどまっている。

このような中で、市場における作型の競合と価格の関係をみると、次作型の入荷によって市場の「頭値」(高値)は、次作型へ移行する現象が強く見受けられる。

キュウリ生産を取巻く環境の変化と対応キュウリ産地に限ったことではないが、産地では、価格が低迷している中での有利な販売と生産管理労力の省力化が課題になっている。

この課題解決の一つの方策として、流通実態から、(1)時期的価格差が小さいこと、(2)作型による取引きがあること、(3)安定的な周年出荷が求められていること、(4)消費者の選択買いの中で、生産の実態情報を求めていることなどがあげられる。

また、生産現場では、(1)収穫や選別に労力の多くを要すること、(2)長期間、良品を多収得るためには、高度な管理技術が求められることなどがあげられる。

そこで、キュウリの特性として、生長が早いことや草勢の強い若木からの収穫物は、良品で食味も良いこと。また、苗が流通される時代になり、収穫作業と育苗管理の競合を避けることが可能であることなどから、図-1に示したような短期作型を組合せた生産体系の導入を提案してみたい。

図-1 施設栽培キュウリの周年高品質栽培体系図-1 施設栽培キュウリの周年高品質栽培体系

この体系の特徴を上げると

  1. 栽培労力を最も要する収穫・選別の対象面積が1/2であること
  2. 秀品率が高い期間のみの収穫期であるため、選別労力が削減できること(販売方法を開拓すれぱ、規格の簡素化によって収穫しながら選別が可能であること)
  3. 栽培期間が短いため、緻密な生育制御管理技術が求められないこと
  4. 整枝管理の省力化が図れること
  5. 減農薬生産が可能なこと
  6. 作型別品種の組合せが可能なこと
  7. 雇用経営の場合は、安定雇用が可能になること

などがあげられる。

一方、種苗費の問題は収穫終期1週間を考慮することで解決が図ることや、土づくりを夏期に1ヶ月休閑期を取る中で行う必要があること、作型の切替えを短期で行う必要があること、そして最も大切なことは、生産方式の情報を流通上に(消費者にも)PRして評価を得ることであろう。

がんばる!クリンテート家族
DXで良品質のイチゴづくり茨城県鹿島郡旭村造谷(JA茨城旭村)
古川 義一 さん

私はハウス面積約60a(単棟ハウス21棟・4連棟ハウス10a)を中心としたイチゴ専業農家です。平成8年以前は100%農ビを使用しておりましたが、毎年のようにフィルムの汚れ・破けに悩まされ、強風の時などはマイカー線の張り直しと、よけいな仕事に振り回されておりました。
そんな折、三善さんより クリンテートUFOを紹介され試験導入して以来、クリンテートの愛好者になりました。クリンテートDXは、発売時より使用しており現在では、全棟内張り・外張りにかかわらずDXを展張しております。
いちご栽培ハウスでの古川さんいちご栽培ハウスでの古川さん人によってはPOフィルムは保温力が無いとか、展張しづらいとか言う人もおりますが、DXに関して言いますと農ビに比べ保温力の差は、まったく無く、その上フィルムが汚れないため、ハウス内に燦々と光がふり注いでいます。
破けにくいという特長もあり、ハウス管理がずいぶん楽になりました。フィルムの特長を身に着け慣れさえすれば、これは使える!と実感しております。また、DXは紫外線を調整したフィルムのせいか(?)イチゴの色づき・食味・糖度とも良い物が造れるようになりました。
平成13年より旭村でも廃プラの回収が始まりましたが、農ビに比べ負担金がまだまだ高いこともありますが、毎年の張り替えの手間、省資源という点から考えても、多年張りを考える時代なのだと考えています。来年からクリンテートエクストラ(EX)という強度アップした多年張りのフィルムが発売されると聞き、大いに期待しております。

古川さんは、JA茨城旭村の前イチゴ部会長で活躍されましたが、良品質のイチゴづくりに熱意をもって取り組んでおられます。

がんばる!クリンテート家族
メロンづくりをMCで鹿児島県有明町(JAあおぞら)
星野 勝 さん

私は、昭和54年からメロン栽培をしています。いわゆる、サラリーマンからのUターンで夫婦二人で農業を営んでいます。有明町は、大隅半島の半ばにあり、風の強い所です。有名な桜島は見えませんが、たまには灰が飛んできます。
メロンを栽培している強化ハウスでの星野さんご夫婦メロンを栽培している強化ハウスでの星野さんご夫婦私は、間口5.4m、奥行き40mのパイプハウスが6棟と、平成9年度の園芸拡大整備事業で建てた中長期フィルム展張用強化ハウス2連棟2つでイチゴとアンデスメロンを栽培してます。
以前はビニールを使用していましたが、平成9年度の園芸拡大整備事業の強化ハウスには、クリンテートマーキュリー(MC)を展張しました。
クリンテートMCは、流滴性が良く、汚れにくく光線の入りが良いと思います。
また、圃場は風が強いところですが、張りっぱなしでも大丈夫で安心です。

今年の張替においても、クリンテートMCを使用する予定です。

がんばる!クリンテート家族
健苗づくりはMCでJA鳥取中央農産部総合育苗センター
センター長 西本 稔 さん

私ども総合育苗施設は、鳥取県のほぼ中央に位置する倉吉市の高台にあります。平成13年3月に着工し、11月に完成しました。
鳥取特産のスイカをはじめ、水稲、メロン、キャベツ、ブロッコリー、白葱等々の播種から育苗、出荷までを最新鋭プラントによるシステム管理にて年間稼動しております。
総合育苗センターの全景総合育苗センターの全景敷地面積37,000㎡にガラス温室2棟と大型パイプハウスが32棟あり、そのパイプハウス32棟にはすべて三善加工(株)さんの『クリンテートマーキュリー(MC)』の0.15mm厚を展張しています。
もともと旧育苗センターでは農ビの0.075mm厚を使用していましたが、農ビは重くて汚れやすく1年か2年で張替える為コストも掛かり、他に良い資材はないかと探していたところ、(株)松本鉄工所さんよりクリンテートマーキュリーを奨められ、軽くて汚れにくく長期展張が可能で、しかも農ビと同等の保温力があると聞き、導入に至りました。

水稲の育苗ハウスで西本センター長(右)と技術管理責任者の米田さん水稲の育苗ハウスで西本センター長(右)
と技術管理責任者の米田さん
POフィルムはバンド擦れに弱い事が欠点なのでバンドレスが理想ですが、当センターでは大型ハウスの為、風をまともに受けやすく農ビよりも若干弱めですが、バンド掛けをしてフィルムのバタツキを抑えています。それでも一部、擦り傷が発生した様でその点は今後の品質改良を期待したいと息います。
しかし破けにくく風に強い事がPOフィルムの長所なので、このクリンテートマーキュリーの使用により以前ほどの風害の心配がいらず安心しています。おかげで今年は無事スイカ47万本、メロンでは8.5万本の苗を出荷することが出来ました。

また、5月中旬には、水稲22万箱の出荷がピークを迎え、水稲の次は抑制メロン及び抑制スイカと忙しい日々が続きます。
みなさんも鳥取にお越しの際は是非、当センターへ見学にお立ち寄り下さい。
お待ち致しております。

NO.11夏季号 2002年6月1日発行

農POと作物づくり-ハウス抑制作型を見直そう(キュウリ10t穫りは難しくない)埼玉県農林総合研究センター園芸支所
支所長 稲山 光男

キュウリの生産動向をみると、篤農家によってハウス栽培が始まった、昭和30年代の後半はキュウリの栽培面積が約3,500haあり、その生産量は77万t(全国)であった。

当時は、露地栽培が主流であったことから、作期を少しでも早めることは、収益の向上につながり、ビニルハウスも急速な普及がみられた。

一方、露地栽培から施設栽培への移行やその後の社会環境の大きな変化の中で、担い手の減少や生産者の高齢化によって、現在の栽培面積は、30年代後半の50%に減少している。しかし、施設化と栽培技術の向上により、生産量は当時の生産量が確保されている。

キュウリの価格は年間平準化の方向にある施設栽培は、作期を前進化させることで収益性を求め、技術的にも施設の装置化も発展した経緯がある。
このことは、市場価格の動向をみても当然のことながら、供給量の少い冬期を中心に高値で流通され、露地栽培が可能な夏期は価格的に安値で取引きされる背景によるものである。しかし、このような傾向に最近は、変化がみられ年間の時期的な価格差が小さくなっている。

また、施設栽培が導入された当時のキュウリの価格をみると7~9月が安値で、高値期の5分の1であったが、近年は5~6月が安値月傾向にあり、年間の価格差は2分の1で年間の価格変動が小さい傾向にある。

は種期の前進化と生育抑制しない管理がポイントキュウリの抑制栽培の作型は、施設栽培の発展過程では、作期の前進化が重視される中で、裏作的な位置となり経営的にはあまり目を向けられる場面がなかった。
従って、抑制栽培の作期も変動することがなく、8月上旬(関東)が基準とされ、長いこと接ぎ木の普及も停滞傾向にあった。

このようなことから、収量も産地内での較差が大きく、目標収量が10a当たり4t程度の低い水準に置かれてきた。

抑制栽培は、葉が大きく、やや軟弱な生育のため日中の遮光も必要抑制栽培は、葉が大きく、やや軟弱な
生育のため日中の遮光も必要
もちろん、栽培条件としては高温下であったり、ウィルスのり病、台風などの被害条件が想定される作型ではある。 しかし、施設構造は改善され防虫ネット等の資材も入手が容易な時代に変わってきている。 流通の周年安定化と価格変動が小さい中で経営的に抑制作型での多収生産は、これまでのキュウリ生産の中で最も忘れられてきた作型で、作型に目を向けて取り組めば、気象条件からこれまでの目標収量とされた10a当たり4tの3倍量を収穫することは比較的可能なことである(表1)。

表1 播種期と収量表1 播種期と収量

栽培管理上の注意点高温期であることから、ウィルスのり病には万全を期する必要があり、は種時からの防虫ネット被覆の徹底は必須条件である。一方、育苗期の苗の徒長、定植後の節間伸長や葉が大きくなり易い点はある。

萎潤させないため若苗で被地に定植萎潤させないため若苗で被地に定植 このような生育に対し必要以上に制御すると生育抑制効果は得られても、その生育抑制が9~10月の生育に大きく影響して減収につながることになる。 例えぱ、若苗を定植し、定植床は十分灌水してから定植して、定植活着後は灌水を控えて土壌水分の低下に伴って根群の発達を深層へ誘導するような管理方法が重要である。 また、生育が早いことから整枝・摘葉管理は、収穫期に入るまでの栄養生長期の管理作業の遅れは好ましくない。

品質情報クリンテートDXが北海道の「指導参考」に今般、クリンテートDXについて、北海道におけるメロン栽培での「指導参考」となりました。私たち三善加工(株)および住化プラステック(株)が開発・発売しているクリンテートDXが農ビ同等の保温性とその実用性が確認されました。
概要は以下のとおりです。

1.目的農業用ポリオレフィンフィルム(以下、農POフィルム)は焼却時に有毒なガスの発生が少ないが、保温性は農業用塩化ビニルフィルム(以下、農ビ)に比較して劣るとされてきた。保温性を強化した農POフィルム(資材名:クリンテートDX)についてメロンハウス栽培における温度や湿度の推移の特徴、それがメロンの生育や収量に及ぼす影響を農ビと比較、検討し、その実用性を確認する。

2.供試資材農POフィルム「クリンテートDX」、対照資材::農ビ厚さともに0.1mm

3.調査年次および場所1998年上川農業試験場、2001年花・野菜技術センター

4.成果の概要

  1. 上川農試における5月中旬定植、8月上・中旬収穫のメロンハウス栽培の調査では、クリンテートDXはハウス内の気温は農ビと比較して、マルチ上1mではやや低かったが、マルチ上10cmでは差がなく、このためメロンの生育、収量には明らかな差は認められなかった。
  2. 花野枝セにおける5月下旬定植、8月中旬収穫のメロンハウス栽培の調査では、ハウス内の気温の推移、メロンの生育、収量ともにクリンテートDXおよび農ビに明らかな差は認められなかった。
  3. 花野枝セの10月上旬の閉鎖状態ハウスの調査では、夜間および曇雨天日の気温には両資材の差は認められなかった。しかし、晴天・日中の気温上昇が地上10cmでは差が認められなかったものの地上1mでは農ビで大きかった。これは、農ビの光線透過が「直達光型」であるのに対して農POフィルムでは「拡散光型」であることに起因したと考えられる。
  4. 農POフィルムハウスでは農ビハウスより乾燥しやすいとの指摘もあるため、ハウス内湿度の測定も行ったが、クリンテートDXで相対湿度が明らかに低いという事例は認められなかった。
  5. その他、従来からあげられている農POフィルムと農ビフィルム間の物性の差異は認められたが、クリンテートDXに展張作業時や栽培期間中の作業性、強度などで特に実用上支障となる間題点は観察されなかった。
  6. 以上、夜間および曇雨天時の気温の推移からクリンテートDXの保温性は農ビと同等であり、目中晴天時の換気が通常行われる時期のメロンハウス栽培ではクリンテートDXは農ビと同等のハウス被覆フィルムとしての実用性を有すると判断される。

図1 晴天日における密閉ハウス内の温度推移図1 晴天日における密閉ハウス内の温度推移

がんばる!クリンテート家族
クリンテートUFOで良品質のほうれん草生産千葉県多古町(JA多古町)
飯田 忠男 さん

私の町は、おいしいお米、多古米のとれるところで有名な多古町です。それから空の玄関成田空港に数キロと近いところです。
私は、ほうれん草の周年栽培をしています。

昭和63年より農ビハウス10棟から始め、平成元年に10棟追加し、その後年々追加し、現在では33棟となっていますがすべてほうれん草を栽培しています。
被覆資材は、すべて0.1厚のUFOを使用しています。

ほうれん草栽培ハウス前の飯田さんほうれん草栽培ハウス前の飯田さん私がクリンテートと出会ったのは、平成7年秋からです。農ビの場合、1年から1年半も使用すれば汚れがひどく、ハウス内は暗くトンネル状態になり、早い時では1年も経たずに交換張替をしていました。
我が家は人手不足のため、被覆資材の張替、ビニペットの取り付け、廃材の引き取りまですべて業者に委託したため、その時はかなりの出費となりましたが、これまでの農ビの時の張替のことを思うと楽になりました。
実際クリンテートを丸5年使用しましたが、さすがに4年目には洗浄して使用しました。その際灌水設備を更新し、栽培し易くなりました。
また、クリンテートは強度的にも申し分ないと思っていますが、透明度がもう少し持続してくれれば、言うことないです。

クリンテートは、光の入りも良く、湿度も持ちにくいのでほうれん草がしっかりと育ち、品質の良い物が収穫できます。我が家は、土づくりにも力を入れており、丈夫なほうれん草を作れば減農薬にもなるし、安全な物も提供出来るし、省力化にもつながります。
これからも納得の出来るものを作っていきたいと思っています。毎日が勉強です。

NO.10春季号 2002年3月1日発行

農POと作物づくり-トマト栽培におけるポリオレフィンフィルムの利用について-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

1.八代地方のトマト栽培日本における丸トマトの栽培面積(加エトマトは除く)は平成12年で11,291haです。その中で熊本県のシェアは8%(871ha)で全国2位となっています。また熊本県のミニトマト栽培面積は179ha(13%)で全国一の栽培面積となっています。

(表1) 平成12年トマトの栽培面積(表1) 平成12年トマトの栽培面積 八代地方のトマト栽培は県内でももっとも多く栽培が行われ、約411haが主に抑制作型で栽培されています。

立派な実をつけたハウス桃太郎立派な実をつけたハウス桃太郎 八代地方のトマト品種構成はハウス桃太郎8%以上でしたが、平成13年からはハウス桃太郎(48%)、桃太郎J(28%)、桃太郎ファイト(11%)、マイロック(9%)となり、品種の多様化が進み始めました。 現在のトマトは経済不況と輸入野菜の増加などから価格低迷しており、食味はハウス桃太郎並に加えて、L玉率が高く、果形が安定することや最近は長期栽培が増えており、3月、4月の気温が上昇する季節に軟化が発生しにくいことなどの特性を持つことが必要です。 ミニトマトはチカがほとんどです。

2.トマト栽培におけるポリオレフィンフィルムの利用八代地方のトマトは最近の価格低迷などから一層の生産経費の低コストが求められています。平成11年の台風被害に伴って、耐侯性ハウスの導入が進みましたが、そのなかでエフクリーン等の硬質フィルムの耐侯性ハウスでは10a当たりの建設費は1,000万円を超えます。

しかし、PO系フィルムでは、ハウスフレームが強い強度を持っていれば、十分風速40m以上の強風でも耐えられますので、10a当たり500万円程度の低価格で耐候性ハウスが導入できます。しかもフッ素系フィルムは焼却すると有毒ガスが発生し、危険なので、使用後は必ず全量業者が回収する事になっており、かなりの回収経費を生産者が支払うことになります。このように償却費等を考えれば、トマトの低価格化の中でPO系フィルム対応の低コスト・耐侯性ハウスが有利になっています。

ハウスでのトマト栽培ハウスでのトマト栽培 PO系フィルムは0.1mm厚では数年の使用が可能で、塩化ビニルより比重が軽いためフィルム張りが楽であり、廃棄ビニル回収費もPO系フィルムは塩化ビニルより安くなります。 PO系フィルムは焼却しても有毒ガスがでないフィルムとして当初、期待されましたが、平成10年ころよりダイオキシンの問題から焼却処理ができなくなり、PO系フィルムの回収システムが必要となっています。 PO系フィルムを使用した生産者の話では巻き取って水を含んでいると夏場にフィルムが溶けてフィルム同士がくっつくので注意が必要だとの意見もでています。

図1 中国・日本のビニルハウス面積の推移図1 中国・日本のビニルハウス面積の推移 塩化ビニルは塩素を含むため燃やすとダイオキシンや塩素系ガスが発生し、廃棄塩化ビニルの最終的な処理コストを考慮すると、PO系フィルムは液化すると燃料としても使用できるなど環境負荷や廃棄処理コストの面でも有利であり、中国の園芸農家は賢明な判断をしていると思います。

がんばる!クリンテート家族
「さがほのか」栽培で佐賀イチゴ振興をリード佐賀県鎮西町(JA上場)
いちご部会

JA上場は、備前、玄海、鎮西、呼子の4町にまたがる広域合併JAであり苺部会も130戸の大所帯で構成員が広範囲に分布している。
位置的には、佐賀県の北西部、唐津市より西北約16㎞の玄界灘沿いにあり標高100~200mの台地が、波状的に起伏し玄武岩質で土壌は覆われている。
出口部会長ハウス内のいちご「さがほのか」出口部会長ハウス内のいちご「さがほのか」私は、昭和50年にハウスイチゴが導入され、昭和57年に6名の栽培者で部会を発足させた。当部会は、県単独補助事業(上場営農確立対策事業)導入を契機に、部会員が増加し規模も拡大し、現在の130戸337,100㎡に至っている。
私は、当部会は、佐賀県のイチゴ生産において、作付面積の11%、出荷販売高の12%を占めている。とくに、新品種「さがほのか」への品種更新では県下の先人を切り、13年度産では98%に達し佐賀イチゴの衣替えにリーダーシップを発揮している。
私は、販売においても、市場の評価が高く札幌市の大手スーパーには、上場産イチゴの特設コーナーが設けられるほどであり消費者からも評価を得ている。

一昨年に農POのクリンテートDXを試験展張し、結果が良好だった為に今年度より導入に踏み切った。まだ多くは普及していないが、使用している生産者からは「軽いし作業性が良い」との声があがっている。今後普及していくだろう。
JA上場いちご部会の出□部会長を訪ね、こ多忙中にもかかわらず、お話をきかせていただきました。出口部会長自らクリンテートDXを使用されており、評価もまずまずでした。出口部会長は、佐賀県のイチゴ部会長を兼務し、活躍されています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートマーキュリーで良品質のスプレー菊生産群馬県吾妻町(JAあがつま)
中井 毅彦 さん

中井さんのパイプハウス中井さんのパイプハウス私は、スプレー菊を20年以上作っています。夏の暑い時期を中心に8ヶ月間の出荷期間となります。
私は、当地は、標高570メートルの中山間地で、冬は、最低マイナス12度から15度まで下がり比較的高温を好む菊には、酷な気象条件と言えます。
私は、真冬は日照時間はわりと長いのですが、どうしても光線が弱く菊のボリュームがのらず苦労していました。

見事なスプレー菊と中井さんご夫妻見事なスプレー菊と中井さんご夫妻私は、農ビの場合は、2年目の冬には、汚れがひどく年末出荷するためには、毎年張り替えを行っていました。
私は、そんな中、クリンテートUF-Oを知り、使ってみると2年目でもハウスの汚れが少なく、しかも農ビのように大きく裂けてしまうことも無いのに驚きました。
私は、今回、ハウスの増設の折、クリンテートマーキュリーを薦められ使用しました。汚れも少なく、流滴性も良好です。

昨年の10月に当吾妻町を会場のひとつとして開催されたスプレー菊全国大会において、たまたま2年目のクリンテートマーキュリーハウスで大会の展示圃として作付けましたが、無事、役目を果たすことが出来、喜んでいます。
夏の台風、冬の雪と心配は尽きませんが、これからも、良品質のスプレー菊生産を続けていきたいと思っています。

中井さんからは、eメールで原稿をいただきましたが、仲間との情報交換はパソコンで行うなど、先進的な花づくり農家で、坂上花卉研究会会長として大いに活躍されています。

NO.9冬季号 2001年12月1日発行

農POと作物づくり-農POクリンテートDX-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

1.はじめに

フィルム試験で栽培中のスイカフィルム試験で栽培中のスイカ 熊本県における野菜生産は1,094億円(平成11年度)と農業分野で最も生産が盛んな部門である。 野菜の中でも特に施設野菜の生産はメロン、スイカ、トマト、イチゴなど粗生産額の約70%を占めている。 その生産施設はビニル被覆栽培が中心で、47,210ha(平成11年度)であり、全国の13%である。さらに花き類及び果樹を加えたビニル被覆面積は約55,184haとなっている。 それに伴うビニル使用量は全国一であるが、それに伴い、廃棄ビニル量も熊本県が最も多い。

収穫直前のスイカ収穫直前のスイカ しかし、その廃棄ビニルの回収は熊本県廃棄プラスチック類処理対策協議会が中心となり、廃棄ビニルの回収率は90%と全国一の処理量となっている。その処理費用は15円/kgである。 使用ビニルは現在でも塩化ビニルが最も多く、塩化ビニルは仮に焼却しても塩素を含み、ダイオキシンが多く出やすいといった問題がある。 熊本県では処理が容易で、再生利用ができる資材への変換を促進しているが、平成7~8年度にかけて、熊本県の要請を受けて積極的に高保温性ポリオレフィンフィルムを開発されたのが住友化学株式会杜であり、塩化ビニル並の保温性を持つ最初の製品がクリンテートDXであった。

2.クリンテートDXの特徴表1従来、POフィルムは防塵性、耐風性、作業性、廃棄処理性に優れ、2,3年の展張が可能であるが、保温力がビニルに対し、低いのが大きな欠点であった。

この欠点を克服しつつ、従来のPOフィルムの長所を持っているのが高保温タイプのクリンテートDXである。(表1)

表2、図1熊本県農業研究センターにおいて、塩化ビニル(0.075mm)を対照に半促成栽培(播種1月10日、定植2月23日、収穫6月上旬)のスイカ(冨士光TR)で試験したが、その結果、保温性は最低温度はやや塩化ビニルより低かったが、日中フィルム試験で栽培中のスイカの温度の上昇が早く、最高温度はクリンテートDXが透過性がやや高いので、高い傾向が認められ、平均温度はクリンテートDXがやや高く推移していた。(表2、図1)

また、湿度はややクリンテートDXがやや低い傾向が見られた。

図2、表3光の透過性は展張後約3月目の5月の調査では塩化ビニルに対して、クリンテートDXの一重張りで9%、二重張りで5%透過性が高く防塵性が高いことを示していた。それに伴い、生育(つる長、葉数)、着果率及び平均果重はクリンテートDXがともに優れていた。(図2、表3)

このように、高温性野菜のスイカにおいてもビニル以上の成果を示し、十分低温期の栽培にもクリンテートDXは使用できることが証明された。

3.使用上の留意点クリンテートDXを使用する上での留意点としては、クリンテートDXは耐風性が高く、19mm径程度の単棟パイプハウスでは強風の時、フィルムが丈夫で破れにくいため、パイプの変形を招きやすく、そのためクリンテートDXの使用に当たっては、フレームの強度が高い構造のハウスに使用することが望ましい。

また2年以上の長期展張の場合、2年目からはフィルムヘ流滴剤の噴霧をしている人もいる。

4.今後のフィルムの方向ヨーロッパにおけるプラスチックフィルムはほとんどPO系フィルムであり、環境保全や廃棄ビニルの処理コストを考えると日本もPO系フィルムや硬質フィルムに向かうべきであり、単棟ハウス等ではフレームの強化と合わせて、耐侯性ハウスとしてPO系フィルムが普及することが期待される。

農POと作物づくり-農PO展張ハウスにおけるキュウリの栽培-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

農POは、年々使用量は増加していますが「農POのハウスでは良いキュウリができない」という話を、お聞きになったことはございませんか。
先日、農POのハウスで立派に生育しているキュウリを見学する機会がございましたので、今回は、その事例を中心に農POを展張したハウスにおけるキュウリ栽培について述べたいと思います。

1.高い空気湿度を好むキュウリと農POを展張したハウスの密閉度なぜ農POのハウスはキュウリ栽培に適さないという話が出るのでしょうか。それはキュウリの生育特性と農POの特徴の両方に原因があるようです。

ご承知にようにキュウリは生育適温が高く、空気湿度が高い状態で光合成が盛んに行われます。光合成に適した空気湿度は相対湿度80~90%といわれており、良好な生育をさせるために日中は高い空気湿度を保つ必要があります。

選定・箱詰めされたJA伊達みらいのキュウリ選定・箱詰めされたJA伊達みらいのキュウリ 一方、農POはべとつかないという性質があるので、ハウスに張った場合、フィルムの重ね合わせ部分などに隙間ができるのではないかと懸念されています。 すなわち、「農POハウスは、密閉度が低いのでハウス内の空気と外の空気が入れ替わりやすく、そのためハウス内の空気が乾いて、キュウリの生育が悪くなるのではないか」と推論されているようです。

2.JA伊達みらい・霊山きゅうり部会におけるキュウリ生産11月7目、福島県のJA伊達みらい・霊山営農センターを訪間して当地のキュウリ生産の状況をお聞きし、農家のキュウリ栽培ハウスを見学させていただきました。

霊山きゅうり部会は阿武隈山地の一角を占める霊山町・月舘町のキュウリ栽培農家256戸が参加する部会で、ハウス栽培及び雨よけ栽培で年間延べ1,435a、露地で2,109aのキュウリを栽培しています。

道●に●設を敷いてキュウリを栽培している農POのハウス道●に●設を敷いてキュウリを
栽培している農POのハウス
ハウス栽培と雨よけ栽培は両方とも天井・サイド・妻面にフィルムを張った単棟のパイプハウスを使用しています。 保温性の高いパイプハウスを使用して気温の低い春先から晩秋または初冬まで無加温で栽培するものをハウス栽培、比較的気温の高い時期に栽培する作型を雨よけ栽培と呼んでいます。キュウリは2月~7月に順次播種して、5月~12月に収穫・出荷します。

パイプハウスで使用されているフィルムは農POが60%、農ビ40%だそうです。ほとんどのハウスがサイドのフィルムを巻き上げて換気を行っていますが、農POは、べとつかないのでフィルムの巻き上げ・巻き戻しがスムーズに行え、それが農POの普及した最大の理由だそうです。ただ、農POについては、普及の初期段階で、一端広まった農POが保温性の不十分なことから一時使用量が減り、保温性の良いものが市販されるようになって再び増えた経過があるそうです。現在使用されている農POは外張り・内張りともに保温性の高い厚さ0.1mmのクリンテートDXです。

当地のキュウリ栽培についてはJAの指導に負うところが多いようですが、JAは農POのハウスと農ビのハウスで栽培・管理法について差を付けるような指導はしていないとのことです。

3.高湿度の農PO展張ハウスで育つキュウリ住化プラステック(株)・三善加工(株)製の農POクリンテートDXを外張りと内張りに使用した佐藤正徳さんのハウスを見学させて頂きました。パイプハウスは棟高4m・軒高2.2m・間口6.3mの比較的大きなハウスで、キュウリが4列に植えられていました。

ハウスに入って、まず感じたのは湿度が高く、気温も高いということでした。湿度が高いため写真機のレンズが曇って、なかなかハウス内部の写真が撮れない状態で、額に汗がにじんできました。

通路に放水パイプを敷設してキュウリを栽培しているガラス温室通路に放水パイプを敷設して
キュウリを栽培しているガラス温室
天気の良い日の午後2時頃にお伺いしたわけですが午前中に1時間ほど東西棟の北側のサイドを開いて換気し、正午に数分間潅水したそうです。 キュウリは60cm幅の畝に1条植えになっていましたが、緑色フィルムでマルチングをしてマルチフィルムの下にキュウリの株をはさむように2本の潅水チューブを敷設しています。通路は、フィルムによるマルチングはしないで、籾殻を10cmくらいの厚さに敷いています。靴で籾殻の層に窪みを作ると中の籾殻は湿っており、潅水した水が通路に流れ出した様子が伺えました

今年は夏の天候が不順だったのでキュウリの生育は例年より多少劣ると佐藤さんは話されましたが、キュウリは立派に生育していました。農POはサイド換気が容易で、キュウリ栽培で間題になることはないとのことでした。ただ、潅水と換気には気を付けているようです。ハウス内の湿度を保つためにかなり多めに潅水しているようですが、ハウス内の気温が十分に上昇してから潅水を行うようにし、地温が下がり過ぎないように注意しているとのことです。

4.まとめキュウリは農POを展張したハウスで十分栽培できると言っていいでしょう。たしかに、流滴性の良い農POハウスは空気が乾きやすい傾向があるようですが、加湿や換気の方法を工夫することによってキュウリの生育に適した環境を作り出すことが可能と思われます。

施設園芸に長く携わっておられる方にお伺いしたところ、ガラス温室でキュウリの栽培が始まったときも同じようなことがあったそうです。ガラス温室は乾燥するので、しばらくの間良いキュウリが作れなかったそうです。しかし、現在はガラス温室で立派なキュウリが生産されています。神奈川県の和田政行さんは、通路に加湿専用の散水パイプを設置したガラス温室で品質の良いキュウリを生産して、一昨年のJA全農主催の全国施設園芸共進会で全農会長賞を受賞しています。

この記事が農POハウスを用いたキュウリ栽培の参考になれば幸いです。

NO.8秋季号 2001年9月1日発行

農POと作物づくり-安全・高品質な野菜づくり-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

岐阜県の高山市は絢燭豪華な屋台と朝市で有名な観光地。その高山市を中心とした飛騨地方で、安心・安全で品質の良い野菜づくりが、地域ぐるみで、進められています。
梅雨の晴れ間の6月21日、高山市の雨よけホウレンソウと丹生川村の雨よけトマトの栽培現場を見学し、生産農家からお話を伺ってまいりました。産地の状況を紹介します。

1.冷涼な気候を生かした飛騨の雨よけ栽培飛騨は岐阜県の北部に位置する高冷地です。冷涼な気侯を生かして、ホウレンソウは春・夏・秋まき、トマトは春まき・夏秋どりの雨よけ栽培が行われています。

雨よけ栽培は、雨による生育阻害などを回避するために考案された栽培法で、パイプハウス用の鉄パイプにプラスチックフィルムで屋根を張っただけの簡単な施設で作物を栽培します。施設の妻面はフィルムを張らずに常時開放しサイドはフィルムを張る場合と張らない場合があります。この施設でホウレンソウを栽培すると、雨にさらされないため立枯れ病やべと病が少なくなって収量・品質が著しく向上します。トマトも降雨による土壌養分の流亡や裂果が少なくなって作柄が安定します。

この様に、雨よけ栽培は、露地栽培に比較して、もともと化学肥料や化学合成農薬の投入を減らせる環境にやさしい栽培技術ですが、その雨よけ栽培で、雨よけ以外の機能を持った被覆資材を使って、より安全で品質のよい野菜づくりが進んでいます。

2.雨よけホウレンソウの大規模経営有機物と紫外線カット・フィルムで農薬・化学肥料の使用量を削減
JAひだ高山蔬菜出荷組合長の小林知明さんは、標高650~1,000mのほ場で、雨よけホウレンソウ3haを栽培しています。3月から10月にかけて1つの雨よけ施設に4~5回播種して、5月~12月に葉色の濃いホウレンソウを出荷しています。

10a当たりの収量は4.8トンぐらいだそうですが、ほ場で収穫したホウレンソウをベルトコンベヤー・秤・自動包装機を備えた作業場に搬入して、能率よく調整・袋詰めをしています。

小林さんは、時期別に5つの品種を使い分けたり、生育に合わせてきめ細かな土壌水分管理を行うなどホウレンソウ栽培について高度な技術をお持ちですが、最近は「土づくりで、健康な根の発達を促す」、「病害虫抑制効果のある資材を使って、化学合成農薬の使用料を削減する」ことに気を配っているとのことです。

土づくりのため、息子さんが飼育している飛騨牛の牛舎から出る厩肥を発酵させて良質な堆肥を作っています。また、雨よけフィルムは、紫外線を透さない農POフィルム「グローマスター」を使って病害虫の発生を少なくしています。

安心・安全なホウレンソウづくりのための、地域の目標は、「土づくりによる化学肥料使用量の30%削減」と「化学合成農薬の使用回数を3回以内とする」ことだそうです。すでに、良質な堆肥の投入と紫外線カット・フィルムの使用は常識になっているそうですが、今後は防虫ネットの使用を検討するそうです。

3.紫外線カット農PO「グローマスター」

紫外線カット-フィルムを展張したホウレンソウの雨よけ施設紫外線カット-フィルムを展張した
ホウレンソウの雨よけ施設
波長380nm以下の近紫外線を透さない紫外線カット・フィルムは、アブラムシ・ダニなどによる虫害や、糸状菌による病害の発生を抑制することが国公立試験研究機関の研究で明らかになっています。 小林さんは、雨よけホウレンソウの病害虫防除のために、三善加工(株)製の紫外線カット農PO「 グローマスター」を使っています。 紫外線を透過するフィルムを使っていないので、直接比較することはできないが、グローマスターで病害虫は少なくなっているそうです。

雨よけ施設内のホウレンソウ雨よけ施設内のホウレンソウ グローマスターについて、小林さんに、病害虫防除以外のこともお伺いしたところ、メリットとして、 (1)軽く、張り替えが楽である
(2)傷がついても裂け目が広がらないので農ビより長期間使用できる
(3)廃プラスチックの処理費は重量当たりで設定されているので、施設単位面積当たりの処理費が農ビより安くなる
とのことでした。 ただ、問題点として(1)フィルムの上に積もった雪の滑りがやや悪く、(2)過去に、台風の時に一時的にはずしておいたフィルムが融着したことがある、と言っておられました。

4.おわりに近年、生鮮・冷凍野菜を中心にした輸入野菜の増加から、国内野菜産地のあり方が問われています。
野菜の国内生産を維持・発展させていくためには

  1. 生産・販売コストの低減
  2. 生産物の価格安定
  3. 輸入物の影響を受けにくい品目の生産
  4. 消費の簡便化に対応した加工向け出荷の強化

などが必要だとされています。

今回紹介した飛騨の雨よけ栽培は、今後の国内野菜生産のあり方を示す一つの例として、大変示唆に富んでいると思います。企業感覚に優れた農業者が、地域の気侯・風土を生かして、消費者二一ズに合った安全で美味しい野菜を効率よく生産しています。

その中で生産資材を上手に使っていますが、園芸資材は種類が多く、機能も多岐にわたります。作物の収量増加だけでなく、収穫物の味・成分・安全性の向上に役立つ資材も色々あります。適切な資材を選択・使用して農業経営の向上に役立てていただければ幸いです。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートとの出会い北海道北見市(JA北見市)
服部 専泰 さん

私がクリンテートに出会ったのは、昭和60年頃で北海道のホクレンの農機具展示会の会場でした。
その頃はまだ北見地方にはクリンテートが導入されていなく、展示会場での話をJAにして初めてクリンテートを展張しました。私はそれ以前はサクビとか農ビでしたが、農ビの強度の弱さには大変苦労しました。

暖地の方には想像もつかないと思いますが、農ビのフィルムがマイナス20°Cほどになると弾力がなくたるため、ハウスクリーナで雪下ろしをしますとちょっとの衝撃でも農ビが裂けるのです。
さて、クリンテート導入経緯はこの辺にして私の経営内容を紹介いたします。
ハイ、ポーズで一休みの服部さんご夫婦ハイ、ポーズで一休みの服部さんご夫婦私は、玉葱5.5ヘクタール、花卉ハウス330㎡ 10棟、メロンハウス330㎡ 2棟で、全ハウスがクリンテートです。
そのうち長期展張型クリンテートマーキュリーが1棟で、残り11棟はクリンテートDXです。バンドレスハウスは4棟です。

私は、マーキュリーについては、平成8年度に試験導入しましたがバンドレスハウスにしたのでいまだに強度とか透視性など6年経過しても何も問題がありません。
クリンテートDXのバンドレスハウスでも平均5年は使用していますので、メーカーさんから長期展張のため回転率が悪いのが問題と言われそうですね。

私は、バンドレスハウスの良いところとして、フィルムに皺が出来ないためボタ落ちがない、日中雪が滑りやすいためバンドハウスに比べて、日差しが早くハウス内に入るなどメリットがあります。

思い出としては、クリンテートを良く知るため私たち部会で平成元年に営業の高松様の案内で千葉工場を見学させていただきました。その時の左端のレーンが稼働していなく、いずれはここに10m巾の製造ラインになりますとの説明のとおり、その後まもなく10m巾が製造されました。
農PO業界のリーダーシップの位置づけが永遠のものとなることをお祈りいたします。

がんばる!クリンテート家族
特産『鳥取西瓜』をクリンテートDXで鳥取県大栄町(JA烏取中央大栄町支所)
中原 一明 さん

定植後のアールスメロンと中原さん定植後のアールスメロンと中原さん私は、大栄町は鳥取県の日本海側のほぼ中央に位置し、平地から高台にかけて雄大な畑が広がっている農業の町です。関西では大栄町の『鳥取西瓜』として有名です。
私は、スイカは、パイプハウスでは2月末から3月始めに定植し、6月中旬に収穫します。露地トンネルでは4月末から定植し、7月中旬に収穫しています。スイカが一段落した後、アールスメロンを7月中旬に定植し、10月末に収穫します。
私は、今年は、春先に雪が降りましたが風害等もほとんどなく、その後の天侯が安定したため、甘くて美味しい『鳥取西瓜』がたくさん穫れました。みなさんも召し上がっていただけたと思います。

私とクリンテートの出会いは、10年以上前にJAや(株)松本鉄工所>園芸部の営業の方々から奨められて、使ってみたのが最初です。農ビに比べて軽く、展張作業が大幅に楽になり、しかも風に強く、破けにくいので徐々に切り替えていき、現在はクリンテートDXを中心に使用しています。汚れも付きにくいため、以前よりも張替回数が減り、助かっています。また、生育もクリンテートDXは高保温タイプのため、農ビとほとんど変わりません。
露地トンネルでは、ベトつかずさらっとしているので換気作業がとても楽です。
パイプハウスには、バンドをしており、一部バンド擦れが出来ますが気になりません。

今後も生産者が、より一層安心して使える、より良い品質のクリンテートを開発し、提供くださる様、よろしくお願いします。

NO.7夏季号 2001年6月1日発行

農POと作物づくり-ハウス・ミカン栽培-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

今回は、神奈川県小田原市で、農POを使って立派なハウス・ミカンを生産している岩本和文さんの栽培技術と資材利用をご紹介します。

1.地域の特徴と果樹専作経営岩本さんが住んでおられる小田原市根府川は、神奈川県の西南部に位置し、山裾が相模湾に落ち込む平地の少ないところです。静岡県の伊豆半島に近接した温暖な気侯を利用して、江戸時代から温州ミカンが栽培されており、貯蔵ミカンの産地として有名です。

ここで岩本さんは、果樹専作農家として、奥さんと二人でミカン30aとギンナン80aを栽培しています。ミカンは全てハウス栽培で、品種は「宮川早生」で、収穫・出荷が8月上旬から10月上旬で、農協のハウス部会で個選共販を行っています。ギンナンは10月、11月に収穫して、直ちに果皮・果肉を剥いで種子を出荷します。

2.クリーンテートで良品・多収岩本さんのミカン用ハウスは、南東に相模湾が見える小高い山の上にあります。太さ48.8mmと22.Ommの鉄骨パイプを使った、棟高5m、間口5.8mの明友機工式連棟ハウスです。

岩本さんのミカン用ハウス岩本さんは平成2年からハウスの外張りにクリンテートを使用しています。最初の年は外張りに クリンテートUFOと農ビを併用したそうですが、クリンテートの成績がよかったので次の年から農ビはやめて全てクリンテートにしたそうです。

現在は、3連棟と8連棟のハウスに屋根・サイド共に厚さ0.1mmのクリンテートDXを展張して、内部は厚さ0.075mmのクリンテート透水カーテンを水平に張っています。

ハウスの屋根は毎年張り替えます。10月にミカンの収穫が終わったらフィルムを撤去してハウス内に雨水を入れ、花芽分化促進のために樹を寒さに当てます。新しい屋根フィルムは11月下旬から12月上旬に張ります。12月上旬から加温を開始しますが、ハウス内の温度センサーとハウスの外に設置された雨センサーで気温と降雨をモニターして、ハウス内の気温が設定値以上になると天窓が開き、温度が設定値以下や降雨があると天窓が閉まります。天窓は屋根の谷部に付いていて、巻き取り方式で開閉します。

このハウスで岩本さんは品質の良いハウス・ミカンを沢山収穫しています。神奈川県ではハウス・ミカンの品質基準として、糖度12%以上、酸度0.7%~1.0%、形・着色が良いことなどを決めていますが、この基準を軽く達成しています。また、神奈川県のハウス・ミカンの10a当たり平均収量は5.5t前後ですが、岩本さんは6t以上の収量を上げています。

岩本さんにクリンテートDXの使用結果をお伺いしたところ(1)軽くて、べと付かないので展張が楽にできる、(2)べと付かないので天窓の開閉がスムーズにできる、(3)風に強い、(4)保温性が良い、とのことでした。

また、クリンテート透水カーテンも良いとのことでした。クリンテート透水カーテンは水平張しても水が溜まりませんが、カーテンは傾斜張りより水平張りの方が保温効果は高いそうです。クリンテートDXの外張りとクリンテート透水カーテンの水平張りで、農ビを外張りしてポリエチレンカーテンを傾斜張りしたハウスより重油使用料を少なく出来るそうです。

3.紫外線カットフィルムと光反射マルチこのように立派な成果を上げておられる岩本さんですが、より一層の向上を目指して、資材の試験を実施しています。

岩本さんのミカン用ハウス輸入野菜に対するセーフガードの発動が話題になる昨今ですが、岩本さんはハウス・ミカンについて、より一層の生産力強化が急務と考えています。

そのため、ハウスの一部に紫外線カットフィルムのグローマスターや光反射マルチのミラネスクひえひえを展張して、その効果を検討しています。これらの資材でハウス内の光環境と土壌環境(土壌水分と地温)を改善してハウス・ミカンの品質と収量の向上を図ろうとするものです。

皆さんも、農業経営発展のために、ぜひ岩本さんの技術と考え方を参考にしてください。

がんばる!クリンテート家族
西瓜、メロンをバンドレスハウスで熊本県植木町(JA鹿本・山本支所)
高光 元夫 さん

私は熊本県の山本地区で、西瓜とメロンを作っています。連棟ハウスの総面積130aに、西瓜(富士光)2作、メロン(アールス)1作の、1年3作栽培型の施設園芸農家です。
春夏西瓜は11月下旬に定植し、翌年3月上旬から6月下旬にかけて収穫します。今が一番忙しい時期です。春夏西瓜が終われば、8月中旬から抑制メロンの定植が始まります。
メロンの次は、抑制西瓜の定植と、11月から12月にかけての収穫まで忙しい日々が続きます。働き手は、私たち夫婦と両親、今年から就農した長男の一家5人です。

私とクリンテートとの出会いは、平成5年にさかのぼります。当時、私は補強型の連棟ハウスを新しく建てたばかりで、被覆材は何にするか決めていませんでした。
JA山本支所に相談し、三善加工(株)熊本営業所に「何か良いフィルムはないか」と尋ねたところ、「バンドレス型ハウスにしてクリンテートを張られたら如何ですか」と勧められました。

「バンドレスハウス?」
聞きなれない横文字に疑問を抱きながら私は、その足で三善加工に出向き、いろいろな説明を受けました。その後、三善加工の担当者をハウスに連れて行き、更に詳しく説明を聞いて、新しい試みに挑戦しようと決めたのです。
しかし、クリンテートやバンドレス型ハウスに関する知識の浅さ、不慣れ等いろんな間題がありましたが、その都度農協の指導員や三善加工に相談しながら、また自分の工夫や経験を重ねることで8年の間に、ハウスの全てはクリンテートDXに変わりました。
とれたての西瓜と高光さんご夫婦とれたての西瓜と高光さんご夫婦私は、クリンテートは、風に強い、破れが走らない、光線がよく入る、谷の巻き上げがベタつかない等の特徴があります。もちろん、収量に差異がないことが大前提です。今や、私のハウスの90%はバンドレス型ハウスです。
私は、クリンテートの特徴を最大限に生かせるのは、バンドレス型のハウスだと思います。春一番や、少々の強風に天井フィルムがずれない、緩んだハウスバンドの引き締め作業が省けて、バンドレスにして良かったと思います。
私は、間口の広いバンドレスの連棟ハウスは、両谷、妻面をスプリングで留め、谷巻き上げ部フィルムのバタツキ防止と、展張作業時間の短縮、簡略化及び天井フィルムの補強も兼ねて2m毎にハウスバンドを掛けています。これも一つの工夫だと思います。

私はJA鹿本・山本支所の組合員ですが、JA鹿本に、昨年日本初の糖度計測光センサーが導入されました。その結果、確実に糖度の高い美味しい西瓜、メロンを消費者の皆さんにお届けできるようになりました。ブランド名「夢大地かもと」として、主に関西、関東に出荷されています。今後更に、JAと一体となって品質の良い西瓜、メロンを作っていきたいと思います。

JAかしまなだをたずねて-部会・営農部との連携による作物別推進実施-JAかしまなだは、茨城県東南部に位置する鹿島郡の中心にあり、太平洋に面した、鹿島灘にあります。肥沃な土地、良質な砂質土壌と気侯に恵まれ、メロン・イチゴ・トマトなどの特産物を育てる近代化農業の盛んな地域であり、銘柄指定産地のメロン部会や苺部会は、市場でも有名なブランドです。

クリンテートを被覆資材の中心として、取り扱っていただいている生産資材課の海老原課長にお話を聞かせていただきました。

JAかしまなだJAかしまなだは、経済渉外担当による予約を基本とした作物別推進を営農部門との連携を強化して実施しています。毎年、メロンは9月に、イチゴは7月に推進していますが、早めの推進が必要になってきています。 

現状の被覆資材の使用実態は、太平洋側は、80%以上がPO、クリンテートであるが、1キロ以上内陸に入ると、農ビが使われています。
これからの被覆資材としてのクリンテートは、環境にやさしいが最大のテーマであり、他杜に負けないようにすばらしいフィルムの開発を期待しているとのことでした。

軽くて展張作業が楽で、省力化が図られることはもとより、コスト低減が出来、環境にやさしいクリンテートとして、三善加工茨城事業所は、生産者・生産部会・JA・経済連・全農との連携を強化して、事業推進を進めていきたいと思っています。(茨城事業所石崎記)

NO.6春季号 2001年3月1日発行

農POと作物づくり-クリンテートDXを使用したメロンの大規模・良品生産-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

農POの性能と使い勝手の良さが、メロン栽培で高い評価を得ています。
さる2月6目、我が国有数めメロン産地である茨城県の鹿行地域をお訪ねして、メロン生産の状況を見聞きしてまいりました。今回は、どんな状況で、又どのような方法で農POが使われ、どのような効果を上げているかを皆様にお知らせいたします。

1.鹿行地域のメロン生産

旭村のメロン用パイプハウス風景旭村のメロン用パイプハウス風景 鹿行地域は鹿島灘に面し、冬期温暖で目照に恵まれた、やや風の強いところです。メロン栽培の歴史は古く、プリンスメロンの栽培が始まった昭和30年代末からプラスチックフィルムを使った被覆栽培が行われています。 三善加工(株)の嶋崎所長さんと石崎さんのご案内で旭村と鉾田町を訪れたとき、そこでは1月上旬から始まった半促成栽培メロンの定植が終わりに近づいていました。延々と続くメロンハウスが、時折、日の光を浴びて銀色に輝く様は壮観でした。 この地域の農家は、1戸当たり平均50~60棟・1ha程度のハウスを所有し、メロンとトマトを栽培しています。ハウスは間口3m・棟高1.8mのベトコンハウスと間口5.4m・棟高2.3mのパイプハウスです。

2.メロン栽培における被覆資材の利用

クリンテートを外張り・トンネル・マルチに使用している皆川さんのハウスクリンテートを外張り・トンネル・マルチに
使用している皆川さんのハウス
鹿行地域のハウス栽培の作付体系は、半促成栽培メロンの後に抑制栽培メロンを作付けする体系か、半促成栽培メロンの後に抑制栽培トマトを入れる体系です。 半促成栽培メロンは12月まき・1~2月定植の4~6月どり、抑制栽培メロンは7月まき・7月定植の9~10月どり、抑制栽培トマトは6月まき・7月定植の9~12月どりです。 ハウスでは様々な資材が使用されています。半促成栽培のメロンでは、保温のために、ハウスの外張り用フィルム、ハウス内のトンネル用フィルム、ハウス内の小トンネル用不織布、マルチ用フィルムなどの被覆資材が、またダクトに水を詰めた水枕なども使用されています。抑制栽培ではハウスの外張り用フィルムと防虫用ネット・遮光用ネットが使用されています。

被覆資材の中で最も購入費の掛かるのがハウスの外張り用のフィルムですが、これが大変合理的に利用されています。外張り用フィルムは3~4年使います。1年目は半促成のメロン栽培が始まるときにハウスの外張りとして展張し、抑制栽培のメロンまたは抑制栽培のトマトが終わった時点で撤収します。そのフィルムを2年目と3年目は半促成メロン栽培のハウス内トンネルに使い、さらに4年目にマルチに使うこともあります。このように鹿行地域では、フィルムを使える間は、徹底的に使っています。

3.大規模栽培で使い勝手の良いクリンテートDX鹿行地域におけるハウスの外張り用フィルムの使用状況は農ビと農POが半々ですが、農POの使用割合が年々多くなっています。

品質の良いメロン作りをされている旭村の田口智雄さんと鉾田町の皆川博美さんからお話をお伺いしたところ、田口さんは100%クリンテートDX(農PO)、皆川さんも90%はクリンテートDXを使っているとのことでした。クリンテートDXを使う理由は「クリンテートDXと農ビでメロンの生育・品質に差はない」、「クリンテートDXは軽くて張り換え作業が楽で、風に強く、汚れにくく、トンネルに使用すると開け閉めが楽に行える」ためだそうです。

4.農POの使用効果農POの使用が鹿行地域で増えているのは、この地域のメロン生産に農POが適し、役立っているためです。クリンテートDXが半促成のメロン栽培に必要な保温性を持っていること、軽いために多棟ハウスの張り換えが楽になること、汚れにくく滑りが良いために2年目・3年目のトンネル利用に都合がよいこと、さらに値段が手頃なことなどが、農POが使われる主な理由と考えられます。

現在、ハウス被覆用のフィルムは素材・特性の異なるものが多数市販されています。生産現場に適したフィルムを選定して、農業経営の向上に役立つように上手に使いこなすことが重要です。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートDXの雨よけハウスアスパラの囲年栽培で高収益実現佐賀県北茂安町(JA三養基)
アスパラガス部会

JA三養基は、佐賀県東部に位置し、背振山地から筑後川に向かって南に平野が広がっている地域にあります。
JA三養基アスパラガス部会は、大川定道さんが代表者で専業農家78戸を含み88戸で構成され、北茂安・南茂安・三川・上峰・中原の5支部があり、総ハウス面積150,000㎡、350棟の施設を有しています。特に部会員の栽培技術のレベルアップを図るために、役員が展示圃、試験区を設置し、各支部ごとに月1回現地検討会を行い、試験区の栽培状況確認を実施するなど活発な部会活動を行っています。
JA三養基アスパラガス部会は、昭和59年に設立され、61年の病害発生を機に雨よけハウスを導入し、夏場の高温対策のため換気扇も設置しています。63年からは、北海道産苗をリレー導入し、周年裁培による安定出荷を行っています。
また、平成5年に、西南暖地で最初の大型選果機を導入し、機械選別を行い、品質のばらつきを少なく、色も濃い、市場評価が高い良品を生産しており、共販価格が高く、高収入に結びつけています。
また、アスパラガスの一日予冷による鮮度保持に努めており、関東、関西、九州のいずれの市場でも好評を得ています。

ハウスは、台風対策のため大型ハウスを導入しており、雨よけにより病害虫発生予防と減農薬栽培に取り組んでいます。
クリンテートDXは、環境にやさしいフィルムであり、軽く、張替作業の省力化が図られ、ビニールに比べ長期展張することが出来、コスト低減に役立っています。
JA三養基経済部営農課長の吉村俊弘さんから話を聞かせていただきましたが、JAと部会との連携が良く、施設コストの低減化を図るため、補助事業の積極活用、系統資材の予約一括購入など先進的な取り組みをされています。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートハウスの観光いちご園は、大盛況横須賀市(JAよこすか葉山)
志村 叔幸 さん

私は、もう10年以上前から日本農業新聞で知ったクリンテートを展張したパイプハウスで観光いちご園を経営しています。5.4m・30mの4連棟が2つで1.2畝の面積です。
原田さんハウスでのいちご狩り風景原田さんハウスでのいちご狩り風景私は、この津久井地区では、14戸の観光いちご園農家があり、京急と提携して進めており、年間8万人がいちご狩りに訪れます。
この2月の10,11,12日の3連休で、8,000人が訪れ、盛況でした。

ハウスの一区画に一度に200人もの観光客が入ると、一人平均60~80粒食べますので、食べ頃のいちごがなくなってしまいます。
いちごは、9/20に定植し、翌年1月から5月末まで収穫します。品種は、形、甘みが良い「鬼怒甘」を栽培しています。

実は私は、ハウスみかんの専業農家なのです。
クリンテートハウスで志村さんとJA加藤さんクリンテートハウスで志村さんとJA加藤さん私は、無加温で、無農薬のハウスみかんづくりをしていますが、消費地の皆さんに品質と価格で理解いただけない状況です。
私は、今年から、三善さんが薦めるクリンテートマーキュリーを展張して栽培しようと思っています。また、内張りには、紫外線カットのグローマスターを使用し、スリップス類の発生を防いでいます。
私は、その他、無農薬栽培のため、焼酎やにんにく・とうがらしの漬け込み液などの散布もしています。

風に強く、取り扱い易く、保温性もあるクリンテートで安心していますが、これからもよりよい品質のクリンテートを提供してください。
JAよこすか葉山北下浦支店の営農経済センター加藤農産次長の案内で、津久井地区の志村叔幸さんと原田利雄さんを訪ね、色々と聞かせていただきました。

NO.5冬季号 2000年12月1日発行

農POと作物づくり-農POを使用した関東の軟弱野菜生産-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

1.消費地に近い地の利を生かした軟弱野菜生産軟弱野菜は、その名のとおり軟弱で鮮度が失われやすい野菜です。1回に食べる量は少ないのですが、その代わり、ほとんど毎日食卓に上ります。言い換えれば、軟弱野菜は生産・流通にあたって鮮度保持にことのほか気配りと工夫が必要な野菜で、多品目・少量・連続消費が行われる野菜です。新鮮なものを供給するため、軟弱野菜は古くから都市近郊で生産されてきましたが、野菜の広域的な輸送・流通体制が整備され現在でも、関東は大消費地に近い地の利を生かして、軟弱野菜の栽培が盛んです。

関東の軟弱野菜はホウレンソウ、コマツナをはじめ、ニラ、ナバナ、シュンギク、パセリー、ミツバ、サラダナ、ワケギなどです。千葉県南部のナバナのように冬期の温暖な気侯を生かした栽培や、栃木県北西部(高冷地)の雨よけ・夏秋どりホウレンソウのように地域の気侯条件を生かした栽培もありますが、関東の軟弱野菜生産の中心は、なんといっても都市近郊の土地を高度に利用した周年栽培です。都市近郊では豊富な雇用労力を使って、同じほ場に年に何回も作付けし、連続して出荷します。

2.農POを使ったコマツナの周年栽培コマツナは東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県で栽培の多い軟弱野菜です。ビタミンAとカルシウムを多く含む緑黄色野菜で、続けて作っても連作障害が出にくいのが特長です。年間を通して需要があることから、昭和40年代までは露地栽培とトンネル栽培を組み合わせた周年栽培が行われ、昭和50年代に入ってからはハウスを利用した周年栽培が多くなりました。そのハウスやトンネルで、近年、農POが多く使われるようになってきました。

神奈川県平塚市城島地区のコマツナ神奈川県平塚市城島地区のコマツナ 神奈川県平塚市城島地区は30年以上続いているコマツナの産地ですが、しぱらくぶりでお訪ねすると、コマツナ栽培用のパイプハウスで以前張られていた農ビはすっかり農POに替わっていました。また、神奈川県秦野市鶴巻地区の軟弱野菜生産農家のAPハウスも農POが張られていました。 農PO(長期展張用)は張り替え労力の節減や、焼却処理時に有害ガスが発生しないことから導入されたようですが、農家のお話では、農POは農ビより汚れにくく、風に強く、コマツナの生育もよいとのことでした。 また、夏にフィルムをはずしてハウスに雨を入れたいとき、はずした農POを保存してもべとつかないので取り扱いが楽だとのことです。

農POを使った軟弱野菜の生産が、増えていますが、農POは透明な1~2年展張の汎用性タイプや4~5年展張の長期展張タイプの他に、梨地フィルムや有孔透水フィルムなど機能の異なるフィルムが販売されています。今後は、機能の異なる農POを上手に使った高度な軟弱野菜生産の展開が期待されます。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートによる高品質セロリ栽培浜松市(JAとぴあ浜松)
鈴木 實 さん

私は、浜名湖に面した古人見地区で、露地栽培3反、パイプハウス3反、屋根型ハウス7反の圃場で9月から4月までセロリを栽培、収穫後順次、トマト、メロンを栽培しています。
クリンテート導入は、焼却処理が可能で、農ビより軽く、価格的にもメリットがあると言う農協の指導によるもので、かれこれ10年以上前です。クリンテートを使用してみると、大変使い易く、巻き上げ部分は軽く逆巻きせず、土に付く部分は農ビに比ベバリバリにならず、強度も変わらない、また破れに強く、春一番の強風も気にならなくなりました。
わが地区は、遠州の空っ風と言われるほど、季節風が強く、農ビ展張時は破れて困っていました。また、面積が一番広い屋根型ハウスの張り替えも、ビニペットにスプリングを入れる間隔が広くなり、展張作業が大変楽になりました。使用していくうちに、三善加工の営業の方とも顔見知りとなり、クリンテートの説明を受け、ビニールとの違いを理解し農業用として、より理想に近いフィルムだと認識し、現在外張り、内張りすべて、クリンテートを使用しています。
鈴木さんのセロリ栽培ハウス鈴木さんのセロリ栽培ハウス私は、クリンテートの特徴は散乱光と聞いており、セロリ栽培に於いては特に芯焼けがでることで、苦労が多かったのですが、十分な灌水と散乱光の多いクリンテートの使用により、芯焼けが少なく、非常に高品質のセロリが収穫できるようになりました。
私は、作物によりクリンテートを使いわけしておりセロリだけ栽培するハウスは 梨地フィルム、セロリからメロン、セロリからトマトのハウスには U-FOフィルムを展張し、作物にとってより良い環境を作り、高品質の作物生産を目指しています。

JAとぴあ浜松伊佐見支店の伊代田和宏さんが鈴木實さんにインタビューしてまとめた内容です。JAとぴあ浜松管内の、古人見地区、豊西地区、大久保地区、白須賀地区等はセ□リ栽培が非常に盛んな地区で、多くの農業の方にクリンテートを使用していただいております。

がんばる!クリンテート家族
風に強いクリンテートで安心して栽培ができます酒田市(JA酒田市袖浦)
佐藤 茂 さん

私は、平成5年からJAに薦められたクリンテートを展張したパイプハウス(間口7.2m*80m、20棟)でアンデスメロン、赤肉メロンと青首大根の栽培をしています。
メロンは、2月下旬から播種を行い、1ヶ月程育苗して3月下旬から定植します。2本の子づるを伸ぱして、1株から4個の果実を収穫します。

とれたて大根と佐藤さんご夫婦とれたて大根と佐藤さんご夫婦私は、砂丘畑のため、ハウス内は湿度が少なく、病害が出にくく、水管理が容易なため糖度の高い品質の良いメロンが収穫できます。
私は、加工用の青首大根は、9月中旬からシーダー直播きし、間引き、追肥、消毒などの管理作業をして、翌1月上旬から2月に収穫します。
私は、私の住む酒田市袖浦地域は西が日本海に面した砂丘地にあり、海洋性気候で夏は高温多湿、冬は強い北西の季節風が吹く、風雪の厳しい所です。
私は、クリンテートデラックスは、風に強く、どんなに吹いても破れにくく、また穴があいても広がらないので、安心していられます。
今後ともJA営農部のご指導を得て、営農の継続をしていきたいと思っています。

JA酒田市袖浦をたずねて-営農相談日に作付け計画等の相談活動を実践-JA酒田市袖浦は、山形県北西部の庄内平野の庄内空港を有する地域にあります。
東京からの飛行機が、庄内空港へ着陸する時に窓から見えるハウスのフィルムは、ほとんどがクリンテートです。

JA酒田市袖浦は、正組合員数964名で「人と人の心の結びつきを大切に、時代に深くかかわっていきたい」とのキャッチフレーズで組合員、地域住民との距離が近い優れたJAです。営農部の農業資材担当チーフの池田さんと営農企画担当チーフの村上さんにお話を伺いました。

JAそでうらのリーフレットよりJAそでうらのリーフレットより 営農部の大きな仕事としては、営農相談日を設定し、ハウスの利用体系等、作付け計画の相談活動を実施していることです。 果菜関係では、集団指導を充実させるため、各種講習会や圃場巡回を部会組織と一体となって実施しており、メロン・野菜・花等9部会の活動を活発にしたいと心がけています。 資材注文は、いちご関係が9/25に、春物が12/25の年2回の取りまとめを中心にすすめています。 紫外線カットのグローマスターは、トマトプラスホウレンソウ農家で使用しており、スリップスやコナジラミの発生を防止しています。 JA酒田市袖浦は、クリンテートだよりのサブタイトル「クリンテートによる新しい営農を提案します」を文字通り実践されているすばらしいJAの一つです。 三善加工としては、今後ともクリンテートの品質向上と広幅品の提供が出来るように努め、末長くクリンテートを愛顧いただきたいと考えています。(東京営業所嶋崎記)

NO.4秋季号 2000年9月1日発行

農POと作物づくり全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

梨地クリンテートを利用した夏秋どりイチゴ「クリンテートだよりNo3」で散乱光の積極的な利用について述べましたが、梨地クリンテートは、フィルムを透過した太陽光が散乱光になる割合の多いフィルムです。特殊成分が練り込まれた梨地クリンテートは、乳白色をしたフィルムで、普通の透明な農POより透過光が10~15%程度少なくなりますが散乱光は大分多くなります。

この梨地クリンテートを使って、夏でも品質の良いイチゴを収穫しているところがあります。ご存じのように我が国のイチゴの収.穫期は普通11月~6月で、7月~10月の収穫は極めて少ない状態にあります。それはイチゴが冷涼な気侯を好み、夏は暑さで果実が肥大する前に成熟して軟化してしまうためです。ところが、山梨県の八ヶ岳山麓では、高冷地の冷涼な気侯と被覆資材を上手に使って夏から秋にかけて良質の果実を収穫しています。

八ヶ岳山麓のイチゴは四季成性の品種です。農PO(クリンテートDX)を外張りしたパイプハウスに、白色マルチ(サンパワーホワイト)を敷設して、4月下旬から5月上旬に定植し、暑さの厳しい7月~8月に梨地クリンテートをハウス内に張ります。梨地クリンテートを内張したハウスは散乱光が多くなって直達光が少なくなりますが、直達光が少なくなった分イチゴの体温上昇と過度の蒸散が抑えられます。また、白色マルチは地温の上昇を防いでくれます。

八ヶ岳山麓の夏秋どりイチゴ(7月上旬)八ヶ岳山麓の夏秋どりイチゴ(7月上旬) その結果、夏でもイチゴはハウス内で良好な生育をし、品質の良い果実が収穫できます。栽培農家によると、「夏のハウス内温度を下げるために以前はアルミ箔を織り込んだ遮光ネットを使用していたが、遮光で光線不足になって良い果実が穫れなかった。梨地クリンテートに替えてからは、光が十分入って高温障害もなくなり、品質の良いイチゴが安定して穫れるようになった。」とのことです。 事実、梨地クリンテートを張ったハウスに入ってみると、明るく、涼しい感じがして、穫れたイチゴは形・色が良く、酸味・甘味が程良く調和した美味しいものでした。

近年、ハウスを周年的に利用したいという要求が強まり、夏場の高温対策が大きな間題になっています。フルオープンハウスや冷房システムの導入等の高温対策もありますが、これらはいずれも多額の投資が必要です。梨地農POを使った高温対策は、どなたでもできる費用のあまり掛からない方法です。夏まきホウレンソウヘの適用等、梨地クリンテートを使った高温期の良品生産に、ぜひ挑戦してみてください。

がんばる!クリンテート家族
19万リットルの灌水でメロンの根を深く張り良品質メロン生産茨城県鹿嶋市荒野(JAしおさい)
大川 俊治 さん

平成11年のメロン作付け前、三善加工の営業の方からクリンテートDXを紹介され、試験的に間口5.4m、奥行き100mのパイプハウスに使用してみました。
鹿行地域の平坦な畑作大地では、これまでの農ビでは春一番や秋の台風シーズンの強風下では、伸びて何度も破損したり、マイカ線が切れたり大変な苦労をしてきましたが、クリンテートは、粘りがあり伸びないため、バンドレスで充分強風に耐えることができ、安心して使える農ビにはない魅力あるフィルムです。
張替時は軽くて作業がし易く、また少しくらいの汚れは、一雨降れば新品同様にきれいになることも良い点です。
クリンテートは、日中の最高温度は農ビに少し劣るようですが、朝明けの最低温度は農ビとほとんど変わらず、間題としては、ハウス内が乾燥気味の様子に感じられるので、換気には十分注意が必要です。
私の春作のメロン中心の作型では、定植前のフィルム張替前に10アール当たり約10万リットルの灌水をします。その後、開花前に10アール当たり1万リットルを、着花後には4日目毎に1リットル位を8回灌水して、合計19万リットルの水を使用して、メロンの根が深く張るような素質を作る水の使い方をしています。
大川さんとメロンづくりのパイプハウス大川さんとメロンづくりのパイプハウス私は、クリンテートDXは、散乱光による光線透過のため、メロンが肌焼けもなく自分なりにすばらしい結果が出せたと思っています。
私は、なお、春ピーマンのマルチフィルムについてですが、従来の農ビと赤外線フィルムを併用した時に比べて、クリンテートDXと赤外線フィルムを併用してからは、地温が1度から1.5度も高くなり、増収につながっています。
今後とも生産者が安心して使え、必要とする良い製品づくりをお願いいたします。

大川さんのパイブ八ウス
春メ□ン(2~5月):問口4.5m×60m 17棟
春ピーマン(2~4月):問口5.4m×100m 2棟/間口5.4m×66m 3棟

がんばる!クリンテート家族
色鮮やかなアルストメリアをグローマスターの二重力一テンで茅野市(JA諏訪みどり)
柿沢 勝一 さん

私とクリンテートのつきあいは、平成5年に長野経済連南信支所でのフラワーフェアの資材展示場で、三善加工の営業の方からバンドレスハウスの農POフィルムの話を聞き、その説得力のある話と1枚のサンプルをいただいたことから始まりました。
早速取りつけた所、その年に台風がきたのですが、クリンテートバンドレスハウスは風通しがよく、ふくらんでいるだけで抵抗なく風が通り過ぎていくのを目の当たりにし、驚きました。そんな物理的なことだけで、納得して、順次クリンテートに切り替えていきました。
その後、三善加工の営業の方との話で紫外線カットフィルムのグローマスターの二重カーテンが花栽培に良いのではとのアドバイスを得て、取り入れてみました。
二重カーテンとアルストメリア二重カーテンとアルストメリア私は、その結果、アルストメリア等では別のハウスの同品種に比べて見て、色が鮮やかであることが分かりました。また、葉焼け等も少なくなっていました。メーカーの方の言う通りでした。
私は、私は、自分なりにメーカーが研究された内容を理解して、色々と工夫を重ねて進めていますが、内張りカーテンで三善加工の紫外線カットフイルムグローマスターを二重カーテンで使用してから(外張りを含めて三重張り)、夏は涼しく、冬は暖かいハウスになり、作物栽培に好適な環境となっています。
また、周年栽培でクリンテートを張りっぱなしにしており、省力にもなって喜んでいます。パイプハウス12棟のうち、4連棟に二重力一テンを使用し、4年目で評価は良好です。

外張り:クリンテートDX 0.1厚/内張り:グローマスター0.075厚

がんばる!クリンテート家族
JA茨城旭村をたずねて
収穫期直後の被覆資材推進で予約とりまとめ
JA茨城旭村は、我が三善加工(株)茨城事業所の地元にあり、太平洋に面し、肥沃な土壌に恵まれた鹿島灘にあります。
ハウス栽培の先進地として全国に名を知られておりますが、クリンテートを被覆資材の中心として取り扱っていただいています。
今日は、営農指導課杉本課長にお話をお伺いしました。

JA茨城旭村では、自然環境を生かし、徹底した生産管理体制のもとで、メロン、アールスメロン、トマト、ほうれん草、イチゴなどを生産しており、とりわけ11の生産部会が活発な活動をしており、JAでは積極的な支援活動を行っています。
なかでも、最大規模の生産部会がメロン部会で、昭和41年の発足から34年の歴史があり現在388名が所属しています。

JAでは保温資材の農家個別推進を実施しており、イチゴは、5月10~20日に、メロンは、6月10~30日に実施しています。
今年のメロン用被覆資材推進は、JA職員とメーカー担当者が3班の推進班で行い、部会員200戸に訪問推進しました。今年も約70%の予約注文を取りまとめすることが出来ました。

私は、自分なりにメーカーが研究された内容を理解して、色々と工夫を重ねて進めていますが、内張りカーテンで三善加工の紫外線カットフイルムグローマスターを二重カーテンで使用してから(外張りを含めて三重張り)、夏は涼しく、冬は暖かいハウスになり、作物栽培に好適な環境となっています。
JA茨城旭村では、クリンテートデラックス(DX)に力を入れ、毎年実績を伸長させてきていますが、今後も生産農家の声を大事にして進めていきたいとのことでした。
三善加工(株)茨城事業所としては、JAとの連携を強化して、生産農家から信頼されるフィルムづくりで期待に応えていきたいと思っています。

(茨城事業所石崎記)

NO.3夏季号 2000年6月1日発行

農POと作物づくり-農POの特徴と作物の生育の関係-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

1.べたつかない性質と作物の生育[隙間を作らない展張がポイント]
「農POのハウスはキュウリには向かない」という話があります。乾燥するのでキュウリの育ちがよくないということです。しかし、調べてみるとキュウリが立派にできているハウスも多く、過度に乾燥するというのは農POハウスの共通した特徴ではないようです。こういうと安心して乾燥のことを忘れてしまう方がいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。実は、農POハウスが乾燥する可能性はあるのです。

それは農POがさらさらして、べたつかないという性質があるからです。べたつく農ビに比較して、農POは合わせ目に隙間ができやすく、ハウスの密閉度が低くなりやすいからです。

乾燥する農POハウスというのは、隙間が多く、そこからハウス内の湿った空気と外の乾燥した空気が出入りして、結果的にハウス内が乾燥すると考えられています。農POのハウスは、フィルムの重ね部分で余裕を充分にとり、農PO用のビニペットや巻き上げ式換気装置を使えば密閉性を向上させることができます。

2.農POの光学的特性と作物の生育[散乱光の積極的な利用]
農POの基本的な光学的特性の一つとして透過する光線の中で散乱光の占める割合の多いことが挙げられます。このことは、作物の光合成や強日射下での葉焼け防止に有利なことを創刊号で述べましたが、クリンテート梨地などの農POは散乱光の割合をさらに高めたフィルムです。

日射しの強い時期に、温度を下げるために寒冷沙などで作物を被覆することが行われていますが、この方法では光線が被覆資材に吸収または反射されるので、作物の生育に必要な光が不足しがちです。その点、梨地の農POは光をよく透すので光線不足になる心配はありません。透明の農POを外張りにしたハウスで内張に梨地の農POを使用すると、より強い目射の下でも高温障害を防止することができます。

[散乱光の積極的な利用]
ご承知のように、紫外線は花や果実の色づきを良くし、ミツバチが正常に飛行するために必要な光線ですが、紫外線を透さないフィルムでハウス内に入る紫外線を少なくすると葉菜類の生育が早くなったり、病害虫の発生が少なくなります。そのため、ハウス用のフィルムについては紫外線透過率の違うフィルムが市販されており、栽培する作物によって使い分けられています。

JA松本ハイランドのカーネーション農家DXハウスJA松本ハイランドのカーネーション農家DXハウス 農ポリと農サクビはポリオレフィン系のフィルムですが、これらは農ビに比較して保温性が劣っていたため、ハウスの外張り用に使用されることは少なかったわけですが、保温性の向上を大きな改良目標として開発されたポリオレフィン系のフィルムが農POです。 農POは、基本的に、農ビより紫外線をよく透します。したがって、普通の透明の農POは、ミツバチで授粉するイチゴやメロン、果実が濃い紫に着色しなければならないナスなどに使用できます。 農POもあります。三善加工のグローマスターは近紫外線をカットした農POです。軟弱野菜の栽培に使うと生育が速まり、病害虫の発生が少なくなります。

がんばる!クリンテート家族
小型育苗システム導入し、高設装置の増設で省力化、安定生産福岡県 JAふくおか嘉穂いちご部会
JAふくおか嘉穂は、福岡県のほぼ中央部に位置し、周囲(東・西・南)を山に囲まれ、南部山地からの嘉麻川と、西部から流れる穂波川が飯塚市内で合流し、遠賀川となり北へ向かっている。耕地の大部分はこの両川に沿って広がる沖積層で比較的肥沃な土壌で覆われている。
年間平均降水量は、1,796mmで夏期高温・冬期低温に加えて曇天日数が多く、必ずしも恵まれた農業環境とはいえない。

傾斜をつけた架台によるいちご高設装置傾斜をつけた架台によるいちご高設装置当いちご部会は、作業の省力化を目的に小型育苗システムを導入し、健苗育苗に努めている(栽培面積の81%導入)。また、いちごについては労働時間が長く、腰痛を伴なう中腰作業が多いことや、高齢化が進み生産者が減少しつつある中、高設栽培システムを導入し、栽培管理の省力化と労働負担の軽減を図り、高齢者や女性でも安定生産できる栽培方法として推進しています。あわせて、規模拡大や新規生産者への推進を図っています。
なお、高設栽培システムについては、現在4戸48aであるが、平成12年度は、62aの導入を予定しています。

また、従来まで使用していた農ビから クリンテートDXに転換を図り、フィルム展張時の作業が軽減され生産者から喜ばれております。農ビと比べ、汚れにくく、風にも強い点が、生産者に使っていいただける要因であると思います。心配されていた苺の生育性にも問題はなく普及しつつあります。
JAふくおか嘉穂園芸課倉智正徳さんから話を聞かせていただきましたが、共選・共販は全戸にファックスを導入して有利販売を図るとともに、生産資材はJAより共同購入されています。

がんばる!クリンテート家族
イチゴ水耕促成栽培でクリンテートハウス栃木県壬生町(JAしもつけ)
木村 貫一 さん

わたしはイチゴ(とちおとめ)のポット・水耕、夜冷育苗促成栽培にクリンテートを使用しています。わたしのハウスは間口6m×53mほか9棟、栽培面積25aで、作型は、9月上・中旬定植、11月上旬収穫です。
栃木県下はまだ農ビが多い中で早くからクリンテートの特長をつかみ栽培に役立てています。その特長を列記すると次のとおりです。
作物の成育状況は農ビと比較しても差はなく、また散乱光による光線で南側と北側における生育の差が少ない点です。
栽培上の優位点は散乱光による光線透過のため着色にムラがなく黒ずみが少なく、また換気時における湿度の下がりが早い点です。

イチゴ水耕促成栽培被覆時における利点は、温度によるべたつきがないため展張が楽であり、バンドレス被覆のため展張に費やす労力が軽減できる点です。
その他の利点としても室内温度は農ビと変わらなくても散乱光のため人・作物ともやさしく感じることです。
課題としては、硫黄系の薬剤使用する点ですが、特にクリンテートDXはその点も対策済みとのことで、安心しています。今後も生産者の必要とする製品作りをお願いします。

JA香取西部をたずねて-トンネル人参・ダイコン栽培で作物部会を通じてクリンテートの予約受注-JA香取西部は、我が千葉工場の近隣JAで、1985年の千葉工場開設以前から懇意にしていただいておりまして、今回購買課宮川課長代理、浅野係長と指導課東係長にトンネル人参・ダイコン栽培でのクリンテートの特徴についてお話を聞かせていただきました。
JA香取西部は、サツマイモ栽培で有名ですが、人参、ダイコンもトンネル栽培で基幹作物となっています。

JA香取西部の注文書・アグリマニュアルJA香取西部の注文書・アグリマニュアル 購買課では、毎年10月に園芸部のかんしょ、人参やダイコンなど700名を越える部会員を有する50支部の各作物部会を通じて、農家に種子・資材注文書を配布して、予約注文の取りまとめを行っており、各作物部会毎の栽培研修会等での部会員の意見・要望を聞きながら、スムーズな資材の供給を行っています。 また、指導課では、毎月「食糧・農業・農村を守るアグリマニュアル」を発行し、営農指導、栽培指導をきめ細かに行っており、農家から高い評価を受けています。 クリンテートについては、ビニールと比較し、長持ちする、徒長しにくく、葉がしっかりするので葉の病気になりにくい、ハウス内が乾燥するような感じがする、フィルムに穴を開けて天井換気が出来る(ビニールだと破けてしまう)などの特長があり、農家からも喜ばれているとのことで、今後ともクリンテート使用農家が増えるよう品質向上に努めて行きます。 (東京営業所嶋崎記)

NO.2春季号 2000年3月1日発行

農POと作物づくり全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

前回は農POの光学的特性についてのべましたが、今回はハウス栽培の生産性に大きく影響するフィルムの保温性と、病害の発生などに関係する流滴性を取り上げます。

保温性被覆栽培の目的の一つに寒さから保護して作物を栽培するということがありますが、低温期に保温性の悪いフィルムを使用すると、無加温ハウスでは思ったように作物が生育しませんし、加温ハウスでは燃料費が多くかかります。保温性は光線透過性と並んでハウスやトンネルに使用するフィルムの最重要性質の一つです。

ハウス内の温度変化をみると、低温期には普通、昼間は太陽光を吸収して温度が上昇し、夜はハウスの外に熱が放出されて温度が下がります。熱は、換気や、フィルム表面から外気への伝熱、遠赤外線の形でのフィルム透過でハウスから出ていきますが、密閉した夜間のハウスでは遠赤外線の形で逃げていくのがほとんどだと言われています。したがって、透明なフィルムでは赤外線を多く吸収して外に出さないものが保温性の良いフィルムということになります。

クリンテートハウスの小松菜栽培クリンテートハウスの小松菜栽培 農ポリと農サクビはポリオレフィン系のフィルムですが、これらは農ビに比較して保温性が劣っていたため、ハウスの外張り用に使用されることは少なかったわけですが、保温性の向上を大きな改良目標として開発されたポリオレフィン系のフィルムが農POです。 農POはポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体を原料にしたフィルムですが、最近はクリンテートDXのように農ビに負けないか、むしろ農ビより保温性の高い農POが開発されています。 保温性の高い農POは赤外線吸収率を高めるためにプラスチックに保温剤が添加されています。そのため保温性の高い農POはフィルムの透視感が若干悪くなっていますが、透視性が落ちるのはフィルムを通過する光の中で散乱光の割合が多くなったためです。散乱光の割合が多くなっても透過する光の量と質が変わらなければ、作物の生育が悪くなることはありません。

これまでの研究結果によると、散乱光の割合の多い方がかえって作物の生育には良いと言われています。とかく透視感の良いフィルムが好まれる傾向がありますが、農POについては、透視感だけでフィルムを選ぶのはやめましょう。透視感と保温性の関係を良く理解して、栽培する作物に適したフィルムを選択することが重要です。農POは赤外線の吸収能によって、保温性の非常に高い農PO(EEと表示)、保温性の高い農PO(E)、中程度の農PO(M)、保温性を抑制した農PO(D)に区分されています。

流滴性ハウス内は屋外よりも高温多湿です。とくに温度の日変化の大きい秋から春にかけては霧が発生したり、天井のフィルムの表面で結露することが多くなります。霧やフィルムから落ちてくる水滴で作物が濡れると病気が発生しやすくなります。また、朝方の霧やフィルム表面の結露は葉に当たる日光を少なくして、作物の光合成を抑制します。

こうした環境下で、フィルムの流滴性は、病害の発生防止や透過光の減少防止のために、大変重要です。流滴性というのはフィルム表面の結露水を水膜状にして流下させる性質ですが、流滴性の良いフィルムを使用すると結露水を薄い水膜状にして速やかに流し去ります。結露水がどんどん流れてハウス側面下の土壌に浸透すると、ハウス内の空気湿度は低下します。

流滴性を良くするために、農POには流滴剤が練り込まれたり塗布されたりしています。練り込みタイプは流滴剤がフィルム表面に移行して、水滴の滞留や落下を防止しますが、これに使われる流滴剤には多くの種類があり、ものによってはフィルム表面で結晶化して白く粉を吹いたようになったり、逆にすぐ溶けだしてなくなってしまうものもあるので注意する必要があります。練り込み法は1~2年で張り替える農POに使われています。三善加工のクリンテートマーキュリーなどは工場生産の際に流滴剤が塗布されます。流滴剤を塗布するタイプは、水に溶けて流れることがなく流滴性が長期間安定しています。

がんばる!クリンテート家族
土づくり重視の切り花・キュウリ栽培で高品質、ブランド販売実現富山県入善町(JA入善町)
福島 幸雄 さん

私は、平成11年11月の全農主催「第26回全国施設園芸共進会」において、日本施設園芸協会長賞を受賞することが出来ました。ご支援していただいた皆様に厚くお礼申し上げます。
さて、我が家では、2年ほど前からクリンテートを導入していますが、フィルムの話の前に私の経営内容をご紹介します。
施設は、栽培と育苗ハウスがあり、大口径パイプハウス2棟と小型パイプハウスが、クリンテートで、H型鉄骨大型ハウスに農ビを被覆しており、合計面積37.2aです。
作物は、前作が半促成キュウリ(新川キュウリで1/中~2/下に播種、2/下~4/上)に定植、4/上~7/中に収穫しています。後作物が電照菊(黒東電照菊)で7/下~8/上に定植、11/中~12/下に収穫しています。その後、一部ハウスを利用して10aほどチューリップの切り花が入り、1/中~3/下まで出荷しています。露地では、9/中~11/中まで転作田で120aほどカリフラワーの栽培・収穫をしています。

福島幸雄さんクリンテートは、農ビに比べて軽くて粘りがあり、天張りし易く強風でも安心しています。また、サイドのクルクル等にもくっつきがなく、開閉が楽に出来助かります。
我が家は海に近いため、雪の方はそれ程でもないのですが、一年中風が強く特に春先のフェーン現象の暑い風が吹くと今までの農ビですと伸びて何度か破損につながることもありました。クリンテートはその点伸びないフィルムなので、風に強いのが最大の魅力です。
春のキュウリ栽培等では、農ビより少し湿度の保ちが悪いようなことも言われますが、さほどのことはないように思われます。
菊などでは、ボタ落ちがないため、病気や軟弱徒長に成らず、特にビーナイン(矮化剤)等の効果も良いようです。
我が家では、使用していませんが、昨今の菊のサビ病予防剤で硫黄を溶かして成分を飛ばす「こなでん」と言う予防装置があります。これに対して農POフィルムは農ビより弱かったようです。が、近年クリンテートは改良され、イオウ系農薬に大丈夫と聞き、安心しています。
これからの農業(施設園芸)は、特に環境問題には注意をしなくてはなりません。処理し易いフィルムが求められる時代だと思われます。
より強く保温性が高く、ゴミ処理のし易いフィルムをどの業界の方々も念頭において新しく開発していただきたいと要望いたします。
(全国施設園芸共進会受賞業績より抜粋)

創刊に寄せて住化プラステック株式会社
代表取締役社長 角五 正弘

日頃はクリンテートをご愛用いただきましてまことにありがとうございます。お使いいただいているクリンテートの産みの親が、わたしども住化プラステックです。3年前に住友化学からプラスチック加工製品を製造、販売する部門が分社化されて誕生いたしました。

21世紀も間近に迫り、夢がふくらみますが、一方、地球環境を守ることがますます重要な課題となってきています。そのなかで、クリーンなエネルギー源として太陽光が注目され、その利用が進められています。

農業用のハウスは言うまでもなく、昼間の太陽エネルギーを夜間利用しようというシステムです。そのために、わたしどもはせっかく貯えたエネルギーを逃がさないように、保温性が高く、しかも軽くて取り扱い易い クリンテートDXを他社に先駆けて開発し、みなさまにご愛用いただいております。

また廃棄物を減らすため、長期にお使いいただける長期展張型クリンテートマーキュリーもみなさまのご好評をいただいております。

私どもは、みなさまのご要望にお応えしようと日夜努力を続けておりますが、今も、新しいクリンテートの卵たちが、当杜の開発陣によって育てられています。

これからもみなさまのご意見、ご要望をお聞かせいただき、さらにご期待に沿うクリンテートを開発してまいります。これからもどうぞご期待ください。

クリンテートだよりに期待するJA全農資材・農機部
農業資材課長 築部 孝

それは、18,19年前のことになりましょうか。私は、茨城県鹿行の座談会で、生産者の皆様方からの「張ると白くなるぞ」、「ボタ落ちするぞ」との新しいフィルムに対する評価を前に、身の縮む思いで応対しておりました。

以降、現地での数多くのご意見をいただきながら、農POフィルムのパイオニアとして、品質改善、新品種開発が図られ、現在のクリンテート製品群が作り上げられてまいりました。

全農は、今、施設園芸で課題となっている省力・快適・低コスト・環境にやさしいということに役立つ資材・機器の供給をすすめています。クリンテートは、まさに、これらのテーマに見合った系統取扱製品の一つであり、多様な生産場面での利用を提案しています。

「より良い製品ほど、より多く使われる」は真理ではありますが、今や、逆の方が真実味があるようです。クリンテートだよりが、生産者の皆様方のニーズに応える場として、また、営農・生産の一つの標となるよう関係者のご努力に期待する次第です。

NO.1創刊号 2000年1月1日発行

農POと作物づくり全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

千葉県館山市の花き栽培のバンドレスハウス千葉県館山市の花き栽培のバンドレスハウス ハウスやトンネル用の軟質プラスチックフィルムの需要が低迷するなかで、農POの使用量は着実に増加しています。 農POが増えているのは、他の軟質フィルムに比べて風に強く、べたつかないので展張しやすいなどの優れた性質を持つためですが、なにぶん農POは本格的な普及が始まって日も浅く、品質も日進月歩の状況にあるため、その特徴が十分に理解されていなかったり、効果的な使われ方がされていない場合もあるようです。 ここでは、最近のフィルム開発の動向を踏まえて、ハウス用フィルムとしての農POの特徴と使用法について述べます。

農POの特徴ハウス用フィルムに要求される特性は、光学的特性、熱に関する特性、作業性に関係する特性など多岐にわたりますが、農POの主な特徴を挙げると次のとおりです。

光学的特性

富山県入善町・福島幸雄さんのバンドレスハウス富山県入善町・福島幸雄さんのバンドレスハウス 農POの光学的特徴として、まず透過光の中で散乱光の占める割合が多いことが挙げられます。全光透過率は農ビより多少小さいか同程度ですが、散乱光の割合が多いので農POは農ビより透明性はやや劣ります。しかし、散乱光の割合が多いために作物の生育が劣ることはありません。 散光性に関する試験例が少ないので、さらに事例を積み重ねて詳細を解明する必要はありますが、散乱光は作物の下の葉まで入るので光合成に有利だといわれています。また、散乱光が多いと、夏季の日光の強いときに高温害が出難いなどの良い点もあります。

バンドレスハウスとPR看板バンドレスハウスとPR看板 次に、農POは光線透過率の経時的な低下が少ないという特徴があります。これはべたつきがなく、ホコリが付き難いためです。また農POはフィルムに掛けるバンドを省略(バンドレス)できるので、その分採光性が良くなります。 破れにくくて、復元性と収縮性が小さい農POは、屋根に張ったフィルムのバンド掛けを省略できますが、バンドレスにするとバンドの陰ができないので、その分採光性が向上します。(次号では、保温性・流滴性についての特徴を掲載します。)

がんばる!クリンテート家族
苺づくりに最適クリンテートハウス神奈川県秦野市(JAはだの)
久保寺 富雄 さん

我が家では、クリンテートの他に一部三菱の農ビ・キリナインを使用しているので、比較ができて、効果がわかりやすいです。
優れた点は、軽いこと、汚れにくいこと、そして何よりもバンドレスで充分強風に耐えることが出来ることです。作物の出来については、ほとんど変わらないが、やや草勢がしまって推移するようだ。収量は変わらない。訪花昆虫への影響も全くない。ただ、パッカー等を装着する時、あるいはビニペットのスプリングを入れる時は、間にパッキングをしないと切れるので要注意。
今、廃プラのダイオキシン問題が重要だが、この点でも塩ビとの優位性は格段である。

苺(女峰)、4.5m×42m 6棟のパイプハウス(1,100㎡)、7/3採苗、8/18夜冷入庫、9/13定植、10/20KT被覆、11/25 収穫開始見込み。

がんばる!クリンテート家族
UFO展張で切り花栽培長野県原村(JA諏訪みどり)
小池 幸久 さん

平成7年10月の台風被害によるパイプハウスのビニール張替時に、知人からの勧めで、クリンテートUFOにしました。
スターチス・トルコギキョウ・アネモネ・デルフィニュームなどの切り花栽培をしています。現在では、11棟、1,850平方メートルです。
クリンテートUFOを使って良い点は、ハウスバンドを使用していないため、フィルムがシワにならず、天井からの水滴の落下が減少し、水滴による花のシミや灰色カビ病等の被害が軽減し、良品質の生産に役立っています。
その他、丈夫で軽く、展張作業が容易なこと、約4年も使用したことがあり、長期展張が可能なことがメリットです。

小池さんは、PALネットながの(4Hクラブ)の事務局長をされており、当社千葉工場にも仲問と視察に見えています。

創刊にあたって代表取締役社長 鈴木脩介

クリンテートをご愛用いただいている農家の皆さん、こんにちは。
当社のクリンテートは、1981年に上市以来18年を経過し、21世紀の新しい農業を目指している施設園芸を積極的に支援する被覆資材として、全国のJAを通じて、提供している農PO製品です。

今日の情報化時代を迎えて、三善加工として愛用農家向け情報として「クリンテートだより」を発刊することにいたしました。

「クリンテートによる新しい営農を提案します」をキャッチフレーズとして、クリンテートによる作物づくりへの提案、愛用農家の生の声、JA・経済連・全農の取り組み状況、商品情報等を年4回季刊で皆さんのところへJA・代行店・当社の営業マンからお届けいたします。

このクリンテートだよりをふれあいの場として、より一層愛用農家の声を反映しつつ環境にやさしく、愛され親しまれる、確かな製品づくりを目指しますので、今後ともどうぞご愛顧のほどよろしくお願いします。

創刊に寄せて全農東京支所資材・農機部長
渡邊義則

この度、クリンテート愛用農家、JAグループ、三善加工(株)を繋ぐ懸け橋として「クリンテートだより」を創刊されましたことは、大変意義深いものと考えます。
クリンテートは、JAグループの独自被覆資材と位置づけて最重点扱いをしている製品であります。

今後はこの情報誌が末永く刊行され、クリンテート愛用農家の営農情報の一助になるとともに愛用者の拡大に寄与されますように祈念いたしております。

JA秋田みなみ若美町支所をたずねて-盛況、営農ふれあいフェアの営農相談これで万全、営農計画・資材予約-11月12~14日の3日間、支所構内、ふれあいセンターで恒例の「営農ふれあいフェア」が開催されました。

JA秋田みなみは、平成11年4月に男鹿市・天王町・わかみの3JAが合併し、誕生しましたが、若美町支所は長年メロンづくりを中心にクリンテートを保温資材として使用しており、フェアにお邪魔して、実際の営農相談を拝見しながら、中田支所長と大渕営農指導販売課長にお話をお聞きしました。

熱気あふれる営農相談コーナー熱気あふれる営農相談コーナー 営農相談コーナーは、「協同の力で農業経営の安定を」のスローガンそのものの活動であり、これまで組合員とJAとの信頼関係を保ってきた原動力となっています。 会場には、支所の課長・担当者が18名、ずらりと並び、営農指導員として相対で営農相談をすすめており、壮観です。 全組合員に事前に配布済みの「平成12年用肥料・農薬・生産資材注文書」を基に、生産計画と必要資材について、今年の作柄・販売実績等を出し合い、あれこれ相談しながら、決定しています。 クリンテートの場合は、抑制メロン・花などのパイプハウスの外張り用とメロンの露地トンネル栽培用とメロンのベトコンハウス用との3つのパターンで原反の注文をいただいており、JAの加工場でカットして、供給しています。 この営農相談コーナーには、3目間で組合員の半数以上が参加し、作付け面積の8割以上をカバーするというJAのメインイベントです。 本来のJAらしい活動にふれ、ますます地域農業を活性化させ、組合員ともども発展し続けると確信しました。 (東京営業所嶋崎記)

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