NO.12秋季号 2002年9月1日発行

農POと作物づくり-施設栽培の周年利用-埼玉県農林総合研究センター園芸支所
支所長 稲山 光男

キュウリの短期作型組合せによる有利な販売方策野菜の生産は、施設栽培の普及と生産技術の高位平準化によって、単位面積当たりの収量に大きな伸びがみられるようになった。そして、生産の安定比が図られるようにもなった。

その一方で、流通の形態は大きく変わり、市場では大半の荷が量販店によって取引きされ、消費者の購入形態も、かつての八百屋の店頭で「対話」によって購入された形態は姿を消し、量販店で自ら「選択」して購入する形態に大きく変化している。
このような流通の変化に対し、産地はどう対応していくべきか考える時期にきている。

市場におけるキュウリの価格動向表-1に、東京市場における最近の月別入荷量と単価を示した。

表-1 東京市場におけるキュウリの月別入荷量・平均価格表-1 東京市場におけるキュウリの月別入荷量・平均価格

入荷量に大きな年次差はみられないが、11月~2月の平均価格をみると入荷量が必ずしも価格に影響している現象はみられない。また、キュウリの輸入量(青果)は、全量が韓国からで、最近は約5,000~5,500tが輸入されているが、その量は、国内生産量の約0.7%で、東京市場への平成13年の入荷量は157tで、総入荷量の0.17%を占めるにとどまっている。

このような中で、市場における作型の競合と価格の関係をみると、次作型の入荷によって市場の「頭値」(高値)は、次作型へ移行する現象が強く見受けられる。

キュウリ生産を取巻く環境の変化と対応キュウリ産地に限ったことではないが、産地では、価格が低迷している中での有利な販売と生産管理労力の省力化が課題になっている。

この課題解決の一つの方策として、流通実態から、(1)時期的価格差が小さいこと、(2)作型による取引きがあること、(3)安定的な周年出荷が求められていること、(4)消費者の選択買いの中で、生産の実態情報を求めていることなどがあげられる。

また、生産現場では、(1)収穫や選別に労力の多くを要すること、(2)長期間、良品を多収得るためには、高度な管理技術が求められることなどがあげられる。

そこで、キュウリの特性として、生長が早いことや草勢の強い若木からの収穫物は、良品で食味も良いこと。また、苗が流通される時代になり、収穫作業と育苗管理の競合を避けることが可能であることなどから、図-1に示したような短期作型を組合せた生産体系の導入を提案してみたい。

図-1 施設栽培キュウリの周年高品質栽培体系図-1 施設栽培キュウリの周年高品質栽培体系

この体系の特徴を上げると

  1. 栽培労力を最も要する収穫・選別の対象面積が1/2であること
  2. 秀品率が高い期間のみの収穫期であるため、選別労力が削減できること(販売方法を開拓すれぱ、規格の簡素化によって収穫しながら選別が可能であること)
  3. 栽培期間が短いため、緻密な生育制御管理技術が求められないこと
  4. 整枝管理の省力化が図れること
  5. 減農薬生産が可能なこと
  6. 作型別品種の組合せが可能なこと
  7. 雇用経営の場合は、安定雇用が可能になること

などがあげられる。

一方、種苗費の問題は収穫終期1週間を考慮することで解決が図ることや、土づくりを夏期に1ヶ月休閑期を取る中で行う必要があること、作型の切替えを短期で行う必要があること、そして最も大切なことは、生産方式の情報を流通上に(消費者にも)PRして評価を得ることであろう。

がんばる!クリンテート家族
DXで良品質のイチゴづくり茨城県鹿島郡旭村造谷(JA茨城旭村)
古川 義一 さん

私はハウス面積約60a(単棟ハウス21棟・4連棟ハウス10a)を中心としたイチゴ専業農家です。平成8年以前は100%農ビを使用しておりましたが、毎年のようにフィルムの汚れ・破けに悩まされ、強風の時などはマイカー線の張り直しと、よけいな仕事に振り回されておりました。
そんな折、三善さんより クリンテートUFOを紹介され試験導入して以来、クリンテートの愛好者になりました。クリンテートDXは、発売時より使用しており現在では、全棟内張り・外張りにかかわらずDXを展張しております。
いちご栽培ハウスでの古川さんいちご栽培ハウスでの古川さん人によってはPOフィルムは保温力が無いとか、展張しづらいとか言う人もおりますが、DXに関して言いますと農ビに比べ保温力の差は、まったく無く、その上フィルムが汚れないため、ハウス内に燦々と光がふり注いでいます。
破けにくいという特長もあり、ハウス管理がずいぶん楽になりました。フィルムの特長を身に着け慣れさえすれば、これは使える!と実感しております。また、DXは紫外線を調整したフィルムのせいか(?)イチゴの色づき・食味・糖度とも良い物が造れるようになりました。
平成13年より旭村でも廃プラの回収が始まりましたが、農ビに比べ負担金がまだまだ高いこともありますが、毎年の張り替えの手間、省資源という点から考えても、多年張りを考える時代なのだと考えています。来年からクリンテートエクストラ(EX)という強度アップした多年張りのフィルムが発売されると聞き、大いに期待しております。

古川さんは、JA茨城旭村の前イチゴ部会長で活躍されましたが、良品質のイチゴづくりに熱意をもって取り組んでおられます。

がんばる!クリンテート家族
メロンづくりをMCで鹿児島県有明町(JAあおぞら)
星野 勝 さん

私は、昭和54年からメロン栽培をしています。いわゆる、サラリーマンからのUターンで夫婦二人で農業を営んでいます。有明町は、大隅半島の半ばにあり、風の強い所です。有名な桜島は見えませんが、たまには灰が飛んできます。
メロンを栽培している強化ハウスでの星野さんご夫婦メロンを栽培している強化ハウスでの星野さんご夫婦私は、間口5.4m、奥行き40mのパイプハウスが6棟と、平成9年度の園芸拡大整備事業で建てた中長期フィルム展張用強化ハウス2連棟2つでイチゴとアンデスメロンを栽培してます。
以前はビニールを使用していましたが、平成9年度の園芸拡大整備事業の強化ハウスには、クリンテートマーキュリー(MC)を展張しました。
クリンテートMCは、流滴性が良く、汚れにくく光線の入りが良いと思います。
また、圃場は風が強いところですが、張りっぱなしでも大丈夫で安心です。

今年の張替においても、クリンテートMCを使用する予定です。

がんばる!クリンテート家族
健苗づくりはMCでJA鳥取中央農産部総合育苗センター
センター長 西本 稔 さん

私ども総合育苗施設は、鳥取県のほぼ中央に位置する倉吉市の高台にあります。平成13年3月に着工し、11月に完成しました。
鳥取特産のスイカをはじめ、水稲、メロン、キャベツ、ブロッコリー、白葱等々の播種から育苗、出荷までを最新鋭プラントによるシステム管理にて年間稼動しております。
総合育苗センターの全景総合育苗センターの全景敷地面積37,000㎡にガラス温室2棟と大型パイプハウスが32棟あり、そのパイプハウス32棟にはすべて三善加工(株)さんの『クリンテートマーキュリー(MC)』の0.15mm厚を展張しています。
もともと旧育苗センターでは農ビの0.075mm厚を使用していましたが、農ビは重くて汚れやすく1年か2年で張替える為コストも掛かり、他に良い資材はないかと探していたところ、(株)松本鉄工所さんよりクリンテートマーキュリーを奨められ、軽くて汚れにくく長期展張が可能で、しかも農ビと同等の保温力があると聞き、導入に至りました。

水稲の育苗ハウスで西本センター長(右)と技術管理責任者の米田さん水稲の育苗ハウスで西本センター長(右)
と技術管理責任者の米田さん
POフィルムはバンド擦れに弱い事が欠点なのでバンドレスが理想ですが、当センターでは大型ハウスの為、風をまともに受けやすく農ビよりも若干弱めですが、バンド掛けをしてフィルムのバタツキを抑えています。それでも一部、擦り傷が発生した様でその点は今後の品質改良を期待したいと息います。
しかし破けにくく風に強い事がPOフィルムの長所なので、このクリンテートマーキュリーの使用により以前ほどの風害の心配がいらず安心しています。おかげで今年は無事スイカ47万本、メロンでは8.5万本の苗を出荷することが出来ました。

また、5月中旬には、水稲22万箱の出荷がピークを迎え、水稲の次は抑制メロン及び抑制スイカと忙しい日々が続きます。
みなさんも鳥取にお越しの際は是非、当センターへ見学にお立ち寄り下さい。
お待ち致しております。

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