NO.34春季号 2008年4月1日発行

全農安心システムの利用と消費者の信頼確保 I
-生産者と消費者をつなぐ情報の連携とは-
JA全農農畜産物検査認証事務局

連日、マスコミでは「食の安全」に関する報道がされていますが、全農では、8年も前からお客様と生産者を結ぶ信頼の仕組みづくりとして、「全農安心システム」に力点を置き、取り組まれています。
そこで、全農安心システムの内容と取り組み状況などを2回に分けて紹介させていただきます。

1.全農安心システムとはJA全農グループでは、産地と消費者を信頼で結ぶ仕組みづくりとして、平成12年度より「全農安心システム」の導入を進めています。

全農安心システムは、「誰が、どこで、どのように作ったのか」がわかるように、商品と情報を消費者にお届けする仕組みです。生産者と消費者を商品と情報で繋ぐために、生産・流通・保管・加工・販売などに関わる情報が連結する仕組みづくりを行ないます。

また、「検査・認証」制度を導入することで、これらの情報の正確性を客観的に評価し、情報の発信と履歴の遡及ができる体制を実現することで、消費者の安心に繋げることをねらいとしています。

実際には、JA全農グループが提供する農畜産物について、産地と取引先との結びつきの中で生産基準の合意をはかり、その内容に沿って工程管理や情報管理を行ないます。さらに、その工程管理や情報管理の体制について、第三者が検査と審査を行い、その報告にもとづいて、JA全農が認証します。(図1青果物の仕組み)

図1 全農安心システムの仕組み(青果物)図1 全農安心システムの仕組み(青果物) 全農安心システムは、JA全農グループが販売責任を負える直販ルートを通じて結びついた取引先へ、商品と情報を提供する取組みであるため、産地認証だけでなく、青果物については、JA全農グループ関連の5つの直販施設も同じ仕組みで認証を取得しています。(JA全農青果センター株式会社東京センター・大和センター・大阪センター・全農越谷青果株式会社・株式会社全農中日本センター) これら直販施設においては、全農安心システム認証産地の品物を一般品と明確に区分して受入れ、小分け・加工する際も、その取扱いと履歴管理を適切に行うことができ、産地から流通・加工段階まで、一貫した履歴遡及の体制を実現しています。

最終工程まで認証を受けた商品には、「全農安心システム認証マーク」を貼付して販売することができます。このマークは、消費者に対して(1)定められた生産方法に基づき生産され、(2)生産・流通・加工履歴が遡及できること、を示しており、いわゆる品質保証やブランド性を謳っているものではありません。通常、商品(または店頭POPやチラシ類)には、このマークとともにQRコードやホームページアドレス等が記載され、消費者が産地や加工場の概要を知ることができます。

全農安心システムでは、取引先の合意を前提に慣行(一般)栽培を含めた作物全般が対象となります。なぜなら、この取組みは農薬や化学肥料の使用や回数の是非を問うものではなく、持続可能で環境負荷の少ない農業を目指しながら、法令順守のもとで生産資材を正しく使用し、その記録を正確に残して開示することが、消費者の信頼に繋がると考えるからです。

2.全農安心システムの認証状況平成12年度の取組み当初は、牛肉1産地、米4産地のみでスタートしましたが、その後、産地偽装の多発や無登録農薬問題等の発生で消費者の信頼が失墜する中、産地における情報開示の体制作りが急務となり、生産履歴記帳運動の展開とともに全農安心システムの導入産地も急増しました。平成19年12月末時点で認証を取得している生産グループおよび施設の件数は、産地が191件、関連加工場(小分け施設含む)が79件で、合計270件となっています。

3.全農安心システムにおける検査とは

図4 生産から販売までの流れ図4 生産から販売までの流れ 全農安心システムにおける検査は、
(1)取引先と合意した生産基準があり、生産者に徹底され、実施できる体制があるか(生産体制の確認)
(2)生産工程や集出荷の記録が記帳されているか(記帳体制)
(3)各工程の責任者が明確で、危機管理や内部監査の体制があるか(チェック体制の確認)
(4)全農安心システム商品と他の商品がきちんと分別管理されているか(分別管理体制の確認)
(5)これら一連の情報が保管され、追跡することができるか(情報管理体制の確認)
を確認するために実施します。

具体的には、産地(JA)からの申請に基づいてJA全農(農畜産物検査認証事務局)が外部検査員を派遣します。検査員はJAを訪問し、主に営農指導・販売部門の担当者からのヒャリングや資料確認を行ないます。原則、各生産者の圃場を訪問することはありませんが、集出荷場、共選場などの共同施設については、現地訪問して区分管理の状況を確認します。

この検査内容は報告書としてJA全農が委託する審査機関((有)リーファース;平成20年3月現在)に提出され、全農安心システムの認証要件に照らして審査されます。

産地と結びつく小分け・加工施設も同じ仕組みで検査と審査がなされ、審査機関からの認証推薦の判定が得られて初めてJA全農が認証書を発行します。なお、この検査は年1回実施され、毎年、産地や加工場の体制確認が継続されます。

がんばる!クリンテート家族
地球的視野に立ち一粒の種を蒔く熊本県南阿蘇村 有限会社 木之内農園
代表取締役 木之内 均さん

熊本の阿蘇より世界を見据え、日本農業の未来に真剣に取り組む会社、木之内農園と、創設者で代表取締役の木之内均さんを紹介します。
世界一の規模を誇る大カルデラ・阿蘇。今も噴煙を上げ続ける中岳をはじめ、高岳、烏帽子岳、根子岳、杵島岳の五岳が連なりその裾野からカルデラの外縁部をなす外輪山の間には千枚田と呼ばれる田園地帯が広がっています。そんな阿蘇の一角に木之内農園はあります。
ハウス栽培の苺、ミニトマトが3.5ha、牧場1ha、路地野菜9ha、水稲4.3haの面積で作物栽培を行い、生産にとどまらず加工、流通、観光(苺狩り、卵広い牧場)、教育、福祉、環境など幅広い視野にたっての農業農園作りを行っている会社です。教育においては、NPO法人阿蘇エコファーマーズセンターを設立、多くの農業独立経営者を育てられ、農業の未来を担う人材育成が行われています。
【社訓】
「地球的視野に立ち一粒の種を蒔く 仕事にほれ仕事を楽しもう 危機はチャンス
人並みなら人並み、人並み外れなら外れん 右手に夢を左手に算盤を持て」

【木之内農園基本方針】
「土つくり、作物つくり、人つくる」

農業の基本は土つくり、健康な土は生命力溢れる作物を育て、安全な作物は健やかな人を育てます。農業を通して人つくりに貢献します。
代表取締役・木之内均さんの人柄もあり、農業に憧れる若い人や、若い農家が集まり活気のある農業が行われています。
木之内さん自身も非農家出身で、川崎生まれの東京そだち、農業のきっかけは、小学校5年生のとき、ペットのための野菜作りから始まったそうです。大学は、熊本の九州東海大学に進まれ、海外留学(ハワイ、南米)をされ、日本で農業を行う決心をされたそうです。
南米留学(冒険)の話を伺ったことがあるのですが、冒険と呼ぶにふさわしいエピソードが多数あり、びっくりしてしまいました。その中の1つを紹介します。
ブラジルを放浪し、マナウスでのことですが、お金が無くなった木之内さんは、日系の農場に頼み込んで、野菜を集め、リヤカーに乗せ、売り歩いたそうです。南米の人は計算に弱く、暗算が出来ない。しかし、計算機を持たない木之内さんは、商品の合計や、つり銭の計算を暗算で行い、間違えないものだから、とても珍しがられ、見世物宜しく、わざと半端な金を出す人もいたそうです。
そんなある日、ヨーロッパの富豪から、アマゾンを遡り、ピラルーク(最大4mを超える淡水最大の魚、体重は200kgを超えるといわれる。)を捕ってきてほしい、報酬は1匹1,000ドルだ。といわれ、その場で引き受けたそうです。人夫を雇い、3~5日かけてアマゾン川を上流に上り、幸い雇った漁師の腕もよく、4匹のピラルークを仕留めたそうです。
そのとき1人の人夫の家によると、赤ちゃんが、栄養失調でどうしようもない状態だったので、ミルクを買ってやろうとすると、いらないと断られたそうです。なぜ?とたずねると、「あなたは、この子が育つまでのミルクを全部買ってくれるのか。ここでは母親の乳が出なければ、魚の煮汁しかない。これで育たないときは命に縁が無かったということだ」そのとき、ここで生きるとはこういうことなのかと思い、日本人でよかったと感じたそうです。
木之内社長と農園で働いている皆さん木之内社長と農園で働いている皆さん木之内農園さんとクリンテートの付き合いは長く、他社POを使われたこともありますが、やっぱりクリンテートが一番と、会員農家さんのハウスにも使用を勧めて貰っています。
木之内社長と木之内農園さんについては、もっと、もっと書きたいことが多いのですが、また次の機会に書きたいと思います。
木之内社長、これからも、クリンテートとサンテーラ宜しくお願いします。また冒険の話を聞かせてください。(営業担当 中山 記)

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