NO.36冬季号 2007年9月1日発行

全農における被覆資材の試験・研究について全農生産資材部資材課
園芸資材技術担当 広本 直樹

全農では、全農品質管理要領に基づき、対象の園芸資材について検査・試験を実施しています。特にクリンテートやクミアイ農ポリ等のJAマーク品については、より厳しい全農規格を上回っているかを厳しくチェックしています。また、クリンテートやコーンマルチIIは改良頻度の高い製品でもあるため、改良された内容の調査・確認を実施しています。今回は、それらの強度や機能性の検査・試験項目およびそれらの機器の一部を紹介をします。

1.引張・引裂試験引張・引裂試験フィルムの引張切断強さ(N)、伸び率(%)、直角引裂荷重(N)各項目を測定する装置。農ビや農ポリはJIS規格で試験方法や基準値が定められており、クリンテートやクミアイ農ポリについてはより厳しい全農規格に合格しているかどうかを調査します。

引張切断および直角引裂については、試験片を23±2℃で調整し、一定速度で引っ張り(農ビ・農POは200mm/分、農ポリは500mm/分)切断荷重を測定します。
伸び率については、初期の標線間距離を40mmとし、これに対する伸び率を測定します。

2.厚さ測定試験厚さ測定試験帯状に切り出したフィルムサンプルの厚さを測定し、その数値やバラつきが規格に合格しているかどうかを調査します。0.1mm以下のフィルム厚さ測定に適合した仕様となっています。

3.エレメンドルフ引裂試験エレメンドルフ引裂試験裂け目からの引裂伝播強度や方向性を測定する試験で、試験片に切れ込みを入れ、その両端を引っ張って測定する。JISにより、農ビ・農POのみ測定し、農ポリは測定しません。

4.低温伸び測定試験農ビは極低温下で硬化する特性を持っており、JISにより当該条件下で伸び率を測定する事が定められています。試験槽を-5℃に設定し、1点ずつ槽内に入れ、温度を安定させてから引張試験を実施して引張切断強さと伸びを測定します。

  • 低温伸び測定試験
  • 可変恒温装置操作部
    可変恒温装置操作部

5.光学的特性測定試験(1)紫外・可視光線透過率
フィルムの光学的特性を調査するため、光線全体の透過率と散乱光線の透過率、透明度を示す指標であるヘイズ値を測定する試験。光線透過率の他にも、作物の生理に直接影響する紫外線や光合成に有効な波長の透過特性、その他の波長別特性についても測定します。

(2)赤外線透過率
同様に、フィルムの保温性を試験するために赤外線の透過率(吸収率)を試験する装置。12,000nm前後の波長における吸収率等を試験して、フィルムの保温特性を推定します。

6.流滴性促進試験流滴性促進試験被覆資材を人工的に曝露促進条件におき、流滴性を調査する試験。試験槽の水温を40℃に保ち、その上に4/10の傾斜をつけた円筒(塩ビパイプ)を置き、サンプルを円筒開口部に装着します。その後、定期的に水滴付着状況を観察し、記録していきます。試験期間1ヶ月が屋外曝露4~5ヶ月相当とし、水滴の付着範囲が全体の約20%以内であれば使用できるレベルとしています。

7.人工曝露試験機フィルムの耐候性を試験する場合、実際に展張試験を行うと膨大な時間を要します。そのため、人工曝露試験機を用いて劣化を促進させて伸び率の試験を実施し、その低下率を測定します。63℃50%RHの試験槽内にキセノンバーナーで擬似太陽光を発生させた条件下で曝露を行い、残存強度を測定する。曝露時間は400時間で屋外1年相当である。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラで高品質のスプレー菊栽培宮児島県曽於市(JAそお鹿児島)
小浜 健一さん

JAそお鹿児島は大隅半島にあり、農業の盛んな地帯に位置し、近年特に花に力をいれて取り組まれているJAです。
小浜健一さんは、39歳で2連棟と3連棟を10棟所有し、周年栽培でスプレー菊を栽培されています。平成12年に4棟を事業で建てられ13年に2棟、20年に4棟と着実にハウスを増やされました。
農業をされる前はサラリーマンをされており農業はまったくの素人だったそうですが、脱サラしてJAの指導を受け現在弟さんと、パート2人とご夫婦とで農業経営されて います。
今年は梅雨明け後、収穫作業を行っていますが、真夏日で暑い中たいへんご苦労されています。
平成12年度事業では他社品を使用し、平成13年度事業では我が社のクリンテートデラックス(DX)を、平成20年度事業では塗布型長期展張フィルムの0.1厚のクリンテートエクストラ(EX)を使用されました。
スプレー菊栽培ハウスでの小浜健一さんスプレー菊栽培ハウスでの小浜健一さん現在は10棟全部をクリンテートエクストラの0.1厚フィルムを展張されています。クリンテートエクストラを採用された理由は、天井は3年使用するので流滴性や強度の点で優れているからとの評価でした。
新しい事にも積極的に取り組まれていますのでこれからもクリンテートの改良点など意見を聞かせていただきたいと思っています。
施設園芸農家の経営環境は、きびしくなっておりますが、小浜さんのスプレー菊栽培による農業経営がますますのご発展されますよう祈念しています。(南九州営業所 古川記)

がんばる!クリンテート家族
-サンテーラ株式会社として、アグロイノベーション2008農業・園芸生産技術展に出展-
アグロイノベーション20087月16日から18日の3日間、千葉県幕張メッセで開催された 「アグロイノベーション2008農業・園芸生産技術展」に出展いたしました。
前回の2年前は全農ブースの一角で出展しましたが、今回は当社の原料供給元である住友化学(株)が初めて出展したので、住友グループの一員としながらも、当社独自でのブースデザイン、商品展示のレイアウトなど社内検討し出展しました。また、来場者プレゼントとして、6色のバラのタオルチーフやクリンちゃんのマグネットを用意して配布したところ、大変好評をいただきました。
今回から主催が(社)日本能率協会に替わり、新しい試みとして生産物収穫後の技術、物流システム、情報関連機器やソフトウェアなど、現在問題となっている食の多様化や安全性の確保、また環境への配慮やエネルギーへの転用など、生産から流通段階までの供給体制を含めた農業に対する社会的ニーズに応える内容の展示会でした。
会場を歩き、特に印象に残ったのは「食の安全」というキーワードから某ブースの「顔が見える野菜、果物」でした。誰がどこでつくったものかをオープンに情報公開し、生産者が発信する安全性、栽培状況、更には味へのこだわりなど、消費者が望む安心感、美味しさや栄養などの付加価値が消費者のニーズに対応したシステムであると感じました。
最後に、3日間の会場入場者は40,000人を超え、当社ブースでもいつもの開催に比べてお立ち寄りいただいた方が多く盛況に終わりました。今後も、安心してお使いいただける資材を生産者の皆様にご提案、ご提供できる企業として成長してまいります。

クリンちゃんの豆知識

2008年の2月に北極圏のノルウェー領スバルバル諸島に「スバルバル・グローバル種子保管庫」という大規模な種子バンクが開設されました。
種子バンクはこれまでにも、農作物の種子を集め絶滅の危機に備えて保管する目的で世界各地に1,400箇所も作られています。
スバルバルの種子バンクは、永久凍土の地中、標高130メートルにトンネルを掘って作られ、零下4度以下に保たれています。2月26日の記念式典では、04年にノーベル平和賞を受賞した環境保護活動家、ワンガリ・マータイ氏らが、第一弾となる26万8000種類のサンプルを庫内に収めました。世界中の農場や畑から集めた、米や小麦、ナス、レタス、ジャガイモなどの種子は、総重量約10トンにもなったそうです。
種子の収集、管理費用を提供する国際組織「世界作物多様性トラスト(GCDT)」は、最終的に計450万種類、20億個の種子サンプルをここに集める計画で、たとえ地球温暖化などで環境が変化しても、種子1万年先まで保存されるはず、としています。
画像しかし、種子は冷凍保存されても20年程度で発芽力を失うものも多く、定期的な栽培によって更新することが不可欠で、保管以上に重要なこの仕事は、引き続き世界各地の種子バンクの責任において行なわれます。
1951年3月、植物学者の大賀一郎博士が千葉の泥炭層の中から約2000年前(弥生時代)と推定されるハスの種子を3粒発見しました。そのうち1粒だけ発芽に成功し、翌年花を咲かせました。このニュースは国内外に報道され、同年11月17日付米国ライフ誌に「世界最古の花・生命の復活」として掲載され、博士の姓を採って「大賀ハス」と命名されました。今では各地で「大賀ハス」の花を見ることができます。
植物が持つ生命力には、人類の想像を超えたたくましさが秘められているんですね。

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