NO.40秋季号 2009年9月1日発行

高品質多収栽培のポイントと紫外線除去フィルムの活用元 ・ 埼玉県農林総合研究センター
園芸支所長 稲山 光男

キュウリはその作物特性として、低温にはすこぶる弱く、一度降霜に遭うと枯死してしまい、高温多湿環境を好む作物である。そして、(1)蔓性で葉が大きいこと(2)同株異花で着花(果)に規則性がないこと(3)トマトやナスに比べ生育が早いこと(4)果実は発育肥大途中の未熟果を収穫の適期としていることなどの特性がある。

従って、キュウリは生育状況を的確に把握して、適切な対応管理を施すことが重要で、管理が遅れたり誤った判断の基で管理を行なうと、収量や品質に大きく影響することになる。キュウリの高品質多収生産の基本的な栽培管理技術は確立されているものの、そのマニアル化は難しく、栽培経験に基づく応用管理技術に頼る部分が大きい。このようなことから、キュウリ栽培は家族労力を基本とした、労働集約型的な経営の中で発展成立してきたものといえる。

キュウリを安定的に高品質多収を得るには、生育段階に対応した管理がポイントで、キュウリの生育を日常的に観察する中で、その生育状態を的確に捉えて適切な管理を施しながら、目標に向けた栽培展開を図ることになる。

ここでは、誌面の制約から最も重要な定植・活着時の基本的なポイントを例に参考に供することにする。最近は、栽培の省力化を図るために、昔から「苗半作」と云われながら、苗を自家育苗しないで苗生産業者に委託して、苗を購入して栽培する経営が普及している。

そこで重要なことは、納入苗の評価から栽培が始まることになる。その評価とは、納入苗の苗質そのものの良し悪しの評価もさることながら、納入された苗がどのような性質なものか、この苗を利用して高品質多収生産するためには、今後どのように管理処理していくべきかについて、即評価・判断することが重要である。

当面の評価・判断の視点は、手元の苗を如何にしてスムーズに活着させるかが最優先で、どのような管理をなすべきかを判断することが重要である。つまり、活着の状況如何によって、次の生育段階における管理の手法が違ってくるからである。

次に定植直後の段階では、(1)葉の展開の様相は?(展葉の葉色、日中の萎れ具合)、(2)巻きひげの出現とその状態は?などについて観察して、どのような管理をすべかを判断する。そして、次の生育段階では、(1)節間伸長の状況は?(2)葉色、葉の形状は?(3)巻きひげの状態(長さ、太さ、色、伸長方向など)(4)芯の大きさ等々・・・・・。というように生育段階ごとに、圃場全体的な生育の状況、株の生育状態と草姿。そして、株個体のどの部位に観察ポイントを求めて、どのように生育を評価・判断してどのような管理を施すかということである。

キュウリの高品質多収生産の基本は、強い草勢を作ることと、その草勢を栽培期間中維持し続けることにある。そのためには、現生育段階では何を為すべきか、どのような管理をしたらよいかに尽きる。

紫外線除去フィルムの普及消費者の健康志向の高まりから「食の安全性」が問われ、農薬の使用が問題視される時代である。防除は安定生産、安定供給の面から不可欠であり、適正な農薬の使用は認められるところである。一方生産の面からは、生産者自身の健康管理や生産コストの低減から、農薬の使用は必要最少限にしたい。このような点から生産農家では、あらゆる方法を取り入れることで低農薬栽培に取り組んでいる。

その一つに、特に最近は、紫外線除去フイルムの利用が注目されてきている。このことは、生産者の高齢化や生産農家の労働力不足、長期展張型の農POの出現、それに、最近大きな問題になっている媒介害虫によるウイルス病対策が挙げられる。

キュウリでは、オンシツコナジラミが媒介する「黄化病」をはじめ、最近大きな問題になっているタバココナジラミが媒介する「退緑黄化病」(仮称)。ミナミキイロアザミウマが媒介する「キュウリ黄化えそ病」がある。これらの病害を防除するには、媒介害虫の防除にあり、これらの害虫は農薬による防除だけでは、困難をきわまるために総合的な防除が必要で、産地ではあらゆる方法が講じられている。

そこで施設栽培では、栽培施設内への害虫の侵入を回避する防除効果が高いことから、忌避効果の高い紫外線除去フイルムの展張と施設開口部の防虫ネットの組合せが評価され普及している。また、キュウリは多湿環境を好む作物で湿度条件には敏感に反応し、低湿度環境下では葉の老化が早く葉の老化は光合成の低下につながる。その結果、草勢が低下して品質・収量の低減になる。

紫外線除去フイルム展張下でも、湿度管理は重要であるが、紫外線透過フイルム展張下での栽培に比べ、紫外線除去フイルム下では、葉の老化が緩慢で葉がやや淡緑色を呈し、軟弱的な生育を示すことから比較的老化し難い面がある。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートエクストラでさぬきのめざめアスパラガス栽培香川県観音寺市(JA香川県高室支店)
藤原基宏さん

ハウスの前でハイ!ポーズの藤原さんハウスの前でハイ!ポーズの藤原さん観音寺市は香川県の西端に位置する市で西は瀬戸内海に面し、南は讃岐山脈を隔てて徳島県と接しています。気候は南の讃岐山脈や四国山地、北は中国山地の影響もあり、台風などの自然災害が比較的少ない所です。農業ではレタス・玉葱・セロリ・ネギなどの栽培が盛んです。
今回、お邪魔させていただいたのは高室支店管内で「さぬきのめざめ」「ウェルカム」の二品種のアスパラガス栽培をしていらっしゃる藤原基宏さんです。
藤原さんはアスパラガスの栽培を始めて20年になり、現在、963㎡のハウスで「ウェルカム」をグローマスターで750㎡のハウスで「さぬきのめざめ」をクリンテートEXで栽培されてます。

アスパラガスはウェルカム等の海外品種が主流でしたが、香川県では新品種ブランド『さぬきのめざめ』を1996年から育成を始め、2005年に品種登録をされたブランドです。
さぬきのめざめの特徴としては、(1)収量が多い(2)比較的低温に強く萌芽が早い為、早どり栽培が可能(3)穂先が固く締まっていて開きにくい為秀品率が高いことや夏期の高温時でも開きが非常に遅いこと、など数々の特性があります。また、やわらかくて味も良いとのことです。
以前は農ビの利用をされていた藤原さんですが、風の影響を受け易い土地柄でもある事から破れにくい丈夫なPOフィルムに切替えていただきました。現在ではさぬきのめざめにクリンテートエクストラの0.13mmを3年程前から、ウェルカムにはグローマスター0.1mmを昨年から使用していただき、特にエクストラに関しては強度もあり、透明性も良いとおっしゃっていただきました。
最後になりましたが、お忙しい所で取材に御協力頂きました藤原さんありがとうございました。今後もクリンテートを御使用いただいてる藤原さんのアスパラ栽培の益々の御発展を期待しております。(香川県営業担当 天竺記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテート梨地で良質のほうれん草を栽培熊本県阿蘇郡小国町(JA阿蘇)
宇都宮 昭三さん

ほうれん草ハウス内での宇都宮さんご一家ほうれん草ハウス内での宇都宮さんご一家小国町の中心地区の標高は約350m。熊本と大分の県境の地域で、久住連峰の恵みを受け、真夏でもさわやかなところです。
今回はこの小国町でほうれん草を中心に栽培されている農家を紹介させていただきます。
宇都宮昭三さん照美さんご夫妻と跡取りの正昭さんは、小国町の中心よりまだ、100mほど標高の高い地域でほうれん草2.5反、アスパラガス1.5反の雨よけハウス栽培を行われています。小国地域はほうれん草の栽培が盛んで、ご主人の昭三さんは3年前まで、ほうれん草部会の部会長をされていました。私が始めて昭三さんとお会いしたのは4年前の夏のころです。

当時、温暖化の影響からか、小国地域も夏の温度が高くなり、ほうれん草栽培が難しくなってきていて、夏はほうれん草から春菊に作物転換される農家が増えてきていました。夏場のハウス温度を少しでも下げることが出来ればとのことで、クリンテート梨地をテストすることになりました。8月下旬にフィルムを展張しましたが、ハウス内の最高温度が2度程度下がり、良好な結果が出ました。
翌年の梅雨時期、雨上がりの強い日照でもほうれん草が弱らずしっかりとしているとのことで、収量に大きな差がでて、ハウス内の温度が下がり、作業的にも楽になったとの評価もいただきました。お蔭様で、ほうれん草には梨地が定着してきました。今年度は、梨地からグレードアップした新発売のクリンテートシルキィをおすすめし、お使いいただいております。これからも、クリンテートをよろしくお願いします。なおアスパラガスのハウスでは紫外線カットタイプのクリンテートGMもお使いいただいております。
余談ですが、阿蘇地区では牛をハウスで飼育する農家が増えています。宇都宮さんの牛も、クリンテートのハウスで飼育され育っています。(熊本県営業担当 中山記)

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