NO.7夏季号 2001年6月1日発行

農POと作物づくり-ハウス・ミカン栽培-全農営農総合対策部 生産資材研究室
技術主管 林 英明

今回は、神奈川県小田原市で、農POを使って立派なハウス・ミカンを生産している岩本和文さんの栽培技術と資材利用をご紹介します。

1.地域の特徴と果樹専作経営岩本さんが住んでおられる小田原市根府川は、神奈川県の西南部に位置し、山裾が相模湾に落ち込む平地の少ないところです。静岡県の伊豆半島に近接した温暖な気侯を利用して、江戸時代から温州ミカンが栽培されており、貯蔵ミカンの産地として有名です。

ここで岩本さんは、果樹専作農家として、奥さんと二人でミカン30aとギンナン80aを栽培しています。ミカンは全てハウス栽培で、品種は「宮川早生」で、収穫・出荷が8月上旬から10月上旬で、農協のハウス部会で個選共販を行っています。ギンナンは10月、11月に収穫して、直ちに果皮・果肉を剥いで種子を出荷します。

2.クリーンテートで良品・多収岩本さんのミカン用ハウスは、南東に相模湾が見える小高い山の上にあります。太さ48.8mmと22.Ommの鉄骨パイプを使った、棟高5m、間口5.8mの明友機工式連棟ハウスです。

岩本さんのミカン用ハウス岩本さんは平成2年からハウスの外張りにクリンテートを使用しています。最初の年は外張りに クリンテートUFOと農ビを併用したそうですが、クリンテートの成績がよかったので次の年から農ビはやめて全てクリンテートにしたそうです。

現在は、3連棟と8連棟のハウスに屋根・サイド共に厚さ0.1mmのクリンテートDXを展張して、内部は厚さ0.075mmのクリンテート透水カーテンを水平に張っています。

ハウスの屋根は毎年張り替えます。10月にミカンの収穫が終わったらフィルムを撤去してハウス内に雨水を入れ、花芽分化促進のために樹を寒さに当てます。新しい屋根フィルムは11月下旬から12月上旬に張ります。12月上旬から加温を開始しますが、ハウス内の温度センサーとハウスの外に設置された雨センサーで気温と降雨をモニターして、ハウス内の気温が設定値以上になると天窓が開き、温度が設定値以下や降雨があると天窓が閉まります。天窓は屋根の谷部に付いていて、巻き取り方式で開閉します。

このハウスで岩本さんは品質の良いハウス・ミカンを沢山収穫しています。神奈川県ではハウス・ミカンの品質基準として、糖度12%以上、酸度0.7%~1.0%、形・着色が良いことなどを決めていますが、この基準を軽く達成しています。また、神奈川県のハウス・ミカンの10a当たり平均収量は5.5t前後ですが、岩本さんは6t以上の収量を上げています。

岩本さんにクリンテートDXの使用結果をお伺いしたところ(1)軽くて、べと付かないので展張が楽にできる、(2)べと付かないので天窓の開閉がスムーズにできる、(3)風に強い、(4)保温性が良い、とのことでした。

また、クリンテート透水カーテンも良いとのことでした。クリンテート透水カーテンは水平張しても水が溜まりませんが、カーテンは傾斜張りより水平張りの方が保温効果は高いそうです。クリンテートDXの外張りとクリンテート透水カーテンの水平張りで、農ビを外張りしてポリエチレンカーテンを傾斜張りしたハウスより重油使用料を少なく出来るそうです。

3.紫外線カットフィルムと光反射マルチこのように立派な成果を上げておられる岩本さんですが、より一層の向上を目指して、資材の試験を実施しています。

岩本さんのミカン用ハウス輸入野菜に対するセーフガードの発動が話題になる昨今ですが、岩本さんはハウス・ミカンについて、より一層の生産力強化が急務と考えています。

そのため、ハウスの一部に紫外線カットフィルムのグローマスターや光反射マルチのミラネスクひえひえを展張して、その効果を検討しています。これらの資材でハウス内の光環境と土壌環境(土壌水分と地温)を改善してハウス・ミカンの品質と収量の向上を図ろうとするものです。

皆さんも、農業経営発展のために、ぜひ岩本さんの技術と考え方を参考にしてください。

がんばる!クリンテート家族
西瓜、メロンをバンドレスハウスで熊本県植木町(JA鹿本・山本支所)
高光 元夫 さん

私は熊本県の山本地区で、西瓜とメロンを作っています。連棟ハウスの総面積130aに、西瓜(富士光)2作、メロン(アールス)1作の、1年3作栽培型の施設園芸農家です。
春夏西瓜は11月下旬に定植し、翌年3月上旬から6月下旬にかけて収穫します。今が一番忙しい時期です。春夏西瓜が終われば、8月中旬から抑制メロンの定植が始まります。
メロンの次は、抑制西瓜の定植と、11月から12月にかけての収穫まで忙しい日々が続きます。働き手は、私たち夫婦と両親、今年から就農した長男の一家5人です。

私とクリンテートとの出会いは、平成5年にさかのぼります。当時、私は補強型の連棟ハウスを新しく建てたばかりで、被覆材は何にするか決めていませんでした。
JA山本支所に相談し、三善加工(株)熊本営業所に「何か良いフィルムはないか」と尋ねたところ、「バンドレス型ハウスにしてクリンテートを張られたら如何ですか」と勧められました。

「バンドレスハウス?」
聞きなれない横文字に疑問を抱きながら私は、その足で三善加工に出向き、いろいろな説明を受けました。その後、三善加工の担当者をハウスに連れて行き、更に詳しく説明を聞いて、新しい試みに挑戦しようと決めたのです。
しかし、クリンテートやバンドレス型ハウスに関する知識の浅さ、不慣れ等いろんな間題がありましたが、その都度農協の指導員や三善加工に相談しながら、また自分の工夫や経験を重ねることで8年の間に、ハウスの全てはクリンテートDXに変わりました。
とれたての西瓜と高光さんご夫婦とれたての西瓜と高光さんご夫婦私は、クリンテートは、風に強い、破れが走らない、光線がよく入る、谷の巻き上げがベタつかない等の特徴があります。もちろん、収量に差異がないことが大前提です。今や、私のハウスの90%はバンドレス型ハウスです。
私は、クリンテートの特徴を最大限に生かせるのは、バンドレス型のハウスだと思います。春一番や、少々の強風に天井フィルムがずれない、緩んだハウスバンドの引き締め作業が省けて、バンドレスにして良かったと思います。
私は、間口の広いバンドレスの連棟ハウスは、両谷、妻面をスプリングで留め、谷巻き上げ部フィルムのバタツキ防止と、展張作業時間の短縮、簡略化及び天井フィルムの補強も兼ねて2m毎にハウスバンドを掛けています。これも一つの工夫だと思います。

私はJA鹿本・山本支所の組合員ですが、JA鹿本に、昨年日本初の糖度計測光センサーが導入されました。その結果、確実に糖度の高い美味しい西瓜、メロンを消費者の皆さんにお届けできるようになりました。ブランド名「夢大地かもと」として、主に関西、関東に出荷されています。今後更に、JAと一体となって品質の良い西瓜、メロンを作っていきたいと思います。

JAかしまなだをたずねて-部会・営農部との連携による作物別推進実施-JAかしまなだは、茨城県東南部に位置する鹿島郡の中心にあり、太平洋に面した、鹿島灘にあります。肥沃な土地、良質な砂質土壌と気侯に恵まれ、メロン・イチゴ・トマトなどの特産物を育てる近代化農業の盛んな地域であり、銘柄指定産地のメロン部会や苺部会は、市場でも有名なブランドです。

クリンテートを被覆資材の中心として、取り扱っていただいている生産資材課の海老原課長にお話を聞かせていただきました。

JAかしまなだJAかしまなだは、経済渉外担当による予約を基本とした作物別推進を営農部門との連携を強化して実施しています。毎年、メロンは9月に、イチゴは7月に推進していますが、早めの推進が必要になってきています。 

現状の被覆資材の使用実態は、太平洋側は、80%以上がPO、クリンテートであるが、1キロ以上内陸に入ると、農ビが使われています。
これからの被覆資材としてのクリンテートは、環境にやさしいが最大のテーマであり、他杜に負けないようにすばらしいフィルムの開発を期待しているとのことでした。

軽くて展張作業が楽で、省力化が図られることはもとより、コスト低減が出来、環境にやさしいクリンテートとして、三善加工茨城事業所は、生産者・生産部会・JA・経済連・全農との連携を強化して、事業推進を進めていきたいと思っています。(茨城事業所石崎記)

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