NO.29冬季号 2006年12月1日発行

宮城県における施設園芸の動向元・埼玉県農林総合研究センター
園芸支所長 稲山 光男

はじめに宮城県は東北太平洋岸に面し、北東北や日本海側東北より冬期の日射量にも恵まれることや、仙台都市圏という大消費地を抱えていることなどから東北地方の中では以前から施設園芸が盛んである。施設園芸は単位面積当たりの収量の向上、収穫物の品質の向上、周年生産による収益の向上が見込めることから本県の施設設置実面積は多少の起伏は有りながらも増加してきた。

平成17年の設置実面積は野菜、花き、果樹を合わせると889haで、栽培延面積は1,314haである。設置実面積のうち、野菜は767haで全体の86%を占め、花きが116ha、果樹が6haとなっている。

品目別のハウス栽培延面積では、施設利用率が高いホウレンソウが271haで最も多く、次いでキュウリが186ha、宮城県の最重要基幹野菜であるイチゴが176ha、トマトが115haと続いている。

鉄骨ハウスが214ha、パイプハウスが675haで、比較的簡易なハウスが76%と多いことが特徴である。また、近年養液栽培が増加し、設置面積65ha(平成17年)で、野菜51ha、花き14haである。

宮城県における農POフィルムの導入ハウスの被覆資材別設置面積は、塩ビフィルムが504ha、農POフィルムが254ha、硬質フィルムが86ha、硬質板ガ13haとなっている。以前は塩ビフィルムが圧倒的に多かったが、平成9年に農POフィルムが一気に増加し、最近では農POフィルムの展張が増加傾向にある。農POフィルムとしてはクリンテートが多く導入されている。

農POフィルムは、保温性については農ビにほぼ近い性能で、種類により長期展張が可能である。長期展張用としてはこれまでの3~5年ものから、最近では10年耐用の農POフィルムが開発、上市されており、写真に示したとおり宮城県農業・園芸総合研究所のハウスにも農POフィルムを転調して栽培試験を行っている。資材が軽くて伸びが少ないことからバンドレスが可能となるので展張作業が楽である。バンドレスにより施設内への光透過量が改善される。冬期の降雪時に雪が滑落しやすい等の特性を持っている。また、焼却処理時にダイオキシンが発生しないので環境にやさしい資材といえる。

クリンテートZを展張したハウスクリンテートZを展張したハウス 本県で農POフィルムが増加している要因として、張り替えの手間や廃棄処理の問題への対応がある。農POフィルムは野菜栽培ハウスで普及が進んでいる。イチゴでは、大型連棟ハウスを中心に長期展張や、風に強い、汚れにくいことなどから使われている。キュウリやトマト栽培では、硬質板と比べて低コストで導入できるため大型ハウスを中心に展張されている。ホウレンソウやコネギ等の葉菜類ハウス栽培でも、パイプハウスを新設する際に農POフィルムの導入が増えている。5~6年耐用を考慮して省力化を図ることと、風に強いことが主な利点となり導入されている。

今後の課題宮城県に限らないが、生産者の高齢化、重油の高騰や輸入野菜の増加など施設園芸を取り巻く環境は厳しいものがあるが、施設園芸は冬期間でも野菜や花きを生産、出荷できることを通じて、周年的に一般家庭の食生活へ新鮮な野菜として、栄養補給源として供給が可能で、豊かな食生活や健康維持に貢献し、また、花を飾ることにより室内空間に安らぎと潤いを与えて、心を和ませ各種のストレスを和らげてくれる重要な役割を果たしている。

これまでに開発された施設や資材の低コスト化技術、施設管理の自動化技術、省力化・軽労化技術、省エネルギー技術、消費者及び業務用、加工用実需者の要望に応える品目・出荷時期・栽培技術等をさらに改良・改善することにより、施設園芸の利点を活用したより効率的な生産の仕組みを構築していくことが施設園芸の一層の発展に寄与する試験研究機関に課せられた重要課題の一つと思われる。

がんばる!クリンテート家族
クリンテートEXでいちごの安心栽培宮城県大崎市(JA古川)
佐々木健悦さん

大崎市は仙台市から北へ約40kmの旧古川市を中心に、周辺の松山町、三本木町、鹿島台町、岩出山町、鳴子町、田尻町の6町が、平成18年3月31日に合併して誕生しました。この地域は昔から大崎地方と呼ばれ、「ササニシキ」、「ひとめぼれ」、「ささろまん」という全国的に有名な優良米の産地として知られています。
その中心地旧古川市において、18年前からいちごの生産に取り組む、佐々木健悦さんは長年のクリンテート愛好者です。
佐々木健悦さん当初は農ビを使用していましたが、種苗などでつながりがあった「渡辺採種場」の担当者からクリンテートを紹介されてからは、その軽くて使いやすいこと、丈夫で破れにくい性能にすっかり惚れ込まれたということでした。
それ以降、パイプハウス15棟(1,500平方m)、大型鉄骨ハウス(800平方m)にクリンテートデラックス、クリンテートマーキュリー、クリンテートエクストラ(EX)を次々に展張して「とちおとめ」の安定生産を続けてきました。普段は、佐々木さん夫妻と、お父さんの3人でハウスの管理をし、繁忙期には2名のパートさんを入れるという作業形態で、ハウスの空く時期にはほうれん草も栽培するという忙しい毎日を送っておられます。
昨年は、大型鉄骨ハウス(800平方m)にクリンテートEXの0.13mmへの張替えをしていただき、今年新設のパイプハウス2棟(330平方m)にはクリンテートEXの0.15mmを展張していただきました。
宮城県内でも、寒暖の差が激しい大崎市は、真冬はマイナス10度近くなることも多く、真夏は30度を超す日が何日もあります。また、栗駒山からの吹きおろしが強風となって吹くこともしばしばですが、クリンテートEXはその強度、流滴性、採光性、保温性能にまったく問題がなく、安心して作業ができると佐々木さんは言われます。
JA古川管内でのいちごの生産者は9人程度ですが、その部会でも、「まだ重いフィルムを使っているのか。大変だろう」と、POフィルムを推奨しているという佐々木さんのお話をお聞きし、今後も安心してクリンテートを使用していただけるように、性能面やサービスの向上に努力しなければという思いを強くして取材を終了いたしました。(宮城県営業担当 鈴木正記)

がんばる!クリンテート家族
クリンテーで良質なみかん・せとか・デコポンのハウス栽培愛媛県八幡浜市(JAにしうわ)
摂津 基恭さん

愛媛県八幡浜市は果実栽培が盛んで、中でもみかんは明治の中頃から栽培が始まり、全国でも有名な産地となっています。宇和海に面しリアス式海岸の為、山々が海に迫り平地が少ない地域です。その為、みかん園は石を積み上げ段々畑が標高300m近くまで連なっている地域もあります。
じつはこの海に面した石積みの段々畑が甘さと酸味のバランスのとれたみかんを育みます。太陽の直射日光、そして海と石積みからの照り返しによる三つの太陽光により、葉の裏側まで光が行き届き光合成を高める事で美味しいみかんが作られています。
JAにしうわ管内で みかん・せとか・デコポン をハウス栽培で生産されている摂津 基恭(せっつ もとやす)さんに、お話を伺いました。
摂津 基恭(せっつ もとやす)さん栽培面積は約二反七畝で外・内張り共にクリンテートDXを使用していただいています。
以前は農ビを使用されていたのですが、クリンテートとの出会いは約5年程前でJAの担当者や地元の販売店の『第一讃陽ビニール(株)』さんから「軽くて丈夫、マイカ線の要らないフィルム」という事ですすめられ、使用を始められました。
実際に使ってみての印象をお伺いすると、フィルム自体も強く農ビよりも安価という点と冬場に加温する為、保温性も農ビと変わらない程の保温効果が得られた為、非常に満足しているとおっしゃっていただきました。
ハウスみかん栽培では重油の高騰等により辞めて行く生産者が増えている厳しい情勢の中で次回の張替えでは害虫忌避効果の期待が持てるグローマスターも使用してみたいと検討しているという摂津さんの前向きな姿勢に営業担当として心強く感じました。
これからも生産者にとって安価で良質のフィルムの提供をお願いしますと御指摘を受け、品質向上を現場からも発言していくことが必要と思いました。
お話をお伺いした時にはちょうど露地みかんも収穫のピークを迎えていて、一面に丸いオレンジ色の段々畑の中で美味しいみかんを頂きながら、取材いたしました。改めて『愛媛産には愛がある』の言葉通りに生産者の方の愛情を感じました。(愛媛県営業担当 天竺記)

クリンちゃんの豆知識

「種」のお話をしましょう。
いま畑で蒔かれている種の多くは、種苗会社が開発したF1品種です。F1品種は発芽や生育の揃いが良くて病害虫にも強く、収量が安定しているので生産者の皆さんにとって作りやすい品種といえます。
ところが、F1品種の開発が進められた結果、植物自身が獲得してきた特性が失われつつあります。繊細に育てられたためか、環境の変化に弱い面があります。また、これまで収量や調理しやすさ、食べやすさを追求してきたために、種固有の風味や栄養価値が犠牲になり、野菜本来の魅力が損なわれてしまっているものもあります。
一方、地域や家で大事に守られてきた「固定種」「在来種」と呼ばれる品種があります。ヨーロッパではこのような品種は「エアルーム」と呼ばれています。F1品種が一代限りなのに対して、エアルームは何世代も受け継がれてきました。収量が不安定なため、大きな産地にならず、いわばマイナー野菜という存在でした。
ブリティッシュシード参考・引用:「ブリティッシュシード」F1品種だけでは将来が不安・・・。そんな中、エアルームが注目されています。これまで数百年に渡り伝承されてきた有用と思われる品種を保存しつつ、これから起こりうる地球温暖化などの厳しい環境変化に備えられるよう再評価し、未来の子孫に伝えていくことが重要と考えられているのです。
地元だけの珍しい野菜が皆さんの周りにもきっとあるはずです。見直して、大事に守っていきましょう。
エアルームの定義:『どんな園芸植物であれ、それがある家族の中で、家族伝来の宝石や家具のように歴史を持っている品種。』

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